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第1章 裏切り者の陰謀編

第38話 1対500

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 俺は今めちゃくちゃ絶好調だ。

 なんなら転生してから1番調子がいい。

 なぜならサラに本気を見せてと直々に言ってもらったからだ。

 俺は近付いてくるキングオーガを闇夜で切り刻む。

「はぁあああああ!!」

 そしてすぐに体を捻ってトロールを5体纏めて一刀両断する。

 俺は一瞬の隙をついて闇夜を空に投げ、落ちてくるまでに火竜剣を取り出して専用スキルを発動する。

「【火竜の咆哮】ッッ!!」

 炎の竜がオーガやキングゴブリンなどを燃やし尽くす。

 そして再び火竜剣を納めて闇夜を掴む。

 そして納刀せずに専用スキルを発動する。

「【白夜を切り裂く一閃】」

 いつもより少し小さい斬撃が飛んで、多くのモンスターを巻き込んで真っ二つにする。

 チッ少し威力が低いな……。

 【白夜を切り裂く一閃】と【闇夜を切り裂く一閃】は、納刀していない状況で発動すると少し威力は落ちてしまう。

 だが、雑魚狩りには使える。

 本当は《神剣夜明け》で全てを一気に消し飛ばしたいのだが、それをしたらこの後がキツくなってしまうので使わない。

 しかしいくら二刀流だとしても、この数だと流石に捌き斬れない。

 うーんしょうがないな……。

 【制限】を解除して戦うか。

 あまり時間をかけるわけには行かないからな。

 現在俺が制限しているのは敏捷性と力だ。

「【制限】解除」

 その瞬間体が物凄く軽くなり、力が溢れてきた。

 よし、これでダンジョンで練習した技が使える!

「【魔剣気】【聖剣気】【魔闘気】」

 一気に3つの気を発動させる。

 これで俺のステータスはさらに強化された。

 俺は2つの刀を鞘に収めて抜刀。

「オリジナル剣技【瞬閃光斬】」

 これはゲームには無かった技で、能力は単純。

 爆上がりしたステータスに【加速】を使用し、亜高速まで加速してただひたすらに斬るだけだ。

 これならすぐに終わるだろう。

 俺は一体一体確実に一撃で倒していった。





☆☆☆
(三人称)




 ヴェロニカは、目の前で起きている光景が信じられなかった。

 いくら戦力の半分は別の所に割いていて、とっておきの切り札もここに無いとしても、これで十分1つの都市を落とせるくらいの戦力がある。

 levelが100を超えているモンスターも半分以上いた。

 その筈なのに目の前の男は、全て一刀で斬り伏せている。

 そして今は姿すら見えない。

 ただソラの纏っていたオーラの残像が一瞬見えると、何体も死んでいると言うことしかわからないのだ。

 もはや人間の限界を余裕で超えている。

(どう言うことだ!? なぜまだ16程度の歳でこれ程までに強なっている!? これは長と同じくらい……いやそれ以上に強いじゃないか!?)

 こんな筈では無かった。

 さっさとシャーロットを殺し、この野外実習をめちゃくちゃにしるだけの簡単なことだった。

(なのにどうしてここまで計画が狂っている!? 原因はなんだ!? ……アイツだ。あのいつも無表情のサラだ。アイツが邪魔したせいでこんなになってしまったんだ……。せめてアイツだけでも殺してやる!)

 ヴェロニカは一体のキングオーガを召喚し、自身も【身体強化】を発動してサラ達がいる所に向かう。

 近づいてきているヴェロニカに気がついたシャーロットが、魔法を放つ。

「【フルフレイム】【ストーム】」

 シャーロットの放った炎と竜巻が合わさって炎の竜巻が発生する。

 しかしキングオーガにダメージは与えたものの倒せず接近を許してしまう。

「やれオーガ! 結界を壊せ!」

 キングオーガが【鬼王の鉄拳】を発動して結界を叩く。

「きゃあああああ!!」

 シャーロットの張った結界が一発で割れる。

「あはははははは! これで終わりだ! 死ねぇええええ!!」

 ヴェロニカの短剣がサラに迫る。

 しかしサラは持ち前の魔眼で動きを見てギリギリで回避し、

「……ソラ」

「了解だよ、サラ」

 サラの後ろにいつの間にかいたソラにヴェロニカが殴られる。

「ぐはッッ!?!?」

 そのままキングオーガのところまで吹き飛び、キングオーガおも巻き込んでやっと止まった。





☆☆☆
(ソラ視点)




 俺はめちゃくちゃ焦っていた。

 あぶねぇ……あと少しで殺すとこだったよ……。

 俺はゆっくり近づいて行く。

 ヴェロニカは血を吐きながらも気を失っていなかった。

「お前またサラに手を出そうとしたな? 本当にぶっ殺すぞ?」

 俺は本気の殺気を浴びせる。

「ひぃぃぃぃ!!」

 ヴェロニカは顔を真っ青にしてガタガタ震えていた。

 何十万人もの命を奪った奴が情けない……。

 俺がそう思っていると、何故かヴェロニカが突如笑い出した。

「あははははははは!! もういい! アイツを使う! こい! 【キメラ】ッッ!! あはははははは!! これで終わりだあああああぁぁぁ」

 ヴェロニカがそう言った瞬間、森の方から何かが飛んできた。

「きゃああああああ!!」

 なんとエレノアだった。

「エレノアあああああ!?」

 俺はエレノアをキャッチする。

 するとエレノアは顔を真っ赤にして直ぐに降りた。

 ああ、恥ずかしかったのね……。

 しかし直ぐに落ち着いて報告を始めた。

「私達でほとんど全ての敵を殲滅しました。しかし一体だけ倒すことができませんでした。申し訳ありません……」
 
 そう言ってしゅんとなる。

 俺はエレノアの頭をぽんと撫でて言う。

「大丈夫だ。アイツは俺がやるから」

 俺はキメラに向き合う。

「さぁお前の相手は俺に交代だ」

 そう言って不敵に笑い、刀を構えた。

 さぁこれが最後の戦いだ。

 俺はある言葉を紡ぐ。



 ————夜明け絶望と共に夜の訪れ希望を祈る———— 

 

 《魔剣闇夜》には暗い夜が、《聖剣白夜》には明るい夜が現れる。

「……こい、《魔神剣乙夜いつや》」

 2つが混じり合って、更に深い夜が生まれた。



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 ではではまた次話で。 
 
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