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第1章 落第勇者の帰還
プロローグ 落ちこぼれの勇者
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突然だが、ファンタジー好きであろう皆んなに質問がある。
もし異世界にクラス転移をして勇者になれるなら行ってみたいか?
勿論チートは貰えると神様直々にお言葉があるとしてだ。
多分ファンタジー好きなら殆どの人が行ってみたいと思うだろう。
だってチートスキルを貰えるなら余程のことがない限り死ぬ事はないからな。
因みに俺、斎川隼人の答えは簡単。
———異世界転移なんてクソ喰らえだ。
これは実際に異世界転移を体験し、10年の月日を異世界で過ごした俺の率直な意見である。
☆☆☆
高校2年生の夏休み前、俺たちは女神に異世界へと、チートスキルを貰うと言う約束で異世界転移をさせられた。
そして異世界に召喚されると、目の前には如何にも王様っぽい王冠を被った男や煌びやかなドレスを見に纏った王女が1番に目に入る。
その後に護衛の騎士がいて、『ラノベまんまだなぁ』と思ったのを覚えている。
暫くして皆んなが起きると、この世界の現状を知らされた。
どうやらこの世界には魔王がいるらしく、人間種は魔王の軍勢に押されてどんどん生活圏を奪われているらしい。
そこで俺達異世界人が勇者として転移させられる運びになったんだと。
その時の俺は浮かれに浮かれまくっていた。
まぁラノベオタクだった俺からしたら、夢のようなシチュエーションだったからな。
王の話が終わると、王女が水晶みたいな魔道具を取り出して、1人1人スキルを調べ始めた。
始めは俺の親友の天野光輝だ。
こいつはマジで主人公みたいな奴だった。
俺の幼馴染なのだが、イケメンで優しく、文武両道で王子様系イケメンを地で行くような男だ。
俺は勿論男子からの信頼も厚く、女子には勿論モテモテ。
学園一の美少女や美女系生徒会長など、まさにラノベのような属性を持った美少女達から好意を寄せられていた。
まぁ学園一の美少女は2人居るんだけど、その片割れが光輝の幼馴染って訳だ。
もう片方は珍しい事に光輝に惚れていなかった。
まぁそいつは例外としても、そんな主人公のような奴は此処でも主人公らしく———
____________________
・天野光輝
・《EX級》スキル
【覚醒】
・《SSS級》スキル
【勇者】
____________________
めちゃくちゃいいスキルを手に入れていた。
「おお!! 早速素晴らしい! 彼こそがこの世界を救う勇者の中の勇者——英雄だ!」
王様をはじめとした全ての人達が歓喜に声をあげる。
まぁ強いスキルを持っている人がいればそれ程自分達が生き残れる確率が上がるから当たり前なんだろうけど。
因みにその間光輝は、俺に向けて苦笑いをしていただけだったが。
俺? 俺は勿論苦笑いを浮かべ返しただけで何もしてないぞ。
そう言うのは周りにいる美少女達がすればいいのだ。
その後も続々とチートスキルを持ったクラスメイトが王達に持て囃されていた。
俺もそうなるのだろうと思いながら水晶に手を置いたのだが———
——————————————————————
・斎川隼人
・《D級》スキル
【身体強化】【感知】
——————————————————————
「———は?」
俺にはチート能力どころか、強いスキルすらなかった。
チート能力が……ない……だと……?
あのクソ女神、嘘ついたな……!
絶対に許さん……!
俺が1人呆然としながら心の中で呪詛を呟いていると、王女が王の元へ行き、何やら話をしているのが耳に入った。
「お、お父様……この方は……」
「…………チッ、全部平凡なD級スキルか……こいつは使えんな。こいつは城から追い出せ。だが絶対殺しはするなよ? これでも勇者なんだからな」
転移の影響か、聴覚が強化されているらしく、何十メートルも離れた小声も聞き取れた。
どうなってんだ……俺の耳……。
俺がその事に驚愕していると、兵士が俺の脇腹を掴んできて、いきなり連行された。
まぁ俺は王の話を聞いていたから特に抵抗はしなかったけど。
こうして俺は何故かチートが貰えず、転移後10分ほどで城を追い出されることになった。
その後は世界最強と名高い冒険者に弟子入りしたり、魔王軍と戦ったりと色々しながら10年が過ぎ、勇者が魔王を倒したらしく、遂にめでたく帰還する運びとなったのだが———
「おかしいだろ……何で俺だけ能力も異世界の記憶もあるんだ……。それに何故かこの世界は異世界並みにファンタジーしてるし……」
俺は現代世界に戻って来てもファンタジーからは抜け出せなかったようだ。
もし異世界にクラス転移をして勇者になれるなら行ってみたいか?
勿論チートは貰えると神様直々にお言葉があるとしてだ。
多分ファンタジー好きなら殆どの人が行ってみたいと思うだろう。
だってチートスキルを貰えるなら余程のことがない限り死ぬ事はないからな。
因みに俺、斎川隼人の答えは簡単。
———異世界転移なんてクソ喰らえだ。
これは実際に異世界転移を体験し、10年の月日を異世界で過ごした俺の率直な意見である。
☆☆☆
高校2年生の夏休み前、俺たちは女神に異世界へと、チートスキルを貰うと言う約束で異世界転移をさせられた。
そして異世界に召喚されると、目の前には如何にも王様っぽい王冠を被った男や煌びやかなドレスを見に纏った王女が1番に目に入る。
その後に護衛の騎士がいて、『ラノベまんまだなぁ』と思ったのを覚えている。
暫くして皆んなが起きると、この世界の現状を知らされた。
どうやらこの世界には魔王がいるらしく、人間種は魔王の軍勢に押されてどんどん生活圏を奪われているらしい。
そこで俺達異世界人が勇者として転移させられる運びになったんだと。
その時の俺は浮かれに浮かれまくっていた。
まぁラノベオタクだった俺からしたら、夢のようなシチュエーションだったからな。
王の話が終わると、王女が水晶みたいな魔道具を取り出して、1人1人スキルを調べ始めた。
始めは俺の親友の天野光輝だ。
こいつはマジで主人公みたいな奴だった。
俺の幼馴染なのだが、イケメンで優しく、文武両道で王子様系イケメンを地で行くような男だ。
俺は勿論男子からの信頼も厚く、女子には勿論モテモテ。
学園一の美少女や美女系生徒会長など、まさにラノベのような属性を持った美少女達から好意を寄せられていた。
まぁ学園一の美少女は2人居るんだけど、その片割れが光輝の幼馴染って訳だ。
もう片方は珍しい事に光輝に惚れていなかった。
まぁそいつは例外としても、そんな主人公のような奴は此処でも主人公らしく———
____________________
・天野光輝
・《EX級》スキル
【覚醒】
・《SSS級》スキル
【勇者】
____________________
めちゃくちゃいいスキルを手に入れていた。
「おお!! 早速素晴らしい! 彼こそがこの世界を救う勇者の中の勇者——英雄だ!」
王様をはじめとした全ての人達が歓喜に声をあげる。
まぁ強いスキルを持っている人がいればそれ程自分達が生き残れる確率が上がるから当たり前なんだろうけど。
因みにその間光輝は、俺に向けて苦笑いをしていただけだったが。
俺? 俺は勿論苦笑いを浮かべ返しただけで何もしてないぞ。
そう言うのは周りにいる美少女達がすればいいのだ。
その後も続々とチートスキルを持ったクラスメイトが王達に持て囃されていた。
俺もそうなるのだろうと思いながら水晶に手を置いたのだが———
——————————————————————
・斎川隼人
・《D級》スキル
【身体強化】【感知】
——————————————————————
「———は?」
俺にはチート能力どころか、強いスキルすらなかった。
チート能力が……ない……だと……?
あのクソ女神、嘘ついたな……!
絶対に許さん……!
俺が1人呆然としながら心の中で呪詛を呟いていると、王女が王の元へ行き、何やら話をしているのが耳に入った。
「お、お父様……この方は……」
「…………チッ、全部平凡なD級スキルか……こいつは使えんな。こいつは城から追い出せ。だが絶対殺しはするなよ? これでも勇者なんだからな」
転移の影響か、聴覚が強化されているらしく、何十メートルも離れた小声も聞き取れた。
どうなってんだ……俺の耳……。
俺がその事に驚愕していると、兵士が俺の脇腹を掴んできて、いきなり連行された。
まぁ俺は王の話を聞いていたから特に抵抗はしなかったけど。
こうして俺は何故かチートが貰えず、転移後10分ほどで城を追い出されることになった。
その後は世界最強と名高い冒険者に弟子入りしたり、魔王軍と戦ったりと色々しながら10年が過ぎ、勇者が魔王を倒したらしく、遂にめでたく帰還する運びとなったのだが———
「おかしいだろ……何で俺だけ能力も異世界の記憶もあるんだ……。それに何故かこの世界は異世界並みにファンタジーしてるし……」
俺は現代世界に戻って来てもファンタジーからは抜け出せなかったようだ。
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