属性魔法が至上の世界に転生したけど不適合者だったので、無属性魔法と魔導銃で異世界を生き抜く

あおぞら

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第1章 転生したら属性至上主義の異世界でした

第3話 魔力を操作してみよう

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 アルトに転生して半年が経ち、生まれた時は全く言葉を話せなかったが、今ではほんの少しだけなら話せるようになっている。
 まぁそうは言っても『パパ』『ママ』くらいのものだが。

 そしてこの世界では、ある程度予測していたことだが、どうやら日本語を使っているわけではなかった。
 だがそれに気付いた瞬間に新たな文字を習得しないといけないことが確定した。

 その時は万年英語学年最下位だった俺は絶望したね。
 だって一回見たこの世界の文字はミミズみたいで全く分からなかったんだもん。
 一体あんなのを書けるように何年かかるのか……。

 だがその代わりに言葉を発するときは何故か日本語を話す要領で話すことが出来たので、喉が発達してくれば話すことは簡単だった。
 俺が話せるようになった時、母さんと父さんに出来るだけ自然に、

「ぱぱ、まま」

 と言ってみたのだが、それすらも衝撃が強かったらしく……2人は急に壊れたロボットみたいな変な動きになり出した。

 あっはっは……ほんとに人間がロボットに見えることがあるんだなぁ。
 なんか見ている側はめっちゃおもしろい。

 しかしそのロボットばりの動きを見せている2人は……

「あ、あ、あ、じ、ジーク……き、聞いた……?」
「な、なんだい。ル、ル、ルナ? き、聞いたって?」

 ……訂正。
 壊れそうなじゃなくて2人は既に壊れていたようだ。
 それが俺のせいなので少し悪かったかなと思うが。

「い、今、私たちのこと……『ぱぱ、まま』っていったわよね?」
「あ、ああ……確かに今、言ったな……」

 2人の顔は驚きから一転、歓喜に変わった。

「きゃぁぁぁぁぁぁ! アルトがしゃべったわぁぁぁぁぁぁ! まだ半年なのにっ。流石アルトね! 天才よっ、きっとこの子はあなたが言ったように天才よ!」
「おう、そうだな!  俺の思った通りだ!凄いなアルト!」

 母さんと父さんは『天才だ、うちの子は天才だ』と喜びながら俺を抱っこし、俺の頭を撫でたり、頬を触ってきた。
 子供だからなのか、恥ずかしいという感情はなく、嬉しさが心から溢れてくる。

 まぁ正直母さんは女神が降臨したんじゃないかな、と思うほど美人だからめちゃくちゃ嬉しい。
 そして意外なことに、嫌っていたはずのイケメンの筆頭である父さんに撫でられても嫌な感情は湧かなかった。
 親だからっていうのもあるのかな?

 閑話休題。

 突然だが……俺はつい最近、念願の快挙を成し遂げた。

 それは、とうとう魔力を自分の体から探し当てることに成功したのだ。
 生まれてから直ぐに探すことを始めたから……丁度半年くらいか。
 長かった……それで俺は思ったんだ。

 数多の転生系の小説で、生まれて直ぐに魔力を見つけて操作する奴らいるけど……あれって絶対にその主人公が天才なだけだよな。
 だって俺毎日ずっと寝てない時間―――3、4時間くらいは探してたもん。
 前世の知識もあるからすぐ行けるかなと思ったけど、やはり知識として持っていてもそれを実行できるかは違うんだなぁと痛感した。

 なぜなら始めは全く分からなかったからだ。
 それも俺に魔力はないんじゃないかって思うほどに。
 だから俺は色々と前世のラノベ知識を総動員して実践した。

 例えば魔力は血液に流れている――とか、魔力器官なるものや魔力回路がある――とかさ。

 しかしそれを想像しようとしたら難しかった。
 だって血液が流れている感じなんて分からないし、体の中に新たな臓物があるなんてそもそも想像できない。

 なので自分の知っている方法を工夫しながら片っ端から試していった。
 少しやり方が違うだけで結果が変わるかもしれないからな。

 そしてつい先日、とうとう自分の体に今まで感じたことのない何か・・があることを発見した。
 それは自身の肺から魔力を取り込んでいでいると仮定し、酸素を運ぶ赤血球の魔力バージョン――魔血球とでも言うことにしよう――に取り込まれた魔力が赤血球とは違って心臓に溜まると考えていたときだった。

 俺が全神経を呼吸に集中させていると……温かい何か・・が肺を満たしたのを感じたのだ。
 それは今まで感じたことのない感じで、魔力だと思った。
 後は先程述べた事を頭で繰り返し考えていると……ほんの少しずつだが、確実に心臓に溜まっていると感じることが出来たんだ。

 ――と始めは思っていたのだが、実際は心臓に溜まっていたのではなかった。

 心臓の裏側にある……よく分からない所に魔力が溜まっていくのだ。
 それから考えると、魔血球は血管を通っていないのだろうか?
 多分通っていないのだろう。
 必死に頭の中で理科の授業の教科書に書いてあった人体の絵を思い出していたが、心臓の裏側に臓器なんてなかった気がする。

 なので俺はここを分かりやすく『魔力溜まり』と呼ぶことにした。
 まぁ魔力が溜まるからというだけなのだが。
 そしてその魔力溜まりに繋がっている魔力の通り道は、ラノベに出てくる『魔力回路』と呼ぶことにする。
 
 まぁ取り敢えず魔力は感じることは出来たのだが、物凄く集中しないといけないため、連続で感じれることなどほぼ皆無だった。
 しかし1度成功したら、後は時間をかければ何とかなった。
  まぁ成功したのがほんの2週間前くらいなのでまだまだ完璧ではないのだが……ある程度は感じれるようになっている。

 なのでこれから魔力運用計画第2段階に移りたいと思う。
 魔力はある程度感じれたので、次は魔力を自由自在に動かすことが目標だ。

 期限は……2年位か?
 それまでに全身に魔力を流せるようになりたい。
 早いうちから魔力を流せれば、体をより魔力に適応した体に成長させることができるらしく……夜な夜な俺のベットの近くで母さんと父さんが、『早めに魔力について教えよう』と話し合っていた。
 それが俺が3歳くらいの頃に決まったので、このような期限を設けたというわけだ。

 よしそれじゃあ――早速やっていくとしますか。

 俺はまだ体の中にある魔力は感知できないので、深呼吸をして魔力を取り込んでいく。
 そしてその魔力が心臓に届いたのを感じたら……そのまま溜めるんじゃなくて流す――!
 俺はそう考えながら頑張って心臓に意識を集中させる。

「―――……っっ!! ―――はぁはぁ……ばぶあやっぱり駄目か……」

 俺は無意識に体の力が入っていた体の力を抜く。
 やはり最初ということもあり、体が力むだけで動かすことは出来なかった。

 ああ……俺が天才だったらなぁ……これくらい簡単にできたかもしれないのになぁ……。
 
 俺は自分の才能の無さに少し落ち込むが、まだ時間はたっぷりあるので焦る必要はない、と心に暗示をかけてネガティブな思考を封印する。
 焦った所でもっと出来なくなるだけなので、こういう時は暗示を掛けるのが1番なのだ。 
 まぁ多分俺限定だとは思うが。

ばぶよしあうあうあもう1回やるか!」

 俺はこちらも最近できるようになった体を起こすという事をして再び大きく息を吸い込んだ。

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