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プロローグ そうだ、養ってくれる人の婿になろう
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とある貴族の屋敷の執務室。
そこで青年とその父親であろう者が言い合いをしていた。
「嫌だ! 俺は絶対に当主になんかならないぞ!」
「何を言っておるのだ馬鹿息子が! お前は長男なんだから当主になるのは当たり前だろうが!」
「その考えは古臭いんだよ! 当主なんてローにやらせればいいじゃんか!」
「何処に長男であるお前を置いて次男であるローレンスを指名する貴族がおるんだ!」
「此処に居るんだよ、この俺が! 兎に角俺は絶対に当主にならないからな!」
何故こんな言い合いになっているかと言うと、それは約30分前に遡る。
~~~
どうも初めまして。
俺はレオンハルト・ドラゴンロードと言う何処にでもいる18歳男子だ。
身長178cmで母親譲りの綺麗な金髪に、これまた母親譲りの爽やかなイケメンだと自負している。
俺はドラゴンロード公爵家の長男として生まれ、両親に愛され可愛い弟と妹に囲まれて楽しく過ごしていた。
まぁ何年かは国の魔法学園に通っていたが、そこでは大切な友達が何人も出来た。
その間はとても楽しかったよ。一生このまま過ごしたいと思ったね。
だが残念なことに、非常に残念なことにそうはいかなかった。重要だから2回言った。
でもまぁそりゃそうだわな。
誰しも大人になったら働かないといけない。
それは平民でも貴族でも王族でも変わらないのだ。
だがしかぁぁし!!
俺ははっきり言って働きたくないのだ。
そんな俺に当主なんてものは邪魔なものでしかない。
だって当主なんかになったら面倒な領地経営に望まない結婚は当たり前。
面白くもない社交界にも行かないといけないし、その時は窮屈で無駄にキラキラしている服も着ないといけない。
もう俺にとっては地獄以外の何者でも無い。
そんな風に思っている俺は今日、父親であるバージル・フォン・ドラゴンロードに執務室に来いと言われ、こうして来たわけだが……
コンコンコンコン
「誰だ?」
「レオンハルトです」
「ああ、入っていいぞ」
俺は父親の許可が出たので扉を開けて執務室の中に入る。
そして部屋にある椅子に座る。
「それで親父、どうして俺を呼んだんだ?」
「相変わらず態度が変わるのが早いな……」
「だってここには俺と親父しかいないんだしいいじゃ無いか」
顔に手を当ててため息を吐く親父に俺は肩をすくめて言う。
まぁ実際にはこの部屋にも何人か諜報員が居るんだけどな。
あ、ちゃんと我が家のだからな。
政敵の諜報員だったらとっくの昔に親父に殺されてるよ。
この人めちゃくちゃ強いからな。
「はぁ……まぁお前は外面だけはいいから、これに関してはもう何も言うまい」
「それはありがたいね。……それで用件とは?」
俺は中々用件に入らない親父に少しムッとしながら言う。
するとイライラしている俺を小馬鹿にしたように親父はため息をつきながら首を横に振りやがった。
なんかイラッと来るなその仕草。
思わず殴りそうになったぜ。まぁ絶対殴らないけど。
だって親父と殴り合いしたらめちゃくちゃ疲れるんだもん。
すると満足したのか突然真顔になった親父がとうとう口を開いた。
その瞬間に俺は1つ思ってしまった。
あー、物凄く嫌な予感がするぜ。今すぐ逃げてぇな☆
「……お前にはこの家を継いでもらう」
「―――……えっ、は? あ、ああ! 親父は寝ぼけているんだな? そうだよな? そうだと言ってくれよぉぉぉぉぉ!!」
俺は親父の首元の襟を掴んで前後に思いっ切り揺らす。
嫌だ嫌だ嫌だ、信じたくない!
俺が当主なんて絶対に信じたくねぇよ!
だって、自分で言うのも何だけど、俺はいつも適当なことしかやってなかったし!
そんな俺が当主なんて無理に決まっているだろうがボンクラ親父が!
「やめんか馬鹿息子が!! そしてそんな馬鹿息子に優しい親父がもう一度言ってやる!! お前にはこの家を継いでもらう!!」
俺は現実と言うハンマーに殴られて一瞬停止してしまうが、直ぐに蘇り親父に聞く。
「ど、どどどどうして俺なんだよ親父!?」
「何をそんなに焦っているのか知らんが、お前は長男だろう!? なら継いで当たり前だと思うのだがな」
「い、嫌だ! 俺は絶対当主なんかにならないぞ!」
ここで冒頭に戻る。
~~~
「あんまり屁理屈を言っているとローの専属秘書にするぞ! 秘書は当主よりも大変だからな」
「なっ!? 鬼か親父は! そんなことをして俺が一体何日持つと思っているんだ!」
「そんなものは知らん」
俺は手をパーにして冷たくあしらってくる親父の眼前に突き付ける。
「5時間だ! 俺にはあんな仕事量だと5時間しかもたない!」
俺は長男として何回か親父の秘書であるセドリックの仕事の様子を見ていたが、目が回るほど忙しそうだった。
そんなことを俺にしろと言いたいのですか父上よ。
「お願いだ親父! どうか俺に自宅警護という職業をやらしてくれ!」
「ダメに決まっておるだろうがバカ息子が! お前はそんなこと言って優秀なんだから当主くらいやれ!」
くそッ! 中々引いてくれないな親父め……。
しかし親父の言っていることが貴族にとっては常識なのが厄介なんだよなぁ……。
「さぁどうする!? 大人しく当主をやるか、それよりも辛い秘書をやるか。どちらかに決めろ!」
くっ、どうすれば良いんだ……!
このままでは当主を選ばざるを得なくなってしまう……!
俺は働きたく無いんだ! なんなら冒険者とかをやっていた方がマシだ。
俺は足りない頭で必死に考える。
すると1つの名案が浮かんだ。
我ながら素晴らしい考えだと思う。
「そうだ、養ってくれる人の婿になろう!!」
「………………は?」
親父がなんか放心しているがそんなことは関係ない。
俺は自分の頭の良さに心震えていた。
そうだよ、わざわざこの家に拘らないで良いんだよ……!
よし、そうと決まれば婿にしてくれる人のところに行こう!
「親父、失礼しました! また戻ってきます! 可愛い嫁さんと一緒に!」
俺は音を立てないように扉を閉め、自分の部屋に急いで向かう。
そして学園に通っている間の魔獣討伐で稼いだお金と、平民と同じ様な動きやすい服、そして何日分かの食料をベッドの上に並べる。
「よし、これくらいで良いかな。【アイテムボックス】」
それら全てを空間魔法の【アイテムボックス】と言う異空間に入れる。
この魔法は学園時代に覚えた魔法だ。
内容量は魔力量に依存し、おまけに時間停止機能まで付いている。
俺は全て収納し終えると、家を出る。
妹と弟は今は学園に入っているので、挨拶ができないのは少し悲しいがしょうがない。
俺は頬をパチンっと叩いて気合を入れ、声高らかに言い放つ。
「それじゃあ嫁探しと行こう!」
俺の人生を左右する嫁探しが始まった。
---------------------------
どうもあおぞらです。
今回は追放されるのではなく、自分から家を出ていくと言う主人公です。
うん、破天荒な奴ですね。
そしてとんでもない親不孝な奴ですよ。
そんな主人公ですが、まぁかっこいいところもあるので、長い目で見守ってくださるとありがたいです!
それではまた次話で会いましょう!
そこで青年とその父親であろう者が言い合いをしていた。
「嫌だ! 俺は絶対に当主になんかならないぞ!」
「何を言っておるのだ馬鹿息子が! お前は長男なんだから当主になるのは当たり前だろうが!」
「その考えは古臭いんだよ! 当主なんてローにやらせればいいじゃんか!」
「何処に長男であるお前を置いて次男であるローレンスを指名する貴族がおるんだ!」
「此処に居るんだよ、この俺が! 兎に角俺は絶対に当主にならないからな!」
何故こんな言い合いになっているかと言うと、それは約30分前に遡る。
~~~
どうも初めまして。
俺はレオンハルト・ドラゴンロードと言う何処にでもいる18歳男子だ。
身長178cmで母親譲りの綺麗な金髪に、これまた母親譲りの爽やかなイケメンだと自負している。
俺はドラゴンロード公爵家の長男として生まれ、両親に愛され可愛い弟と妹に囲まれて楽しく過ごしていた。
まぁ何年かは国の魔法学園に通っていたが、そこでは大切な友達が何人も出来た。
その間はとても楽しかったよ。一生このまま過ごしたいと思ったね。
だが残念なことに、非常に残念なことにそうはいかなかった。重要だから2回言った。
でもまぁそりゃそうだわな。
誰しも大人になったら働かないといけない。
それは平民でも貴族でも王族でも変わらないのだ。
だがしかぁぁし!!
俺ははっきり言って働きたくないのだ。
そんな俺に当主なんてものは邪魔なものでしかない。
だって当主なんかになったら面倒な領地経営に望まない結婚は当たり前。
面白くもない社交界にも行かないといけないし、その時は窮屈で無駄にキラキラしている服も着ないといけない。
もう俺にとっては地獄以外の何者でも無い。
そんな風に思っている俺は今日、父親であるバージル・フォン・ドラゴンロードに執務室に来いと言われ、こうして来たわけだが……
コンコンコンコン
「誰だ?」
「レオンハルトです」
「ああ、入っていいぞ」
俺は父親の許可が出たので扉を開けて執務室の中に入る。
そして部屋にある椅子に座る。
「それで親父、どうして俺を呼んだんだ?」
「相変わらず態度が変わるのが早いな……」
「だってここには俺と親父しかいないんだしいいじゃ無いか」
顔に手を当ててため息を吐く親父に俺は肩をすくめて言う。
まぁ実際にはこの部屋にも何人か諜報員が居るんだけどな。
あ、ちゃんと我が家のだからな。
政敵の諜報員だったらとっくの昔に親父に殺されてるよ。
この人めちゃくちゃ強いからな。
「はぁ……まぁお前は外面だけはいいから、これに関してはもう何も言うまい」
「それはありがたいね。……それで用件とは?」
俺は中々用件に入らない親父に少しムッとしながら言う。
するとイライラしている俺を小馬鹿にしたように親父はため息をつきながら首を横に振りやがった。
なんかイラッと来るなその仕草。
思わず殴りそうになったぜ。まぁ絶対殴らないけど。
だって親父と殴り合いしたらめちゃくちゃ疲れるんだもん。
すると満足したのか突然真顔になった親父がとうとう口を開いた。
その瞬間に俺は1つ思ってしまった。
あー、物凄く嫌な予感がするぜ。今すぐ逃げてぇな☆
「……お前にはこの家を継いでもらう」
「―――……えっ、は? あ、ああ! 親父は寝ぼけているんだな? そうだよな? そうだと言ってくれよぉぉぉぉぉ!!」
俺は親父の首元の襟を掴んで前後に思いっ切り揺らす。
嫌だ嫌だ嫌だ、信じたくない!
俺が当主なんて絶対に信じたくねぇよ!
だって、自分で言うのも何だけど、俺はいつも適当なことしかやってなかったし!
そんな俺が当主なんて無理に決まっているだろうがボンクラ親父が!
「やめんか馬鹿息子が!! そしてそんな馬鹿息子に優しい親父がもう一度言ってやる!! お前にはこの家を継いでもらう!!」
俺は現実と言うハンマーに殴られて一瞬停止してしまうが、直ぐに蘇り親父に聞く。
「ど、どどどどうして俺なんだよ親父!?」
「何をそんなに焦っているのか知らんが、お前は長男だろう!? なら継いで当たり前だと思うのだがな」
「い、嫌だ! 俺は絶対当主なんかにならないぞ!」
ここで冒頭に戻る。
~~~
「あんまり屁理屈を言っているとローの専属秘書にするぞ! 秘書は当主よりも大変だからな」
「なっ!? 鬼か親父は! そんなことをして俺が一体何日持つと思っているんだ!」
「そんなものは知らん」
俺は手をパーにして冷たくあしらってくる親父の眼前に突き付ける。
「5時間だ! 俺にはあんな仕事量だと5時間しかもたない!」
俺は長男として何回か親父の秘書であるセドリックの仕事の様子を見ていたが、目が回るほど忙しそうだった。
そんなことを俺にしろと言いたいのですか父上よ。
「お願いだ親父! どうか俺に自宅警護という職業をやらしてくれ!」
「ダメに決まっておるだろうがバカ息子が! お前はそんなこと言って優秀なんだから当主くらいやれ!」
くそッ! 中々引いてくれないな親父め……。
しかし親父の言っていることが貴族にとっては常識なのが厄介なんだよなぁ……。
「さぁどうする!? 大人しく当主をやるか、それよりも辛い秘書をやるか。どちらかに決めろ!」
くっ、どうすれば良いんだ……!
このままでは当主を選ばざるを得なくなってしまう……!
俺は働きたく無いんだ! なんなら冒険者とかをやっていた方がマシだ。
俺は足りない頭で必死に考える。
すると1つの名案が浮かんだ。
我ながら素晴らしい考えだと思う。
「そうだ、養ってくれる人の婿になろう!!」
「………………は?」
親父がなんか放心しているがそんなことは関係ない。
俺は自分の頭の良さに心震えていた。
そうだよ、わざわざこの家に拘らないで良いんだよ……!
よし、そうと決まれば婿にしてくれる人のところに行こう!
「親父、失礼しました! また戻ってきます! 可愛い嫁さんと一緒に!」
俺は音を立てないように扉を閉め、自分の部屋に急いで向かう。
そして学園に通っている間の魔獣討伐で稼いだお金と、平民と同じ様な動きやすい服、そして何日分かの食料をベッドの上に並べる。
「よし、これくらいで良いかな。【アイテムボックス】」
それら全てを空間魔法の【アイテムボックス】と言う異空間に入れる。
この魔法は学園時代に覚えた魔法だ。
内容量は魔力量に依存し、おまけに時間停止機能まで付いている。
俺は全て収納し終えると、家を出る。
妹と弟は今は学園に入っているので、挨拶ができないのは少し悲しいがしょうがない。
俺は頬をパチンっと叩いて気合を入れ、声高らかに言い放つ。
「それじゃあ嫁探しと行こう!」
俺の人生を左右する嫁探しが始まった。
---------------------------
どうもあおぞらです。
今回は追放されるのではなく、自分から家を出ていくと言う主人公です。
うん、破天荒な奴ですね。
そしてとんでもない親不孝な奴ですよ。
そんな主人公ですが、まぁかっこいいところもあるので、長い目で見守ってくださるとありがたいです!
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