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その1。「死にたくなければ体を鍛えろ」
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「―――貴方は死にました。よって乙女ゲーム世界の悪役令嬢の幼馴染の執事に転生させます」
そう言って目の前にいる人間離れした美しさの女性―――恐らく女神―――が俺の意見など無視して転生の準備を始める。
「―――ちょちょちょい待ち!」
「……何ですか?」
「いや、余りにも説明不足では!? 俺は乙女ゲーなんてやった事ありませんよ!?」
ギャルゲーはやった事あっても、流石に乙女ゲーはやった事ない。
と言うかやろうと思ったことすらない。
何が悲しくて男の俺が男を攻略しなけりゃいけないんだよ。
いや、少女漫画とかは好きだったけどさ、それとは結構別じゃん?
少女漫画はキュンキュンするけど乙女ゲーは、男を攻略するだけだから全然楽しくないじゃん。
「はぁ……なら予めストーリーを教えてあげます」
そう言って女神は面倒くさそうにしながらも、これから転生する乙女ゲーのストーリーを語り出した。
「―――と言った感じです。これで分かりましたか?」
「……教えてくださりありがとうございます。それとメモ帳も」
その乙女ゲー世界のストーリーは大体こんな感じだ。
ゲーム主人公(この世界ではアリアらしい)が学園に入学して、様々な攻略キャラとイチャイチャしながら、聖女に覚醒して魔族から世界を守る―――とか言うストーリーだった。
正直結構ありがちだなと思った。
そして今回俺は、攻略キャラの1人でもある王太子の婚約者で、主人公に様々な嫌がらせをする悪役令嬢―――シンシア・フォン・シルフレアの執事になるらしい。
まぁ結局シンシアは王太子から婚約破棄を言い渡されて処刑される運命らしいが。
…………。
「……え、普通に転生したくないんですが?」
「それでは転生させます」
「ちょちょちょい待ち! ちょっとタンマ! タイムタイム! 少し考えさせて!」
いや、いくら何でもそんなお先真っ暗な所に転生なんてしたくないよ?
せめてチートとか要らないから普通に人生を謳歌させてくれ。
「いえ、これは決定事項なので変えることは出来ません」
「な、なんて慈悲のない神だ……!? もう今度から悪魔って呼ぶぞ」
「次そんな口を訊いたら天罰食らわせます」
「―――ごめんなさい。……せめて何かアドバイスは……」
俺が低姿勢でそう言うと、女神は深々と大きなため息を吐きながら面倒くさそうに言った。
「―――死にたくなければ体を鍛えてください。スキルは《死に戻り》と言うモノです。それでは良い人生を」
「少しくらい待てよクソ女神いいいいいいいいいいい!!」
情緒不安定にそう叫ぶも、時すでに遅し。
俺の足元に現れた陣が物凄く光り輝き、俺の意識ごと飲み込んだ。
そんなこんなで俺は異世界―――それも一度もやって事のない乙女ゲームの世界の悪役令嬢の幼馴染執事として転生することになったのだった。
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お気に入り登録よろしくお願いします。
そう言って目の前にいる人間離れした美しさの女性―――恐らく女神―――が俺の意見など無視して転生の準備を始める。
「―――ちょちょちょい待ち!」
「……何ですか?」
「いや、余りにも説明不足では!? 俺は乙女ゲーなんてやった事ありませんよ!?」
ギャルゲーはやった事あっても、流石に乙女ゲーはやった事ない。
と言うかやろうと思ったことすらない。
何が悲しくて男の俺が男を攻略しなけりゃいけないんだよ。
いや、少女漫画とかは好きだったけどさ、それとは結構別じゃん?
少女漫画はキュンキュンするけど乙女ゲーは、男を攻略するだけだから全然楽しくないじゃん。
「はぁ……なら予めストーリーを教えてあげます」
そう言って女神は面倒くさそうにしながらも、これから転生する乙女ゲーのストーリーを語り出した。
「―――と言った感じです。これで分かりましたか?」
「……教えてくださりありがとうございます。それとメモ帳も」
その乙女ゲー世界のストーリーは大体こんな感じだ。
ゲーム主人公(この世界ではアリアらしい)が学園に入学して、様々な攻略キャラとイチャイチャしながら、聖女に覚醒して魔族から世界を守る―――とか言うストーリーだった。
正直結構ありがちだなと思った。
そして今回俺は、攻略キャラの1人でもある王太子の婚約者で、主人公に様々な嫌がらせをする悪役令嬢―――シンシア・フォン・シルフレアの執事になるらしい。
まぁ結局シンシアは王太子から婚約破棄を言い渡されて処刑される運命らしいが。
…………。
「……え、普通に転生したくないんですが?」
「それでは転生させます」
「ちょちょちょい待ち! ちょっとタンマ! タイムタイム! 少し考えさせて!」
いや、いくら何でもそんなお先真っ暗な所に転生なんてしたくないよ?
せめてチートとか要らないから普通に人生を謳歌させてくれ。
「いえ、これは決定事項なので変えることは出来ません」
「な、なんて慈悲のない神だ……!? もう今度から悪魔って呼ぶぞ」
「次そんな口を訊いたら天罰食らわせます」
「―――ごめんなさい。……せめて何かアドバイスは……」
俺が低姿勢でそう言うと、女神は深々と大きなため息を吐きながら面倒くさそうに言った。
「―――死にたくなければ体を鍛えてください。スキルは《死に戻り》と言うモノです。それでは良い人生を」
「少しくらい待てよクソ女神いいいいいいいいいいい!!」
情緒不安定にそう叫ぶも、時すでに遅し。
俺の足元に現れた陣が物凄く光り輝き、俺の意識ごと飲み込んだ。
そんなこんなで俺は異世界―――それも一度もやって事のない乙女ゲームの世界の悪役令嬢の幼馴染執事として転生することになったのだった。
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