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謁見予定
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第一王女フレイラはいつものように朝の政務に励んでいた。
朝の政務は主に重臣との会議、そして各国からの賓客との謁見や時には会食もともにする。そして昼の休憩を挟んで午後からは、執務室で老宰相とたまっている執務にとりかかるのだ。
そしてそれが終えると、勉強や読書など私的な時間となり、夕餉、入浴、就寝となるのだ。
「王女様、こちらが本日の謁見予定です」
側仕えの侍従が、小さく折りたたまれた紙片をフレイラに渡した。
そのまま謁見の間へ歩きながら紙片を受け取って、今日の予定者一覧に目を通す。
ふと、フレイラの足と目が同時に止まった。
「王女様?」
後ろからつき従っていた侍従がぶつかりそうになり、慌てて足を止めた。
「どうかなさいましたか?」
「あ、いえ。別に……」
再び歩みを進めようとしたとき、斜め後ろから畏まってつき従っている侍従を軽く手招きした。
侍従は黙ってフレイラの足元にかしずいた。
「先に行ってこの謁見の順番を入れ替えてくれる?」
「順番でございますか?」
「ええそう。この二人を最後にしてちょうだい」
「……わかりました」
首を傾げながらも、滅多に変更など申し出ない第一王女のたっての願いに侍従は大人しく従った。
小走りで先を走って行く侍従の後姿に、フレイラは柔らかく微笑んだ。
朝の政務は主に重臣との会議、そして各国からの賓客との謁見や時には会食もともにする。そして昼の休憩を挟んで午後からは、執務室で老宰相とたまっている執務にとりかかるのだ。
そしてそれが終えると、勉強や読書など私的な時間となり、夕餉、入浴、就寝となるのだ。
「王女様、こちらが本日の謁見予定です」
側仕えの侍従が、小さく折りたたまれた紙片をフレイラに渡した。
そのまま謁見の間へ歩きながら紙片を受け取って、今日の予定者一覧に目を通す。
ふと、フレイラの足と目が同時に止まった。
「王女様?」
後ろからつき従っていた侍従がぶつかりそうになり、慌てて足を止めた。
「どうかなさいましたか?」
「あ、いえ。別に……」
再び歩みを進めようとしたとき、斜め後ろから畏まってつき従っている侍従を軽く手招きした。
侍従は黙ってフレイラの足元にかしずいた。
「先に行ってこの謁見の順番を入れ替えてくれる?」
「順番でございますか?」
「ええそう。この二人を最後にしてちょうだい」
「……わかりました」
首を傾げながらも、滅多に変更など申し出ない第一王女のたっての願いに侍従は大人しく従った。
小走りで先を走って行く侍従の後姿に、フレイラは柔らかく微笑んだ。
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