17 / 27
バーティル
しおりを挟む
夜になってもバーティルは、私室で書き物をしていた。
背後の扉近くには従者が一人控えていた。
その従者からの報告を聞いたバーティルは、書き物をしていた手を止めた。
「何? 消えただと?」
「申し訳ありません。ジュフードの隊商に合流したようなので、追いかけたのですが途中で見失ったようです」
「おそらく砦に入ったのだろう。それで出てくるところは見たのか?」
「いえ。元の住処と見失ったあたりとで、見張らせていますが出てきた形跡はありません。ですが……」
従者は一瞬、言いよどむ。
「何だ?」
「はい。出てくるところはわからなかったのですが。実は、未確認ではございますが、どうやらこちらに向かっているのではないか、との情報が入りましてございます」
「それを早く言え!」
「申し訳ございません」
「それで、いつ頃こちらに来るのだ?」
「はい。もう間もなくかと」
「大至急確認の上、報告せよ」
「わかりました」
そう言うと従者は静かに下がっていった。
「やっと手にすることができる。かの砦も一族の力も全て我が手に」
ぐっとバーティルは己の拳を握りしめた。
背後の扉近くには従者が一人控えていた。
その従者からの報告を聞いたバーティルは、書き物をしていた手を止めた。
「何? 消えただと?」
「申し訳ありません。ジュフードの隊商に合流したようなので、追いかけたのですが途中で見失ったようです」
「おそらく砦に入ったのだろう。それで出てくるところは見たのか?」
「いえ。元の住処と見失ったあたりとで、見張らせていますが出てきた形跡はありません。ですが……」
従者は一瞬、言いよどむ。
「何だ?」
「はい。出てくるところはわからなかったのですが。実は、未確認ではございますが、どうやらこちらに向かっているのではないか、との情報が入りましてございます」
「それを早く言え!」
「申し訳ございません」
「それで、いつ頃こちらに来るのだ?」
「はい。もう間もなくかと」
「大至急確認の上、報告せよ」
「わかりました」
そう言うと従者は静かに下がっていった。
「やっと手にすることができる。かの砦も一族の力も全て我が手に」
ぐっとバーティルは己の拳を握りしめた。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
【完結】炎風、銀箭に変ず
黄永るり
ファンタジー
砂漠を行き交う商人の娘・シャアラの幼い弟が、ある日、愚かな王の命令で『代理王』という厄災落としの生贄に選ばれてしまう。弟を救うために一族の源流でもある神殿に上がるためにシャアラは旅に出る。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる