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王との約束
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王太女シャリーファの要請なら、と快く王の侍従が通してくれた。
私室の薔薇園の四阿に、ジャミールはサマラが薔薇水を献上した時のまま、相変わらず優雅に腰かけながら薔薇茶を飲んでいた。卓上には薔薇の花びらを入れた焼菓子が置いてある。
「シャリーファか? 何の用だ?」
シャリーファの姿に物憂げな視線を送る。
「私ではございません。陛下に用があるのはフィラーサにございます」
「フィラーサ? ああサマラのことか。で、お前が私に何の用だ?」
ジャミールはシャリーファの斜め後ろに畏まっていたサマラに目をやった。
「お前、そろそろ私の湯浴みの準備をしに行かねばならないのではないか? 遅れることなど絶対に許さんぞ」
その青闇色の瞳が漆黒の度合いを濃くする。
とてもではないが、実の娘に対する父親の言葉ではない。完全に主と下僕である。
「だ、大丈夫です。絶対に間に合わせます」
一瞬、ジャミールの気配に圧されながらも、辛うじて王直属の職人の矜持としてサマラは答えた。
「そうか。ならいい。で、何の用だ?」
「あ、あの、私の縁談のお話が出たと伺いまして……」
「誰に聞いた?」
ジャミールの周囲に先ほどよりも剣呑な雰囲気が立ち込めてきた。
「私にございます」
サマラを庇うようにシャリーファはジャミールに膝をついた。
「私が先日の朝議に出た話をいたしました」
「なぜ?」
「本人が事の次第を知らないのもどうかと思いまして」
「出過ぎたことを……」
「お怒りになりますか? 陛下もたいそう容赦ないことを実の娘になさっておいでですのに」
サマラに対する優しさに満ちたシャリーファの微笑みとは違い、このジャミールに対する微笑みは何かが違った。
こんな異母姉の微笑みは今まで見たことがなかった。真横にいるサマラでもぞっとする。これがシャリーファの侍女たちが話していた『表の微笑み』なのだろう。
政務をするときにしか見せない微笑。
「まあ、いい」
ジャミールはシャリーファの微笑みを視線を逸らすことであっさり避けた。どうやら、ジャミールも苦手としている微笑みのようだ。
「陛下が詳しくお話される前に、遅かれ早かれフィラーサの耳には何かしらの情報が耳に入ったはずです。私は、その際に不正確な情報を聞いてしまうよりは、正しい情報を伝えたほうが良いだろうと思ったまでです」
「それで? サマラ、結婚は嫌だとかそういう話か? それとも好きな相手がいてその男と結婚させろとか申すつもりか?」
「いえ、そういうわけではありませんが」
「では何だ?」
「カーズィバ殿のご子息とどうしても結婚しなければならないのでしょうか?」
父親に結婚を決められてしまうのが嫌だというよりは、あのカーズィバという男が嫌いなのだ。その息子にしても王都の市場でろくな噂しか聞かない。
「それが私のため、ひいては国のためだ。父や国のためになる結婚は嫌か?」
「そうではありません」
サマラは脳裏に浮かんだことを言おうか言うまいか逡巡する。
「フィラーサ、言いたいことがあるなら思い切って申し上げなさい。私に免じて陛下から怒られないようにしてさしあげますから」
そっとサマラの肩を押してくれる。
その異母姉の温かい手に勇気づけられるようにサマラは意を決して顔を上げた。
「別に商人の妻となるなら、カーズィバ殿のご子息でなくても良いのではないかと思いまして……」
「何だ? 結局は想う相手と結婚したいということか?」
「そのような方はまだおりません」
「ではカーズィバの息子で良いではないか? この話はここまでだ。私の湯浴みの準備をしに行くがいい」
そう言うとジャミールはサマラに向かってあっちに行けと手を振った。
サマラはぐっと拳を握った。
「おそれながら陛下、私は自分の結婚相手は自分で決めたく存じます。ですから」
「だから?」
「私にも『ティジャーラの宝』を探しに行かせて下さい! お願いいたします!」
ジャミールはおよそ王には不似合いなぽかんとした顔をした。
よほどサマラの申し出が意表をついていたらしい。
「は? お前が探しに行ってどうするのだ?」
「もし、私がカーズィバ殿よりも先に見つけることができましたら、私の望む相手と結婚させて下さい!」
がばっと勢いよく床に頭を打ち付けた。
「望む相手といっても、そもそも私はお前を国外どころかこの王都からも出すつもりはないぞ」
「それは心得ております」
茶杯に口をつけながらジャミールはどうしたものか、と考え込んだ。
王の命令は軽々しく取り下げられない。
それにサマラがいない間の香料品作りもある。
「探しに行くといっても、さしあたってどうするのだ? 何かお前にあてはあるのか? まさか一人で行くのではなかろうな?」
「それは……」
「一人で行くというのなら絶対に王宮から出さんぞ。何のためにお前を作ったと思っているのだ?」
うっかりジャミールも自分の父親だという自覚があったのだ、と一瞬思ってしまったサマラは後悔した。
最終的には実の娘に対するような発言ではないが、それでも今のサマラはそんなことに怯んではいられない。
深呼吸を一つ、する。
「わ、私も、宮廷工房の職人の端くれです。顔なじみの商人もおります。その者たちの中から頼んでみるつもりです」
「お前を援助するための金は出さんぞ」
これまた優しさのかけらもない言葉だ。
「わかっております。何とか致します」
「ほう。己を餌にする覚悟でもあるのか? それとも乳香や没薬の独占販売権の方をちらつかせるつもりか?」
どう考えても子に対する親の言葉ではない。
空気がぴんと張り詰めてくる。
緊迫してきた父王と異母妹の雰囲気に、おっとりとした異母姉の声が割って入ってきた。
「陛下、ご心配には及びませんわ。陛下がカーズィバの援助をなさるのなら、私がフィラーサの援助を致します。そうしないと不公平ではありませんか? フィラーサには私が便宜を図ります。陛下の薔薇水や薔薇園のことは、アッタールと彼を補佐する者を私がつけます。陛下の日常生活に何ら支障をきたさないようにすることをお約束いたしましょう」
「王太女様、よろしいのですか?」
「たった二人きりの姉妹よ。何か一つぐらい異母妹のためにしてあげたいの」
これで王の命令をどうするのか? という問題だけになった。
いつの間にか王は茶杯から立ち上がる薔薇の香気を楽しんでいるようだ。
「陛下、こういうのはいかがでございましょうか?」
「何だ?」
「国内の成人男子限定で、希望者に乳香と没薬を探させるというのはいかがでしょうか? そして一番に見つけて苗木を持ち帰った者に、それらの独占販売権とフィラーサを降嫁させる。ただし、栽培管理権は国が持つ。そういうことに王命を変更すればいかがでしょうか?」
「ううん。しかし、カーズィバには約束してしまったしな」
馥郁とした香りを楽しみながらも、ジャミールの眉間に皺が寄る。
「ええ。ですから陛下はそのままカーズィバを支援なさればよろしいでしょう? さすれば、多少王命が変わったからといって文句は申しますまい。そもそも王命に文句をつけられるような立場の者でもないとは思いますが」
ちくりと父王をさしてくる。
「王命の変更は後の朝議で家臣たちから連名で嘆願書が出たためとでも何とでも言えますでしょう。家臣たちの意見は私がまとめます。誰一人文句も諫言も出ないように致しましょう」
「家臣どもの意見をまとめるだと? シャリーファ、まるでもうそなたが王のようだな。何なら年末の婚礼の後、来年早々にこの座をそなたに明け渡そうか?」
「滅相もございません。私にはまだその座は早うございます。私はいつも陛下にこき使われている可哀そうな異母妹のただ一つの願いのために、微力ながら手を貸すだけでございます。他意はございません」
うららかな午後の陽がシャリーファの微笑みを氷の微笑に昇華させる。
「わかった。そのようにしよう」
そのシャリーファの顔にジャミールは完全に折れた。
「ありがとうございます! 陛下、王太女様!」
サマラは二人に対して深々と頭を下げた。
こうしてサマラの旅立ちが急遽決まった。
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「フィラーサ? ああサマラのことか。で、お前が私に何の用だ?」
ジャミールはシャリーファの斜め後ろに畏まっていたサマラに目をやった。
「お前、そろそろ私の湯浴みの準備をしに行かねばならないのではないか? 遅れることなど絶対に許さんぞ」
その青闇色の瞳が漆黒の度合いを濃くする。
とてもではないが、実の娘に対する父親の言葉ではない。完全に主と下僕である。
「だ、大丈夫です。絶対に間に合わせます」
一瞬、ジャミールの気配に圧されながらも、辛うじて王直属の職人の矜持としてサマラは答えた。
「そうか。ならいい。で、何の用だ?」
「あ、あの、私の縁談のお話が出たと伺いまして……」
「誰に聞いた?」
ジャミールの周囲に先ほどよりも剣呑な雰囲気が立ち込めてきた。
「私にございます」
サマラを庇うようにシャリーファはジャミールに膝をついた。
「私が先日の朝議に出た話をいたしました」
「なぜ?」
「本人が事の次第を知らないのもどうかと思いまして」
「出過ぎたことを……」
「お怒りになりますか? 陛下もたいそう容赦ないことを実の娘になさっておいでですのに」
サマラに対する優しさに満ちたシャリーファの微笑みとは違い、このジャミールに対する微笑みは何かが違った。
こんな異母姉の微笑みは今まで見たことがなかった。真横にいるサマラでもぞっとする。これがシャリーファの侍女たちが話していた『表の微笑み』なのだろう。
政務をするときにしか見せない微笑。
「まあ、いい」
ジャミールはシャリーファの微笑みを視線を逸らすことであっさり避けた。どうやら、ジャミールも苦手としている微笑みのようだ。
「陛下が詳しくお話される前に、遅かれ早かれフィラーサの耳には何かしらの情報が耳に入ったはずです。私は、その際に不正確な情報を聞いてしまうよりは、正しい情報を伝えたほうが良いだろうと思ったまでです」
「それで? サマラ、結婚は嫌だとかそういう話か? それとも好きな相手がいてその男と結婚させろとか申すつもりか?」
「いえ、そういうわけではありませんが」
「では何だ?」
「カーズィバ殿のご子息とどうしても結婚しなければならないのでしょうか?」
父親に結婚を決められてしまうのが嫌だというよりは、あのカーズィバという男が嫌いなのだ。その息子にしても王都の市場でろくな噂しか聞かない。
「それが私のため、ひいては国のためだ。父や国のためになる結婚は嫌か?」
「そうではありません」
サマラは脳裏に浮かんだことを言おうか言うまいか逡巡する。
「フィラーサ、言いたいことがあるなら思い切って申し上げなさい。私に免じて陛下から怒られないようにしてさしあげますから」
そっとサマラの肩を押してくれる。
その異母姉の温かい手に勇気づけられるようにサマラは意を決して顔を上げた。
「別に商人の妻となるなら、カーズィバ殿のご子息でなくても良いのではないかと思いまして……」
「何だ? 結局は想う相手と結婚したいということか?」
「そのような方はまだおりません」
「ではカーズィバの息子で良いではないか? この話はここまでだ。私の湯浴みの準備をしに行くがいい」
そう言うとジャミールはサマラに向かってあっちに行けと手を振った。
サマラはぐっと拳を握った。
「おそれながら陛下、私は自分の結婚相手は自分で決めたく存じます。ですから」
「だから?」
「私にも『ティジャーラの宝』を探しに行かせて下さい! お願いいたします!」
ジャミールはおよそ王には不似合いなぽかんとした顔をした。
よほどサマラの申し出が意表をついていたらしい。
「は? お前が探しに行ってどうするのだ?」
「もし、私がカーズィバ殿よりも先に見つけることができましたら、私の望む相手と結婚させて下さい!」
がばっと勢いよく床に頭を打ち付けた。
「望む相手といっても、そもそも私はお前を国外どころかこの王都からも出すつもりはないぞ」
「それは心得ております」
茶杯に口をつけながらジャミールはどうしたものか、と考え込んだ。
王の命令は軽々しく取り下げられない。
それにサマラがいない間の香料品作りもある。
「探しに行くといっても、さしあたってどうするのだ? 何かお前にあてはあるのか? まさか一人で行くのではなかろうな?」
「それは……」
「一人で行くというのなら絶対に王宮から出さんぞ。何のためにお前を作ったと思っているのだ?」
うっかりジャミールも自分の父親だという自覚があったのだ、と一瞬思ってしまったサマラは後悔した。
最終的には実の娘に対するような発言ではないが、それでも今のサマラはそんなことに怯んではいられない。
深呼吸を一つ、する。
「わ、私も、宮廷工房の職人の端くれです。顔なじみの商人もおります。その者たちの中から頼んでみるつもりです」
「お前を援助するための金は出さんぞ」
これまた優しさのかけらもない言葉だ。
「わかっております。何とか致します」
「ほう。己を餌にする覚悟でもあるのか? それとも乳香や没薬の独占販売権の方をちらつかせるつもりか?」
どう考えても子に対する親の言葉ではない。
空気がぴんと張り詰めてくる。
緊迫してきた父王と異母妹の雰囲気に、おっとりとした異母姉の声が割って入ってきた。
「陛下、ご心配には及びませんわ。陛下がカーズィバの援助をなさるのなら、私がフィラーサの援助を致します。そうしないと不公平ではありませんか? フィラーサには私が便宜を図ります。陛下の薔薇水や薔薇園のことは、アッタールと彼を補佐する者を私がつけます。陛下の日常生活に何ら支障をきたさないようにすることをお約束いたしましょう」
「王太女様、よろしいのですか?」
「たった二人きりの姉妹よ。何か一つぐらい異母妹のためにしてあげたいの」
これで王の命令をどうするのか? という問題だけになった。
いつの間にか王は茶杯から立ち上がる薔薇の香気を楽しんでいるようだ。
「陛下、こういうのはいかがでございましょうか?」
「何だ?」
「国内の成人男子限定で、希望者に乳香と没薬を探させるというのはいかがでしょうか? そして一番に見つけて苗木を持ち帰った者に、それらの独占販売権とフィラーサを降嫁させる。ただし、栽培管理権は国が持つ。そういうことに王命を変更すればいかがでしょうか?」
「ううん。しかし、カーズィバには約束してしまったしな」
馥郁とした香りを楽しみながらも、ジャミールの眉間に皺が寄る。
「ええ。ですから陛下はそのままカーズィバを支援なさればよろしいでしょう? さすれば、多少王命が変わったからといって文句は申しますまい。そもそも王命に文句をつけられるような立場の者でもないとは思いますが」
ちくりと父王をさしてくる。
「王命の変更は後の朝議で家臣たちから連名で嘆願書が出たためとでも何とでも言えますでしょう。家臣たちの意見は私がまとめます。誰一人文句も諫言も出ないように致しましょう」
「家臣どもの意見をまとめるだと? シャリーファ、まるでもうそなたが王のようだな。何なら年末の婚礼の後、来年早々にこの座をそなたに明け渡そうか?」
「滅相もございません。私にはまだその座は早うございます。私はいつも陛下にこき使われている可哀そうな異母妹のただ一つの願いのために、微力ながら手を貸すだけでございます。他意はございません」
うららかな午後の陽がシャリーファの微笑みを氷の微笑に昇華させる。
「わかった。そのようにしよう」
そのシャリーファの顔にジャミールは完全に折れた。
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