13 / 39
祖父の話
しおりを挟む
「海の男神の末裔は何がどうなったのかは知らんがある時期を境に極端に人数が減ったのじゃ」
そう祖父は説明してくれた。
「なぜ?」
「それはわしにもわからん。わしら大地の女神の一族と砂漠の女神の一族は、それなりに人数を保っておるが、なぜか海の男神の一族だけは滅びの一歩手前くらいまで人数が減ってしまってそこからなかなか増えんのじゃ」
「そうなんだ」
「だからわしは、海の男神の一族の末裔を探すのにとても苦労した」
「世界中の海を回ったの?」
「そうだとも」
祖父は世界中の海を商売をしながら回ったそうだ。
商売をしながらというところが何とも抜け目ない商人らしかった。
「その中で貴人や商人の船を専門に護衛してくれる傭兵集団に出会った」
「それが」
「そうその集団を統率していたのが男神・ビハールの唯一の末裔だった」
祖父はその男と共に砂漠の女神の一族の者とともに神殿に上がったという。
「文のやりとりは時々していた。あいつが結婚し、娘が生まれたことも聞いた」
だが娘が生まれてほどなくして母親が亡くなったという。
男は仕事のかたわら娘を育てることはできないと言って、ジャズィーラ島に住む妻の両親に娘を預けて養育を頼んだという。
そして時々、仕事の合間に島に立ち寄っては娘を見に行き、妻の両親に多額の養育費を渡していたという。
そのうち娘は父と同じ傭兵稼業につきたくなったらしく、船に乗せてくれとせがんだが、父親も妻の両親も猛反対した。
一度は、娘が家出をする形でどこぞの商船に乗ろうとしたらしいが港にいた父親の手下につかまって祖父母の家に連れ戻されたらしい。
(その女の子、確かおじいさまの話によれば私と年はあまり変わらないらしいけど)
なんせ島のどこに住んでるか、細かい位置までは祖父は話してくれなかった。
「もし、お前がその娘を探すというならこの地図をやろう」
そういってその時、さらさらと描いて渡してくれたのが、涙の中にブドウの絵という落書きのような紙切れだった。
それを祖父が亡くなった時に渡された文とともに大切に持っていたのだ。
そう祖父は説明してくれた。
「なぜ?」
「それはわしにもわからん。わしら大地の女神の一族と砂漠の女神の一族は、それなりに人数を保っておるが、なぜか海の男神の一族だけは滅びの一歩手前くらいまで人数が減ってしまってそこからなかなか増えんのじゃ」
「そうなんだ」
「だからわしは、海の男神の一族の末裔を探すのにとても苦労した」
「世界中の海を回ったの?」
「そうだとも」
祖父は世界中の海を商売をしながら回ったそうだ。
商売をしながらというところが何とも抜け目ない商人らしかった。
「その中で貴人や商人の船を専門に護衛してくれる傭兵集団に出会った」
「それが」
「そうその集団を統率していたのが男神・ビハールの唯一の末裔だった」
祖父はその男と共に砂漠の女神の一族の者とともに神殿に上がったという。
「文のやりとりは時々していた。あいつが結婚し、娘が生まれたことも聞いた」
だが娘が生まれてほどなくして母親が亡くなったという。
男は仕事のかたわら娘を育てることはできないと言って、ジャズィーラ島に住む妻の両親に娘を預けて養育を頼んだという。
そして時々、仕事の合間に島に立ち寄っては娘を見に行き、妻の両親に多額の養育費を渡していたという。
そのうち娘は父と同じ傭兵稼業につきたくなったらしく、船に乗せてくれとせがんだが、父親も妻の両親も猛反対した。
一度は、娘が家出をする形でどこぞの商船に乗ろうとしたらしいが港にいた父親の手下につかまって祖父母の家に連れ戻されたらしい。
(その女の子、確かおじいさまの話によれば私と年はあまり変わらないらしいけど)
なんせ島のどこに住んでるか、細かい位置までは祖父は話してくれなかった。
「もし、お前がその娘を探すというならこの地図をやろう」
そういってその時、さらさらと描いて渡してくれたのが、涙の中にブドウの絵という落書きのような紙切れだった。
それを祖父が亡くなった時に渡された文とともに大切に持っていたのだ。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
嘘はあなたから教わりました
菜花
ファンタジー
公爵令嬢オリガは王太子ネストルの婚約者だった。だがノンナという令嬢が現れてから全てが変わった。平気で嘘をつかれ、約束を破られ、オリガは恋心を失った。カクヨム様でも公開中。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる