尻凛 shiri 〜 がちむちゲイの短編小説集 〜

くまみ

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湯屋の番人 後編

人知れず場所

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 「お客さん、湯場(浴室)に入る時はタオルを持って来てください!」湯屋の中で守の声が響く。

 「あ、すみません・・・入り方がよく分からないもので・・・」

 「そうですよね、最初はわからないですよね、タオルは湯上がりに体を拭くのに使うので、家庭のお風呂とはちょっと入り方が違うんです」

 「おぉっ、今日も精が出るね!守さん」

 「い、伊深さん・・・せ、先日はあ、あ、ありがとうございました・・・」

 伊深は裸で守の前に現れ、あっと言う間に白濁の湯船にかった。

 「守さん、そんなに緊張しないで、何もしたりしないから」伊深は笑う。

 「いや・・・そ、その・・・」守は伊深を見て無意識に身構えてしまう。

 「守さん、今日は代わりの湯守役で忠雄が来るから湯守はこの辺にして一緒にちょっと行って貰いたいところがあるんだけどいいかな?」

 「えっ?忠雄さんが代わりをしてくれるんですか?あっ、は、はい・・・わかりました・・・」

 「巌・・・久しぶりの湯守をしに来たぞ!」忠雄が脱衣所に現れた。

 忠雄はさっさと服を脱ぎ湯場に入ってきた。

 「さぁ守さん、その場所を代わりましょう!」

 「す、すみません忠雄さん・・・」守は立ち上がり忠雄に湯守が座る場所を代わった。

 守は伊深と忠雄の裸を見て、先週の事を思い出し股間が反応しそうになったが意識を散らし抑えた。

 服を着て伊深と守は湯屋の外に出た。

 天気は曇っていて良くはなかったが辺りは観光客で賑わっていた。

 伊深は歩き出しその後を守は付いて歩く。

 「あの、伊深さん・・・俺はまだ決めかねていて・・・」守は一歩先を行く伊深に話し掛けた。

 「守さん、まずはとある場所に案内します!長老も是非見て欲しいと言っていました!」

 「長老さんがですか?」

 「長老は守さんを偉く気に入ったようで是非『紹介の儀』に参加して欲しいと言っていました」

 「『紹介の儀』って、ただ長老さんに挨拶をするだけではないのかな・・・しかも長老さんが俺を気に入ってくれたって、湯屋の前でほんの数分挨拶を交わしただけなのに・・・」守は思う。

 人が賑わう土産物屋がひしめく商店街を抜けて川が流れる小道に出た。

 伊深と守は観光客に混じり歩いた。

 観光客の多くが目指す先には神社らしい鳥居が見える。

 「あの神社に行くんですか?」守は伊深に尋ねた。

 「いや守さん、あの神社じゃなくて別のところです・・・」

 伊深と守は観光客で人集ひとだかっている神社を通り越して、小道に入る。

 その小道では観光客とはすれ違う事はなかった。

 そのうちに普通は人は通らないのではないかと思うくらい草が生い茂る草むらになり、伊深と守は草むらをかき分けて進んだ。

 草むらを進むと急に草むらは開け、高いフェンスで囲われた敷地に出た。

 そのフェンスには大きな扉と小さな扉があり、伊深は小さな扉の鍵穴に鍵を差し込んだ。

 そして扉を開けて中に入るとそこには広く小石が敷き詰められた神社の境内が広がっていた。

 「凄いところですね!」守は思わず声を出した。

 今まで歩いてきた道からは想像を超えた荘厳そうごんな敷地に硫黄の香りが立ち込めていた。

 敷地内には小川が流れていると思ったら乳白色の温泉の小川だった。

 あまりの以外さに興奮する守。

 「守さん、驚くのはまだ早い!これからお見せしなければならないものがあるんですよ。

 守は伊深に連れられておやしろを過ぎて更に奥に進むと凄い大きな音が響いてくる。

 「こ、これは!す、凄い!」守が見たものは、石で出来た大きな男性のシンボルだったのだ。
 
 

 

 
 
 
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