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兄弟酒場 後編
兄弟
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前編でのあらすじ・・・
家族経営をしている居酒屋濱衛門の店主、東太助。太助の楽しみは居酒屋の営業後に行く発展場でケツを掘られる事であった。
発展場でたっぷりとケツを犯された後、太助は自宅に戻ると母親の容態が悪く救急車で病院に運ばれた。
そこで母親の胃がんが発見されるのだった。
随分と前から太助は弟の健作とは疎遠であったが母親の病気の件で連絡をしなければならず、電話をし健作と会う事になった。
母親の病気で会うのは仕方ないとは言え、電話越しの健作は素っ気ない対応だった。
そんな健作と会うのを太助は多少なりとも憂鬱に思っているのだった。
後編・・・
「健作、久しぶりだなぁ!」太助は健作に声を掛けた。
「あぁ」素っ気なく返答する健作。
「健作、お前太ったんじゃないのか?」
久しぶりに会った健作はがっちりとムッチリとした体型になっていた。
「兄ちゃんこそ、人の事が言えるかよ!」
桜木町駅前で待ち合わせ、久々に再開した二人、何となく互いにぎこちない。
二人はとりあえず話をしようとカフェに入った。店員に通された席はコスモクロック(観覧車)が見えるテラスだった。
「スゲェ眺めだな、ここは!」太助はテンションを上げる。
「昔から兄ちゃんはこう言うところ来ないもんな・・・」
「だってこう言う所はカップルか女同士とかで来る場所だろ?」
「兄ちゃん、今時そんな訳あるかよ、周り見てみろよ!」
太助は健作に言われた通り周囲を見渡すと確かに男女カップルだけでなく様々な人たちが居た。
「うわぁ、あのガタイ系兄貴たちは間違いなく『こっち』だっ!」太助は思った。
「うん?兄ちゃんどうかしたのか?!」
「い、いや・・・健作、な、何でもない・・・」
「ご注文はお決まりですか?」太助たちのテーブルに店員がやって来た。
パッと見ると、がちむちで髪の毛を短く刈り上げたラグビーでもやっていそうなウェイターだった。
ニコッとした表情が爽やかで太助はキュンとしてしまう。
「とりあえず生ビール二つで」健作がすかさず答えた。
「ただいまのお時間はカップルサービスセットでお飲み物だけの料金で本日のデザートが付きますがそちらにされませんか?」
「カップルサービス??!俺らが?!」太助は驚いた。
「はい、とても素敵なカップルに見えますよ!」がちむちウェイターはさらりと答えた。
「じゃあそれでお願いね」健作は慣れた口調でオーダーをした。
「け、健作!!俺たちカップルだって?!」
「兄ちゃん古いな・・・別に何だっていいだろ?今時男同士のカップルなんて珍しくないし・・・」
「健作、そうじゃなくって、俺たち兄弟じゃねぇか?!」
「俺は別に構わねぇよ?兄ちゃんとカップルと思われても・・・」健作はあっさりとしていた。
「健作・・・」太助は動揺した。
「お待たせしました!生ビール二つと本日のデザートプレートでございます!お二人でシェアしてお召し上がりください!」がちむちウェイターは爽やかな笑顔で運んでくれた。
デザートプレートはいちごのショートケーキ、チーズケーキ、プリンがデコレーションされていた。
「うぉぉぉ、超豪華!兄ちゃん食おうぜ!まず乾杯な!」
健作はビールを飲みながら、スイーツを食べて満身の笑みを浮かべた。
不思議と太助と健作は互いに違和感なく兄弟の会話をするようになっていた。
「こんな屈託のない無邪気な健作を見たのは何十年振りなんだろう・・・」太助は思った。
子どもの頃の健作は良く笑っていた。いつも太助の後をついて来ていた。
「小さい頃は健作とは本当に仲が良かった、いつからだったのか・・・健作と距離を感じるようになったのは・・・」太助は考えた。
「おい兄ちゃん、何をボーっとしてるんだ?」
「あっ、すまんすまん」
「兄ちゃんは昔から良く考え込むよな・・・それで母ちゃんが癌だって?」
「健作、実はそうなんだよ・・・」
「そうか・・・それでどうして俺に連絡をしたの?」
「えっ?健作、お前の母親なんだから連絡するのは当たり前だろ?!」
「どうせ母ちゃんの事だから俺には知らせて欲しくなかったんじゃないのか?」
「えっ!?そ、そ、そ、そんな事、あ、ある訳ね、ねぇだろう!!」
「やっぱり図星じゃねぇか!兄ちゃんは昔から嘘かつけねぇからな!」
「健作、お前母ちゃんが嫌いなのか?俺の事も・・・」
「あぁ、嫌いだね!母ちゃんも父ちゃんも、東の家の、人間はみんな嫌いだよ!ついでに源さんもな!」
「健作、お前だって東の人間だろっ!一体何があったんだ!」
「知りたいのか?っうか兄ちゃんはわからなかったのか?俺が東の家が嫌いな理由・・・」
「わかる訳ねぇだろっ!俺はいつだって健作の事を気にしていたんだぞっ!」
「兄ちゃん・・・わかってるよ・・・兄ちゃんが俺の事をいつも大事に思っていた事なんて・・・」
「健作・・・家で飲み直さないか?母ちゃんは入院中だし誰もいないから・・・」
「わかったよ、兄ちゃん・・・」
太助と健作は実家で飲み直す事になったのだ。
家族経営をしている居酒屋濱衛門の店主、東太助。太助の楽しみは居酒屋の営業後に行く発展場でケツを掘られる事であった。
発展場でたっぷりとケツを犯された後、太助は自宅に戻ると母親の容態が悪く救急車で病院に運ばれた。
そこで母親の胃がんが発見されるのだった。
随分と前から太助は弟の健作とは疎遠であったが母親の病気の件で連絡をしなければならず、電話をし健作と会う事になった。
母親の病気で会うのは仕方ないとは言え、電話越しの健作は素っ気ない対応だった。
そんな健作と会うのを太助は多少なりとも憂鬱に思っているのだった。
後編・・・
「健作、久しぶりだなぁ!」太助は健作に声を掛けた。
「あぁ」素っ気なく返答する健作。
「健作、お前太ったんじゃないのか?」
久しぶりに会った健作はがっちりとムッチリとした体型になっていた。
「兄ちゃんこそ、人の事が言えるかよ!」
桜木町駅前で待ち合わせ、久々に再開した二人、何となく互いにぎこちない。
二人はとりあえず話をしようとカフェに入った。店員に通された席はコスモクロック(観覧車)が見えるテラスだった。
「スゲェ眺めだな、ここは!」太助はテンションを上げる。
「昔から兄ちゃんはこう言うところ来ないもんな・・・」
「だってこう言う所はカップルか女同士とかで来る場所だろ?」
「兄ちゃん、今時そんな訳あるかよ、周り見てみろよ!」
太助は健作に言われた通り周囲を見渡すと確かに男女カップルだけでなく様々な人たちが居た。
「うわぁ、あのガタイ系兄貴たちは間違いなく『こっち』だっ!」太助は思った。
「うん?兄ちゃんどうかしたのか?!」
「い、いや・・・健作、な、何でもない・・・」
「ご注文はお決まりですか?」太助たちのテーブルに店員がやって来た。
パッと見ると、がちむちで髪の毛を短く刈り上げたラグビーでもやっていそうなウェイターだった。
ニコッとした表情が爽やかで太助はキュンとしてしまう。
「とりあえず生ビール二つで」健作がすかさず答えた。
「ただいまのお時間はカップルサービスセットでお飲み物だけの料金で本日のデザートが付きますがそちらにされませんか?」
「カップルサービス??!俺らが?!」太助は驚いた。
「はい、とても素敵なカップルに見えますよ!」がちむちウェイターはさらりと答えた。
「じゃあそれでお願いね」健作は慣れた口調でオーダーをした。
「け、健作!!俺たちカップルだって?!」
「兄ちゃん古いな・・・別に何だっていいだろ?今時男同士のカップルなんて珍しくないし・・・」
「健作、そうじゃなくって、俺たち兄弟じゃねぇか?!」
「俺は別に構わねぇよ?兄ちゃんとカップルと思われても・・・」健作はあっさりとしていた。
「健作・・・」太助は動揺した。
「お待たせしました!生ビール二つと本日のデザートプレートでございます!お二人でシェアしてお召し上がりください!」がちむちウェイターは爽やかな笑顔で運んでくれた。
デザートプレートはいちごのショートケーキ、チーズケーキ、プリンがデコレーションされていた。
「うぉぉぉ、超豪華!兄ちゃん食おうぜ!まず乾杯な!」
健作はビールを飲みながら、スイーツを食べて満身の笑みを浮かべた。
不思議と太助と健作は互いに違和感なく兄弟の会話をするようになっていた。
「こんな屈託のない無邪気な健作を見たのは何十年振りなんだろう・・・」太助は思った。
子どもの頃の健作は良く笑っていた。いつも太助の後をついて来ていた。
「小さい頃は健作とは本当に仲が良かった、いつからだったのか・・・健作と距離を感じるようになったのは・・・」太助は考えた。
「おい兄ちゃん、何をボーっとしてるんだ?」
「あっ、すまんすまん」
「兄ちゃんは昔から良く考え込むよな・・・それで母ちゃんが癌だって?」
「健作、実はそうなんだよ・・・」
「そうか・・・それでどうして俺に連絡をしたの?」
「えっ?健作、お前の母親なんだから連絡するのは当たり前だろ?!」
「どうせ母ちゃんの事だから俺には知らせて欲しくなかったんじゃないのか?」
「えっ!?そ、そ、そ、そんな事、あ、ある訳ね、ねぇだろう!!」
「やっぱり図星じゃねぇか!兄ちゃんは昔から嘘かつけねぇからな!」
「健作、お前母ちゃんが嫌いなのか?俺の事も・・・」
「あぁ、嫌いだね!母ちゃんも父ちゃんも、東の家の、人間はみんな嫌いだよ!ついでに源さんもな!」
「健作、お前だって東の人間だろっ!一体何があったんだ!」
「知りたいのか?っうか兄ちゃんはわからなかったのか?俺が東の家が嫌いな理由・・・」
「わかる訳ねぇだろっ!俺はいつだって健作の事を気にしていたんだぞっ!」
「兄ちゃん・・・わかってるよ・・・兄ちゃんが俺の事をいつも大事に思っていた事なんて・・・」
「健作・・・家で飲み直さないか?母ちゃんは入院中だし誰もいないから・・・」
「わかったよ、兄ちゃん・・・」
太助と健作は実家で飲み直す事になったのだ。
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