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兄弟酒場 前編
弟
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太助は母親が入院した病院からその足で源さんが住むマンションに寄った。
「おぉ、太助、女将さんはどうだった?!大丈夫だったのか?まぁ中に入れや!」源さんは太助を室内に招き入れてくれた。
「そう言えば源さんの家に来るのは久しぶりだな・・・」太助は思った。
源さんは居酒屋濱衛門で長く働いてくれていた。
太助や健作が子どもの頃からの付き合いである意味二人目の親父みたいな存在だった。
太助の父親は源さんと公私ともに仲が良かった。
太助と健作は小さい頃は父親に連れられて、源さんの家に遊びに来ていた。
源さんと太助の父親は一緒に酒を飲み、飽きてしまった太助と健作は父親を残していつも先に家に帰っていた。
太助は源さんの家に入り、食卓に座りふと想い出に浸っていた。
源さんはコーヒーを入れ、食卓に座る太助に差し出した。
「太助、それで女将さんの容態はどうなんだ?」
「あっ、源さん・・・それが母ちゃんは癌かもしれないんだ・・・」太助は我に返り口を開いた。
「な、何だって?!そりゃ大変だっ!早く健作にも知らせないと・・・!」
「源さん、それが母ちゃんは健作には知らせるなって言うんだよ・・・」
「太助、知らせるなって言われたって、女将さんの一大事に知らせない訳にはいかないだろうよ・・・」
「源さん、そんなのわかってるけど、母ちゃんはそう言うし・・・だから困ってるんだよ・・・」太助はテーブルに座り頭を抱え込んだ。
太助はテーブルにうつ伏せてしばらく考えた。そして、電話を手に取り健作に電話をした。
テュルルルル・・・テュルルルル・・・
「もしもし・・・」コール2回で電話が繋がった。
「あっ、もしもし、健作?俺だけど・・・」
「兄ちゃん、何だよ、どうかしたのか?」健作はぶっきらぼうな物言いだった。
「健作・・・『何だよ』って、用がなきゃ電話しないだろう?」
「で、兄ちゃんどうかしたのか?」
「健作・・・実は母ちゃんがな、癌かもしれないんだよ・・・」
「・・・それがどうかしたのか?」健作は少し沈黙したのちに言葉を発した。
「健作、お、お前!実の母親が大変なのにその言い草はないだろう!」
「兄ちゃんにはわからないだろうけど、俺があの母親に何されたかなんて知らないだろ?」
「えっ?け、健作・・・母ちゃんに何されたって言うだよ!?」
「兄ちゃん、もういいよ・・・」
「・・・健作・・・とにかく一度会わないか?」太助は少し間を開けて言葉を発した。
「いいよ・・・兄ちゃん、今夜、桜木町でどうだ?」
「わかった、健作、でも桜木町でいいのか?遠くないのか?」
「兄ちゃん、構わないよ・・・」
今夜、太助と健作は会う事になった。
「おい、太助、健作は何て言ってたんだ?何だか尋常じゃないやり取りをしていたみたいだったけど」
「源さん、健作のやつは母ちゃんと何かあったみたいだけど、母ちゃんから健作は可愛がられてたのに、俺にはサッパリと理由がわからないよ・・・」
「なるほどな・・・健作も色々と葛藤があったんだな・・・」
「源さん、何か知ってるのか?」
「いや、俺は側から見ていただけだから何とも言えないけど、何となく健作の気持ちもわかるなぁ・・・」
「えっ?源さんどう言うこと?!」
「太助、まあ今夜健作と腹を割って話をしてみたらどうなんだ?それで健作から聞けるかもしれないぞ?」
「・・・わかったよ源さん、とりあえず健作と会って話すよ・・・」
太助は健作と会うにあたり何となく複雑な心境になるのだった。
「おぉ、太助、女将さんはどうだった?!大丈夫だったのか?まぁ中に入れや!」源さんは太助を室内に招き入れてくれた。
「そう言えば源さんの家に来るのは久しぶりだな・・・」太助は思った。
源さんは居酒屋濱衛門で長く働いてくれていた。
太助や健作が子どもの頃からの付き合いである意味二人目の親父みたいな存在だった。
太助の父親は源さんと公私ともに仲が良かった。
太助と健作は小さい頃は父親に連れられて、源さんの家に遊びに来ていた。
源さんと太助の父親は一緒に酒を飲み、飽きてしまった太助と健作は父親を残していつも先に家に帰っていた。
太助は源さんの家に入り、食卓に座りふと想い出に浸っていた。
源さんはコーヒーを入れ、食卓に座る太助に差し出した。
「太助、それで女将さんの容態はどうなんだ?」
「あっ、源さん・・・それが母ちゃんは癌かもしれないんだ・・・」太助は我に返り口を開いた。
「な、何だって?!そりゃ大変だっ!早く健作にも知らせないと・・・!」
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「太助、知らせるなって言われたって、女将さんの一大事に知らせない訳にはいかないだろうよ・・・」
「源さん、そんなのわかってるけど、母ちゃんはそう言うし・・・だから困ってるんだよ・・・」太助はテーブルに座り頭を抱え込んだ。
太助はテーブルにうつ伏せてしばらく考えた。そして、電話を手に取り健作に電話をした。
テュルルルル・・・テュルルルル・・・
「もしもし・・・」コール2回で電話が繋がった。
「あっ、もしもし、健作?俺だけど・・・」
「兄ちゃん、何だよ、どうかしたのか?」健作はぶっきらぼうな物言いだった。
「健作・・・『何だよ』って、用がなきゃ電話しないだろう?」
「で、兄ちゃんどうかしたのか?」
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「・・・それがどうかしたのか?」健作は少し沈黙したのちに言葉を発した。
「健作、お、お前!実の母親が大変なのにその言い草はないだろう!」
「兄ちゃんにはわからないだろうけど、俺があの母親に何されたかなんて知らないだろ?」
「えっ?け、健作・・・母ちゃんに何されたって言うだよ!?」
「兄ちゃん、もういいよ・・・」
「・・・健作・・・とにかく一度会わないか?」太助は少し間を開けて言葉を発した。
「いいよ・・・兄ちゃん、今夜、桜木町でどうだ?」
「わかった、健作、でも桜木町でいいのか?遠くないのか?」
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今夜、太助と健作は会う事になった。
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「いや、俺は側から見ていただけだから何とも言えないけど、何となく健作の気持ちもわかるなぁ・・・」
「えっ?源さんどう言うこと?!」
「太助、まあ今夜健作と腹を割って話をしてみたらどうなんだ?それで健作から聞けるかもしれないぞ?」
「・・・わかったよ源さん、とりあえず健作と会って話すよ・・・」
太助は健作と会うにあたり何となく複雑な心境になるのだった。
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