尻凛 shiri 〜 がちむちゲイの短編小説集 〜

くまみ

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激闘の褌寒中水泳大会 中編

粉雪舞う

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 孝介が運転する車は聡志を乗せて孝一が待つ自宅に到着した。

 車が到着すると孝一が玄関から出てきた。

 「あっ、先生・・・」

 「長田、いや長田君、おはよう!」

 「えっ、先生、お、おはようっす・・・」孝一は驚いた。

 「長田君、最近の調子はど、どうだい?」聡志は父親の手前、呼び捨てにはしなかった。

 「な、何だよ、先生気持ちわりぃなぁ、いつもみたいに長田でいいよ!あっ、孝一って呼び捨てでもいい・・・親父も長田だからわかりにくいし・・・」

 「わかったよ、孝一って呼ばせてもらうぞ・・・」

 一応、お互いに挨拶は交わしたが聡志と孝一は何だか気まずかった。

 「よし、二人ともこっからは歩いて練習場まで行くぞ・・・」孝介は先頭を切った。

 聡志と孝一は後を着いて行く。

 「孝一、長田さんは何処に行くんだ?」

 「さあね・・・でもこの方向は百高神社かな・・・」

 「百高神社か・・・確か夏に大きな祭りをするんだよな・・・」

 「そうだよ、そっか、先生は地元じゃないから知らないんだね・・・」

 「百高祭はこの辺じゃかなり大きな祭りでウチも出店を出すんだよ、父ちゃんに言わせるとちょっとした書き入れ時らしいけど・・・」

 「へぇ~楽しそうだなぁ」

 「まあね・・・俺は祭りには出た事ないけど・・・」

 聡志は孝一と関係を修復したいが中々言葉が見つからない・・・

 「やっぱりな・・・」孝一は呟いた。

 聡志たちは長田家から徒歩10分くらいの場所にある百高神社の鳥居に到着した。

 周囲には百高神社専用の駐車場が広がっていたが、駐車している車はまばらだった。

 孝介は先頭を切って鳥居をくぐり石段を上がって行くと神社の境内に到着した。

 境内はかなり広く、本殿までの両脇には社務所(売店)が並んでいた。

 「意外と大きいんだな・・・」聡志は言った。

 「市場先生は百高神社に来るのは初めてかな?」孝介は聡志に聞いた。

 「はい、初めて来ました」

 「そうか、じゃあ簡単に説明をしておくか・・・」

 孝介は語り出した。

 百高山の霊水の加護を受けて、100の難所があり、昔は修験者が修行をした場所・・・それが百高神社の歴史だった。

 百高祭には男たちが褌姿で数々の難所を走り抜け、最後は霊水で清め無病息災を願うと言う祭りだと孝介は説明した。

 「へぇ~凄いんですね!」聡志は関心した。

 「そうだ、8月のお盆時期には百高祭があるから市場先生も参加しましょう、名簿に入れて置きますから!」孝介はノリノリだった。

 「あ~やっぱりそう来たか・・・父ちゃん、俺だってもう成人だから百高祭に出られるぞ!」

 「孝一、昔の成人、20歳以上だから、残念ながらお前はまだ駄目だな・・・」

 「ちぇっ!つまんねぇの・・・」

 「さて、二人ともまず参拝しろ!」

 孝介、孝一、聡志の三人は本殿で参拝を済ませた。

 次に本殿横の通路を通り、しばらく行くと宿坊がらあった。

 「おーい、住職はいるか!」孝介は引戸を開けて、大声で呼ぶ。

 「はぁいよ~、おぉ、孝介、来たか・・・孝一、デカくなったなぁ、いい男になりやがって・・・まぁ皆さんとにかく上がってください」

 まだ若い肉付きの良い住職が出迎えてくれた。

 孝介を先頭に聡志と孝一は客間に通された。

 やたら孝介とそのお盆さんは仲が良さそうに話していると思ったら住職は孝介の高校時代に所属していた剣道部の同級生だったと聞いた。

 住職は聡志と孝一にお茶を出してくれた。

 客間には白い羽織りと白い布が用意されていた。

 「まじかよ父ちゃん、こんなめちゃくちゃな練習で風邪引いたらどうするんだよ!」

 「おぉ、流石は我が息子・・・勘がいいなぁ、父ちゃんは嬉しいぞ!」

 「ここまで用意されたら誰だってわかるだろう!」孝一は興奮する。

 「大丈夫だ、終わったら熱い風呂を住職が沸かしてくれてあるから・・・」孝介は胸を張って言う。

 「そうだぞ、あの修行の後は風呂が一番だからな!さぁ二人とも服を脱げ!」住職が聡志と孝一に声を掛けた。

 「あの修行って何だ??なんで服を脱がなきゃならないんだっ!?」聡志は戸惑うのだった。

 

 

 
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