尻凛 shiri 〜 がちむちゲイの短編小説集 〜

くまみ

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激闘の褌寒中水泳大会 中編

団欒(だんらん)

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 長田孝介おさだこうすけ長田孝一の父親だ。年齢は45歳て見た目はがちむちでイカついが、実は陽気で能天気、祭り好きで良く言えば兄貴肌、悪く言うと出しゃばりな一面を持つ。

 「いらっしゃい、市場先生、いつも孝一が世話になってます、さあどうぞどうぞ、奥の座敷用意してあるので」孝介はその風貌とは違って礼儀正しく、優しく笑顔で聡志に声を掛ける。

 聡志は長田に連れられて奥の座敷へと通された。

 孝介が、おしぼりを持って座敷へとやってきた。

 がちむち、ワイルドな孝介は調理用白衣が良く似合っていた。

 「市場先生、今日は良くおいでいただけました。孝一から色々と聞いていたので是非一度お会いして話しをしたかったんです」

 「こ、こちらこそ孝一君にはいつも部活では助けてもらっていまして、あっ、一昨日はあんなに沢山のお弁当をどうもありがとうございました」

 「いやぁ先生、ただの残り物を詰めただけです・・・あんな物で良ければいつだって届けますぜ!それより飲み物を、ビールですか?」

 「いえいえ、今日は車なので、ビールは飲めないんです・・・」

 「何だ、先生、泊まっていけばいいじゃないですか!」

 「えっ?泊まりですか・・・?そんな、今日初めてお会いして、泊まらせていただくなんて、そんな図々しい事出来ないです・・・」

 「いやぁ、ウチは全く構いません、先生とは気が合いそうなので、是非一緒に飲みましょう!」

 「ちょっと、あんた!先生困ってるでしょ、もういつもそんなんだから・・・先生、とりあえず烏龍茶でいいかしら?」店の奥から長田の母親が出て来た。

 「いつもウチの孝一がお世話になりまして、孝一はお調子者だから皆さんに迷惑をかけてないでしょうか?」母親は烏龍茶を差し出してくれた。

 「いえいえ、孝一君は水泳部のムードメーカーでした」

 「あら、良かった・・・さぁ先生、今日は一杯食べていってね!」母親は上機嫌だ。

 「長田の家族は明るいな・・・」

 「まあね・・・父ちゃんも母ちゃんも基本、能天気だからね・・・」長田はサラッと言った。

 「お通しから始まりまるでコース料理かのように次々と料理が運ばれて来た。

 「なぁ、長田、お前ん家の料理ってこんなに量が多いのか?」

 「先生、基本はちょい多めだけどこれは三人前の量だよ・・・あっ、わかった・・・」

 「長田、何がわかったんだ?」

 「先生、もう時期わかるよ・・・それより寒中水泳大会に向けての練習メニューを決めないと・・・」

 「そうだったな・・・両親にも長田が出場する同意をもらわないとだったな」

 「先生、俺は子どもじゃないぜ!同意なんか必要ねぇよ!まぁあの能天気なウチの親が反対する訳ないんだけどな」長田はサラダをバリバリと食べらがら話す。

 「先生、ちょいとお邪魔するぜ!」

 「ほら、やっぱり来た・・・父ちゃん店はいいのか?」

 「平気平気、いざってなったら表に出るからよ!折角、市場先生が来てくれてるのに仕事なんかしてられっかよ!」孝介は上機嫌だった。

 孝介はビールジョッキーを片手に饒舌じょうぜつだった。

 孝介は何故か聡志の隣りに座り聡志の肩に手を回す。

 「父ちゃん、先生に馴れ馴れしいぞ!それに先生と大事な話しがあるのに・・・邪魔しないでくれよな!」

 「孝一、何だよ大事な話しって、俺も混ぜろ!」

 「長田さん、実は県が主催する寒中水泳大会に私と、孝一君が出場予定なのですが、孝一君が出場して良いか確認をしたかったのと先日のお礼も兼ねて今日伺ったんですが・・・」

 「逆にこんなにもてなして頂き返って恐縮です・・・」聡志は孝介に頭を下げた。

 「何だ先生、そんなにかしこまんないでください、寒中水泳大会なんて面白そうじゃないですか!是非うちの孝一を使ってやってください!」孝介は更に上機嫌になった。

 その後、聡志は詳細を長田の父親に話すと、父親は全面的に協力すると言い出した。

 「先生・・・父ちゃんは祭り好きだから、これから全部仕切られちゃうぞ・・・あ~あ~、折角先生と二人きりで練習出来ると思ったのになぁ・・・」

 「長田、大袈裟じゃないか?まさかそんな訳ないだろう?」聡志と長田は隙を見てこそっと話をした。

 「先生は父ちゃんの事を知らないから・・・」孝一は肩を落とす。

 結局、練習の話は進まず聡志は長田の父親と話しが弾み、あっと言う間に時間は過ぎた。

 聡志がアパートに帰り着いたのは午前様になっていた。

 孝一は嫌がっていたが、孝介が食事の席に加わったことや、隣に座り肩を回された事は聡志にとって胸が高鳴る出来ごとだった・・・
 

 
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