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64 みんなの未来③【最終話】
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お茶会の場は、そのまま結婚式の打ち合わせの場となった。
ジュリアス様は「結婚式は俺が執り行なう」と申し出てくださるし、サラ様の歌と踊りを披露していただけるそうだ。なんとお恐れ多い。「ついでに、オール様も降臨させるね」なんて、軽くおっしゃるけれど、本気だろうか。
私が結婚の意思を固めたことに大喜びの両家は、進学くらいお安い御用と言わんばかりに、あっさり認めてくれた。
話はとんとん拍子に進み、私の卒業と同時に、王都の神殿で結婚式が行われることが、正式に発表された。
数々の伝説を残すギルツ家の結婚は、国内外に大きな影響を与えたらしく、街はお祭り騒ぎとなり、外国からの観光客も増えたと聞く。
そんなに盛り上がってしまうと、皆さまのご期待に沿えるだろうかと不安になるけれど、やるしかない。
瞬く間に時は過ぎ、式の日を迎えた。
約束していた通り、ジュリアス神官のもと、サラ様の歌と舞が奉納された。神秘的な雰囲気に、皆さまがうっとりしている。私も心を奪われてしまった。
「……なんてステキなの」
「驚くのはこれからだよ」
「え、どういう……」
その時、目も眩まんばかりの閃光と爆音が轟き、長い金髪をなびかせて美しい男性が神殿へ出現した。
「あ、あ、あれは……?」
「オール様だよ」
「えええっ!?」
「アリス、せっかく美人なんだから、顔を整えようね」
「で、でも、神、神様だよ!?」
スッと、ジュリアス様が右手をあげて、神殿にいる人たちに冷静になるよう促す。
「お鎮まりください。皆さまにご紹介しましょう。このお方こそ、我らが主、光の神オール様です。聖女サラの求めに応じて、この場においでくださいました。
お目にかかれるなんて、なんと光栄なことでしょう。私たちが平和で幸せに暮らせるのは、オール様のおかげだということを、改めて心に刻み、感謝の祈りを捧げようではありませんか」
ジュリアス様の巧みな話術で、会場は落ち着きを取り戻し、荘厳な祈りの場となった。
(オール様は、絵画よりもお美しいなんて眼福、眼福)
私はホクホクしながら、目の前の奇跡に感謝した。緩んだ顔のまま祈り終えると、オール様は何か思うところがあるのか、私をじっと見つめている。
(もしかして、心を読まれたかな!?)
そうだとしたら恥ずかしすぎるが、美丈夫を前にして、ウキウキするなという方が無理なのだ。
(イケメンをイケメンと称えて、何が悪い!)
神を前にして、私は開き直った。
すると、彼は私へ向かって、そっと手を伸ばす。怒られるかと身構えたとき、私とラウル様が光で包まれた。
(ななななに、これーっ!)
光はほのかに温かく、体の隅々まで染み渡っていくのが分かる。
「招いてくれた礼に、ラウルとアリスへ祝福を与えよう。皆の幸せを祈っている」
それだけ言うと、オール様は光を放って消えてしまった。神殿には、しばし沈黙が流れる。
その後、爆発的な歓声に神殿は揺れた。会場にいた者も、神殿の外から見ていた者も、オール様にお目にかかれたと大興奮だ。
私は、なんとか正気を取り戻し、ラウル様と共に、婚姻の誓約書にサインする。字が踊っているのは、大目に見て欲しい。
こうして二人は夫婦となり、敗者復活戦は終わりを告げた。
敗者復活戦に参加していた皆さんには、結婚の発表に合わせて礼文を届けている。返事の手紙には、「二人の幸せを祈っています」「ラウルなら仕方ありません」「青春の日々をありがとう」と、嬉しい言葉が数多く書かれていた。
彼らを含めた、たくさんの人に支えられて、私たちはここまで来た。こうして二人で並んでいると、感慨深いものがある。
過去を懐かしみ、じっと彼を見つめると、私の視線に気付いて微笑んでくれた。
ジュリアス様は、式のクライマックスである、誓いのキスをするように促す。
(とうとう、この時が来てしまった)
まな板の鯉とは、こんな気分なのだろう。ベールを上げる時、「今回だけは許してくれるね?」とラウル様は、人前で行うことに許可を求めた。
ダメと言えるものなら言う。恥ずかしいけれど、避けては通れない道なのだ。
「お手柔らかにお願いします」
彼は破顔して「もちろん」と優しく口付けする。その瞬間、神殿は大いに盛り上がり、「おめでとう!」「お幸せに!」と二人の門出を祝ってくれた。
照れくさいけれど、幸せな時間。
これから、いろんな困難が訪れるかもしれないけれど、彼となら乗り越えて行けると思う。
「よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
ラウル様と手を取り合って、皆さまに深く礼をした。これからも、よろしくお願いしますとの気持ちを込めて。
*~*~*~*~
ここからはアリスに代わり、神である私が、少し未来のことを話そう。
ユルとローズは後に結婚し、二つの国は一つとなった。政略結婚ではないと聞いて両国の民は驚嘆したが、とても好意的に受け入れた。
だが、国の統一は簡単なことではない。互いの文化や風習、言語に宗教など、最大限に配慮しつつ、互いを尊重して共存の道を模索している。
また、ローズは国際的な問題に対して、国の垣根を越えて協力し合える仕組み作りに尽力し、各国へ連携を呼びかけた。そして、国際会議や国際裁判が行える体制を整え、見事実現させたのだ。
クロードは、民間レベルで両国の橋渡しに尽力している。彼が保証人になった八名には、高い知性と能力に加え、ユルにはない方面にも人脈があった。彼らの協力により、目立った混乱もない。
ユルと彼らの間にあった、わだかまりは随分と薄れた。クロードに仲介してもらって食事会が設けられ、その後も、手紙による情報交換や交流が続いている。
もう大丈夫だと判断し、「八名を帰国されてもいい」とジュリアスを通してクロードへ連絡した。彼らが祖国の地を踏むのも、遠い未来ではない。
レオンは、アリスの妹ソフィと結婚した。アリスに会いに行くうちに妹とも仲良くなったこともあり、両家の親が仲介したのだ。剣と盾の子孫が結ばれるということで、国中の注目を集めている。
アリスは、五人の子宝に恵まれたが、最後の一人が、まさかの男児だった。何百年も生まれなかった、待望の男の子である。これには、ラウルも腰を抜かし、アリスは何度も性別を確認した。
アリスの母が涙をこぼしながら、その子を抱いて言った。
「ようやく男の子が生まれたのは、恨みや、憎しみが消えたからなのかもしれないわ。両国の発展に尽くした、みんなのおかげね。きっとそうよ。だって、この子は、こんなに可愛いもの」
アリスとラウルは、母がそう言うのならと、訂正することはなかった。それでいい。
明るい未来を象徴する子どもの誕生は、タエキ国に大きな希望をもたらした。そして、婿取り大会は開催されない方向で話が進んでいる。
アリスの長女のために積み立てられていたお金は、民の生活向上に使われることになった。
主に、初等教育の充実だ。男女が等しく学べる機会を作り、身分や出自により生じる貧富の差のない社会を作るのが目的としている。
ちなみに、アリスとラウルは、休日になると、街のお菓子屋さんに顔を出している。二人は手を繋ぎ、幸せそうだ。
こんな穏やか日が、いつまでも続くことを二人は願っている。私も同じ思いだ。
平和は尊い。
どうか、
生まれた子どもは喜びを持って迎えられ、
家族から無条件で愛され、
きれいな水が飲めて、
食べ物や住むところに困ることなく、
清潔な衣服や学ぶ機会が与えられ、
未来に希望を持ち、
夢を語り合う友がいて、
賃金に見合った仕事が得られ、
愛する人と巡り合い、
差別を受けることなく、
差別をすることもなく、
全ての人が手を取り合って、
共に生きていけるような、
思いやりのある世界を作ってほしい。
そして、
自分からも他人からも傷付けられることなく、
自分も他人も傷付けることなく、
お互いの心に寄り添い、
流すのは喜びの涙だけであるように、
私は、そう祈らずにいられない。
全ての生きとし生けるものに幸あれ。
*~*~*~*~
おしまい
【登場人物】
アリス・ギルツ(建国の剣、伯爵家)
ラウル・トゥイナ(騎士)
ソフィ・ギルツ(アリスの妹)
カトリーヌ・ギルツ(アリスの母)
セザール・ギルツ(アリスの父)
フランソワ・ギルツ(アリスの祖父)
アンジェル・ギルツ(アリスの祖母)
ナタリー(メイド)
ソレイユ(馬)
ローズ・メィヒ(建国の法、タエキ国王女)
レオン・ティータ(建国の盾、公爵家)
マルセル(ラウルの友人、騎士)
ジル(家令)
リーズ(先生)
ジャン(騎士、門番)
クロード(ラウルの戦友)
ハゥラス(ミラーウ国出身、商人、ユル)
ユル・スカーナ(ミラーウ国王)
魔物になった人、八人(ユルの敵)
オール(光の神)
サラ(光の民)
ジュリアス(騎士、神官)
敗者復活戦に参加した皆さん
王立ブァナマ学園生徒の皆さん
街の皆さん、など
全ての登場人物が幸せになりますように。
ジュリアス様は「結婚式は俺が執り行なう」と申し出てくださるし、サラ様の歌と踊りを披露していただけるそうだ。なんとお恐れ多い。「ついでに、オール様も降臨させるね」なんて、軽くおっしゃるけれど、本気だろうか。
私が結婚の意思を固めたことに大喜びの両家は、進学くらいお安い御用と言わんばかりに、あっさり認めてくれた。
話はとんとん拍子に進み、私の卒業と同時に、王都の神殿で結婚式が行われることが、正式に発表された。
数々の伝説を残すギルツ家の結婚は、国内外に大きな影響を与えたらしく、街はお祭り騒ぎとなり、外国からの観光客も増えたと聞く。
そんなに盛り上がってしまうと、皆さまのご期待に沿えるだろうかと不安になるけれど、やるしかない。
瞬く間に時は過ぎ、式の日を迎えた。
約束していた通り、ジュリアス神官のもと、サラ様の歌と舞が奉納された。神秘的な雰囲気に、皆さまがうっとりしている。私も心を奪われてしまった。
「……なんてステキなの」
「驚くのはこれからだよ」
「え、どういう……」
その時、目も眩まんばかりの閃光と爆音が轟き、長い金髪をなびかせて美しい男性が神殿へ出現した。
「あ、あ、あれは……?」
「オール様だよ」
「えええっ!?」
「アリス、せっかく美人なんだから、顔を整えようね」
「で、でも、神、神様だよ!?」
スッと、ジュリアス様が右手をあげて、神殿にいる人たちに冷静になるよう促す。
「お鎮まりください。皆さまにご紹介しましょう。このお方こそ、我らが主、光の神オール様です。聖女サラの求めに応じて、この場においでくださいました。
お目にかかれるなんて、なんと光栄なことでしょう。私たちが平和で幸せに暮らせるのは、オール様のおかげだということを、改めて心に刻み、感謝の祈りを捧げようではありませんか」
ジュリアス様の巧みな話術で、会場は落ち着きを取り戻し、荘厳な祈りの場となった。
(オール様は、絵画よりもお美しいなんて眼福、眼福)
私はホクホクしながら、目の前の奇跡に感謝した。緩んだ顔のまま祈り終えると、オール様は何か思うところがあるのか、私をじっと見つめている。
(もしかして、心を読まれたかな!?)
そうだとしたら恥ずかしすぎるが、美丈夫を前にして、ウキウキするなという方が無理なのだ。
(イケメンをイケメンと称えて、何が悪い!)
神を前にして、私は開き直った。
すると、彼は私へ向かって、そっと手を伸ばす。怒られるかと身構えたとき、私とラウル様が光で包まれた。
(ななななに、これーっ!)
光はほのかに温かく、体の隅々まで染み渡っていくのが分かる。
「招いてくれた礼に、ラウルとアリスへ祝福を与えよう。皆の幸せを祈っている」
それだけ言うと、オール様は光を放って消えてしまった。神殿には、しばし沈黙が流れる。
その後、爆発的な歓声に神殿は揺れた。会場にいた者も、神殿の外から見ていた者も、オール様にお目にかかれたと大興奮だ。
私は、なんとか正気を取り戻し、ラウル様と共に、婚姻の誓約書にサインする。字が踊っているのは、大目に見て欲しい。
こうして二人は夫婦となり、敗者復活戦は終わりを告げた。
敗者復活戦に参加していた皆さんには、結婚の発表に合わせて礼文を届けている。返事の手紙には、「二人の幸せを祈っています」「ラウルなら仕方ありません」「青春の日々をありがとう」と、嬉しい言葉が数多く書かれていた。
彼らを含めた、たくさんの人に支えられて、私たちはここまで来た。こうして二人で並んでいると、感慨深いものがある。
過去を懐かしみ、じっと彼を見つめると、私の視線に気付いて微笑んでくれた。
ジュリアス様は、式のクライマックスである、誓いのキスをするように促す。
(とうとう、この時が来てしまった)
まな板の鯉とは、こんな気分なのだろう。ベールを上げる時、「今回だけは許してくれるね?」とラウル様は、人前で行うことに許可を求めた。
ダメと言えるものなら言う。恥ずかしいけれど、避けては通れない道なのだ。
「お手柔らかにお願いします」
彼は破顔して「もちろん」と優しく口付けする。その瞬間、神殿は大いに盛り上がり、「おめでとう!」「お幸せに!」と二人の門出を祝ってくれた。
照れくさいけれど、幸せな時間。
これから、いろんな困難が訪れるかもしれないけれど、彼となら乗り越えて行けると思う。
「よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
ラウル様と手を取り合って、皆さまに深く礼をした。これからも、よろしくお願いしますとの気持ちを込めて。
*~*~*~*~
ここからはアリスに代わり、神である私が、少し未来のことを話そう。
ユルとローズは後に結婚し、二つの国は一つとなった。政略結婚ではないと聞いて両国の民は驚嘆したが、とても好意的に受け入れた。
だが、国の統一は簡単なことではない。互いの文化や風習、言語に宗教など、最大限に配慮しつつ、互いを尊重して共存の道を模索している。
また、ローズは国際的な問題に対して、国の垣根を越えて協力し合える仕組み作りに尽力し、各国へ連携を呼びかけた。そして、国際会議や国際裁判が行える体制を整え、見事実現させたのだ。
クロードは、民間レベルで両国の橋渡しに尽力している。彼が保証人になった八名には、高い知性と能力に加え、ユルにはない方面にも人脈があった。彼らの協力により、目立った混乱もない。
ユルと彼らの間にあった、わだかまりは随分と薄れた。クロードに仲介してもらって食事会が設けられ、その後も、手紙による情報交換や交流が続いている。
もう大丈夫だと判断し、「八名を帰国されてもいい」とジュリアスを通してクロードへ連絡した。彼らが祖国の地を踏むのも、遠い未来ではない。
レオンは、アリスの妹ソフィと結婚した。アリスに会いに行くうちに妹とも仲良くなったこともあり、両家の親が仲介したのだ。剣と盾の子孫が結ばれるということで、国中の注目を集めている。
アリスは、五人の子宝に恵まれたが、最後の一人が、まさかの男児だった。何百年も生まれなかった、待望の男の子である。これには、ラウルも腰を抜かし、アリスは何度も性別を確認した。
アリスの母が涙をこぼしながら、その子を抱いて言った。
「ようやく男の子が生まれたのは、恨みや、憎しみが消えたからなのかもしれないわ。両国の発展に尽くした、みんなのおかげね。きっとそうよ。だって、この子は、こんなに可愛いもの」
アリスとラウルは、母がそう言うのならと、訂正することはなかった。それでいい。
明るい未来を象徴する子どもの誕生は、タエキ国に大きな希望をもたらした。そして、婿取り大会は開催されない方向で話が進んでいる。
アリスの長女のために積み立てられていたお金は、民の生活向上に使われることになった。
主に、初等教育の充実だ。男女が等しく学べる機会を作り、身分や出自により生じる貧富の差のない社会を作るのが目的としている。
ちなみに、アリスとラウルは、休日になると、街のお菓子屋さんに顔を出している。二人は手を繋ぎ、幸せそうだ。
こんな穏やか日が、いつまでも続くことを二人は願っている。私も同じ思いだ。
平和は尊い。
どうか、
生まれた子どもは喜びを持って迎えられ、
家族から無条件で愛され、
きれいな水が飲めて、
食べ物や住むところに困ることなく、
清潔な衣服や学ぶ機会が与えられ、
未来に希望を持ち、
夢を語り合う友がいて、
賃金に見合った仕事が得られ、
愛する人と巡り合い、
差別を受けることなく、
差別をすることもなく、
全ての人が手を取り合って、
共に生きていけるような、
思いやりのある世界を作ってほしい。
そして、
自分からも他人からも傷付けられることなく、
自分も他人も傷付けることなく、
お互いの心に寄り添い、
流すのは喜びの涙だけであるように、
私は、そう祈らずにいられない。
全ての生きとし生けるものに幸あれ。
*~*~*~*~
おしまい
【登場人物】
アリス・ギルツ(建国の剣、伯爵家)
ラウル・トゥイナ(騎士)
ソフィ・ギルツ(アリスの妹)
カトリーヌ・ギルツ(アリスの母)
セザール・ギルツ(アリスの父)
フランソワ・ギルツ(アリスの祖父)
アンジェル・ギルツ(アリスの祖母)
ナタリー(メイド)
ソレイユ(馬)
ローズ・メィヒ(建国の法、タエキ国王女)
レオン・ティータ(建国の盾、公爵家)
マルセル(ラウルの友人、騎士)
ジル(家令)
リーズ(先生)
ジャン(騎士、門番)
クロード(ラウルの戦友)
ハゥラス(ミラーウ国出身、商人、ユル)
ユル・スカーナ(ミラーウ国王)
魔物になった人、八人(ユルの敵)
オール(光の神)
サラ(光の民)
ジュリアス(騎士、神官)
敗者復活戦に参加した皆さん
王立ブァナマ学園生徒の皆さん
街の皆さん、など
全ての登場人物が幸せになりますように。
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