婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました

神村 月子

文字の大きさ
上 下
34 / 65

34 回想・クロード①(ラウル視点)

しおりを挟む
それからは毎日のようにセックスした・・・かと言えば、必ずしもそうではなかった。
4日目くらいに七海は、3日間セックスは控えようと優太に言った。

「ええ~? なんで? しかも3日間って・・・」

残念がる彼に七海は少し言いにくそうに、「順調ならその辺りが排卵日ですから・・・」と告げた。
祖父の関係者の男性から言われた、『自分を大切にしなさい』ということを守りたい、とも。

「コンドームって、必ずしも100%安全でないと最近知りました。今まではそんなことも意識せずに、セックスしてきましたが・・・」
「・・・」
「今まで相手の方にはコンドームしてもらってきたとは言え、あれほど遊んで妊娠することも病気に罹ることもなかったのは、本当に運が良かったと思います・・・。だから、いまこうして優太さんと一緒にいられるんだと、神様に感謝してます」

優太は、七海の最後の言葉がグッと胸に響いて、思わず彼女に抱きつく。
七海も彼を抱き返し、唇を重ねてくる。

熱いキスを交わし、お互いの体を弄りながら、お風呂に入ろうということになった。
洗面脱衣所で脱がせ合い、裸になって浴室へ。

いつものように、まずは七海が優太の体を洗う。
彼女は胸を彼の背中に密着させて、ビンビンに勃ったモノを後ろから回した手で優しく洗う。

「もうイキそうだ!」

彼の言葉が合図となり、七海はその寸前で止めて体を流す。
普段より冷たく感じる、ぬるい湯。

「お湯の温度を下げて32℃くらいにしました」

道理で浴室の中も少しひんやりと感じられたわけだ。
そして風呂椅子を交代して優太が七海の体を、心を込めて丁寧に洗う・・・イコうとするところを止められて高ぶった心を抑えながら。

乳房はもみ洗い、乳首はつまみ洗い、アソコはこすり洗い、いずれも大切なものを洗うようにソフトに。
七海の息が荒くなり、白い肌が赤みを帯びてきて、からだ全体で感じてくるようになると、優太も愛撫を止めて彼女に湯を掛けて洗い流す。

けれどもそれはむしろ、始まりの合図。
七海の前に回った優太は身を屈めて、彼女のアソコに吸い付くように顔を寄せる。

充血して柔らかく弾力のあるヒダを舌先でなぞり、あるいは吸い込むように口に含んで舐める。
彼女の敏感な突起も唇に挟んで、舌先で突つく。

七海は上体を反らせながら感じて優太の髪を掴むが、彼はもう遠慮もなく指を彼女の中に潜り込ませてさらに刺激する。

「優太さん・・・とてもいいです・・・気持ちいいです・・・もう私、イッてしまいそうです・・・あっ・・・ああっ!」

ついに七海は全身をガクガクと震わせ、掴んだ優太の髪を思い切り引っ張りながらイッた。
全身を赤く染めて激しく息を吐く彼女は、上体を半分屈めながら赤い顔を上げた。

「優太さん、湯船にゆっくり浸かって落ち着きませんか?」

優太も頷きながら、彼女の手を取ってぬるい湯に導く。

湯船の中ではふたり、縁を背に肩を寄せ合う。
ふたり密着しながら七海は優太に掴まるように手を添えて、彼は彼女のうなじや首筋、さらには湯の中の乳房に軽く触れる。

目も表情もうっとりとした七海。

「私、男の人と一緒にいて、ここまで心地よくて幸せな気分になったのは初めてです」

その言葉に嬉しくなって、彼女の肩に手を回して引き寄せる優太。
彼女も優太の肩に頭を乗せるようにしてくる。

このようなゆったりした時なら、逆に訊いてもいいのではないかと思い、優太はそれとなしに訊いてみる。

「七海さんに、もっと自分を大切にするようにって言ってくれた人、どんな人? 普段から交流のあるような?」

本当は、七海とその男性との間に男女の関係があったのではないかと、優太は心の奥底で疑いを消せずにいた。
ひょっとすると金銭のやり取りもあったのではないかとの疑いも。

いずれにしても聞くだけ無意味のような気がしており、しかも聞くことで彼女を傷つけてしまうのではないかという不安はあった。
だから漠然とした質問になってしまったが。

しかし七海は静かに答えた・・・遠い昔の思い出話のように。

「お祖父さんの関係者、とは言ったかもしれませんが、その方のお父さんにあたる方が、私のお祖父さんの援助者というかパトロンだったんです」
「・・・ええと、ということはその人も結構な年齢?」
「はい。そのようないきさつもあって、私は小さい時から本当の孫のように可愛がっていただいていました」
「だから親身になって心配もしてくれたんだ・・・」
「はい・・・本当に心配をかけてしまったと心が痛みます」

そこで七海は優太の正面に回り、ふたり向かい合うかたちになった。
悲しそうな、やるせなさそうな彼女の表情、そして瞳。

直視できずに優太は思わず視線を下ろすと、そこには揺れる水面越しに彼女のむき出しの乳房と、さらに下には恥毛。
慌てて優太は視線を上に向け直す。

そんな彼に軽くキスをしてから、話を続ける七海。

「実を言うと、その方から諭された当初はまだそれを守れなかったんです。お付き合いしていた4人の方との関係を断ち切れなくて・・・」
「別れるまで、時間がかかった・・・?」
「と言うより、決心がつくまでが長かったのです。私を決心させた一つが、その方が先日、急に亡くなったこと・・・そしてもうひとつが、優太さんと出会ったことです」

七海がそこまで真剣に優太を想ってくれていたことに、改めて胸がいっぱいになり裸どうしのまま湯の中で彼女を抱きしめた。
それまでにないくらいの激しいキスを交わしながら優太が感じるのは、彼の胸に密着する彼女の乳房の質感と、彼女の下腹を圧す彼のモノの存在。

七海は絡み合ったふたりの体を解いて彼の体を持ち上げるようにし、湯船の縁に腰掛けさせた。
湯に浸かったままの彼女のちょうど目の前に屹立する、彼のモノ。

「口では物足りないかもしれませんが、我慢してくださいね」

上目遣いでそう言って、モノを咥える七海。

(ガマンだなんて、とんでもない・・・)

そう彼女に告げようとしたが、いつになく濃密でいて細やかな七海の舌づかいに「うっ!」と呻くことしかできない優太。
彼女の口の中で射精するまでただ彼女の髪を撫で、後頭部のお団子を弄い続けた・・・。

・・・バスタオルを巻いた姿のままリビングのソファで海外ドラマを観ながらクーリングダウンし、それが一段落した頃に七海は見せたいものがあると言った。
彼女が部屋の隅の本棚から持ってきたのは、分厚い画集。

「初夏に出版されたばかりの、いちばん新しい画集です」

海外での販売も見越しているのだろうか、キャプションは英語が併記されている。
それをテーブルの上に広げゆっくりと開き、優太に「ご覧になってください」と呼びかけた。

白いブラウスにえんじ色のスカート、色白な美しい少女が椅子に腰掛け、手もとの本のページをめくりながら微笑む油絵・・・モデルは七海だと分かったが、幼さが残る。

「中学生になる前の春休みに、初めてここに長く滞在した時にモデルをした絵です」

それから彼女はページをめくり、次々に彼女がモデルとなった絵を見せた。
スクール水着で浜辺で横座りする姿、浴衣で涼む姿、正月だろうか・・・晴れ着姿、そして春の陽光の中で桜の花を愛でる姿・・・。

「はぁ~、きれいだ・・・」

優太は思わず声に出してしまったが、七海の可憐さが強調されて描かれた絵ばかりだった。
その中のひとつのページ・・・とりわけ彼女が美しく描かれた絵があった。

麦わら帽子にジーンズ姿の彼女が、子犬を抱きかかえながら空の一点を見つめるような絵。
『明日/Tomorrow』というタイトルが付けられていたが、彼女はそれとは別の一点を指で指し示した。

『個人蔵(下原孝俊 所蔵)』とあった。
何ごとかと訝りながら、七海の方を見る優太。

「私に生まれ変わる決心をさせてくれた方です・・・優太さんは知らないと思いますが、この方はここ地元では悪い評判ばかりなのです・・・なのになぜか少なくとも私には優しく、気にかけてくださったのです・・・」

そこで優太ははっとした。
彼の祖父を散々苦しめたという人・・・その人の死を知った祖母をして『お仏壇に報告して、お赤飯炊きたいくらい』とまで言わしめた、極悪人。

けれどもそれは七海に言わないでおこうと思った。
・・・いや、言う必要もないだろう・・・そう自分に言い聞かせ、一生有効の封印をした。

それからいくつか、七海をモデルにした絵が続いた。
おそらくは、ゴールデンウィークやシルバーウィークにも画家のもとに滞在していたのだろう。

真斗の『あの画家の孫・・・あんまり男遊びが激しくて、休みのたんびにこっちに隔離されてんだ』という言葉がいきなり頭の中に再生され、心が波立つ。
それをぐっと抑え、心を落ち着かせようとする彼に七海は言った。

「本当に見せたいものは、別にあります」

バスタオル姿のまま案内されたのは、画家のアトリエ。
画架イーゼルに一枚のカンバスが架かり、その脇に立つ七海。

優太はその直前までの心のモヤモヤを吹き飛ばされ、心がその絵に釘付けとなった。
明るい光の中、虚空を見つめながら両手を拡げて光を受け止めるように立って微笑む裸の少女。

「これが、お祖父さんの最新作・・・『再生』ってタイトルらしいです・・・。優太さんに、私がモデルになった絵の最初の鑑賞者になってほしくて・・・。お祖父さんにはナイショですが」
「はぁ~・・・この絵、素直に欲しい」
「ありがとうございます。そう言っていただけて、嬉しいです・・・。でも、実物はもう優太さんのすぐとなりにいますよ」

七海はバスタオルをはらりと脱ぎ捨て、優太に抱きついてきた。
優太も七海を強く抱きしめ返した。

抱きしめながら、彼女に対する最後の疑問を問うた。

「でも、どうして七海さんみたいな人が、僕みたいな人間と・・・?」

彼女は彼から離れた。
じっと彼の目を見据え、はっきりとした口調で答えた。

「人が人を好きになるということに、言葉で説明できるような理由が必要でしょうか?」

そしてより一層強く抱きついてきた。
優太は胸に熱いものがこみ上げるのを感じながら、彼女の髪をひたすら撫でた・・・。

・・・約束の3日間が過ぎると、再びふたりはセックスに明け暮れた。
もうお互いに学校の宿題も終わらせてしまっていたし、コンドームも七海が『サセ子』だった頃のグロス入りの箱に残っていたから、何の心配も心置きもなく。

その合間に、裸のままで映画やドラマなどを観たり、珍しいお菓子や果物でおやつを取ったり。
しかしふたりが夢のような日々を過ごす間にも、秋の気配はだんだんとイナカの集落の風景の中に浸透するように忍び寄ってきた。

いや、カレンダーも冷酷に一日一日を刻んでいき、七海より一足先に優太が集落を離れる日がやってきた。
祖母が空港まで送ろうかと言ってくれたが、優太はそれを遠慮した。

七海が一緒にバスに乗って、X市のバスターミナルまで見送りに行ってくれることになっていたのだ。
昼食後に優太は祖母に1か月あまりの滞在の礼を言って、待ち合わせ場所のバス停・・・ふたりが初めて出会った場所に向かった。

国道に通じる一本道は相変わらずの照り返しだったが、見上げる空はますます高くなって見えた。
ここに来たときには真っ黒と言っていいくらい黒々と見えた山の緑も、すっかり色あせて普通の濃緑。

シルバーウィークは無理にしても、両親に頼み込んで、年末年始にはまたここに戻ってこようと優太は決めていた。
その時には、どんな空の色、山の色、海の色が見られるのだろう・・・しかし優太にとっては、七海もまた画家のもとに滞在していることが大事だった。

緩い上り坂のうえに石ころだらけの道を突っかかりながら、重い荷物を詰めたキャリーバッグを引っ張っていく。
そして国道まで出ると、バス停には白いワンピースの七海が白い日傘を差しながら優太を待っていた。

七海は優太に気がつくと、にこやかに手を振ってみせた。

(完)
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた

迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」  待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。 「え……あの、どうし……て?」  あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。  彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。 ーーーーーーーーーーーーー  侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。  吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。  自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。  だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。  婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。 ※基本的にゆるふわ設定です。 ※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます ※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。 ※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。 ※※しれっと短編から長編に変更しました。(だって絶対終わらないと思ったから!)  

【完結】公爵令嬢は、婚約破棄をあっさり受け入れる

櫻井みこと
恋愛
突然、婚約破棄を言い渡された。 彼は社交辞令を真に受けて、自分が愛されていて、そのために私が必死に努力をしているのだと勘違いしていたらしい。 だから泣いて縋ると思っていたらしいですが、それはあり得ません。 私が王妃になるのは確定。その相手がたまたま、あなただった。それだけです。 またまた軽率に短編。 一話…マリエ視点 二話…婚約者視点 三話…子爵令嬢視点 四話…第二王子視点 五話…マリエ視点 六話…兄視点 ※全六話で完結しました。馬鹿すぎる王子にご注意ください。 スピンオフ始めました。 「追放された聖女が隣国の腹黒公爵を頼ったら、国がなくなってしまいました」連載中!

余命3ヶ月を言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のセイラは、ずっと孤独の中生きてきた。自分に興味のない父や婚約者で王太子のロイド。 特に王宮での居場所はなく、教育係には嫌味を言われ、王宮使用人たちからは、心無い噂を流される始末。さらに婚約者のロイドの傍には、美しくて人当たりの良い侯爵令嬢のミーアがいた。 ロイドを愛していたセイラは、辛くて苦しくて、胸が張り裂けそうになるのを必死に耐えていたのだ。 毎日息苦しい生活を強いられているせいか、最近ずっと調子が悪い。でもそれはきっと、気のせいだろう、そう思っていたセイラだが、ある日吐血してしまう。 診察の結果、母と同じ不治の病に掛かっており、余命3ヶ月と宣言されてしまったのだ。 もう残りわずかしか生きられないのなら、愛するロイドを解放してあげよう。そして自分は、屋敷でひっそりと最期を迎えよう。そう考えていたセイラ。 一方セイラが余命宣告を受けた事を知ったロイドは… ※両想いなのにすれ違っていた2人が、幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いいたします。 他サイトでも同時投稿中です。

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな
恋愛
 子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。 公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。  クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。  クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。 「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」 「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」 「ファンティーヌが」 「ファンティーヌが」  だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。 「私のことはお気になさらず」

手放したくない理由

ねむたん
恋愛
公爵令嬢エリスと王太子アドリアンの婚約は、互いに「務め」として受け入れたものだった。貴族として、国のために結ばれる。 しかし、王太子が何かと幼馴染のレイナを優先し、社交界でも「王太子妃にふさわしいのは彼女では?」と囁かれる中、エリスは淡々と「それならば、私は不要では?」と考える。そして、自ら婚約解消を申し出る。 話し合いの場で、王妃が「辛い思いをさせてしまってごめんなさいね」と声をかけるが、エリスは本当にまったく辛くなかったため、きょとんとする。その様子を見た周囲は困惑し、 「……王太子への愛は芽生えていなかったのですか?」 と問うが、エリスは「愛?」と首を傾げる。 同時に、婚約解消に動揺したアドリアンにも、側近たちが「殿下はレイナ嬢に恋をしていたのでは?」と問いかける。しかし、彼もまた「恋……?」と首を傾げる。 大人たちは、その光景を見て、教育の偏りを大いに後悔することになる。

結婚なんてしなければよかった。

haruno
恋愛
夫が選んだのは私ではない女性。 蔑ろにされたことを抗議するも、夫から返ってきたのは冷たい言葉。 結婚なんてしなければよかった。

婚約破棄された公爵令嬢は本当はその王国にとってなくてはならない存在でしたけど、もう遅いです

神崎 ルナ
恋愛
ロザンナ・ブリオッシュ公爵令嬢は美形揃いの公爵家の中でも比較的地味な部類に入る。茶色の髪にこげ茶の瞳はおとなしめな外見に拍車をかけて見えた。そのせいか、婚約者のこのトレント王国の王太子クルクスル殿下には最初から塩対応されていた。 そんな折り、王太子に近付く女性がいるという。 アリサ・タンザイト子爵令嬢は、貴族令嬢とは思えないほどその親しみやすさで王太子の心を捕らえてしまったようなのだ。 仲がよさげな二人の様子を見たロザンナは少しばかり不安を感じたが。 (まさか、ね) だが、その不安は的中し、ロザンナは王太子に婚約破棄を告げられてしまう。 ――実は、婚約破棄され追放された地味な令嬢はとても重要な役目をになっていたのに。 (※誤字報告ありがとうございます)

処理中です...