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一時休戦、話し合い
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つい数分ほど前まで、ティエントの言葉にもあった通り下層のほぼ全てを白く染めていた、フェンの秘技である【白雪祭典《ホワイトフェスタ》】──。
だが今は、ガウリアからの命令にも近い提案を、フェン自身からの妥協案を受け入れさせた事で、すっかり元の風景に戻っていた。
もちろん、これは他の誰の為でもない。
あのままでは、そう時間もかからないうちに、スタークは凍死していただろうからだ。
何であれば、フェアトたちが乱入する前から──もっと言うと、フェンが秘技を発動させた瞬間から凍死寸前だったようなのだが。
「──そいつ、まだ起きへんのか?」
「……みたいですね」
「……さよか」
それゆえか、こうして数分ほど経った今でも彼女は目を覚まさず、ごつごつとした迷宮の地面に正座するフェアトの膝枕で眠るスタークを見て、エステルは露骨に溜息をつく。
あれだけ好き勝手に暴れておいて、ようやくこちらの有利に持ち込んだかと思えば、そこで救援に来た妹の膝で穏やかに眠っているのだから呆れるなと言う方が難しいだろう。
尤も、フェアトたちにとって彼女の怒りを呆れが上回ってくれた事は僥倖だった筈だ。
何せ相手は並び立つ者たちの序列五位と六位、姉がまともな状態でない今の状況で挑むのは、どう考えても得策ではないのだから。
「──……そんで? どっちから話すんや」
その後、『話がしたい』と言っていたフェンと、それを受け入れたフェアトの両名に顔を向けたエステルの低い声音の問いかけに。
「……私から話してもいいですか?」
「あれ、いいの? じゃあお願いしようかな」
五位と六位がこんなところにいるのも気にはなるが、まずは身の上を明らかにして牽制すべきかと判断して声を上げたフェアトに対し、フェンはきょとんとしつつも先を促す。
しっかりと思惑があったフェアトとは対照的に、どうやら彼は『話がしたい』と言いだしたのは自分なのに、フェアトに先に話させる事を純粋に申し訳なく思っていたようだ。
……何とも魔族らしくないものの、二十六体もいれば様々な性格の個体がいるという事なのだろうが──……まぁそれはさておき。
フェアトは、エステルとフェンに対して普段なら明かせない秘密の全てを語り始める。
ガウリアとティエントも結局のところ居合わせたままだったが、これから話す事の殆どはすでに二人も知っている為、問題はない。
自分たちが勇者と聖女の娘である事、後ろに控える【竜種】が紛れもない神晶竜である事、聖女が辺境の地にて存命である事、旅の目的が並び立つ者たちの討伐である事──。
そして、すでに十体近くの並び立つ者たちを討伐したという事実をも明かしたうえで。
「──と、まぁそんなところですね。 こちらは魔奔流《スタンピード》の収束後、流砂でここまで流された姉さんを探すのに協力してくださった鉱人《ドワーフ》のガウリアさん、獣人のティエントさんです」
「……なるほど、なるほどねぇ……」
「「……っ」」
身の上を話し終えるとともに、その話には出てこなかった『迷宮に潜った理由』と『後ろに控える二人』についてを言及し、それらを真剣な表情で聞いていたフェンの幼くも見える姿からは想像もできない『強者特有の圧力』に、ガウリアたちが思わず息を呑む中。
「魔奔流《スタンピード》っちゅーと、ガボルのデブが起こしたやつやろ? そら何とも間の悪いこっちゃ」
一体どこから取り出したのかも分からない骨つきの生肉を齧りつつ、つい先程まで上の砂漠で起きていた魔奔流《スタンピード》を起こしたのが序列七位である、と知っていたらしいエステル。
知っていて止めなかったのか──とは思ったものの、そもそも彼女も元魔族なのだから止めるわけがないと思い直して首を振ったフェアトは、とりあえず確認せんと口を開き。
「ガボル……序列七位で合ってますよね」
「せやな──……ん?」
あの野蚯蚓《のみみず》の体液が持っていた性質を考えれば間違いない筈だとは分かっていたが、それでも念の為にと問いかけたところ、エステルはあっさりと首を縦に振りはしたものの。
「……何で知ってんねん、あいつの序列」
「え? あぁ、それは──」
ちょい待ち、とメモの事を知らない彼女は何故フェアトがガボルの序列を知っていたのかを気にし、それを証明する為に懐からメモを取り出そうと──……取り出そうとして。
「……あっ、と……」
「あ?」
……手元にない事を思い出した。
「あー……今は持ってないんですけど、どこにどんな並び立つ者たちがいるのかが記されたメモを渡されてたんです──序列一位に」
「「!」」
その理由を告げる必要はないだろうが、それでも事実は伝えなければ理解してもらえないだろうと判断し、フェアトは二人も属していた並び立つ者たちの序列一位、人間の少女に転生したあの元魔族との接触を示唆する。
それを耳にした二人は驚愕とまではいかずとも、そこそこびっくりした表情を浮かべ。
「序列一位? まさかとは思うけど──」
「……」
「……まぁ、そうだよね……」
もしかして倒しちゃったの──という、フェアトたちの旅の目的を踏まえたうえで、ありえないとは分かっていても聞かないわけにはいかない類の質問をしたフェンに対し、フェアトがゆっくり首を横に振った事により。
安堵からなのか、それとも別の感情からなのか分からない溜息を彼がこぼす一方──。
「……あのチビ助、いらん事ばっかしよる」
「……ばっか?」
多分アストリットの事を指しているのだろう蔑称も気にかかるが、おそらく『余計な事ばっかり』という意味なのだろう訛りの強い愚痴の方が気になり、それを疑問にすると。
「実はね? ボクらをここに配置したのも、その序列一位──……アストリットなんだよ」
「そう、なんですか?」
「……まぁ、せやけどな」
ちょうどよかったと言わんばかりに、のそのそとかまくらから上半身だけを出し始めたフェンが、そもそも自分たちを迷宮に連れてきたのもまたアストリットだと明かし、それを確認せんとしたフェアトの問いかけに、エステルは何やら苦い顔で紫色の長髪を掻く。
気にくわない──とでも言いたげだ。
「……どうして、って聞いてもいいですか」
「もちろん。 ねぇ、エステル」
「……好きにせぇや」
それは何となく察せられたが、とはいえ聞き出さない事には始まらないというのも事実である為、おずおずと声をかけたフェアトに対し、フェンとエステルは肯定の意を示す。
「……転生してすぐ、ボクら二人をここに連れてきたあの子は──……こう言ったんだ」
そして、いよいよとばかりに本題に入らんとしたフェンの口から告げられたのは、およそ五ほど前に二人が転生してすぐに、アストリットの力で迷宮に連れて来られた時の事であり、その時あの少女が口にしたのは──。
「この扉の奥──……正確にはもっと奥、大陸の中心部と言い換えてもいいくらい奥に」
フェンだけでなく、この場にいる全員の視界に映るあの大きな扉の向こう、その更に奥に位置するヴィルファルト大陸の中心部に。
「XYZの一角を封印したから見張れって」
「な……っ!?」
『『りゅう!?』』
かつての魔王カタストロが生み出し、されど彼自身が手に負えないほどの力を有してしまった三体の異形の魔族──『これ以上はない』という事を意味する、XYZのうちの一体を封印したというとんでもない事実であり。
フェアトはもちろんの事、人語を話す事こそできずとも人間以上の知能を有する神晶竜たちもが、その衝撃的な発言に驚く中──。
(……なぁ、じーぜっとって何だ……?)
(聞ける雰囲気じゃないだろ? 黙っときな)
……蚊帳の外どころか、もはや存在を知覚されていにいのではないかというほど──少なくとも元魔族側からは──影が薄くなってしまっていたガウリアたちは、ただただ黙って話に耳を傾ける事しかできていなかった。
だが今は、ガウリアからの命令にも近い提案を、フェン自身からの妥協案を受け入れさせた事で、すっかり元の風景に戻っていた。
もちろん、これは他の誰の為でもない。
あのままでは、そう時間もかからないうちに、スタークは凍死していただろうからだ。
何であれば、フェアトたちが乱入する前から──もっと言うと、フェンが秘技を発動させた瞬間から凍死寸前だったようなのだが。
「──そいつ、まだ起きへんのか?」
「……みたいですね」
「……さよか」
それゆえか、こうして数分ほど経った今でも彼女は目を覚まさず、ごつごつとした迷宮の地面に正座するフェアトの膝枕で眠るスタークを見て、エステルは露骨に溜息をつく。
あれだけ好き勝手に暴れておいて、ようやくこちらの有利に持ち込んだかと思えば、そこで救援に来た妹の膝で穏やかに眠っているのだから呆れるなと言う方が難しいだろう。
尤も、フェアトたちにとって彼女の怒りを呆れが上回ってくれた事は僥倖だった筈だ。
何せ相手は並び立つ者たちの序列五位と六位、姉がまともな状態でない今の状況で挑むのは、どう考えても得策ではないのだから。
「──……そんで? どっちから話すんや」
その後、『話がしたい』と言っていたフェンと、それを受け入れたフェアトの両名に顔を向けたエステルの低い声音の問いかけに。
「……私から話してもいいですか?」
「あれ、いいの? じゃあお願いしようかな」
五位と六位がこんなところにいるのも気にはなるが、まずは身の上を明らかにして牽制すべきかと判断して声を上げたフェアトに対し、フェンはきょとんとしつつも先を促す。
しっかりと思惑があったフェアトとは対照的に、どうやら彼は『話がしたい』と言いだしたのは自分なのに、フェアトに先に話させる事を純粋に申し訳なく思っていたようだ。
……何とも魔族らしくないものの、二十六体もいれば様々な性格の個体がいるという事なのだろうが──……まぁそれはさておき。
フェアトは、エステルとフェンに対して普段なら明かせない秘密の全てを語り始める。
ガウリアとティエントも結局のところ居合わせたままだったが、これから話す事の殆どはすでに二人も知っている為、問題はない。
自分たちが勇者と聖女の娘である事、後ろに控える【竜種】が紛れもない神晶竜である事、聖女が辺境の地にて存命である事、旅の目的が並び立つ者たちの討伐である事──。
そして、すでに十体近くの並び立つ者たちを討伐したという事実をも明かしたうえで。
「──と、まぁそんなところですね。 こちらは魔奔流《スタンピード》の収束後、流砂でここまで流された姉さんを探すのに協力してくださった鉱人《ドワーフ》のガウリアさん、獣人のティエントさんです」
「……なるほど、なるほどねぇ……」
「「……っ」」
身の上を話し終えるとともに、その話には出てこなかった『迷宮に潜った理由』と『後ろに控える二人』についてを言及し、それらを真剣な表情で聞いていたフェンの幼くも見える姿からは想像もできない『強者特有の圧力』に、ガウリアたちが思わず息を呑む中。
「魔奔流《スタンピード》っちゅーと、ガボルのデブが起こしたやつやろ? そら何とも間の悪いこっちゃ」
一体どこから取り出したのかも分からない骨つきの生肉を齧りつつ、つい先程まで上の砂漠で起きていた魔奔流《スタンピード》を起こしたのが序列七位である、と知っていたらしいエステル。
知っていて止めなかったのか──とは思ったものの、そもそも彼女も元魔族なのだから止めるわけがないと思い直して首を振ったフェアトは、とりあえず確認せんと口を開き。
「ガボル……序列七位で合ってますよね」
「せやな──……ん?」
あの野蚯蚓《のみみず》の体液が持っていた性質を考えれば間違いない筈だとは分かっていたが、それでも念の為にと問いかけたところ、エステルはあっさりと首を縦に振りはしたものの。
「……何で知ってんねん、あいつの序列」
「え? あぁ、それは──」
ちょい待ち、とメモの事を知らない彼女は何故フェアトがガボルの序列を知っていたのかを気にし、それを証明する為に懐からメモを取り出そうと──……取り出そうとして。
「……あっ、と……」
「あ?」
……手元にない事を思い出した。
「あー……今は持ってないんですけど、どこにどんな並び立つ者たちがいるのかが記されたメモを渡されてたんです──序列一位に」
「「!」」
その理由を告げる必要はないだろうが、それでも事実は伝えなければ理解してもらえないだろうと判断し、フェアトは二人も属していた並び立つ者たちの序列一位、人間の少女に転生したあの元魔族との接触を示唆する。
それを耳にした二人は驚愕とまではいかずとも、そこそこびっくりした表情を浮かべ。
「序列一位? まさかとは思うけど──」
「……」
「……まぁ、そうだよね……」
もしかして倒しちゃったの──という、フェアトたちの旅の目的を踏まえたうえで、ありえないとは分かっていても聞かないわけにはいかない類の質問をしたフェンに対し、フェアトがゆっくり首を横に振った事により。
安堵からなのか、それとも別の感情からなのか分からない溜息を彼がこぼす一方──。
「……あのチビ助、いらん事ばっかしよる」
「……ばっか?」
多分アストリットの事を指しているのだろう蔑称も気にかかるが、おそらく『余計な事ばっかり』という意味なのだろう訛りの強い愚痴の方が気になり、それを疑問にすると。
「実はね? ボクらをここに配置したのも、その序列一位──……アストリットなんだよ」
「そう、なんですか?」
「……まぁ、せやけどな」
ちょうどよかったと言わんばかりに、のそのそとかまくらから上半身だけを出し始めたフェンが、そもそも自分たちを迷宮に連れてきたのもまたアストリットだと明かし、それを確認せんとしたフェアトの問いかけに、エステルは何やら苦い顔で紫色の長髪を掻く。
気にくわない──とでも言いたげだ。
「……どうして、って聞いてもいいですか」
「もちろん。 ねぇ、エステル」
「……好きにせぇや」
それは何となく察せられたが、とはいえ聞き出さない事には始まらないというのも事実である為、おずおずと声をかけたフェアトに対し、フェンとエステルは肯定の意を示す。
「……転生してすぐ、ボクら二人をここに連れてきたあの子は──……こう言ったんだ」
そして、いよいよとばかりに本題に入らんとしたフェンの口から告げられたのは、およそ五ほど前に二人が転生してすぐに、アストリットの力で迷宮に連れて来られた時の事であり、その時あの少女が口にしたのは──。
「この扉の奥──……正確にはもっと奥、大陸の中心部と言い換えてもいいくらい奥に」
フェンだけでなく、この場にいる全員の視界に映るあの大きな扉の向こう、その更に奥に位置するヴィルファルト大陸の中心部に。
「XYZの一角を封印したから見張れって」
「な……っ!?」
『『りゅう!?』』
かつての魔王カタストロが生み出し、されど彼自身が手に負えないほどの力を有してしまった三体の異形の魔族──『これ以上はない』という事を意味する、XYZのうちの一体を封印したというとんでもない事実であり。
フェアトはもちろんの事、人語を話す事こそできずとも人間以上の知能を有する神晶竜たちもが、その衝撃的な発言に驚く中──。
(……なぁ、じーぜっとって何だ……?)
(聞ける雰囲気じゃないだろ? 黙っときな)
……蚊帳の外どころか、もはや存在を知覚されていにいのではないかというほど──少なくとも元魔族側からは──影が薄くなってしまっていたガウリアたちは、ただただ黙って話に耳を傾ける事しかできていなかった。
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