上 下
75 / 333

登場人物紹介:その5

しおりを挟む
◆リゼット=アクトン(享年26・♀)

 ヴァイシア騎士団に所属する騎士の一人にして、騎士団長クラリアの腹心を務める副団長でもあった。

 一人称は『私』。

 身長は169センチ。
 体重は62キロ。

 後ろに束ねた群青色の長髪が特徴の美女。

 副団長というだけはあって剣術も魔法の腕も他の騎士たちより遥かに勝り、そこに関しては部下たちも認めているところではあるが、どうにも彼女を慕いきれない者も多く、それは後述する彼女の想いが原因。

 ヴァイシア騎士団に入団した時からクラリアに一目惚れしており、たとえ叶わぬ恋だとしても彼女の傍にあり続ける為に必死で努力を重ね、ついには副団長の座にまで上り詰め、クラリアの腹心となっていた。

 だが、その想いが強すぎる──というより重すぎるせいで、その他の騎士や派遣先の人々への扱いが雑になってしまう事が多々あり、それこそが部下や王都民に好かれきれない唯一にして最大の要因であった。

 尤も、リゼットはクラリア以外の者たちなど眼中にもなかった為、特に問題は起きてなかったのだが。

 本編中では行使されなかったものの、生まれつき高い火への適性を持っていた事が仇となり、スタークの一撃で弱っていたトレヴォンに狙われてしまう。

 とはいえ、トレヴォンが彼女を狙った真の理由は別にあり、それは上述したクラリアへのドロドロの溶岩のような揺らめく炎の如き想いを見抜かれたせい。

 その後、自分の身体を支配しようとする超高温のトレヴォンを何とか追い出そうとしたが、そんな彼女の抵抗も虚しく魂を欠片も残さず喰われてしまった。

 結局、彼女は秘めた想いを自分の口から告げる事が最期まで叶わなかったが、それでもクラリアは彼女の想いに気づいていたらしく、そういう意味ではほんの少しだけだが報われた──と言えるかもしれない。

 好きな食べ物は魚介。
 嫌いな食べ物は脂肪のつきやすい菓子類。

 おのずと好きな人クラリアと同じになっていたらしい。

◆ハキム=ファーノン(34・♂)

 ヴァイシア騎士団に所属する騎士の一人にして、その中でも猛者揃いの一番隊の隊長を担っている。

 一人称は『俺』。

 身長は188センチ。
 体重は96キロ。

 炎のような真紅の短髪と強面な表情が特徴の男性。

 肉体や精神の強さこそが正義という考えを持ち、それがない軟弱な者──例えば金に物を言わせるような輩を男女問わず強く厭う厄介な性格をしている為、一部の王族や貴族、金貸しからは嫌われる傾向にある。

 一見すると単なる粗野で筋肉質な男でしかないのだが、これでも部下想いな一面もあり信頼は割と厚い。

 かつては神童と呼ばれ史上最年少でのヴァイシア騎士団への入団を果たし、ゆくゆくは歴代最強の団長となるだろうと当時は誰しもから持て囃されていた。

 しかし、そんな彼を更に上回る才覚を持っていたクラリアの登場で、それまで彼を持て囃していた者たちは揃ってクラリアを持ち上げると同時に、『クラリアと比べれば凡百だ』と彼への評価を改めてしまう。

 それ以来、クラリアや彼女の腹心たるリゼットを目の敵としているが、そこに憎しみの感情などはない。

 どちらかといえば、そんな彼女たちに力や知恵で劣ってしまう自分が嫌だから苛ついてしまうようだ。

 火、土、雷、闇の四つに適性を持ち、それらの魔法を自らが得意とする近接戦闘に活かす事が多い。

 好きな食べ物は強い魔物の肉|(ミディアムレア)。
 強者であればあるほど格別の味になるとの事。

 嫌いな食べ物は魚介。
 港町に派遣されて苛ついていたのは……?

◆トレヴォン(享年??・♂)

 16年前、勇者によって斃された魔族の一体。

 一人称は『僕』。

 身長、体重、年齢ともに不詳。
 強いて言えば転生後、一年弱ほど経過している。
 
 転生前、魔族だった頃は犬から剥ぎ取った顔の皮で作った仮面が特徴的な小柄の少年のような姿だった。

 また、並び立つ者たちシークエンスの序列二十位でもあった。

 称号を授かる以前は名もなき魔族たちより多少なり魔力量や魔法の腕で勝るだけであり、好物が犬というのも単なる悪食として扱われるだけだったようだ。

 それでも成果を出していたのは事実である為、魔王が称号を授けるべく玉座の前へと膝をつかせた時、魔王は彼の背後に──あまりに大量の怨霊を視認する。

 それらは全て──トレヴォンが喰らってきた犬。

 魔族であっても潰されかねないほどの夥しい犬の怨霊の中でさえ、その血塗れの犬の仮面の下で笑顔を浮かべる彼を見た魔王は【犬牙相制《ティンダロス》】の称号を授けた。

 その称号は、トレヴォンに取り憑いた犬の怨霊たちを支配し操り強制的に力とする為の絶対的な権利。

 以来、彼の放つ魔法には彼が喰らってきた犬たちの怨霊が乗り移り、より一層の禍々しさとともに殲滅力も並び立つ者たちシークエンスでトップクラスとなったのだった。

 魔王からの最期の命令を受けた並び立つ者たちが新たな生を獲得する中、彼は【闇蘇《リザレクション》】で魂が復活していた事に気づいておらず、つい近年になって初めて二度目の生の転生先を考えるようになったらしい。

 気づくまで、ふわふわと冥界でうたた寝していた。

 炎そのものへと転生したのは、たくさん思いつく犬の食べ方の中でもこんがり焼くのが好きだったから。

 転生してから数ヶ月は身体を燃やして移動し犬を見つけたら食べるという、そんな排他的な生活をしながら東ルペラシオを駆け回っていたが、その途中で様々な種類の犬が暮らす村を発見した事で襲撃を開始。

 一分足らずで壊滅させて犬も食べ尽くし、お腹いっぱいになって寝ていたところに双子がやってきた。

 基本的に全ての行動に悪意はなく、『お腹が空いたから好きなものを食べる』『それを邪魔をされたから怒る』という本能的な生き方をしており、それゆえに自分の行動の何が悪いのかが分かっていなかった。

 ある意味ではイザイアスよりタチが悪いと言える。

 転生してからは魔法というより不定形の炎そのものとなった身体を活かし、その炎の形を三つ首の犬の形とする事で辛うじて生物らしく振る舞っていた。

 好きな食べ物は犬。
 犬種は問わないが、あえて言うなら小型犬。

 嫌いな食べ物は人間。
 雑味が尋常のそれではないのだとか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...