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学校に行けないから海へ行こう
第1話
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有理紗は、中学2年生である。本来ならば、学校へ通い学校における社会生活を学ぶのだが、友人ができない有理紗は不登校になっていた。心配してくれる先生もクラスメイトもいるのだが、それでも学校が怖くて行けないでいた。だけど目覚める登校していた頃の朝早い時間。代わり映えしない毎日。そうだ、海へ行こう。幼い頃には毎日のように海へ行っていた。近所に海があるからだ。しかも、その頃は、人魚と遊んでいた。嘘のようだが、確かに人魚と遊んだ記憶がある。この記憶を確かめるべくも、海へ行くことにした。
近所の目線にびくびくしながら、本来この時間を歩いていない学生は海へ向かう。岸には誰も居なくて、静かな潮の音が鳴り響く。潮が引いては押し寄せる。
「思い出の人魚には会えるかな?」
靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、浅瀬に入っていく。しばらく海を眺める。だが、誰も来ない。
「そもそも、あたしはどうやって人魚と出会ったんだっけ?あと、名前……何だったっけ?」
思い出のきっかけを思い出そうとしても、全く思い出せない。
脚をぱちゃぱちゃと掻き足をして、音を立てて存在をアピールしてみる。何も起こらない。では、歌を歌ってみる。なんだか、近くなったような気がする。問題は何の曲を歌っていたかだ。
J-POPやアニメソングではない。もっと淑やかな……バラード曲だったかな?
バラードを歌ってみる。
~♫
もうすぐ、サビに入る……
ザバーンッ
「~♫」
共にユニゾンしてくる存在が現れた。今は構わず歌に集中する。心地良いから。
「また、会えたね。有理紗」
「うん、テトラ」
歌っている間に思い出せた。思い出の人魚の名前はテトラ。あたしが名付けたというのに。テトラポットがたくさんあるからそこから拝借してテトラって名前にしたんだっけ。それに誕生年も一緒。だから年齢が一緒である。年の取り方は人間と同じみたい。
寿命はないみたい……だから、あたしが死なない限りはずっと一緒に居ることができる。
「有理紗。会えたのは嬉しいけど、前に教えてくれた学校とやらに行っている時間ではないの?」
「あはは、あたし、友達ができなくて……行き辛いんだ。勉強もあまり好きじゃないし」
「そうなの、じゃあ、私と遊びましょう、昔みたいに」
「歌おう。あたし、テトラと歌うの好き」
「私も好きよ、有理紗が教えてくれる曲を歌うのが好き。人魚の歌はハミングしかないから。人間の歌は歌詞があるから歌っていて楽しい」
~♫
テトラは、あたしが教えた曲をすぐ覚える。ハミングで歌っているとはいえ、人魚は歌が上手い。これは、聴いていたら溺れる。人魚は皆、ローレライだ。きっとそうに違いない。テトラ以外の人魚の知り合いがいないからわからないけど。
「そういえば、テトラこそ、友人とか、家族とかと過ごしていないの?」
過去に会った時も思えば、テトラからこの手の話を聞いたことがない。
「私は物心ついた頃から、友人や家族はいないわね。私以外の人魚が居るのかわからないの。でも、寂しくないわ。魚達がお話相手してくれるから」
「そうだったんだ。あたしには家族は一応いるけど……学校行かないから不仲かも。顔を合わせたら、学校行きなさいしか言ってくれない。友人はテトラだけだな……」
「私も友人といったら有理紗だけよ。また会えてうれしい。暇なら会いましょうよ」
「そうだね、家に居ても、寝ているぐらいだし。テトラと会っていれば毎日が充実するよ」
「私に歌をもっと教えて、有理紗。私もっと歌が上手くなりたい。そして、色々な曲を歌えるようになりたい」
「じゃあ、歌うジャンルを変えてみようか。今まではバラードだったんだけど、J-POPにしてみよう。あたしが一節歌ったら後に続いて」
「わかった」
~♫
~♫
やはり、テトラは歌を覚えるの早い。J-POPになっても変わらない。どのような曲でも歌えるのではないかしら。それこそ、メタルとか速かったり転調したりと激しい曲でも歌えるのではないかしら。その前にあたしがメタル歌えるかな。喉痛めそう。
「テトラにCDとか音楽の教科書貸したいところだけど、海の中だからどちらもダメになっちゃうしなぁ」
「私、楽譜とやら読めないわよ?人間が作ったものなんだから」
「でも、音域は人間と同じなんだから音楽理論を覚えれば、テトラはもっと歌が上手くなるわ」
「そっか、音楽も歌うだけではダメなのね」
「勉強ってなったら、うぇっ……ってなるけど、テトラは嫌そうじゃないね」
「机とやらに向き合って座り続けてのお勉強とやらはうえっ……ってなりそうだけど、音楽は立って、リズムに乗りながら歌えるじゃない」
「言われてみれば、音楽の時間って机に向き合うことって少ないね。それこそ、音楽理論の勉強する時くらいであとは、歌うか楽器を演奏をするかだ」
「楽器を演奏するのも面白そう。今度、何か貸してよ有理紗」
「海水ついて楽器ダメにならないかな? 検討しておくね。おっと、もうこんな時間か、またね、テトラ」
「えぇ、またね、有理紗」
名残惜しいがこれから毎日会える。夕日を背に、帰路に着く。もうその足取りは近所の目線を気にしていなかった。
近所の目線にびくびくしながら、本来この時間を歩いていない学生は海へ向かう。岸には誰も居なくて、静かな潮の音が鳴り響く。潮が引いては押し寄せる。
「思い出の人魚には会えるかな?」
靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、浅瀬に入っていく。しばらく海を眺める。だが、誰も来ない。
「そもそも、あたしはどうやって人魚と出会ったんだっけ?あと、名前……何だったっけ?」
思い出のきっかけを思い出そうとしても、全く思い出せない。
脚をぱちゃぱちゃと掻き足をして、音を立てて存在をアピールしてみる。何も起こらない。では、歌を歌ってみる。なんだか、近くなったような気がする。問題は何の曲を歌っていたかだ。
J-POPやアニメソングではない。もっと淑やかな……バラード曲だったかな?
バラードを歌ってみる。
~♫
もうすぐ、サビに入る……
ザバーンッ
「~♫」
共にユニゾンしてくる存在が現れた。今は構わず歌に集中する。心地良いから。
「また、会えたね。有理紗」
「うん、テトラ」
歌っている間に思い出せた。思い出の人魚の名前はテトラ。あたしが名付けたというのに。テトラポットがたくさんあるからそこから拝借してテトラって名前にしたんだっけ。それに誕生年も一緒。だから年齢が一緒である。年の取り方は人間と同じみたい。
寿命はないみたい……だから、あたしが死なない限りはずっと一緒に居ることができる。
「有理紗。会えたのは嬉しいけど、前に教えてくれた学校とやらに行っている時間ではないの?」
「あはは、あたし、友達ができなくて……行き辛いんだ。勉強もあまり好きじゃないし」
「そうなの、じゃあ、私と遊びましょう、昔みたいに」
「歌おう。あたし、テトラと歌うの好き」
「私も好きよ、有理紗が教えてくれる曲を歌うのが好き。人魚の歌はハミングしかないから。人間の歌は歌詞があるから歌っていて楽しい」
~♫
テトラは、あたしが教えた曲をすぐ覚える。ハミングで歌っているとはいえ、人魚は歌が上手い。これは、聴いていたら溺れる。人魚は皆、ローレライだ。きっとそうに違いない。テトラ以外の人魚の知り合いがいないからわからないけど。
「そういえば、テトラこそ、友人とか、家族とかと過ごしていないの?」
過去に会った時も思えば、テトラからこの手の話を聞いたことがない。
「私は物心ついた頃から、友人や家族はいないわね。私以外の人魚が居るのかわからないの。でも、寂しくないわ。魚達がお話相手してくれるから」
「そうだったんだ。あたしには家族は一応いるけど……学校行かないから不仲かも。顔を合わせたら、学校行きなさいしか言ってくれない。友人はテトラだけだな……」
「私も友人といったら有理紗だけよ。また会えてうれしい。暇なら会いましょうよ」
「そうだね、家に居ても、寝ているぐらいだし。テトラと会っていれば毎日が充実するよ」
「私に歌をもっと教えて、有理紗。私もっと歌が上手くなりたい。そして、色々な曲を歌えるようになりたい」
「じゃあ、歌うジャンルを変えてみようか。今まではバラードだったんだけど、J-POPにしてみよう。あたしが一節歌ったら後に続いて」
「わかった」
~♫
~♫
やはり、テトラは歌を覚えるの早い。J-POPになっても変わらない。どのような曲でも歌えるのではないかしら。それこそ、メタルとか速かったり転調したりと激しい曲でも歌えるのではないかしら。その前にあたしがメタル歌えるかな。喉痛めそう。
「テトラにCDとか音楽の教科書貸したいところだけど、海の中だからどちらもダメになっちゃうしなぁ」
「私、楽譜とやら読めないわよ?人間が作ったものなんだから」
「でも、音域は人間と同じなんだから音楽理論を覚えれば、テトラはもっと歌が上手くなるわ」
「そっか、音楽も歌うだけではダメなのね」
「勉強ってなったら、うぇっ……ってなるけど、テトラは嫌そうじゃないね」
「机とやらに向き合って座り続けてのお勉強とやらはうえっ……ってなりそうだけど、音楽は立って、リズムに乗りながら歌えるじゃない」
「言われてみれば、音楽の時間って机に向き合うことって少ないね。それこそ、音楽理論の勉強する時くらいであとは、歌うか楽器を演奏をするかだ」
「楽器を演奏するのも面白そう。今度、何か貸してよ有理紗」
「海水ついて楽器ダメにならないかな? 検討しておくね。おっと、もうこんな時間か、またね、テトラ」
「えぇ、またね、有理紗」
名残惜しいがこれから毎日会える。夕日を背に、帰路に着く。もうその足取りは近所の目線を気にしていなかった。
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