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第47話
(22)
しおりを挟む浴衣の裾をたくし上げられ、乱暴に下着を剥ぎ取られる。両足を抱え上げられたうえに、大きく左右に広げた格好を取らされた。和彦に見せつけるように舐めて唾液で濡らした指を、賢吾は内奥の入り口へと這わせてきた。
「うっ、う……」
こじ開けるようにして、一本の指が付け根まで挿入される。疼きと異物感に和彦は声を洩らしながら、きつく指を締め付ける。すぐに指の数は増やされ、内側から解されていく。
襞と粘膜をじっくりと擦り上げられ、掻き回される。賢吾の見ている前で、瞬く間に和彦の欲望は身を起こし、切なく震える。
「いやらしいオンナだ」
うっすらと笑みを浮かべて呟いた賢吾に欲望を軽く指で弾かれ、和彦は息を詰めた。
内奥にたっぷりの唾液が施され、入り口が綻び始めた頃、一度体を離した賢吾がようやく帯を解き、浴衣を脱ぎ捨てる。目の前で露わになった体に、和彦は圧倒される。興奮による猛りが一目でわかる張り詰めた筋肉と、全身から匂い立つ雄の匂い。すでに汗が伝い落ちている肌の艶めかしさと、本当に背に棲みついているかのような生々しい大蛇の姿。
和彦はのろのろと体を起こすと、ほぼまとわりついているだけとなっている自分の浴衣を脱ぎ落す。すかさず賢吾に引き寄せられ、両足の間に手を突っ込まれた。
「あぁっ、あっ、んうっ」
手荒く柔らかな膨らみを揉みしだかれて腰が震える。無意識に舌を差し出すと、きつく吸い上げられてから、激しく絡め合う。和彦は夢中で賢吾を味わいながら、両手を背の大蛇に這わせていた。賢吾が身じろぐたびに大蛇が蠢く姿を想像して、胸の奥で妖しい衝動がうねる。
「……そんなに〈こいつ〉が可愛いなら、お前も同じものを彫るか? 背中だと見ることも触れることもできないから、この辺りに、同じ図柄で小さなものを――」
内腿を撫でながら、苦笑交じりで賢吾が言う。和彦は、賢吾の大蛇にそっと爪を立てた。
「あんたの体にあるから、いいんだ。撫でて、爪を立てて、舐めて、可愛がってやりたくなる」
「俺をまだ、骨抜きにしたいのか、お前……」
大蛇が、肉に飢えた獣に変わる。
布団の上に押し倒された和彦は、再び両足を抱え上げられる。まるで熱の塊のような欲望が、濡れて喘ぐ内奥の入り口に擦りつけられ、反射的に息を詰めた瞬間、容赦なく押し入ってきた。
汗を浮かせ、軽く眉をひそめた賢吾の男らしい顔には、普段からは想像もできない色気が漂っている。目が合うと、額に唇を押し当てられた。
力強く腰を突き上げられるたびに内奥を押し広げられ、欲望を呑み込まされる。敏感で感じやすい和彦の襞と粘膜は、従順に包み込み、締め付けながら、さらに奥へと迎え入れようと蠢く。下肢に絶え間なく鈍痛が生まれるが、肉同士が強く擦れる愉悦の前にはささやかなものだ。
「んうっ、んっ、あうっ……ん、あひっ」
賢吾の充溢した欲望を根本まで受け入れてから、動くのを待ってもらう。和彦は髪を梳かれながら、賢吾と唇を吸い合う。一方で、自分だけの特権とばかりに、賢吾の背にてのひらを這わせ、大蛇を愛でる。重なった胸から強い鼓動が伝わってきて、それがとてつもなく心地よく、安心できる。守られ、愛されていると実感できるのだ。
「お前一人で気持ちよくなるな」
耳元で意地悪く賢吾に囁かれる。その声にすら反応してしまい、和彦は小さく嬌声を上げる。
内奥深くを抉るように重々しく突かれる。もう痛みはなく、静かな波のような快感が腰から這い上がってきた。和彦は全身を戦慄かせながら、肉の悦びに鳴く。賢吾が緩やかな律動を刻み始めた。
「い、ぃ――……。賢吾、それ、いい……」
賢吾の逞しい腰には両足を絡めて、はしたなく腰を揺する。賢吾が低く笑い声を洩らした。
「もう箍が外れたのか、和彦」
「うる、さっ……」
和彦を焦らすように、ふいに賢吾が動きを止め、内奥からゆっくりと欲望を引き抜いていく。勝手に体が反応し、内奥が激しく収縮して欲望を締め付ける。
賢吾に片手を取られて下肢へと導かれる。何を求められているのか察した和彦は、興奮と羞恥で全身を熱くしながら、自ら内奥の入り口に指を這わせ、わずかに呑み込んでいる賢吾の欲望の形もなぞる。こんなものが自分の中に収まっていたのかといまさらながら戦く。
「どうしてほしいんだ。撫でてるだけじゃ、お前は気持ちよくならねーだろ」
「……本当に、意地が悪いな」
「そんな男に惚れてるんだろ。趣味がいいな」
自分で言うなと、つい噴き出した和彦だが、賢吾と唇を触れ合わせてから小声でせがんだ。
「あんたに気持ちよくされたいんだ。もっと……」
すぐさま深々と内奥を刺し貫かれる。短く悲鳴を上げたときには、快感の波にさらわれていた。全身を駆け抜ける快美さに呼吸も忘れ、閉じた瞼の裏で舞う極彩色の光に酔う。そんな和彦をさらに極めさせようと、賢吾が動く。
「うあっ、あっ、あうぅっ――」
重々しい律動に合わせて、反り返って震える和彦の欲望が精を吐き出す。
「おい、俺を置いていくな」
柔らかな声で窘められ、ゆっくりと目を開く。再び胸が重なり、和彦は両腕でしっかりと賢吾にしがみつく。
張り詰めた逞しい欲望が、限界が近いことを知らせてくる。緩やかな動きで内奥を擦り上げながら、賢吾が荒い呼吸を繰り返し、一心に和彦を見下ろしてくる。その眼差しを見つめ返していると、賢吾は低く唸り声を洩らして引き抜いた欲望を、素早く内腿に擦りつけた。内腿を伝う生温かな感触に、賢吾が達したのだと知る。
どうしてだと目で問いかけるが、賢吾は答えることなく、まったく衰えていない欲望を再び内奥に挿入してきた。
和彦は震えを帯びた吐息を洩らし、見悶える。賢吾の欲望を締め付けたまま、再び軽い絶頂を迎えていた。そんな和彦の姿に、賢吾は歓喜を隠そうともしない。
「美味いだろう。俺の肉は。お前だけのものだ。――大事で可愛いオンナには、いくらでも食わせてやる」
体を繋げたまま、快感を極めた余韻と幸福感に酔う。愛し合っているという実感は、欲望の際限をなくしてしまう。それは和彦だけでなく賢吾も同じなのか、熱いてのひらで体をまさぐってきながら、耳元や首筋に忙しく唇を這わせ始めた。
「は……あぅ」
何げなく視線を隣の部屋へと向けたとき、胡坐をかいて頬杖をついた千尋の姿が飛び込んできた。いつからいたのだろうかとうろたえたのは一瞬で、和彦はただ千尋を見つめる。寝室を隔てる襖を閉める余裕がなかったため、絡み合う二人をいくらでも観察できただろう。
すると賢吾も視線を動かし、笑い声を洩らした。どうやら、とっくに千尋の存在に気づいていたらしい。
「――千尋にも権利はあるからな」
何の、とは問わない。賢吾が体を離すと、のっそりと立ち上がった千尋がこちらに歩いてきながら、トレーナーを脱ぎ捨てた。
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