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第46話
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「――入れるぞ」
背後から鷹津が掠れた声をかけてくる。体はよく覚えていて、和彦は、鷹津にとって具合がいいように、より大きく足を開き、腰を突き出した姿勢を取っていた。内奥の入り口に、ぐっと押し当てられたものは燃えそうに熱い。
自分が少し緊張していること気づいた和彦は、ゆっくりと息を吐き出す。その間に、鷹津は侵入を開始した。
「ふっ……、うっ、ううっ、んっ」
鷹津の形だと、まっさきに露骨な感想が頭に浮かんだ。
数か月ぶりの和彦の肉の感触を確かめるように、鷹津はゆっくりと腰を進める。内奥を押し広げられながら、襞と粘膜を強く擦り上げられ、和彦は喉を鳴らす。馴染みのある重苦しい感覚が訪れるが、痛みはない。腰を抱え込まれてただひたすら緩やかに突きあげられながら、繋がりを深くしていく。内奥深くまで鷹津を受けれるのに、さほど時間は必要なかった。どちらも、狂おしいほどの情欲に駆り立てられていたからだ。
興奮し、淫らな蠢動を始めた部分を、ぐうっと突き上げられた。内から焼かれそうなほど、受け入れたものは熱い。
「気持ちいいか?」
返事の代わりに、きつく欲望を締め付ける。鷹津が小さく声を洩らした。
てのひらで背を押さえつけられて、乱暴に内奥を突かれる。たまらず呻き声を洩らしたが、もう一度突かれたときは自分でもわかるほど、潤んだ嬌声となっていた。背を撫で上げられ、後ろ髪を手荒くまさぐられる。そんな感触すら心地いい。
そこから数度腰を突き上げられ、和彦の欲望は呆気なく絶頂の証を噴き上げた。間欠的に声を洩らし、腰を震わせて快感の余韻に浸る。一方の鷹津も、軽く腰を揺すったあと、いまだ激しい収縮を繰り返す内奥深くに精を放った。
「ひあっ……」
この瞬間、和彦の意識は舞い上がり、閉じた瞼の裏で鮮やかな光が飛び交う。体の隅々にまで快美さが行き渡っていた。鷹津が大きく息を吐き出してから、慰撫するように再び背を撫でてくる。
和彦は、内奥でまだ力強く脈打つ鷹津のものを感じながら、明け透けだが、もっと欲しいと率直に感じた。
和彦の呼吸が落ち着くのを待ってから、鷹津のものがズルリと内奥から引き抜かれる。すぐに、注ぎ込まれたばかりの精が溢れ出し、うろたえた和彦が身じろぐと、卑猥な音を立ててさらに溢れる。鷹津が腕を伸ばしてティッシュを取る姿を、うつ伏せの姿勢のまま和彦は眺める。
「寒いなら、電気毛布を入れるか?」
和彦の下肢の後始末をしながら、何事もなかったように鷹津が尋ねてくる。まだ余韻に浸っている身としては、この甲斐甲斐しさは少し腹立たしい。平気だと答えようとして、体の向きを変えかけたところで、鷹津と目が合った。つい笑ってしまったのは、鷹津の両目に宿る強い欲望を見たからだ。
「――……暑いんだ。すごく」
すぐに笑みを消して和彦が答えると、鷹津は忌々しげに舌打ちした。
「お前は本当に性質が悪い。……俺の煽り方をよく知ってる」
仰向けとなり、覆い被さってきた鷹津としっかりと抱き合う。汗で濡れた熱い肌をてのひらでまさぐりながら、貪るような口づけを交わし、眩暈がするほど間近にある目を覗き込む。
濡れて蕩けている内奥に鷹津の欲望が捩じ込まれて、和彦は唸り声を洩らす。ただそれは、鷹津の唇にすべて吸い取られた。
鷹津の背に爪を立てると、痛みに奮い立ったように猛る欲望が内奥で震える。
「はあっ、あっ、い、い……。気持ちいぃ――、秀」
和彦が呼びかけるたびに、鷹津が腰を打ち付けてくる。その腰に両足を絡めながら、和彦は自らのものを握ると、律動のたびに擦り上げる。そうすると、より内奥の締まりがよくなると知っている。
和彦の媚態に、鷹津は口元に笑みを浮かべる。
「それでこそ、お前だな。見た目からは想像もできないほど快感に貪欲で、何人も男を咥え込む」
責められるのかと和彦は身構えかけたが、湿った髪を鷹津に手荒く掻き上げられ、こめかみや額に唇が押し当てられる。愛しげに。
「そんなお前が、ここでは俺だけのものだ。これでも、はしゃいでいるんだぜ。四十を過ぎた男が、浮かれたガキみたいに」
和彦は鷹津の髭面に頬ずりして、囁きかける。
「だったらあんたも、ここではぼくだけのものだな」
舌打ちをした鷹津が首筋に顔を埋め、唇を這わせてくる。緩やかな律動に身を任せながら和彦は、全身で鷹津の重みと体温を受け止め、恍惚としながらゆっくりと目を閉じた。
ようやく触れ合えるようになったという現実を確認するように、二人の交歓は長く続いた。ベッドで身を寄せ、肌を擦りつけ合い、欲情が高まれば繋がる。精が尽きてしまえば、相手の体を愛撫しながら、精神的な高揚感に酔う。そんなことを繰り返していた。
ときおり鷹津はベッドを抜け出し、薪ストーブの様子を見たり、飲み物を取ってきてくれたが、和彦はひたすらベッドの中にいた。
時間の感覚が怪しくなっていたが、何げなく窓のほうを見て、息を洩らす。断熱シートが貼られた窓は、外の景色がぼんやりとしか見えないのだが、それでも日が暮れて暗くなっていく様子ぐらいはわかる。
何時間、鷹津とベッドで過ごしていたのだろうかと、少しだけ自分に呆れた。
寝室に戻ってきた鷹津が、ベッドの端に腰掛けて問うてくる。
「なあ、腹減らないか?」
「……減った。シチューの残り、全部食べたんだよなー」
「献立を考えるのも、今から下準備するのも面倒だから、今晩はパスタでいいな。パウチのソースがあるし――」
和彦は、鷹津の声を聞きながら目を閉じかけていたが、肩を揺すられてハッとする。
「今のうちにシャワーを浴びてこい。夜になって、湯を使いたくても出なくなるかもしれないぞ」
鷹津の言うことはもっともで、仕方なく起き上がる。着替えを抱えた和彦が寝室を出ようとするときには、鷹津はすでにシーツを換え始めていた。汚れたシーツは自分が持って行くとはなんとなく言い出せず、素知らぬ顔でシャワーを浴び向かう。
いつもと違ってシャワー室の寒さが気にならないのは、体に留まっている熱のせいだ。和彦の自身のものと、鷹津が体内に残したもの――。
ゾクゾクして身を震わせ、慌てて全身を洗ってシャワー室を出る。すでに洗濯機は回っており、何を洗っているかは容易に想像がついた。
入れ違いに鷹津がシャワーを浴びに行っている間に、和彦が大きめの鍋で湯を沸かしてパスタを茹で、別の鍋ではソースのパウチを温める。これぐらいなら、さすがの和彦でも失敗しようがない。
体力を消耗し尽くしたため空腹が限界で、二人それぞれの皿には大盛りのパスタを盛り付ける。野菜が足りないのが気になったので、瓶詰のピクルスを小皿に取り分けておく。ついでにカップスープに湯を注いでおいた。
シャワーを浴びてきた鷹津が席につくのを待ってから、夕食となる。
背後から鷹津が掠れた声をかけてくる。体はよく覚えていて、和彦は、鷹津にとって具合がいいように、より大きく足を開き、腰を突き出した姿勢を取っていた。内奥の入り口に、ぐっと押し当てられたものは燃えそうに熱い。
自分が少し緊張していること気づいた和彦は、ゆっくりと息を吐き出す。その間に、鷹津は侵入を開始した。
「ふっ……、うっ、ううっ、んっ」
鷹津の形だと、まっさきに露骨な感想が頭に浮かんだ。
数か月ぶりの和彦の肉の感触を確かめるように、鷹津はゆっくりと腰を進める。内奥を押し広げられながら、襞と粘膜を強く擦り上げられ、和彦は喉を鳴らす。馴染みのある重苦しい感覚が訪れるが、痛みはない。腰を抱え込まれてただひたすら緩やかに突きあげられながら、繋がりを深くしていく。内奥深くまで鷹津を受けれるのに、さほど時間は必要なかった。どちらも、狂おしいほどの情欲に駆り立てられていたからだ。
興奮し、淫らな蠢動を始めた部分を、ぐうっと突き上げられた。内から焼かれそうなほど、受け入れたものは熱い。
「気持ちいいか?」
返事の代わりに、きつく欲望を締め付ける。鷹津が小さく声を洩らした。
てのひらで背を押さえつけられて、乱暴に内奥を突かれる。たまらず呻き声を洩らしたが、もう一度突かれたときは自分でもわかるほど、潤んだ嬌声となっていた。背を撫で上げられ、後ろ髪を手荒くまさぐられる。そんな感触すら心地いい。
そこから数度腰を突き上げられ、和彦の欲望は呆気なく絶頂の証を噴き上げた。間欠的に声を洩らし、腰を震わせて快感の余韻に浸る。一方の鷹津も、軽く腰を揺すったあと、いまだ激しい収縮を繰り返す内奥深くに精を放った。
「ひあっ……」
この瞬間、和彦の意識は舞い上がり、閉じた瞼の裏で鮮やかな光が飛び交う。体の隅々にまで快美さが行き渡っていた。鷹津が大きく息を吐き出してから、慰撫するように再び背を撫でてくる。
和彦は、内奥でまだ力強く脈打つ鷹津のものを感じながら、明け透けだが、もっと欲しいと率直に感じた。
和彦の呼吸が落ち着くのを待ってから、鷹津のものがズルリと内奥から引き抜かれる。すぐに、注ぎ込まれたばかりの精が溢れ出し、うろたえた和彦が身じろぐと、卑猥な音を立ててさらに溢れる。鷹津が腕を伸ばしてティッシュを取る姿を、うつ伏せの姿勢のまま和彦は眺める。
「寒いなら、電気毛布を入れるか?」
和彦の下肢の後始末をしながら、何事もなかったように鷹津が尋ねてくる。まだ余韻に浸っている身としては、この甲斐甲斐しさは少し腹立たしい。平気だと答えようとして、体の向きを変えかけたところで、鷹津と目が合った。つい笑ってしまったのは、鷹津の両目に宿る強い欲望を見たからだ。
「――……暑いんだ。すごく」
すぐに笑みを消して和彦が答えると、鷹津は忌々しげに舌打ちした。
「お前は本当に性質が悪い。……俺の煽り方をよく知ってる」
仰向けとなり、覆い被さってきた鷹津としっかりと抱き合う。汗で濡れた熱い肌をてのひらでまさぐりながら、貪るような口づけを交わし、眩暈がするほど間近にある目を覗き込む。
濡れて蕩けている内奥に鷹津の欲望が捩じ込まれて、和彦は唸り声を洩らす。ただそれは、鷹津の唇にすべて吸い取られた。
鷹津の背に爪を立てると、痛みに奮い立ったように猛る欲望が内奥で震える。
「はあっ、あっ、い、い……。気持ちいぃ――、秀」
和彦が呼びかけるたびに、鷹津が腰を打ち付けてくる。その腰に両足を絡めながら、和彦は自らのものを握ると、律動のたびに擦り上げる。そうすると、より内奥の締まりがよくなると知っている。
和彦の媚態に、鷹津は口元に笑みを浮かべる。
「それでこそ、お前だな。見た目からは想像もできないほど快感に貪欲で、何人も男を咥え込む」
責められるのかと和彦は身構えかけたが、湿った髪を鷹津に手荒く掻き上げられ、こめかみや額に唇が押し当てられる。愛しげに。
「そんなお前が、ここでは俺だけのものだ。これでも、はしゃいでいるんだぜ。四十を過ぎた男が、浮かれたガキみたいに」
和彦は鷹津の髭面に頬ずりして、囁きかける。
「だったらあんたも、ここではぼくだけのものだな」
舌打ちをした鷹津が首筋に顔を埋め、唇を這わせてくる。緩やかな律動に身を任せながら和彦は、全身で鷹津の重みと体温を受け止め、恍惚としながらゆっくりと目を閉じた。
ようやく触れ合えるようになったという現実を確認するように、二人の交歓は長く続いた。ベッドで身を寄せ、肌を擦りつけ合い、欲情が高まれば繋がる。精が尽きてしまえば、相手の体を愛撫しながら、精神的な高揚感に酔う。そんなことを繰り返していた。
ときおり鷹津はベッドを抜け出し、薪ストーブの様子を見たり、飲み物を取ってきてくれたが、和彦はひたすらベッドの中にいた。
時間の感覚が怪しくなっていたが、何げなく窓のほうを見て、息を洩らす。断熱シートが貼られた窓は、外の景色がぼんやりとしか見えないのだが、それでも日が暮れて暗くなっていく様子ぐらいはわかる。
何時間、鷹津とベッドで過ごしていたのだろうかと、少しだけ自分に呆れた。
寝室に戻ってきた鷹津が、ベッドの端に腰掛けて問うてくる。
「なあ、腹減らないか?」
「……減った。シチューの残り、全部食べたんだよなー」
「献立を考えるのも、今から下準備するのも面倒だから、今晩はパスタでいいな。パウチのソースがあるし――」
和彦は、鷹津の声を聞きながら目を閉じかけていたが、肩を揺すられてハッとする。
「今のうちにシャワーを浴びてこい。夜になって、湯を使いたくても出なくなるかもしれないぞ」
鷹津の言うことはもっともで、仕方なく起き上がる。着替えを抱えた和彦が寝室を出ようとするときには、鷹津はすでにシーツを換え始めていた。汚れたシーツは自分が持って行くとはなんとなく言い出せず、素知らぬ顔でシャワーを浴び向かう。
いつもと違ってシャワー室の寒さが気にならないのは、体に留まっている熱のせいだ。和彦の自身のものと、鷹津が体内に残したもの――。
ゾクゾクして身を震わせ、慌てて全身を洗ってシャワー室を出る。すでに洗濯機は回っており、何を洗っているかは容易に想像がついた。
入れ違いに鷹津がシャワーを浴びに行っている間に、和彦が大きめの鍋で湯を沸かしてパスタを茹で、別の鍋ではソースのパウチを温める。これぐらいなら、さすがの和彦でも失敗しようがない。
体力を消耗し尽くしたため空腹が限界で、二人それぞれの皿には大盛りのパスタを盛り付ける。野菜が足りないのが気になったので、瓶詰のピクルスを小皿に取り分けておく。ついでにカップスープに湯を注いでおいた。
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