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第43話
(24)
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いくら両目を覆われているとはいえ、守光でないことはすぐにわかった。
のしかかってくる重みや、がっしりとした腰つき。それに、燃えそうに熱い肌。何もかもが寸前まで繋がっていた守光とは違うのだ。
膝を掴まれ、ごつごつとしたてのひらや、強い指の感触を意識した瞬間、和彦は相手の腕を押し退けようとする。だが無情にも、その手はあっさりと押さえつけられた。
「――あんたはただ、身を任せていればいい。ひどい目には遭わせない」
傍らからそう声をかけてきたのは守光だった。
自分の身に何が起きようとしているのか、動揺を上回る恐怖のため、和彦は問い返すこともできなかった。その間にも、のしかかってきた相手の腰が密着してくる。
「ううっ」
蕩けたままひくつく内奥の入り口に、熱の塊が擦りつけられた。ぐちゅりと濡れた音を立てて押し広げられ、和彦がまず感じたのは圧迫感だった。そして鈍痛が。
露骨な感想だが、やはり守光とは違うと、繋がりつつある部分で知る。
ようやく喉を突いて出たのは苦痛の声だった。和彦は、押さえつけられていない手を振り上げ、相手の肩を殴りつける。しかし、分厚く逞しい感触は、やすやすと和彦の拳を跳ね返した。それどころか、手首を掴まれた。
ゆっくりと布団の上に押さえつけられ、覆い被さられる。見えない相手を見上げながら和彦は、食われる、と心の中で呟いた。
さらに内奥をこじ開けられながら、この日初めて唇を塞がれる。唇の隙間から苦痛の声を洩らしていたが、かまわず舌先が押し込まれ、歯を食いしばる間もなく口腔に侵入された。
太い舌が蠢きながら、口腔の粘膜を舐め回してくる。唾液を流し込まれた和彦は、苦しさに耐えられず喉を鳴らして受け入れていた。舌を搦め捕られ、引き出されて、きつく吸われる。軽く歯を立てられたときは、このまま噛み千切られるのではないかと、和彦は本気で恐れていた。
一方的に唇と舌を貪られながら、緩慢に腰を揺すられ、長大な欲望を内奥に埋め込まれていく。守光を受け入れ、蕩けるほど犯されたばかりだというのに、それでも痛みが押し寄せてくる。自分の体の中を、肉で埋め尽くされていく苦しさもあった。
「何も考えず、力を抜いて受け入れればいい。あんたの体は、もう慣れてるはずだ。この男の肉の形に――」
また、守光から声がかけられる。どういう意味かと問いたかったが、口腔は男の舌でいっぱいだ。
「んっ、んんっ……」
乱暴に一度だけ内奥を突き上げられ、男の欲望の逞しい部分を呑み込まされる。襞と粘膜を強く擦り上げられて、怯え続けていた和彦の体の中に、妖しい衝動が駆け抜けた。意識しないまま、きつく締め付けると、男の息遣いがわずかに変わった。
上あごの裏を舌先でまさぐられ、ゾクゾクするような感覚に小さく身震いした和彦は、鼻にかかった声を洩らしていた。そんな自分の姿に気づき、戦く。この異常な状況に、急速に馴染んでいると思ったのだ。
その間も、男は貪欲に和彦の反応を求めてくる。
いつの間にか両手は解放されていた。もう和彦は逃れることができないと〈二人とも〉確信を得たのだろう。実際、その通りだ。
ようやく唇が離れ、男が上体を起こす。今度はしっかりと両足を抱え上げられ、腰を突き上げられた。
「あうっ」
自分の中に押し入ってくる圧倒的な存在に、和彦は浅い呼吸を繰り返す。下腹部を支配しつつある重苦しさに、弱音を吐きそうになり、寸前のところで堪える。もっともいくら弱音を吐き、嘆いたところで、解放はされないだろうが。
知らず知らずのうちに目に涙が滲むが、すぐにスカーフに吸い取られてしまう。ただ、相手は察するものがあったのか、いきなり前髪を掻き上げられてから、頬を撫でられる。大きなてのひらが移動し、苦しさに震える喉元にかかったとき、縊り殺されるのではないかと和彦は息を詰めた。
てのひらが胸元へと下りたかと思うと、いきなり荒々しく撫で回される。性急に反応することを求められて、二つの突起が硬く凝っていくのが自分でもわかった。
「んっ」
突起を抓るように弄られる。痛みはあったが、それはすぐに疼きに変わる。口づけだけではなく、こうやって愛撫されるのも、今晩は初めてだった。和彦は漠然とながら、守光の考えが読めてくる。
守光は、分け前を残しておいたのだ。もちろん、今まさに和彦と繋がりつつある男のために。
そして男は意図を汲み取り、まさに今、自分の分け前を味わおうとしている。
のしかかってくる重みや、がっしりとした腰つき。それに、燃えそうに熱い肌。何もかもが寸前まで繋がっていた守光とは違うのだ。
膝を掴まれ、ごつごつとしたてのひらや、強い指の感触を意識した瞬間、和彦は相手の腕を押し退けようとする。だが無情にも、その手はあっさりと押さえつけられた。
「――あんたはただ、身を任せていればいい。ひどい目には遭わせない」
傍らからそう声をかけてきたのは守光だった。
自分の身に何が起きようとしているのか、動揺を上回る恐怖のため、和彦は問い返すこともできなかった。その間にも、のしかかってきた相手の腰が密着してくる。
「ううっ」
蕩けたままひくつく内奥の入り口に、熱の塊が擦りつけられた。ぐちゅりと濡れた音を立てて押し広げられ、和彦がまず感じたのは圧迫感だった。そして鈍痛が。
露骨な感想だが、やはり守光とは違うと、繋がりつつある部分で知る。
ようやく喉を突いて出たのは苦痛の声だった。和彦は、押さえつけられていない手を振り上げ、相手の肩を殴りつける。しかし、分厚く逞しい感触は、やすやすと和彦の拳を跳ね返した。それどころか、手首を掴まれた。
ゆっくりと布団の上に押さえつけられ、覆い被さられる。見えない相手を見上げながら和彦は、食われる、と心の中で呟いた。
さらに内奥をこじ開けられながら、この日初めて唇を塞がれる。唇の隙間から苦痛の声を洩らしていたが、かまわず舌先が押し込まれ、歯を食いしばる間もなく口腔に侵入された。
太い舌が蠢きながら、口腔の粘膜を舐め回してくる。唾液を流し込まれた和彦は、苦しさに耐えられず喉を鳴らして受け入れていた。舌を搦め捕られ、引き出されて、きつく吸われる。軽く歯を立てられたときは、このまま噛み千切られるのではないかと、和彦は本気で恐れていた。
一方的に唇と舌を貪られながら、緩慢に腰を揺すられ、長大な欲望を内奥に埋め込まれていく。守光を受け入れ、蕩けるほど犯されたばかりだというのに、それでも痛みが押し寄せてくる。自分の体の中を、肉で埋め尽くされていく苦しさもあった。
「何も考えず、力を抜いて受け入れればいい。あんたの体は、もう慣れてるはずだ。この男の肉の形に――」
また、守光から声がかけられる。どういう意味かと問いたかったが、口腔は男の舌でいっぱいだ。
「んっ、んんっ……」
乱暴に一度だけ内奥を突き上げられ、男の欲望の逞しい部分を呑み込まされる。襞と粘膜を強く擦り上げられて、怯え続けていた和彦の体の中に、妖しい衝動が駆け抜けた。意識しないまま、きつく締め付けると、男の息遣いがわずかに変わった。
上あごの裏を舌先でまさぐられ、ゾクゾクするような感覚に小さく身震いした和彦は、鼻にかかった声を洩らしていた。そんな自分の姿に気づき、戦く。この異常な状況に、急速に馴染んでいると思ったのだ。
その間も、男は貪欲に和彦の反応を求めてくる。
いつの間にか両手は解放されていた。もう和彦は逃れることができないと〈二人とも〉確信を得たのだろう。実際、その通りだ。
ようやく唇が離れ、男が上体を起こす。今度はしっかりと両足を抱え上げられ、腰を突き上げられた。
「あうっ」
自分の中に押し入ってくる圧倒的な存在に、和彦は浅い呼吸を繰り返す。下腹部を支配しつつある重苦しさに、弱音を吐きそうになり、寸前のところで堪える。もっともいくら弱音を吐き、嘆いたところで、解放はされないだろうが。
知らず知らずのうちに目に涙が滲むが、すぐにスカーフに吸い取られてしまう。ただ、相手は察するものがあったのか、いきなり前髪を掻き上げられてから、頬を撫でられる。大きなてのひらが移動し、苦しさに震える喉元にかかったとき、縊り殺されるのではないかと和彦は息を詰めた。
てのひらが胸元へと下りたかと思うと、いきなり荒々しく撫で回される。性急に反応することを求められて、二つの突起が硬く凝っていくのが自分でもわかった。
「んっ」
突起を抓るように弄られる。痛みはあったが、それはすぐに疼きに変わる。口づけだけではなく、こうやって愛撫されるのも、今晩は初めてだった。和彦は漠然とながら、守光の考えが読めてくる。
守光は、分け前を残しておいたのだ。もちろん、今まさに和彦と繋がりつつある男のために。
そして男は意図を汲み取り、まさに今、自分の分け前を味わおうとしている。
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