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第43話
(22)
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まるで絶頂に達したあとのように、一気に脱力する。とてつもない痴態を晒したのだが、頭の中が真っ白となり何も考えられない。両目を覆ったスカーフに無意識に手をかけようとして、守光に穏やかな口調で窘められた。
「まだそのままで。……あんたは気にしなくていい。今から片付けをさせるから」
えっ、と思ったときには、守光が誰かに呼びかけるように声を上げ、数拍の間を置いて襖が開き、人が部屋に入ってきた気配がした。抑え気味の足音ではあるが、一人ではない。
あられもない自分の姿を見られると、半ば恐慌状態に陥りながら和彦は体を起こそうとして、肩に大きな手がかかる。
「落ち着きなさい。あんたの体をきれいにして、布団を入れ替えるだけだ」
守光にそう声をかけられはしたものの、だからといってすぐに身構えを解けるはずもない。和彦は居たたまれなさに泣き出しそうになる。
濡れたタオルを腰に当てられ、体を捻って逃げようとしたが、抵抗はあっさり封じられる。
「あの……、自分でやり、ます……」
震えを帯びた和彦の言葉に応じる声はない。
一体何人が部屋に入ってきたのか懸命に気配を探ろうとするが、下肢の汚れを他人に後始末してもらうという状況に意識はすぐに散漫となる。
そもそも、一階に人の気配はなかったはずなのに、いつの間にか部屋の外に待機されていたのだ。自分が鈍いのか、もしくは、息を潜めて身を隠していた男たちが手練れなのか。いまさらながら、守光の手回しのよさが和彦には不気味だ。
あらかた下肢を拭われると、前触れもなく背と両膝の裏に腕が回される。何事かと思ったときには、強い力で抱え上げられていた。
咄嗟にしがみついて感じたのは、相手の分厚く逞しい胸板の感触だ。その瞬間、強烈な雄の匂いを嗅ぎ取った。
ハッとして相手を見上げる。もちろん、両目は覆われたままなので顔を見ることはできない。それでも感じるものがあった。
抱え上げられていた時間はわずかで、すぐに和彦は布団の上に下ろされる。新しいシーツの感触を指先で確かめていると、入ってきたとき同様、抑え気味の足音が部屋を出て行く気配がした。そして、襖が閉まる音が。
次の瞬間、和彦の体はうつ伏せに転がされ、やや乱暴に腰を抱え上げられた。
「さあ、続きを始めようか、先生」
潤滑剤が残る内奥の入り口に、硬く滑らかな感触が押し当てられた。見なくとも和彦は、それがなんであるか知っている。
男の性器を模した卑猥な道具の形を思い出し、全身から汗が噴き出してくる。守光が和彦のために作らせたという道具の形は特におぞましく、だからこそ、確実に官能を引きずり出すのだ。
じっくりと肉を押し広げられ、その逞しい感触に呻き声が洩れる。さきほど指で簡単に開かれた内奥へと、道具は躊躇なく突き進んでくる。
敏感な襞と粘膜を擦り上げられながら、下腹部に広がる重苦しい感覚を味わう。
一度道具が引き抜かれたあと、再び押し込まれるが、たっぷりの潤滑剤を施したのか、淫靡な濡れた音が下肢から洩れ聞こえてくる。静かな室内では、その音は異様に大きく響き、和彦の羞恥心は激しく揺さぶられる。
「ううっ、うっ、うっ……、んうっ――」
緩やかに道具が内奥から出し入れされ、きれいに拭われたばかりの内腿を、溢れ出た潤滑剤が濡らしていく。
内奥をわずかに角度をつけて道具で突き上げられる。その瞬間、小さな瘤のような突起物の存在も思い知らされ、ゾクリとするような肉の愉悦が体の奥でうねる。意識しないまま内奥をきつく収縮させていた。
「……美味そうに咥え込んで、よく蠢いているようだな、あんたの中が。見えなくても、手に取るようにわかる。――嫌ではなかったんだろう。苛められて、漏らしたのが。それがあんたの性質だ」
ぐうっと奥深くまで道具が押し込まれ、堪らず和彦は甲高い声を上げる。そのうえ、さらに和彦を追い詰めるように、守光の片手が開いた足の間に差し込まれ、欲望を掴まれた。
「ひぁっ……」
「ふふ、思った通りだ。あんたは、素直で可愛いな」
すでに和彦の欲望は勃ち上がり、熱くなり始めている。苛められて嫌ではなかったどころではなく、感じてしまったのだ。
「あっ、あっ」
慣れた手つきで欲望をてのひらで擦り上げられ、内奥で道具を蠢かされる。和彦は背をしならせ、はしたなく腰を前後に揺らしていた。
「やはりまだ、このおもちゃのほうがお気に入りかね?」
揶揄するように問われたが、もちろん答えられるはずもない。和彦は喉を鳴らし、頬をシーツに擦りつける。このまま目隠しがズレそうだと思ったが、すぐにそれどころではなくなる。
わずかに疼痛が残る欲望の先端を、爪の先で弄られる。そこは、潤滑剤ではないもので濡れていた。
「まだそのままで。……あんたは気にしなくていい。今から片付けをさせるから」
えっ、と思ったときには、守光が誰かに呼びかけるように声を上げ、数拍の間を置いて襖が開き、人が部屋に入ってきた気配がした。抑え気味の足音ではあるが、一人ではない。
あられもない自分の姿を見られると、半ば恐慌状態に陥りながら和彦は体を起こそうとして、肩に大きな手がかかる。
「落ち着きなさい。あんたの体をきれいにして、布団を入れ替えるだけだ」
守光にそう声をかけられはしたものの、だからといってすぐに身構えを解けるはずもない。和彦は居たたまれなさに泣き出しそうになる。
濡れたタオルを腰に当てられ、体を捻って逃げようとしたが、抵抗はあっさり封じられる。
「あの……、自分でやり、ます……」
震えを帯びた和彦の言葉に応じる声はない。
一体何人が部屋に入ってきたのか懸命に気配を探ろうとするが、下肢の汚れを他人に後始末してもらうという状況に意識はすぐに散漫となる。
そもそも、一階に人の気配はなかったはずなのに、いつの間にか部屋の外に待機されていたのだ。自分が鈍いのか、もしくは、息を潜めて身を隠していた男たちが手練れなのか。いまさらながら、守光の手回しのよさが和彦には不気味だ。
あらかた下肢を拭われると、前触れもなく背と両膝の裏に腕が回される。何事かと思ったときには、強い力で抱え上げられていた。
咄嗟にしがみついて感じたのは、相手の分厚く逞しい胸板の感触だ。その瞬間、強烈な雄の匂いを嗅ぎ取った。
ハッとして相手を見上げる。もちろん、両目は覆われたままなので顔を見ることはできない。それでも感じるものがあった。
抱え上げられていた時間はわずかで、すぐに和彦は布団の上に下ろされる。新しいシーツの感触を指先で確かめていると、入ってきたとき同様、抑え気味の足音が部屋を出て行く気配がした。そして、襖が閉まる音が。
次の瞬間、和彦の体はうつ伏せに転がされ、やや乱暴に腰を抱え上げられた。
「さあ、続きを始めようか、先生」
潤滑剤が残る内奥の入り口に、硬く滑らかな感触が押し当てられた。見なくとも和彦は、それがなんであるか知っている。
男の性器を模した卑猥な道具の形を思い出し、全身から汗が噴き出してくる。守光が和彦のために作らせたという道具の形は特におぞましく、だからこそ、確実に官能を引きずり出すのだ。
じっくりと肉を押し広げられ、その逞しい感触に呻き声が洩れる。さきほど指で簡単に開かれた内奥へと、道具は躊躇なく突き進んでくる。
敏感な襞と粘膜を擦り上げられながら、下腹部に広がる重苦しい感覚を味わう。
一度道具が引き抜かれたあと、再び押し込まれるが、たっぷりの潤滑剤を施したのか、淫靡な濡れた音が下肢から洩れ聞こえてくる。静かな室内では、その音は異様に大きく響き、和彦の羞恥心は激しく揺さぶられる。
「ううっ、うっ、うっ……、んうっ――」
緩やかに道具が内奥から出し入れされ、きれいに拭われたばかりの内腿を、溢れ出た潤滑剤が濡らしていく。
内奥をわずかに角度をつけて道具で突き上げられる。その瞬間、小さな瘤のような突起物の存在も思い知らされ、ゾクリとするような肉の愉悦が体の奥でうねる。意識しないまま内奥をきつく収縮させていた。
「……美味そうに咥え込んで、よく蠢いているようだな、あんたの中が。見えなくても、手に取るようにわかる。――嫌ではなかったんだろう。苛められて、漏らしたのが。それがあんたの性質だ」
ぐうっと奥深くまで道具が押し込まれ、堪らず和彦は甲高い声を上げる。そのうえ、さらに和彦を追い詰めるように、守光の片手が開いた足の間に差し込まれ、欲望を掴まれた。
「ひぁっ……」
「ふふ、思った通りだ。あんたは、素直で可愛いな」
すでに和彦の欲望は勃ち上がり、熱くなり始めている。苛められて嫌ではなかったどころではなく、感じてしまったのだ。
「あっ、あっ」
慣れた手つきで欲望をてのひらで擦り上げられ、内奥で道具を蠢かされる。和彦は背をしならせ、はしたなく腰を前後に揺らしていた。
「やはりまだ、このおもちゃのほうがお気に入りかね?」
揶揄するように問われたが、もちろん答えられるはずもない。和彦は喉を鳴らし、頬をシーツに擦りつける。このまま目隠しがズレそうだと思ったが、すぐにそれどころではなくなる。
わずかに疼痛が残る欲望の先端を、爪の先で弄られる。そこは、潤滑剤ではないもので濡れていた。
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