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第42話
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いつもであれば、とっくに内奥を解すため、指を挿入されるところだが、今夜の賢吾はただ入り口をくすぐってくるだけだ。もどかしくて腰を揺すると、和彦の求めがわかったように賢吾が顔を上げ、意地の悪い表情を浮かべる。
「もう時間が時間だからな。今夜は、〈こっち〉はなしだ。だから――煩悶して苦しめ」
和彦は、賢吾の髪を鷲掴んではみたものの、引っ張るなどという命知らずなまねはできない。涙目で睨みつけると、賢吾は悠然と再び欲望を口腔に含んだ。柔らかな膨らみを巧みにてのひらで揉みしだかれ、張る意地もなくなった和彦は嬌声を上げる。
あっという間に上り詰め、賢吾の口腔に精を放っていた。
畳の上で体を投げ出して息を乱していると、賢吾が傍らにやってきた気配がする。何事かと、緩慢に顔を向けたところで、すぐに賢吾の意図を察した。
「……それも、仕置きの一つか」
「嫌か?」
胡坐をかいている賢吾は、己の欲望を露わにしている。和彦はのろのろと起き上がると、乱れた浴衣を直す。賢吾から揶揄するように言われた。
「几帳面だな」
和彦は答えず、賢吾の両足の間に顔を伏せる。後頭部に手がかかり、髪を撫でられて腰が疼いた。
すでに十分な大きさと硬さを誇る欲望を、和彦はまずそっと舐め上げた。括れに唇を押し当て、逞しい根本へと滑らせる。舌を絡ませ、ときには吸い付き、指の輪で優しく扱いているうちに、圧倒されるような力強さを漲らせていく。
はあっ、と深く息を吐き出した和彦は、先端に唇で触れると、軽く吸い上げる。それからゆっくりと口腔深くに呑み込んでいくと、後頭部にかかった賢吾の手にぐっと力が入った。
口腔の粘膜でしっとりと包み込む。すぐには動かず、ただ口腔に含んで熱と脈動を感じていると、賢吾の手にあごの下をくすぐられ、その感触に喉を鳴らす。頭上で、賢吾が笑う気配がした。
「なかなかいいもんだな。和室にクリスマスツリーってのも」
今言うことかと、上目遣いで睨みつけようとして、さらに喉元を撫でられて息が詰まる。同時に、賢吾の欲望を締め付けていた。
口淫を続ける和彦に対して、さりげなく賢吾が切り出してきた。
「お前が今いるマンションも知られているだろうし、今度はそっちに誰が押し掛けてくるかわかったもんじゃねーから、引っ越すか?」
欲望を含んだままの和彦は答えることができない。それを承知のうえで、賢吾は続ける。
「新しい部屋を借りてやってもいいし、なんなら、ここに移ってきてもいい。荷物が入りきらないと言うなら、隣の部屋も使え。お前が暮らしやすいようにしてやる」
喉元を撫でていた手がじわじわと移動し、胸元をまさぐり始める。和彦は鼻にかかった声を洩らすと、頭を上下させて淫靡な湿った音を立てながら、口腔から欲望を出し入れする。賢吾の息遣いが荒くなった。
「……できることなら、誰も知らない場所にお前を閉じ込めちまえば、いいんだろうがな。誰にも会わせず、どこにも行かせず。そういう想像をするのは、楽しいもんだ」
賢吾の手が深く差し込まれ、興奮に凝った胸の突起を指先で弄られる。その刺激のせいだけではなく、賢吾の言葉に和彦は感じていた。
「どうだ、本気で考えてみるか。そんな生活を。俺はかまわないが、さて、お前を大事にしている他の男たちが納得しないだろうな」
あごが疲れ、唾液が滴り落ちる。限界がきて頭を上げようとした和彦だが、すかさず賢吾に押さえ付けられた。これ以上なく充溢した欲望がドクンと脈打ち、精が迸り出る。和彦は舌を添えて受け止めると、賢吾に言われるまでもなくすべて嚥下する。
まだ硬さを失っていないものに舌を這わせ、丁寧に先端を吸ってから、賢吾の腹部に顔を寄せる。まるで幼子にするように、賢吾は優しく頭を撫でてくれた。
「年が明けてから、よさそうな物件を探させる。どこがいいかは、お前が実際に見て決めたらいい」
口元を浴衣の端で拭ってもらい、呼吸を整えてから和彦は応じる。
「……ぼくは、どこだっていい。あんたが選んでくれたところなら……」
あまり可愛いことを言うなと、賢吾が低く笑い声を洩らす。なんとなく、和彦もひっそりと笑みをこぼしていた。
「もう時間が時間だからな。今夜は、〈こっち〉はなしだ。だから――煩悶して苦しめ」
和彦は、賢吾の髪を鷲掴んではみたものの、引っ張るなどという命知らずなまねはできない。涙目で睨みつけると、賢吾は悠然と再び欲望を口腔に含んだ。柔らかな膨らみを巧みにてのひらで揉みしだかれ、張る意地もなくなった和彦は嬌声を上げる。
あっという間に上り詰め、賢吾の口腔に精を放っていた。
畳の上で体を投げ出して息を乱していると、賢吾が傍らにやってきた気配がする。何事かと、緩慢に顔を向けたところで、すぐに賢吾の意図を察した。
「……それも、仕置きの一つか」
「嫌か?」
胡坐をかいている賢吾は、己の欲望を露わにしている。和彦はのろのろと起き上がると、乱れた浴衣を直す。賢吾から揶揄するように言われた。
「几帳面だな」
和彦は答えず、賢吾の両足の間に顔を伏せる。後頭部に手がかかり、髪を撫でられて腰が疼いた。
すでに十分な大きさと硬さを誇る欲望を、和彦はまずそっと舐め上げた。括れに唇を押し当て、逞しい根本へと滑らせる。舌を絡ませ、ときには吸い付き、指の輪で優しく扱いているうちに、圧倒されるような力強さを漲らせていく。
はあっ、と深く息を吐き出した和彦は、先端に唇で触れると、軽く吸い上げる。それからゆっくりと口腔深くに呑み込んでいくと、後頭部にかかった賢吾の手にぐっと力が入った。
口腔の粘膜でしっとりと包み込む。すぐには動かず、ただ口腔に含んで熱と脈動を感じていると、賢吾の手にあごの下をくすぐられ、その感触に喉を鳴らす。頭上で、賢吾が笑う気配がした。
「なかなかいいもんだな。和室にクリスマスツリーってのも」
今言うことかと、上目遣いで睨みつけようとして、さらに喉元を撫でられて息が詰まる。同時に、賢吾の欲望を締め付けていた。
口淫を続ける和彦に対して、さりげなく賢吾が切り出してきた。
「お前が今いるマンションも知られているだろうし、今度はそっちに誰が押し掛けてくるかわかったもんじゃねーから、引っ越すか?」
欲望を含んだままの和彦は答えることができない。それを承知のうえで、賢吾は続ける。
「新しい部屋を借りてやってもいいし、なんなら、ここに移ってきてもいい。荷物が入りきらないと言うなら、隣の部屋も使え。お前が暮らしやすいようにしてやる」
喉元を撫でていた手がじわじわと移動し、胸元をまさぐり始める。和彦は鼻にかかった声を洩らすと、頭を上下させて淫靡な湿った音を立てながら、口腔から欲望を出し入れする。賢吾の息遣いが荒くなった。
「……できることなら、誰も知らない場所にお前を閉じ込めちまえば、いいんだろうがな。誰にも会わせず、どこにも行かせず。そういう想像をするのは、楽しいもんだ」
賢吾の手が深く差し込まれ、興奮に凝った胸の突起を指先で弄られる。その刺激のせいだけではなく、賢吾の言葉に和彦は感じていた。
「どうだ、本気で考えてみるか。そんな生活を。俺はかまわないが、さて、お前を大事にしている他の男たちが納得しないだろうな」
あごが疲れ、唾液が滴り落ちる。限界がきて頭を上げようとした和彦だが、すかさず賢吾に押さえ付けられた。これ以上なく充溢した欲望がドクンと脈打ち、精が迸り出る。和彦は舌を添えて受け止めると、賢吾に言われるまでもなくすべて嚥下する。
まだ硬さを失っていないものに舌を這わせ、丁寧に先端を吸ってから、賢吾の腹部に顔を寄せる。まるで幼子にするように、賢吾は優しく頭を撫でてくれた。
「年が明けてから、よさそうな物件を探させる。どこがいいかは、お前が実際に見て決めたらいい」
口元を浴衣の端で拭ってもらい、呼吸を整えてから和彦は応じる。
「……ぼくは、どこだっていい。あんたが選んでくれたところなら……」
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