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第41話
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もっとも、それで南郷が満足するはずもなく、脇腹を思わせぶりに撫でられながら、トレーナーを押し上げられる。素肌に触れるぬるい空気に、反射的に和彦は首を竦める。子供の機嫌をうかがうように、やけに甘い声で南郷が問いかけてきた。
「寒いか、先生?」
暖房が効いて暑いというのは、大げさな表現ではなかったのだろう。いつの間にか南郷の額にはうっすら汗が浮いている。極度の緊張から、体が冷え切っている和彦とは対照的だ。そんな和彦を暖めようとするかのように、腹部に大きなてのひらが押し当てられる。
さきほどまで冷たかった南郷の手は、今はもう戦くほど熱くなり、和彦の肌すら温めていく。何かよからぬものに自分が侵食されていくような不気味さを感じ、和彦は身を捩ろうとしたが、その反応が南郷を刺激したらしい。いきなり胸元までトレーナーを捲り上げられた。
「うっ……」
露わになった胸元に、両てのひらが這わされる。
覚えのある状況だった。明かりの下、南郷に押さえつけられて体をまさぐられ、和彦は震える。
「いい加減、俺の感触にも慣れてきただろう。そうなってもらわないと、困るんだが。なんといっても、長いつき合いになる。慣れないと、あんたがつらいだけだ」
どういう意味かと、眼差しで問いかける。南郷は、今のは失言だというように、おどけた仕種で肩を竦める。和彦は食い下がろうとしたが、強引にトレーナーを脱がされ、それどころではなくなる。
覆い被さってきた南郷の体の重みに声を洩らしたときには、また唇を塞がれていた。
「んっ、んんっ」
スウェットパンツのウェストに手がかかり、引き下ろされる。口腔に押し込まれた舌に粘膜を舐め回され、逞しい体の下でもがくが、南郷に下着ごとスウェットパンツを腿の半ばまで下ろされていた。
足をばたつかせた拍子に、誤って床に踵をぶつけてしまう。痛みに呻き声を洩らし、身を強張らせると、さすがに南郷が唇を離した。
「今ので足を痛めたか?」
「……なんでも、ないです」
「気をつけてくれよ。風邪を引かせるのはもちろん、あんたの体に青痣を残すなんてしたくないからな。――あんたの体は、愛でるためにある」
そう言って南郷が、剥き出しとなった欲望を掴んでくる。和彦は目を見開き、悲鳴を上げる。
怯えきっている欲望を数回扱いてから、軽く鼻を鳴らした南郷は、本格的に和彦を嬲りにかかる。必死に身を捩ったにもかかわらず、あっさりスウェットパンツと下着を両足から抜き取られた。
「南郷さんっ――」
「今夜は、あんただけを裸にひん剥いたりしない。さっき言っただろう。俺のとっておきを見てみないかと。見たくないなんて、寂しいことは言わないでくれよ。俺とあんたの仲だ」
広げた毛布の上で裸体を晒し、和彦は視線による辱めを受ける。自分の格好の無防備さを自覚してしまうと、逃げ出そうという気持ちは潰え、視線を避ける術もないと諦めざるをえないのだ。
両足を立てて広げさせられ、秘められた部分までじっくりと観察されながら、羞恥と屈辱から全身が燃えそうに熱くなる。そのせいで肌が汗でじっとりと濡れてくると、揶揄するように南郷が言った。
「ようやく体が温まってきたみたいだな」
ここで、何度目かとなる口づけを与えられる。上唇と下唇を荒々しく交互に吸われたあと、半ば脅されるように舌を差し出すことを求められ、濃厚に絡め合う。口づけの合間に南郷が身じろぎ、開いた両足の間に腰が割り込まされていた。スラックスの前が寛げられ、外に引き出された南郷の欲望が内腿に擦り付けられる。
勃ち上がりかけた〈それ〉は、生々しい熱を持ち、ゆっくりと力を溜め込んでいる最中だった。今の状況で、和彦に対してどこまでも傲慢に振る舞える存在となった南郷は、明け透けな行為をさっそく求めてくる。言葉もなく。
口づけを続けながら和彦は片手を取られ、南郷の両足の間へと導かれる。否応なく握らされた欲望を扱き始めると、本物の獣のように南郷が唸り声を洩らし、熱い息遣いが唇にかかる。
握り締めた欲望が逞しく育ち、燃えそうに熱くなるまでに、さほど時間を必要としなかった。
「やっぱり上手いな、先生」
意地悪くそんなことを囁きかけてきた南郷が、いまだ怯えたままの和彦の欲望に、自分の高ぶりを擦りつけてくる。露骨に腰を揺らしながら、和彦の胸元にてのひらを這わせ、ふいに顔を伏せたかと思うと、微かに濡れた音を立てて胸の突起を吸い上げてきた。
「ああっ」
思いがけない快美さが胸元に広がり、恥知らずな声を上げてしまう。上目遣いで見上げてきた南郷が、わが意を得たりとばかりに口元を緩めた。
「寒いか、先生?」
暖房が効いて暑いというのは、大げさな表現ではなかったのだろう。いつの間にか南郷の額にはうっすら汗が浮いている。極度の緊張から、体が冷え切っている和彦とは対照的だ。そんな和彦を暖めようとするかのように、腹部に大きなてのひらが押し当てられる。
さきほどまで冷たかった南郷の手は、今はもう戦くほど熱くなり、和彦の肌すら温めていく。何かよからぬものに自分が侵食されていくような不気味さを感じ、和彦は身を捩ろうとしたが、その反応が南郷を刺激したらしい。いきなり胸元までトレーナーを捲り上げられた。
「うっ……」
露わになった胸元に、両てのひらが這わされる。
覚えのある状況だった。明かりの下、南郷に押さえつけられて体をまさぐられ、和彦は震える。
「いい加減、俺の感触にも慣れてきただろう。そうなってもらわないと、困るんだが。なんといっても、長いつき合いになる。慣れないと、あんたがつらいだけだ」
どういう意味かと、眼差しで問いかける。南郷は、今のは失言だというように、おどけた仕種で肩を竦める。和彦は食い下がろうとしたが、強引にトレーナーを脱がされ、それどころではなくなる。
覆い被さってきた南郷の体の重みに声を洩らしたときには、また唇を塞がれていた。
「んっ、んんっ」
スウェットパンツのウェストに手がかかり、引き下ろされる。口腔に押し込まれた舌に粘膜を舐め回され、逞しい体の下でもがくが、南郷に下着ごとスウェットパンツを腿の半ばまで下ろされていた。
足をばたつかせた拍子に、誤って床に踵をぶつけてしまう。痛みに呻き声を洩らし、身を強張らせると、さすがに南郷が唇を離した。
「今ので足を痛めたか?」
「……なんでも、ないです」
「気をつけてくれよ。風邪を引かせるのはもちろん、あんたの体に青痣を残すなんてしたくないからな。――あんたの体は、愛でるためにある」
そう言って南郷が、剥き出しとなった欲望を掴んでくる。和彦は目を見開き、悲鳴を上げる。
怯えきっている欲望を数回扱いてから、軽く鼻を鳴らした南郷は、本格的に和彦を嬲りにかかる。必死に身を捩ったにもかかわらず、あっさりスウェットパンツと下着を両足から抜き取られた。
「南郷さんっ――」
「今夜は、あんただけを裸にひん剥いたりしない。さっき言っただろう。俺のとっておきを見てみないかと。見たくないなんて、寂しいことは言わないでくれよ。俺とあんたの仲だ」
広げた毛布の上で裸体を晒し、和彦は視線による辱めを受ける。自分の格好の無防備さを自覚してしまうと、逃げ出そうという気持ちは潰え、視線を避ける術もないと諦めざるをえないのだ。
両足を立てて広げさせられ、秘められた部分までじっくりと観察されながら、羞恥と屈辱から全身が燃えそうに熱くなる。そのせいで肌が汗でじっとりと濡れてくると、揶揄するように南郷が言った。
「ようやく体が温まってきたみたいだな」
ここで、何度目かとなる口づけを与えられる。上唇と下唇を荒々しく交互に吸われたあと、半ば脅されるように舌を差し出すことを求められ、濃厚に絡め合う。口づけの合間に南郷が身じろぎ、開いた両足の間に腰が割り込まされていた。スラックスの前が寛げられ、外に引き出された南郷の欲望が内腿に擦り付けられる。
勃ち上がりかけた〈それ〉は、生々しい熱を持ち、ゆっくりと力を溜め込んでいる最中だった。今の状況で、和彦に対してどこまでも傲慢に振る舞える存在となった南郷は、明け透けな行為をさっそく求めてくる。言葉もなく。
口づけを続けながら和彦は片手を取られ、南郷の両足の間へと導かれる。否応なく握らされた欲望を扱き始めると、本物の獣のように南郷が唸り声を洩らし、熱い息遣いが唇にかかる。
握り締めた欲望が逞しく育ち、燃えそうに熱くなるまでに、さほど時間を必要としなかった。
「やっぱり上手いな、先生」
意地悪くそんなことを囁きかけてきた南郷が、いまだ怯えたままの和彦の欲望に、自分の高ぶりを擦りつけてくる。露骨に腰を揺らしながら、和彦の胸元にてのひらを這わせ、ふいに顔を伏せたかと思うと、微かに濡れた音を立てて胸の突起を吸い上げてきた。
「ああっ」
思いがけない快美さが胸元に広がり、恥知らずな声を上げてしまう。上目遣いで見上げてきた南郷が、わが意を得たりとばかりに口元を緩めた。
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