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第40話
(33)
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身近にいすぎて見過ごしてしまうが、千尋は外見も中身もまだ成長過程にある。犬っころのような青年が、背に彫った恐ろしくも献身的な獣を身の内に宿す日は、近いかもしれない。それとも、すでに棲みついて、息を潜めているのか。
それはとても怖いことだが、一方で、抗い難い魅力も感じてしまうのだ。
ふいに千尋の片手が伸びてきて、髪を掻き上げられる。
「何か、考え事してる?」
少し怒ったような声で問われ、和彦はふっと我に返る。
「お前も成長してるなと思って。体、鍛えてるだろ?」
「最近、人に勧められてさ、ジムに通い出したんだ。スーツ着る機会も増えたし、ちょっとでも映える体つきになりたくて。何より、体力つけないと。この世界、化け物みたいな体力持ったオッサンたちが多すぎるんだよ」
「……ほどほどでいいからな」
和彦の言葉に、千尋が意味ありげな笑みを浮かべる。
「なんの心配してるの? いやらしいなー、和彦は」
ここでムキになっては相手の思うツボだと、和彦は自分を戒める。反論は、言葉ではなく行動で示した。
興奮して身を起こした千尋の欲望を優しく片手で握り込むと、ビクリと腰を震わせた千尋が短く声を洩らす。
「お前もいやらしい。――もう、こんなにして」
握り込んだものを緩く上下に扱いてやると、素直に悦びを表し、硬さも重量も増していく。甘ったれの本領発揮とばかりに、掠れた声で千尋に求められ、ゾクゾクするような興奮を覚えて和彦は応じる。
頭の位置を下ろし、千尋の反応をうかがいながら、欲望の根元から丹念に舐め上げてやる。ときおり唇を這わせ、優しく吸いついてやると、それだけで千尋は切羽詰まった声を上げ、体を波打たせる。
先端から滲み出た透明なしずくを舐め取り、まず括れまでを口腔に含むと、指の輪で欲望を扱きつつ、唇で締め付ける。
たっぷりの唾液を絡ませた舌で、口腔に含んだ先端を舐める。千尋がうわ言のように『先生』と呼びながら、和彦の後頭部に手をかけてきた。望み通り、口腔深くまで欲望を呑み込み、熱く濡れた粘膜をまとわりつかせ、吸引する。
瞬く間に逞しく成長した熱い塊が、和彦の喉を圧迫する。苦しさを上回って、これ以上ない歓喜を示す存在が愛しくて、このまま最後の瞬間を受け止めるつもりだったが、途中、慌てたように千尋に顔を上げさせられた。このとき、自分がどんな顔をしていたのか和彦にはわからなかったが、千尋が惚けたように見つめてくる。
何も言わないまま体を引っ張り上げられ、今度は和彦がベッドに横たえられ、千尋が覆い被さってきた。
すっかり汗ばんだしなやかで熱い体の感触に、眩暈にも似た恍惚感を覚える。自分が熱くした体だという、独占欲にも似た感情が芽生えていた。
千尋は、餓えた獣そのものだった。和彦の肌に貪りつき、舐めて吸いつくだけではなく、ときには噛みついてもくる。
「あっ、千尋っ……」
腕を持ち上げられ、腋にすら舌を這わされてさすがに羞恥するが、身を捩る和彦にますます千尋は煽られたようだった。やや強引に両足の間に手が差し込んできたかと思うと、いきなり柔らかな膨らみをまさぐり始める。
「ううっ」
手荒く揉みしだかれて、和彦は呻き声を洩らして腰を跳ねさせる。千尋の手を押し退けようとしたが、掠れた声で窘められた。
「ダメだよ。俺の好きなようにさせて。気持ちよくしてあげるから」
弱みを指で刺激され、思わず甲高い声を洩らす。執拗に柔らかな膨らみを苛められ、次第に両足から力が抜けていく。千尋の片手が膝にかかり、促されるまま和彦は自ら足を開いていた。
強い視線に晒されながら、身を起こしかけた欲望の形を、思わせぶりに指先でなぞられる。このときの千尋の表情は、まさに舌舐めずりする獣のそれだ。身震いしたくなるような興奮が和彦の中を駆け抜け、吐息を洩らしていた。
眠れなくてホットミルクを作っていたはずが、ここに至るまでの展開が早すぎる。おかげで、胸の中に巣食っていた憂鬱を、一時とはいえ紛らわせることができる。それほど、千尋の存在は強烈で、魅力的だ。
誘われるように千尋が、開いた両足の間に顔を埋めてくる。柔らかな声音で和彦は制止していたが、それは千尋を煽るとわかったうえでのことだ。
当然千尋は、やめるどころか、勢いを得たように欲望にしゃぶりついてきた。
「あうぅっ、うっ、うっ……ん」
技巧など知らないとばかりに激しく吸い立てられ、舌が絡みついてくる。和彦は荒い呼吸を繰り返しながら、性急な愛撫を受け入れようとしていたが、ふいに上擦った声を上げて腰を震わせる。和彦のその反応に、千尋も気づいたようだった。
上目遣いに見上げてきながら、欲望の先端に唇を這わせ、慎重に和彦の反応を観察してくる。
それはとても怖いことだが、一方で、抗い難い魅力も感じてしまうのだ。
ふいに千尋の片手が伸びてきて、髪を掻き上げられる。
「何か、考え事してる?」
少し怒ったような声で問われ、和彦はふっと我に返る。
「お前も成長してるなと思って。体、鍛えてるだろ?」
「最近、人に勧められてさ、ジムに通い出したんだ。スーツ着る機会も増えたし、ちょっとでも映える体つきになりたくて。何より、体力つけないと。この世界、化け物みたいな体力持ったオッサンたちが多すぎるんだよ」
「……ほどほどでいいからな」
和彦の言葉に、千尋が意味ありげな笑みを浮かべる。
「なんの心配してるの? いやらしいなー、和彦は」
ここでムキになっては相手の思うツボだと、和彦は自分を戒める。反論は、言葉ではなく行動で示した。
興奮して身を起こした千尋の欲望を優しく片手で握り込むと、ビクリと腰を震わせた千尋が短く声を洩らす。
「お前もいやらしい。――もう、こんなにして」
握り込んだものを緩く上下に扱いてやると、素直に悦びを表し、硬さも重量も増していく。甘ったれの本領発揮とばかりに、掠れた声で千尋に求められ、ゾクゾクするような興奮を覚えて和彦は応じる。
頭の位置を下ろし、千尋の反応をうかがいながら、欲望の根元から丹念に舐め上げてやる。ときおり唇を這わせ、優しく吸いついてやると、それだけで千尋は切羽詰まった声を上げ、体を波打たせる。
先端から滲み出た透明なしずくを舐め取り、まず括れまでを口腔に含むと、指の輪で欲望を扱きつつ、唇で締め付ける。
たっぷりの唾液を絡ませた舌で、口腔に含んだ先端を舐める。千尋がうわ言のように『先生』と呼びながら、和彦の後頭部に手をかけてきた。望み通り、口腔深くまで欲望を呑み込み、熱く濡れた粘膜をまとわりつかせ、吸引する。
瞬く間に逞しく成長した熱い塊が、和彦の喉を圧迫する。苦しさを上回って、これ以上ない歓喜を示す存在が愛しくて、このまま最後の瞬間を受け止めるつもりだったが、途中、慌てたように千尋に顔を上げさせられた。このとき、自分がどんな顔をしていたのか和彦にはわからなかったが、千尋が惚けたように見つめてくる。
何も言わないまま体を引っ張り上げられ、今度は和彦がベッドに横たえられ、千尋が覆い被さってきた。
すっかり汗ばんだしなやかで熱い体の感触に、眩暈にも似た恍惚感を覚える。自分が熱くした体だという、独占欲にも似た感情が芽生えていた。
千尋は、餓えた獣そのものだった。和彦の肌に貪りつき、舐めて吸いつくだけではなく、ときには噛みついてもくる。
「あっ、千尋っ……」
腕を持ち上げられ、腋にすら舌を這わされてさすがに羞恥するが、身を捩る和彦にますます千尋は煽られたようだった。やや強引に両足の間に手が差し込んできたかと思うと、いきなり柔らかな膨らみをまさぐり始める。
「ううっ」
手荒く揉みしだかれて、和彦は呻き声を洩らして腰を跳ねさせる。千尋の手を押し退けようとしたが、掠れた声で窘められた。
「ダメだよ。俺の好きなようにさせて。気持ちよくしてあげるから」
弱みを指で刺激され、思わず甲高い声を洩らす。執拗に柔らかな膨らみを苛められ、次第に両足から力が抜けていく。千尋の片手が膝にかかり、促されるまま和彦は自ら足を開いていた。
強い視線に晒されながら、身を起こしかけた欲望の形を、思わせぶりに指先でなぞられる。このときの千尋の表情は、まさに舌舐めずりする獣のそれだ。身震いしたくなるような興奮が和彦の中を駆け抜け、吐息を洩らしていた。
眠れなくてホットミルクを作っていたはずが、ここに至るまでの展開が早すぎる。おかげで、胸の中に巣食っていた憂鬱を、一時とはいえ紛らわせることができる。それほど、千尋の存在は強烈で、魅力的だ。
誘われるように千尋が、開いた両足の間に顔を埋めてくる。柔らかな声音で和彦は制止していたが、それは千尋を煽るとわかったうえでのことだ。
当然千尋は、やめるどころか、勢いを得たように欲望にしゃぶりついてきた。
「あうぅっ、うっ、うっ……ん」
技巧など知らないとばかりに激しく吸い立てられ、舌が絡みついてくる。和彦は荒い呼吸を繰り返しながら、性急な愛撫を受け入れようとしていたが、ふいに上擦った声を上げて腰を震わせる。和彦のその反応に、千尋も気づいたようだった。
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