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第40話
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「少し動かすぞ」
「い、やだ……。まだ、痛い――」
和彦の拒絶は案の定無視され、綿棒をわずかずつだが出し入れされる。和彦は立て続けに切迫した声を上げ、腰をもじつかせる。そんな和彦の様子から感じるものがあったのか、ふいに賢吾が、小さな口から再び綿棒を引き抜いた。その瞬間、和彦自身も異変に気づき、上擦った声を上げる。
賢吾の見ている前で、わずかに漏らしていた。
これまでのつき合いで、賢吾の厄介な癖は薄々とながら気づいていた。全身を戦慄かせながら和彦が賢吾の様子をうかがうと、口元に薄い笑みを浮かべて、食い入るように濡れた下腹部を見つめていた。
「――また、いいか?」
静かな歓喜を滲ませた声で問われ、和彦は顔を背ける。たった一つの返事しか求めていないのは、いつものことだ。
息を吐き出すと同時に、綿棒を押し込まれて苦痛の声を洩らす。無理な行為に及んでいるという自覚はあるのか、賢吾は時間をかけて小さな口を犯しながら、和彦の体の強張りを解こうとするかのように、ささやかな愛撫を加えてくる。
小刻みに震える内腿にてのひらを這わせ、膝に唇を押し当て、ときには柔らかな膨らみを優しく指で揉みしだき、思い出したように綿棒を繊細に蠢かし――。
痛みと異物感に、否応なく和彦は順応させられていく。そうしないと、いつまで経っても苦痛から逃れられず、和彦の反応の変化を待ち望み、一心に見つめてくる賢吾に応えられないのだ。
「ふっ……、んんっ、はあっ、はあっ、はっ……ん」
我ながら度し難いと、和彦は震えを帯びた吐息をこぼす。こんなひどいことをしてくる男を喜ばせたいと思うなんて、と。
和彦が欲情に濡れた眼差しを向けると、賢吾はスッと目を細めた。
「やっぱりな。俺の与える痛みに、もう馴染み始めてるだろ。性質が悪いが、だからこそ――大事で可愛い、俺のオンナだ」
囁かれた言葉に、全身に快美さが駆け抜ける。綿棒が一層深く押し込まれたが、口を突いて出たのは苦痛の声ではなく、尾を引く甘い呻き声だった。
もっと聞かせろと言わんばかりに綿棒が出し入れされ、和彦はいままで味わったことのない感覚に煩悶し、強張っていた下肢から力が抜けていく。知らず知らずのうちに、うわ言のように繰り返していた。
「賢、吾……、もう、ダメだ。動かす、な」
「痛いか?」
「違う。ダメ、なんだ……」
ふいに、小さな口からツプリと綿棒が引き抜かれ、和彦は腰を跳ねさせる。
「んっ……、ふあっ、あっ、はあぁっ……」
込み上げてきた熱い感覚に、喉を震わせる。それは、恍惚とも表現できたかもしれない。屈辱感に打ちのめされても不思議ではない姿を見られながら、浅ましくも和彦は感じていた。
満足げに賢吾が言う。
「バスタオルを敷いておいて正解だったな。びしょびしょだ」
「……誰の、せいだ」
ここまでの行為で羞恥心が薄れてきてはいるが、まったく平気というわけではない。無遠慮な視線から逃れようと軽く身を捩ったが、その拍子に、たった今まで犯されていた部分に疼痛が走った。
動揺をそのまま表情に出してしまうと、威圧的に賢吾がのしかかってくる。濡れた欲望を掴まれ、和彦は慌ててその手を押しのけようとする。
「一度体を洗わせてくれっ。……汚いから」
「汚いと思うなら、最初から〈ここ〉を可愛がったりしねーよ」
賢吾の顔が近づいてきて、ああ、と和彦は吐息を洩らす。労るように優しく唇を啄ばまれ、最初は自らの下肢の汚れを気にしていた和彦だが、熱い舌が口腔に入り込んでくると、すぐに口づけに夢中になる。
余裕なく舌を絡ませ、唾液を啜り合いながら、腰の辺りに擦りつけられる凶悪な熱の塊に手を伸ばす。よほど、和彦を苛めて楽しかったらしい。ふてぶてしくいきり立っている。
大蛇の潜む目を間近から覗き込み、賢吾の求めを汲み取る。和彦が小さく頷いて見せると、あっという間に体をうつ伏せにされ、腰を抱え上げられていた。
「あうぅっ」
待ちかねていたように、一気に背後から押し入られる。さんざん擦られ、広げられた内奥は、それでも喜々として大蛇の分身を呑み込むと、ゆるゆると締め付ける。
賢吾はすぐに腰を使い始め、内奥深くを果敢に突き上げてくる。
「――今日は、いい誕生日だった。お前が精一杯、俺に尽くしてくれた」
ふいに腰を掴まれ、円を描くように内奥を掻き回される。和彦は荒い呼吸を繰り返しながら必死にクッションを握り締め、背をしならせる。
恥ずかしいが、両足の間をまた濡らしていた。賢吾が気づかないはずもなく、欲望を掴まれる。
「はぅっ……、うっ、うっ、嫌だ、触るなっ……」
「あとでまた、可愛がってやる。時間をかけて、奥深くまで」
「い、やだ……。まだ、痛い――」
和彦の拒絶は案の定無視され、綿棒をわずかずつだが出し入れされる。和彦は立て続けに切迫した声を上げ、腰をもじつかせる。そんな和彦の様子から感じるものがあったのか、ふいに賢吾が、小さな口から再び綿棒を引き抜いた。その瞬間、和彦自身も異変に気づき、上擦った声を上げる。
賢吾の見ている前で、わずかに漏らしていた。
これまでのつき合いで、賢吾の厄介な癖は薄々とながら気づいていた。全身を戦慄かせながら和彦が賢吾の様子をうかがうと、口元に薄い笑みを浮かべて、食い入るように濡れた下腹部を見つめていた。
「――また、いいか?」
静かな歓喜を滲ませた声で問われ、和彦は顔を背ける。たった一つの返事しか求めていないのは、いつものことだ。
息を吐き出すと同時に、綿棒を押し込まれて苦痛の声を洩らす。無理な行為に及んでいるという自覚はあるのか、賢吾は時間をかけて小さな口を犯しながら、和彦の体の強張りを解こうとするかのように、ささやかな愛撫を加えてくる。
小刻みに震える内腿にてのひらを這わせ、膝に唇を押し当て、ときには柔らかな膨らみを優しく指で揉みしだき、思い出したように綿棒を繊細に蠢かし――。
痛みと異物感に、否応なく和彦は順応させられていく。そうしないと、いつまで経っても苦痛から逃れられず、和彦の反応の変化を待ち望み、一心に見つめてくる賢吾に応えられないのだ。
「ふっ……、んんっ、はあっ、はあっ、はっ……ん」
我ながら度し難いと、和彦は震えを帯びた吐息をこぼす。こんなひどいことをしてくる男を喜ばせたいと思うなんて、と。
和彦が欲情に濡れた眼差しを向けると、賢吾はスッと目を細めた。
「やっぱりな。俺の与える痛みに、もう馴染み始めてるだろ。性質が悪いが、だからこそ――大事で可愛い、俺のオンナだ」
囁かれた言葉に、全身に快美さが駆け抜ける。綿棒が一層深く押し込まれたが、口を突いて出たのは苦痛の声ではなく、尾を引く甘い呻き声だった。
もっと聞かせろと言わんばかりに綿棒が出し入れされ、和彦はいままで味わったことのない感覚に煩悶し、強張っていた下肢から力が抜けていく。知らず知らずのうちに、うわ言のように繰り返していた。
「賢、吾……、もう、ダメだ。動かす、な」
「痛いか?」
「違う。ダメ、なんだ……」
ふいに、小さな口からツプリと綿棒が引き抜かれ、和彦は腰を跳ねさせる。
「んっ……、ふあっ、あっ、はあぁっ……」
込み上げてきた熱い感覚に、喉を震わせる。それは、恍惚とも表現できたかもしれない。屈辱感に打ちのめされても不思議ではない姿を見られながら、浅ましくも和彦は感じていた。
満足げに賢吾が言う。
「バスタオルを敷いておいて正解だったな。びしょびしょだ」
「……誰の、せいだ」
ここまでの行為で羞恥心が薄れてきてはいるが、まったく平気というわけではない。無遠慮な視線から逃れようと軽く身を捩ったが、その拍子に、たった今まで犯されていた部分に疼痛が走った。
動揺をそのまま表情に出してしまうと、威圧的に賢吾がのしかかってくる。濡れた欲望を掴まれ、和彦は慌ててその手を押しのけようとする。
「一度体を洗わせてくれっ。……汚いから」
「汚いと思うなら、最初から〈ここ〉を可愛がったりしねーよ」
賢吾の顔が近づいてきて、ああ、と和彦は吐息を洩らす。労るように優しく唇を啄ばまれ、最初は自らの下肢の汚れを気にしていた和彦だが、熱い舌が口腔に入り込んでくると、すぐに口づけに夢中になる。
余裕なく舌を絡ませ、唾液を啜り合いながら、腰の辺りに擦りつけられる凶悪な熱の塊に手を伸ばす。よほど、和彦を苛めて楽しかったらしい。ふてぶてしくいきり立っている。
大蛇の潜む目を間近から覗き込み、賢吾の求めを汲み取る。和彦が小さく頷いて見せると、あっという間に体をうつ伏せにされ、腰を抱え上げられていた。
「あうぅっ」
待ちかねていたように、一気に背後から押し入られる。さんざん擦られ、広げられた内奥は、それでも喜々として大蛇の分身を呑み込むと、ゆるゆると締め付ける。
賢吾はすぐに腰を使い始め、内奥深くを果敢に突き上げてくる。
「――今日は、いい誕生日だった。お前が精一杯、俺に尽くしてくれた」
ふいに腰を掴まれ、円を描くように内奥を掻き回される。和彦は荒い呼吸を繰り返しながら必死にクッションを握り締め、背をしならせる。
恥ずかしいが、両足の間をまた濡らしていた。賢吾が気づかないはずもなく、欲望を掴まれる。
「はぅっ……、うっ、うっ、嫌だ、触るなっ……」
「あとでまた、可愛がってやる。時間をかけて、奥深くまで」
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