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第40話
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「……悪い、オンナだ、お前は」
「あんたは、悪い男だ」
「でも、惚れてるだろ。こんなに漏らしてくれるほど」
賢吾の手が、濡れた下腹部をまさぐる。すべて、悦びの証として和彦の欲望が迸らせたものだ。
「あっ、嫌だ……」
力を失ってはいるものの敏感なままの欲望を緩く扱かれる。和彦が上体を捩るようにして愛撫から逃れようとすると、意外なほどあっさりと繋がりが解かれ、賢吾が隣に横になる。そして、当然のように片腕で抱き寄せられた。
触れた賢吾の欲望はまだ猛っており、ほんの一休憩のつもりらしい。最後までもつだろうかと、すでに体力の大半を消耗している和彦は少々心配になる。今夜は賢吾が望む限り、気持ちとしてはつき合いたかった。
和彦のほうから顔を寄せ、そっと賢吾の唇を吸い上げる。すると濡れた後ろ髪を手荒く撫でられ、我ながら度し難いが、また体が疼いた。
「――いやらしいな。まだ発情した顔をしてるぞ」
賢吾の指摘を否定せず、和彦はこう問いかけた。
「ぼくとのセックスは、よかったか?」
「誕生日だからサービスしてくれたのか」
「違っ……」
「お前とのセックスはいつだって最高だ。だから、ハマる。――お前も、そうだろう?」
行為の最中、賢吾に言われた言葉を思い出す。和彦がなんと答えようが、深読みした賢吾は嫉妬して、さらに和彦に執着してくれるだろう。
「答えろよ、和彦。俺の誕生日だぞ」
「都合よく利用するな」
和彦はクスクスと声を洩らして笑い、つられたように賢吾も表情を和らげる。その一方で、油断ならない手が和彦の下肢に伸ばされてきた。
「あっ」
再び欲望を握られ、慌てて和彦は手を押し退けようとする。
「もう無理だっ……」
「気にするな。手持ち無沙汰で触っているだけだ」
「……オモチャじゃないんだぞ」
そう言いはしたものの、熱心に刺激を与えられているうちに、和彦は足をもじつかせるようになる。賢吾に触れられて、無反応でいられるはずがなかった。
賢吾の指の腹に先端を撫で擦られ、爪の先で弄られる。意味ありげな動きに、和彦がうかがうように賢吾を見つめると、優しく唇を吸われた。
「和彦、他の男に、ここはまだ弄られてないか?」
「ここ、って……」
「いつだったか俺が、ヘアピンでいじめてやろうとした場所だ」
先端に軽く爪を立てられ、和彦はビクビクと腰を震わせる。その反応が、返事としては十分だったらしい。なんとも物騒な笑みを浮かべた賢吾が、こんなことを囁きかけてきた。
「お前の〈初めて〉が欲しいな。誕生日プレゼントとして」
和彦は横になったまま後退ろうとしたが、賢吾から逃れるのは容易なことではない。特にベッドの上だと。欲望を握られただけで、動けなくなった。
悔しくて、賢吾を睨みつける。
「……自分の誕生日を有効活用しているな、あんた」
「はしゃいでるんだ。大事で可愛いオンナが一緒に祝ってくれて、俺のわがままを聞き入れてくれて」
「まだ聞き入れてないだろっ」
「でも、聞き入れてくれるだろ?」
強い力で引き寄せられ、仰臥した賢吾の上へと乗り上がる。尻の肉を揉まれながら、高ぶったままの欲望をこれ見よがしに下腹部に擦りつけられ、和彦は熱っぽい吐息を洩らした。
自ら腰を跨いだ格好となると、賢吾の顔を見下ろしながら、潤んだ内奥に欲望を呑み込んでいく。賢吾に腰を掴まれ、ゆっくりと前後に揺さぶられ、逞しい胸元に手を突いて和彦は悦びの声を上げる。
「精液がもう一滴も出ないと言うまで搾り取ってから、じっくりと時間をかけて、〈初めて〉を堪能させてやる」
賢吾の宣言に、擦り上げられる内奥が激しく蠢き、欲望を締め付ける。さらに賢吾は続ける。
「洗面台の綿棒を見るまでは、考えもしなかったんだがな。……見て、思いつくと、我慢できなくなった。お前の――は、全部俺のものにしちまいたい」
いいだろう? と甘い声で問われ、否とは言えなかった。大蛇の束縛に全身を締め上げられ、それが例えようもなく心地よく、その状態でわがままを言われると、一層心地よさに拍車がかかる。
「……きっと、痛いんだろうな……」
「最初はな」
「本当に悪い男だな、あんたは。ぼくの性質を知ってて、それでも痛みに耐えろと言うんだから」
「でも、耐えてくれるんだろう?」
賢吾の声に喜びが滲み出ている。これから和彦が見せる痴態を期待しているような、和彦の覚悟を愛でるような――。
返事を促すように賢吾に欲望を掴まれて擦られながら、内奥を突き上げられる。呆気なく和彦の理性は陥落した。
「あんたは、悪い男だ」
「でも、惚れてるだろ。こんなに漏らしてくれるほど」
賢吾の手が、濡れた下腹部をまさぐる。すべて、悦びの証として和彦の欲望が迸らせたものだ。
「あっ、嫌だ……」
力を失ってはいるものの敏感なままの欲望を緩く扱かれる。和彦が上体を捩るようにして愛撫から逃れようとすると、意外なほどあっさりと繋がりが解かれ、賢吾が隣に横になる。そして、当然のように片腕で抱き寄せられた。
触れた賢吾の欲望はまだ猛っており、ほんの一休憩のつもりらしい。最後までもつだろうかと、すでに体力の大半を消耗している和彦は少々心配になる。今夜は賢吾が望む限り、気持ちとしてはつき合いたかった。
和彦のほうから顔を寄せ、そっと賢吾の唇を吸い上げる。すると濡れた後ろ髪を手荒く撫でられ、我ながら度し難いが、また体が疼いた。
「――いやらしいな。まだ発情した顔をしてるぞ」
賢吾の指摘を否定せず、和彦はこう問いかけた。
「ぼくとのセックスは、よかったか?」
「誕生日だからサービスしてくれたのか」
「違っ……」
「お前とのセックスはいつだって最高だ。だから、ハマる。――お前も、そうだろう?」
行為の最中、賢吾に言われた言葉を思い出す。和彦がなんと答えようが、深読みした賢吾は嫉妬して、さらに和彦に執着してくれるだろう。
「答えろよ、和彦。俺の誕生日だぞ」
「都合よく利用するな」
和彦はクスクスと声を洩らして笑い、つられたように賢吾も表情を和らげる。その一方で、油断ならない手が和彦の下肢に伸ばされてきた。
「あっ」
再び欲望を握られ、慌てて和彦は手を押し退けようとする。
「もう無理だっ……」
「気にするな。手持ち無沙汰で触っているだけだ」
「……オモチャじゃないんだぞ」
そう言いはしたものの、熱心に刺激を与えられているうちに、和彦は足をもじつかせるようになる。賢吾に触れられて、無反応でいられるはずがなかった。
賢吾の指の腹に先端を撫で擦られ、爪の先で弄られる。意味ありげな動きに、和彦がうかがうように賢吾を見つめると、優しく唇を吸われた。
「和彦、他の男に、ここはまだ弄られてないか?」
「ここ、って……」
「いつだったか俺が、ヘアピンでいじめてやろうとした場所だ」
先端に軽く爪を立てられ、和彦はビクビクと腰を震わせる。その反応が、返事としては十分だったらしい。なんとも物騒な笑みを浮かべた賢吾が、こんなことを囁きかけてきた。
「お前の〈初めて〉が欲しいな。誕生日プレゼントとして」
和彦は横になったまま後退ろうとしたが、賢吾から逃れるのは容易なことではない。特にベッドの上だと。欲望を握られただけで、動けなくなった。
悔しくて、賢吾を睨みつける。
「……自分の誕生日を有効活用しているな、あんた」
「はしゃいでるんだ。大事で可愛いオンナが一緒に祝ってくれて、俺のわがままを聞き入れてくれて」
「まだ聞き入れてないだろっ」
「でも、聞き入れてくれるだろ?」
強い力で引き寄せられ、仰臥した賢吾の上へと乗り上がる。尻の肉を揉まれながら、高ぶったままの欲望をこれ見よがしに下腹部に擦りつけられ、和彦は熱っぽい吐息を洩らした。
自ら腰を跨いだ格好となると、賢吾の顔を見下ろしながら、潤んだ内奥に欲望を呑み込んでいく。賢吾に腰を掴まれ、ゆっくりと前後に揺さぶられ、逞しい胸元に手を突いて和彦は悦びの声を上げる。
「精液がもう一滴も出ないと言うまで搾り取ってから、じっくりと時間をかけて、〈初めて〉を堪能させてやる」
賢吾の宣言に、擦り上げられる内奥が激しく蠢き、欲望を締め付ける。さらに賢吾は続ける。
「洗面台の綿棒を見るまでは、考えもしなかったんだがな。……見て、思いつくと、我慢できなくなった。お前の――は、全部俺のものにしちまいたい」
いいだろう? と甘い声で問われ、否とは言えなかった。大蛇の束縛に全身を締め上げられ、それが例えようもなく心地よく、その状態でわがままを言われると、一層心地よさに拍車がかかる。
「……きっと、痛いんだろうな……」
「最初はな」
「本当に悪い男だな、あんたは。ぼくの性質を知ってて、それでも痛みに耐えろと言うんだから」
「でも、耐えてくれるんだろう?」
賢吾の声に喜びが滲み出ている。これから和彦が見せる痴態を期待しているような、和彦の覚悟を愛でるような――。
返事を促すように賢吾に欲望を掴まれて擦られながら、内奥を突き上げられる。呆気なく和彦の理性は陥落した。
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