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第40話
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賢吾の大きなてのひらに髪を撫でられ、頬を包み込むように触れられる。それだけで、ゾクゾクするような心地よさが生まれていた。
「ふっ……」
指先で耳朶をくすぐられると、堪らず和彦は声を洩らす。誘われるように賢吾が顔を寄せてきた。間近で見つめ合いながら、ゆっくりと唇を重ね、すぐに舌先を触れ合わせる。
口づけはすぐに熱を帯び、呼吸すらも貪る勢いで互いの感触と味を堪能する。
賢吾にきつく唇を吸われて、喉の奥から呻き声を洩らす。仕返しというわけではないが、今度は和彦のほうから賢吾の唇に軽く噛みつく。すると、熱く太い舌に歯列を割り開かれ、口腔をまさぐられていた。感じやすい粘膜を丹念に舐め回されて、上あごの裏を舌先でなぞられて、和彦は喉を鳴らす。
このまま濃厚な口づけにいつまでも耽ってしまいたい誘惑に駆られるが、そんな和彦の意識を留めたのは、好奇心だった。
「――なあ、あのオモチャ、本当は誰にプレゼントするんだ?」
唇が離れた瞬間を逃さず、抑えた声音で和彦が尋ねると、賢吾はゆっくりと目を細めた。
「言っただろ。知り合いの子に渡すものだと」
競馬場を出たあと、二人は家具や靴を見て回り、優雅に買い物を楽しんでいたのだが、ホテルに入る前に最後に立ち寄ったのは、オモチャ屋だった。
奇妙な顔をする和彦に賢吾は、まさに今言った通り、『知り合いの子に渡すもの』と説明し、一応納得もしたのだが――。
慣れた様子で賢吾は、最近流行りのヒーローもののロボットや、乗り物のオモチャ、幼児向け番組のキャラクター人形といったものをどんどんカゴに入れていた。和彦はあとからついていくだけだったが、それでも、それらをプレゼントする相手が、就学前の男の子だろうと見当をつけることはできた。
「その知り合いの子のこと、詳しく聞いてもいいか……?」
「なんでもかんでも知りたがると、頭がパンクするぞ。そうだな、先生が長嶺の姓を名乗ることを承諾してくれるなら、教えてもいい。無関係ではなくなるからな」
和彦が漠然と推測したことを、賢吾の言葉はさりげなく裏付けているようだった。唇を引き結ぶと、ちらりと笑みをこぼした賢吾が額に唇を押し当ててくる。
「俺がせっせとオモチャを買っていたなんて、誰にも言うなよ。組長の威厳ってものを保ちたいからな」
「……オンナにこんなにベタ甘で、いまさら威厳も何もないと思うが」
「俺が本気を出すと、こんなもんじゃないぞ。――風呂に入ってから、もっと甘やかしてやる。先生の腰が抜けるほどな」
賢吾の囁きを受けて、和彦の背筋を強烈な疼きが駆け抜けた。
両足を自ら抱えた羞恥に満ちた姿勢を取りながら、和彦は必死に顔を背けたうえ、きつく目を閉じる。一心に見つめてくる賢吾の眼差しに耐えられなくなっての行動だが、大蛇の化身のような男は気に食わないようだ。
「寂しいな。俺を見てくれないのか、――和彦」
そう囁きかけてきた声は笑いを含んでいる。湯上がりのうえに、興奮のため燃えそうに熱くなっている和彦の体は、賢吾の眼差しを意識しただけで、もう蒸発してしまいそうだ。
和彦は小さく首を横に振ると、楽しげな笑い声が耳に届く。
「いやらしい部分を曝け出しておいて、恥ずかしがる表情を見られるのは嫌がるというのは……、オンナ心は複雑だな」
「うる、さい……。ぼくは、怒ってるんだからな。何が、風呂に入ってから、だ。風呂に入りながら、さんざん人の体を弄り回しておいて。おかげで、のぼせかけた」
「素直に身を任せてくるお前が悪い。そのせいで我慢できなかった。俺は本来、我慢強い男なんだぜ」
ふざけたことを言いながら、賢吾の指がゆっくりと内奥に挿入されてくる。すでに一度、入浴しながら欲望を受け入れた内奥は緩んでおり、苦もなく指を呑み込み、貪欲に締め付けた。
和彦は息を弾ませ、切なく腰を揺らす。すぐに賢吾は指の数を増やし、ひくつく内奥を押し広げながら、愛でるように襞と粘膜を撫で回してくる。
「うあっ、あっ、はっ……、あぁっ――」
両足の中心に賢吾の強い視線を感じる。見なくても、自分の欲望が熱くなって身を起こし、先端を濡らしているのがわかった。
「いい加減、目を開けてくれ。いつもみたいに、すがりつくような目で俺を見てくれ」
「……そんな目、してないっ……」
「だったら今、確かめてやる」
和彦とのやり取りが楽しくて堪らないといった様子で、とうとう賢吾がくっくと笑い声を洩らす。それでもまだ和彦は意地を張ろうとしたが、内奥から指が出し入れされ、的確に弱い部分を刺激されると脆かった。深く息を吐き出して目を開け、仕方なく賢吾を見る。
「ふっ……」
指先で耳朶をくすぐられると、堪らず和彦は声を洩らす。誘われるように賢吾が顔を寄せてきた。間近で見つめ合いながら、ゆっくりと唇を重ね、すぐに舌先を触れ合わせる。
口づけはすぐに熱を帯び、呼吸すらも貪る勢いで互いの感触と味を堪能する。
賢吾にきつく唇を吸われて、喉の奥から呻き声を洩らす。仕返しというわけではないが、今度は和彦のほうから賢吾の唇に軽く噛みつく。すると、熱く太い舌に歯列を割り開かれ、口腔をまさぐられていた。感じやすい粘膜を丹念に舐め回されて、上あごの裏を舌先でなぞられて、和彦は喉を鳴らす。
このまま濃厚な口づけにいつまでも耽ってしまいたい誘惑に駆られるが、そんな和彦の意識を留めたのは、好奇心だった。
「――なあ、あのオモチャ、本当は誰にプレゼントするんだ?」
唇が離れた瞬間を逃さず、抑えた声音で和彦が尋ねると、賢吾はゆっくりと目を細めた。
「言っただろ。知り合いの子に渡すものだと」
競馬場を出たあと、二人は家具や靴を見て回り、優雅に買い物を楽しんでいたのだが、ホテルに入る前に最後に立ち寄ったのは、オモチャ屋だった。
奇妙な顔をする和彦に賢吾は、まさに今言った通り、『知り合いの子に渡すもの』と説明し、一応納得もしたのだが――。
慣れた様子で賢吾は、最近流行りのヒーローもののロボットや、乗り物のオモチャ、幼児向け番組のキャラクター人形といったものをどんどんカゴに入れていた。和彦はあとからついていくだけだったが、それでも、それらをプレゼントする相手が、就学前の男の子だろうと見当をつけることはできた。
「その知り合いの子のこと、詳しく聞いてもいいか……?」
「なんでもかんでも知りたがると、頭がパンクするぞ。そうだな、先生が長嶺の姓を名乗ることを承諾してくれるなら、教えてもいい。無関係ではなくなるからな」
和彦が漠然と推測したことを、賢吾の言葉はさりげなく裏付けているようだった。唇を引き結ぶと、ちらりと笑みをこぼした賢吾が額に唇を押し当ててくる。
「俺がせっせとオモチャを買っていたなんて、誰にも言うなよ。組長の威厳ってものを保ちたいからな」
「……オンナにこんなにベタ甘で、いまさら威厳も何もないと思うが」
「俺が本気を出すと、こんなもんじゃないぞ。――風呂に入ってから、もっと甘やかしてやる。先生の腰が抜けるほどな」
賢吾の囁きを受けて、和彦の背筋を強烈な疼きが駆け抜けた。
両足を自ら抱えた羞恥に満ちた姿勢を取りながら、和彦は必死に顔を背けたうえ、きつく目を閉じる。一心に見つめてくる賢吾の眼差しに耐えられなくなっての行動だが、大蛇の化身のような男は気に食わないようだ。
「寂しいな。俺を見てくれないのか、――和彦」
そう囁きかけてきた声は笑いを含んでいる。湯上がりのうえに、興奮のため燃えそうに熱くなっている和彦の体は、賢吾の眼差しを意識しただけで、もう蒸発してしまいそうだ。
和彦は小さく首を横に振ると、楽しげな笑い声が耳に届く。
「いやらしい部分を曝け出しておいて、恥ずかしがる表情を見られるのは嫌がるというのは……、オンナ心は複雑だな」
「うる、さい……。ぼくは、怒ってるんだからな。何が、風呂に入ってから、だ。風呂に入りながら、さんざん人の体を弄り回しておいて。おかげで、のぼせかけた」
「素直に身を任せてくるお前が悪い。そのせいで我慢できなかった。俺は本来、我慢強い男なんだぜ」
ふざけたことを言いながら、賢吾の指がゆっくりと内奥に挿入されてくる。すでに一度、入浴しながら欲望を受け入れた内奥は緩んでおり、苦もなく指を呑み込み、貪欲に締め付けた。
和彦は息を弾ませ、切なく腰を揺らす。すぐに賢吾は指の数を増やし、ひくつく内奥を押し広げながら、愛でるように襞と粘膜を撫で回してくる。
「うあっ、あっ、はっ……、あぁっ――」
両足の中心に賢吾の強い視線を感じる。見なくても、自分の欲望が熱くなって身を起こし、先端を濡らしているのがわかった。
「いい加減、目を開けてくれ。いつもみたいに、すがりつくような目で俺を見てくれ」
「……そんな目、してないっ……」
「だったら今、確かめてやる」
和彦とのやり取りが楽しくて堪らないといった様子で、とうとう賢吾がくっくと笑い声を洩らす。それでもまだ和彦は意地を張ろうとしたが、内奥から指が出し入れされ、的確に弱い部分を刺激されると脆かった。深く息を吐き出して目を開け、仕方なく賢吾を見る。
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