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第39話
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和彦の反応に貪欲な千尋は、柔らかな膨らみすらも口腔で愛撫したあと、舌先をさらに奥へと這わせてきた。
「足、自分で抱えてて。もっと気持ちよくしてあげるから」
興奮気味に掠れた声でそう言った千尋が、一度だけ視線を上げる。獣じみた鋭い視線に、和彦は逆らえなかった。自分の両膝に手をかけ、千尋にすべてがよく見える姿勢を取り続ける。
愛撫を期待してすでにひくついている内奥の入り口に、温かく濡れた感触が触れる。この瞬間、和彦はピクンと爪先を揺らし、短く息を吐き出した。
執拗に内奥の入り口を舐められ、ときおり舌先を潜り込まされると、理性が溶けていくのに比例するように、柔らかく解れていく。
「ふっ……」
指を挿入されて、唾液を擦り込むようにゆっくりと出し入れされる。和彦が痛みを訴えないとわかると、即座に指の数が増やされた。
襞と粘膜を優しく擦られているうちに、息が弾む。ようやく顔を上げた千尋は、自分の愛撫の成果を満足げに見下ろし、目を細めたあと、舌舐めずりした。その表情に、和彦の中で淫らな衝動がゾロリと蠢く。
「――今、中、すごく締まった。気持ちいい?」
「そんなこと、聞く、な……」
「えー、聞きたいな。和彦の口から、気持ちいい、って」
千尋に名を呼ばれるのは、そうすぐに慣れるものではない。いつもの千尋とは違っており、耳に新鮮だ。気恥ずかしくもあるが、もっと聞きたくもある。和彦が顔を背けて息を喘がせていると、ぐうっと指が深く突き込まれる。返事を求めているのだ。
「言わなくても、わかるだろっ……」
「うん。でも聞きたい」
和彦が睨みつけると、千尋はしたたかな笑みを浮かべながら、見せつけるように己の欲望を軽く扱く。すでに十分高ぶり、逞しく反り返っていた。
千尋が内奥を掻き回すように指を動かし、湿った音が和彦の耳にも届く。浅い部分を執拗に擦られ、押し上げられ、広げるように圧迫されると、堪らなくなった。無意識に腰を揺らし、必死に内奥を収縮させて、強い刺激を求めてしまう。すかさず指が引き抜かれ、熱く硬い感触が擦りつけられた。
「和彦、言って」
欲望の先端に、内奥の入り口を押し広げられる。わずかに生まれた異物感は、あっという間に肉の愉悦へと姿を変え、和彦は喉を震わせる。
「……早く、入れてくれ」
大胆、と笑いながら言った千尋が、すぐに表情を引き締める。同時に、内奥を逞しい感触に押し広げられた。
千尋が腰を揺らすたびに、欲望が挿入されてくる。指では届かなかった場所すら容赦なくこじ開けられて、さすがに和彦は苦痛の呻きを洩らしたが、自分の上で動くしなやかな体の感触と熱さに圧倒され、制止の声を上げることすらできない。
本当に魅力的な男なのだ――。
ぼんやりと千尋を見上げながら、そんなことを和彦は思う。長嶺の男らしい端整な容貌は、まだいくらか線の細さを感じさせはするが、それもあとわずかな間だろう。汗を浮かせ、眉をひそめた表情は野生的で、ゾクリとするような男らしさを匂わせている。
和彦が向ける眼差しに気づいたのか、千尋が唇の端にちらりと笑みを浮かべた。
「どうかした? すげー不思議そうに、俺のこと見てる」
「イイ男だと思って。それに、色気がある」
「だったら、ずっと俺に惚れていてね。もっとイイ男になるから」
「……殊勝なこと言ってるようで、すごい自信家だよな、お前」
「長嶺の男だから」
腰を突き上げられて、内奥深くにまで熱い塊が到達する。ぐっ、ぐっと力強く律動を繰り返されているうちに、和彦の体はふてぶてしい侵入者に馴染み、それどころか嬉々として奉仕し始める。千尋のものをきつく締め付けながら、多淫な襞と粘膜で包み込む。
千尋が小さく声を洩らした。
「それ、いいっ……」
乱暴に腰を打ちつけられて、それが和彦の官能を刺激した。
「あっ、あっ、はっ……ん、ああっ――」
上体を捩るようにして悶えると、嬉しそうに目を輝かせた千尋が顔を寄せてくる。深く重ねた唇を貪るように吸い合っていると、千尋が腰を引き、内奥から欲望を抜いていく。
「ふあっ……」
甲高い声を上げて和彦は絶頂に達し、下腹部にトロトロと精を滴らせる。一度上体を起こした千尋が、じっくりと和彦の痴態を見下ろしながら、濡れた下腹部を撫で、まだ身を起こしている和彦の欲望を軽く扱く。和彦は思わず甘い声で鳴いていた。
「本当に、いやらしいよなー。俺のオンナは」
再び覆い被さってきた千尋の背に両腕を回したところで、異変を感じた。傍らを見上げると、いつからそこにいたのか、浴衣姿の賢吾が立っていた。和彦と目が合うなり、ニヤリと笑った賢吾がその場に腰を下ろす。
「足、自分で抱えてて。もっと気持ちよくしてあげるから」
興奮気味に掠れた声でそう言った千尋が、一度だけ視線を上げる。獣じみた鋭い視線に、和彦は逆らえなかった。自分の両膝に手をかけ、千尋にすべてがよく見える姿勢を取り続ける。
愛撫を期待してすでにひくついている内奥の入り口に、温かく濡れた感触が触れる。この瞬間、和彦はピクンと爪先を揺らし、短く息を吐き出した。
執拗に内奥の入り口を舐められ、ときおり舌先を潜り込まされると、理性が溶けていくのに比例するように、柔らかく解れていく。
「ふっ……」
指を挿入されて、唾液を擦り込むようにゆっくりと出し入れされる。和彦が痛みを訴えないとわかると、即座に指の数が増やされた。
襞と粘膜を優しく擦られているうちに、息が弾む。ようやく顔を上げた千尋は、自分の愛撫の成果を満足げに見下ろし、目を細めたあと、舌舐めずりした。その表情に、和彦の中で淫らな衝動がゾロリと蠢く。
「――今、中、すごく締まった。気持ちいい?」
「そんなこと、聞く、な……」
「えー、聞きたいな。和彦の口から、気持ちいい、って」
千尋に名を呼ばれるのは、そうすぐに慣れるものではない。いつもの千尋とは違っており、耳に新鮮だ。気恥ずかしくもあるが、もっと聞きたくもある。和彦が顔を背けて息を喘がせていると、ぐうっと指が深く突き込まれる。返事を求めているのだ。
「言わなくても、わかるだろっ……」
「うん。でも聞きたい」
和彦が睨みつけると、千尋はしたたかな笑みを浮かべながら、見せつけるように己の欲望を軽く扱く。すでに十分高ぶり、逞しく反り返っていた。
千尋が内奥を掻き回すように指を動かし、湿った音が和彦の耳にも届く。浅い部分を執拗に擦られ、押し上げられ、広げるように圧迫されると、堪らなくなった。無意識に腰を揺らし、必死に内奥を収縮させて、強い刺激を求めてしまう。すかさず指が引き抜かれ、熱く硬い感触が擦りつけられた。
「和彦、言って」
欲望の先端に、内奥の入り口を押し広げられる。わずかに生まれた異物感は、あっという間に肉の愉悦へと姿を変え、和彦は喉を震わせる。
「……早く、入れてくれ」
大胆、と笑いながら言った千尋が、すぐに表情を引き締める。同時に、内奥を逞しい感触に押し広げられた。
千尋が腰を揺らすたびに、欲望が挿入されてくる。指では届かなかった場所すら容赦なくこじ開けられて、さすがに和彦は苦痛の呻きを洩らしたが、自分の上で動くしなやかな体の感触と熱さに圧倒され、制止の声を上げることすらできない。
本当に魅力的な男なのだ――。
ぼんやりと千尋を見上げながら、そんなことを和彦は思う。長嶺の男らしい端整な容貌は、まだいくらか線の細さを感じさせはするが、それもあとわずかな間だろう。汗を浮かせ、眉をひそめた表情は野生的で、ゾクリとするような男らしさを匂わせている。
和彦が向ける眼差しに気づいたのか、千尋が唇の端にちらりと笑みを浮かべた。
「どうかした? すげー不思議そうに、俺のこと見てる」
「イイ男だと思って。それに、色気がある」
「だったら、ずっと俺に惚れていてね。もっとイイ男になるから」
「……殊勝なこと言ってるようで、すごい自信家だよな、お前」
「長嶺の男だから」
腰を突き上げられて、内奥深くにまで熱い塊が到達する。ぐっ、ぐっと力強く律動を繰り返されているうちに、和彦の体はふてぶてしい侵入者に馴染み、それどころか嬉々として奉仕し始める。千尋のものをきつく締め付けながら、多淫な襞と粘膜で包み込む。
千尋が小さく声を洩らした。
「それ、いいっ……」
乱暴に腰を打ちつけられて、それが和彦の官能を刺激した。
「あっ、あっ、はっ……ん、ああっ――」
上体を捩るようにして悶えると、嬉しそうに目を輝かせた千尋が顔を寄せてくる。深く重ねた唇を貪るように吸い合っていると、千尋が腰を引き、内奥から欲望を抜いていく。
「ふあっ……」
甲高い声を上げて和彦は絶頂に達し、下腹部にトロトロと精を滴らせる。一度上体を起こした千尋が、じっくりと和彦の痴態を見下ろしながら、濡れた下腹部を撫で、まだ身を起こしている和彦の欲望を軽く扱く。和彦は思わず甘い声で鳴いていた。
「本当に、いやらしいよなー。俺のオンナは」
再び覆い被さってきた千尋の背に両腕を回したところで、異変を感じた。傍らを見上げると、いつからそこにいたのか、浴衣姿の賢吾が立っていた。和彦と目が合うなり、ニヤリと笑った賢吾がその場に腰を下ろす。
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