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第37話
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「お前、顔怖い。……口説かれてるというより、脅されてるみたいだ」
「先生が頷いてくれないなら、脅すよ」
じゃれついてくる犬っころのようだった青年は、絶妙のタイミングで本性を露わにしてくる。目的のためなら手段を選ばないという、怖い男の本性だ。
和彦は片手を伸ばして、手荒く千尋の頬を撫でる。
「やっぱり長嶺の男たちはよく似てる。ぼくから欲しい返事をもぎ取ろうとするんだ」
「そのほうが、先生にとっても楽でしょ?」
千尋の指摘の鋭さに微苦笑が洩れる。鋭いところも、長嶺の男らしい。
ベッドの上で抱き合いながら激しく濃厚な口づけを交わす。すでにもう興奮を抑えきれなくなっている千尋がもどかしげに下着を脱ぎ捨て、高ぶった欲望を和彦の腿に擦りつけてくる。着ているトレーナーをたくし上げられ、露わになった胸元に噛みつく勢いで吸いつかれる。
痛い、と危うく声が出そうになったが、必死な様子の千尋を見ていると、行為を止めるようなことは言えなかった。代わりに、囁くような声でせがむ。
「千尋、服、脱がせてくれ」
すぐに千尋に勢いよくトレーナーを脱がされ、パンツと下着も引き下ろされる。剥き出しになった腿にまた欲望を擦りつけられたので、和彦は妙に微笑ましい気分を味わいながら、千尋の下肢に手を伸ばす。
「舐めてやろうか?」
うん、と素直に頷く千尋が可愛い。しかし、そう思えたのはわずかな間だ。体の位置を入れ替えようとして身じろぎかけたときには、和彦は両腕を掴まれて引っ張り起こされる。何事かと戸惑っている間に、千尋がいそいそとクッションを重ね、そこにもたれかかった。そして、まるで和彦を招くように足を開く。
中身はともかく、見た目はしなやかな体躯を持つ端整な顔立ちの青年だ。一連の動作に、不覚にも和彦は見惚れてしまった。
ニヤリと笑った千尋が、開いた両足の間で起き上がった自分の欲望を指さす。
「――先生」
和彦は露骨に顔をしかめて見せた。
「普通に横になればいいだろ……」
「この姿勢だと、先生の顔がよく見えると思って」
「……悪趣味だな」
「スケベと言ってもらいたいなー」
千尋の片手が後頭部にかかり、やや強引に両足の間へと導かれる。上目遣いに千尋を睨んだ和彦だが、突きつけられた欲望の先端にそっと舌を這わせる。同時に、引き締まった腹部にてのひらを押し当てた。舌先の動きに合わせるように、筋肉がぐっと硬くなる。
執拗に先端を舌先で攻めてから、括れを唇で締め付ける。柔らかく舌をまとわりつかせるように蠢かせると、もどかしげに千尋が腰を揺らし、くしゃりと髪を掻き乱された。
一度欲望を口腔から出し、根本からじっくりと舐め上げる。すでにもう千尋の息遣いが荒くなっている。ちらりと視線を上げると、熱っぽい眼差しでじっと見つめられていた。急に羞恥心を刺激された和彦は慌てて頭の位置を動かし、少しでも表情を見られまいとしたが、すかさずあごの下に千尋の手がかかる。
「先生、ダメだよ。顔が見えない」
話すことができないので、眼差しで訴えようとしたが、どこかうっとりとした笑みを千尋から向けられ、行為を途中でやめられなくなる。
やはり自分は千尋に甘いと、いまさらながら和彦は痛感していた。
指の輪で欲望の根本から扱いてやりながら、ゆっくりと口腔深くまで呑み込んでいく。すぐには動かず、ただ粘膜で包み込み、柔らかく締め付ける。それだけの愛撫でも、素直な千尋の欲望は瞬く間に育ち、力強く脈打ち始める。和彦は、あえて大胆に湿った音を立てながら頭を上下させ、口腔から欲望を出し入れする。
「……先生、すげー、いやらしい……」
感嘆したようにそう呟いた千尋に前髪を掻き上げられ、頬を撫でられた。
このまま口腔で精を受け止めるつもりだったが、愛撫の途中で千尋に止められた。濡れた唇を指先で拭われたかと思うと、今度は口腔に二本の指を押し込まれ、和彦はちらりと千尋を一瞥してから、指を吸う。
千尋の指が蠢く。愛撫をしていたつもりが、反対に口腔の粘膜を丹念に撫で回され、ゾクゾクするような肉欲の疼きを感じた。舌を柔らかく指で挟まれたあと、上あごの裏を擦られて、鼻にかかった声を洩らしていた。千尋が愉悦を覚えたように目を細める。ハッとするほどその表情が色気を帯びており、なぜか和彦はうろたえてしまう。反射的に頭を引いていた。
「先生?」
口腔から指が抜き取られると同時に、和彦は慌てて体を起こし、広いベッドの隅へと移動しようとしたが、堂々とした犬の刺青を背負った青年――男は見逃してくれるほど甘くはない。あっさり背後から飛びかかられた挙げ句、腰を突き出した扇情的な格好を取らされていた。
「――次は、先生の番ね」
「先生が頷いてくれないなら、脅すよ」
じゃれついてくる犬っころのようだった青年は、絶妙のタイミングで本性を露わにしてくる。目的のためなら手段を選ばないという、怖い男の本性だ。
和彦は片手を伸ばして、手荒く千尋の頬を撫でる。
「やっぱり長嶺の男たちはよく似てる。ぼくから欲しい返事をもぎ取ろうとするんだ」
「そのほうが、先生にとっても楽でしょ?」
千尋の指摘の鋭さに微苦笑が洩れる。鋭いところも、長嶺の男らしい。
ベッドの上で抱き合いながら激しく濃厚な口づけを交わす。すでにもう興奮を抑えきれなくなっている千尋がもどかしげに下着を脱ぎ捨て、高ぶった欲望を和彦の腿に擦りつけてくる。着ているトレーナーをたくし上げられ、露わになった胸元に噛みつく勢いで吸いつかれる。
痛い、と危うく声が出そうになったが、必死な様子の千尋を見ていると、行為を止めるようなことは言えなかった。代わりに、囁くような声でせがむ。
「千尋、服、脱がせてくれ」
すぐに千尋に勢いよくトレーナーを脱がされ、パンツと下着も引き下ろされる。剥き出しになった腿にまた欲望を擦りつけられたので、和彦は妙に微笑ましい気分を味わいながら、千尋の下肢に手を伸ばす。
「舐めてやろうか?」
うん、と素直に頷く千尋が可愛い。しかし、そう思えたのはわずかな間だ。体の位置を入れ替えようとして身じろぎかけたときには、和彦は両腕を掴まれて引っ張り起こされる。何事かと戸惑っている間に、千尋がいそいそとクッションを重ね、そこにもたれかかった。そして、まるで和彦を招くように足を開く。
中身はともかく、見た目はしなやかな体躯を持つ端整な顔立ちの青年だ。一連の動作に、不覚にも和彦は見惚れてしまった。
ニヤリと笑った千尋が、開いた両足の間で起き上がった自分の欲望を指さす。
「――先生」
和彦は露骨に顔をしかめて見せた。
「普通に横になればいいだろ……」
「この姿勢だと、先生の顔がよく見えると思って」
「……悪趣味だな」
「スケベと言ってもらいたいなー」
千尋の片手が後頭部にかかり、やや強引に両足の間へと導かれる。上目遣いに千尋を睨んだ和彦だが、突きつけられた欲望の先端にそっと舌を這わせる。同時に、引き締まった腹部にてのひらを押し当てた。舌先の動きに合わせるように、筋肉がぐっと硬くなる。
執拗に先端を舌先で攻めてから、括れを唇で締め付ける。柔らかく舌をまとわりつかせるように蠢かせると、もどかしげに千尋が腰を揺らし、くしゃりと髪を掻き乱された。
一度欲望を口腔から出し、根本からじっくりと舐め上げる。すでにもう千尋の息遣いが荒くなっている。ちらりと視線を上げると、熱っぽい眼差しでじっと見つめられていた。急に羞恥心を刺激された和彦は慌てて頭の位置を動かし、少しでも表情を見られまいとしたが、すかさずあごの下に千尋の手がかかる。
「先生、ダメだよ。顔が見えない」
話すことができないので、眼差しで訴えようとしたが、どこかうっとりとした笑みを千尋から向けられ、行為を途中でやめられなくなる。
やはり自分は千尋に甘いと、いまさらながら和彦は痛感していた。
指の輪で欲望の根本から扱いてやりながら、ゆっくりと口腔深くまで呑み込んでいく。すぐには動かず、ただ粘膜で包み込み、柔らかく締め付ける。それだけの愛撫でも、素直な千尋の欲望は瞬く間に育ち、力強く脈打ち始める。和彦は、あえて大胆に湿った音を立てながら頭を上下させ、口腔から欲望を出し入れする。
「……先生、すげー、いやらしい……」
感嘆したようにそう呟いた千尋に前髪を掻き上げられ、頬を撫でられた。
このまま口腔で精を受け止めるつもりだったが、愛撫の途中で千尋に止められた。濡れた唇を指先で拭われたかと思うと、今度は口腔に二本の指を押し込まれ、和彦はちらりと千尋を一瞥してから、指を吸う。
千尋の指が蠢く。愛撫をしていたつもりが、反対に口腔の粘膜を丹念に撫で回され、ゾクゾクするような肉欲の疼きを感じた。舌を柔らかく指で挟まれたあと、上あごの裏を擦られて、鼻にかかった声を洩らしていた。千尋が愉悦を覚えたように目を細める。ハッとするほどその表情が色気を帯びており、なぜか和彦はうろたえてしまう。反射的に頭を引いていた。
「先生?」
口腔から指が抜き取られると同時に、和彦は慌てて体を起こし、広いベッドの隅へと移動しようとしたが、堂々とした犬の刺青を背負った青年――男は見逃してくれるほど甘くはない。あっさり背後から飛びかかられた挙げ句、腰を突き出した扇情的な格好を取らされていた。
「――次は、先生の番ね」
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