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第37話
(21)
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「あっ、あっ、三田村、早くしてくれっ……」
「どっちを?」
抑えた声音で三田村に問われる。焦らすように、胸の左右の突起を交互に舌先で転がされ、唇でくすぐられて、和彦の呼吸が弾む。同時に、内奥に含まされた欲望を必死に締め付けていた。
「んんっ」
三田村の片手が、すっかり身を起こした和彦の欲望にかかる。優しく擦り上げられて、鼻にかかった呻き声を洩らす。体中で三田村を求めていた。とにかく触れてもらいたい。何より、熱い肉で、体の奥を穿ってほしくて堪らない。
「もう濡れてきた、先生」
あっという間に反り返った欲望の括れを、指の輪で何度か締め付けられてから、先端を撫でられる。ヌルヌルとした感触は、三田村の言葉がウソではないことを物語っている。
体中のあちこちに快感の種火を灯されて、和彦は熱い吐息をこぼす。片手を伸ばして三田村の頬を撫でると、無言の求めがわかったらしく、覆い被さってきて唇を吸われる。もう離さないとばかりに和彦は、懸命に両腕を広い背に回してしがみついた。
「ふあぁっ」
太く逞しい欲望に、内奥をじっくりと押し広げられる。発情した襞と粘膜を強く擦り上げられて、気も遠くなるような疼きが背筋を駆け抜ける。奥深くまで欲望を挿入されたとき、和彦はビクビクと全身を震わせながら、絶頂に達していた。三田村は軽く腰を揺すったあと、ぐうっと内奥深くを抉るように突いてくる。堪らず和彦は悦びの声を上げる。
「あっ……ん、い、い……。三田村、それ、好き――」
「ああ。奥が痙攣してる。先生が感じている証拠だ」
歓喜に震えているという内奥の一点を、三田村はじっくりと何度も突き上げ、和彦の体を内側から蕩けさせていく。律動のたびに、繋がった部分から大きく音が洩れ、そこに、和彦の喘ぎ声も加わる。内奥から溢れ出す潤滑剤は、自らが生み出した悦びの蜜ではないかと錯覚するほど、気持ちよかった。
蠢く熱い欲望にも喜びを与えようと、内奥が淫らな蠕動を繰り返す。すると、三田村の荒い息が唇に触れた。
「――……すまない、先生、もうもたない……」
「あ、あ。早く、三田村」
答えた次の瞬間、一度だけ乱暴に内奥を突き上げられ、その衝撃に和彦の意識が揺らぐ。深い肉の悦びに浸りながら、内奥で三田村の欲望が力強く脈打つのを感じていた。精を注ぎ込まれ、細い声を上げる。
少しの間、二人は抱き合ったままじっとしていた。交歓の余韻に浸り、脱力感すら心地いい。もちろん、まだ繋がったままだ。
内奥深くに収まっている存在を、意識しながら締め付ける。率直に、〈これ〉をまだ欲しいと思っている自分の欲深さに、妙な表現だが安堵していた。鷹津との一件があって以降、気持ちの安定のために他の男たちを遠ざけて、そうかと思えば、出会ったばかりの高校生と体を重ねた。
長嶺の男たちの〈オンナ〉としての自分は変わっていないことは確認した。では、〈オトコ〉に対してはどうなのか、心のどこかで和彦は不安だったのだ。
この男の前で、自分はもっと浅ましく、淫らな生き物になれると確信した途端、和彦は喘ぐように吐息をこぼす。すっかり汗で湿った三田村のTシャツをさらに捲り上げ、背をまさぐろうとしたが、その前に手を掴まれて、ベッドに押さえつけられた。
「あっ、三田村っ……」
緩く腰を動かされ、内奥から欲望が出し入れされる。そのたびに、潤滑剤だけではなく、注ぎ込まれたばかりの精が溢れ出してくる。和彦は控えめに声を上げながら、三田村とてのひら同士を重ね、しっかりと指を絡める。見上げる眼差しで訴えると、言葉に出す必要もなく、三田村は唇を塞いでくれた。
舌を絡め合いながら、内奥をゆっくりと突き上げられる。和彦はもう一度深い場所を抉ってほしくて、逞しい腰に大胆に両足を絡めて引き寄せていた。しかしここで、ふいに三田村の動きが止まる。
「――先生、聞きたいことがある」
苦しげな声で三田村に切り出され、穏やかな快感の波に浸っていた和彦は、夢から覚めたような状態となる。
ぼんやりと三田村を見上げ、そっと首を傾げた。
「三田村……?」
「俺のことを、嫉妬深い男だと詰ってくれてもいい。だが、確かめずにはいられないんだ」
「あんたがそこまで言うんなら、大事なことなんだな」
「少なくとも、俺にとっては」
食い入るように見つめてくる三田村の真剣な表情から、漠然と察するものがあった。和彦は、囁くような声で問いかけた。
「……鷹津のことか?」
痛みを感じたように三田村が眉をひそめ、それが答えとなっていた。
「どっちを?」
抑えた声音で三田村に問われる。焦らすように、胸の左右の突起を交互に舌先で転がされ、唇でくすぐられて、和彦の呼吸が弾む。同時に、内奥に含まされた欲望を必死に締め付けていた。
「んんっ」
三田村の片手が、すっかり身を起こした和彦の欲望にかかる。優しく擦り上げられて、鼻にかかった呻き声を洩らす。体中で三田村を求めていた。とにかく触れてもらいたい。何より、熱い肉で、体の奥を穿ってほしくて堪らない。
「もう濡れてきた、先生」
あっという間に反り返った欲望の括れを、指の輪で何度か締め付けられてから、先端を撫でられる。ヌルヌルとした感触は、三田村の言葉がウソではないことを物語っている。
体中のあちこちに快感の種火を灯されて、和彦は熱い吐息をこぼす。片手を伸ばして三田村の頬を撫でると、無言の求めがわかったらしく、覆い被さってきて唇を吸われる。もう離さないとばかりに和彦は、懸命に両腕を広い背に回してしがみついた。
「ふあぁっ」
太く逞しい欲望に、内奥をじっくりと押し広げられる。発情した襞と粘膜を強く擦り上げられて、気も遠くなるような疼きが背筋を駆け抜ける。奥深くまで欲望を挿入されたとき、和彦はビクビクと全身を震わせながら、絶頂に達していた。三田村は軽く腰を揺すったあと、ぐうっと内奥深くを抉るように突いてくる。堪らず和彦は悦びの声を上げる。
「あっ……ん、い、い……。三田村、それ、好き――」
「ああ。奥が痙攣してる。先生が感じている証拠だ」
歓喜に震えているという内奥の一点を、三田村はじっくりと何度も突き上げ、和彦の体を内側から蕩けさせていく。律動のたびに、繋がった部分から大きく音が洩れ、そこに、和彦の喘ぎ声も加わる。内奥から溢れ出す潤滑剤は、自らが生み出した悦びの蜜ではないかと錯覚するほど、気持ちよかった。
蠢く熱い欲望にも喜びを与えようと、内奥が淫らな蠕動を繰り返す。すると、三田村の荒い息が唇に触れた。
「――……すまない、先生、もうもたない……」
「あ、あ。早く、三田村」
答えた次の瞬間、一度だけ乱暴に内奥を突き上げられ、その衝撃に和彦の意識が揺らぐ。深い肉の悦びに浸りながら、内奥で三田村の欲望が力強く脈打つのを感じていた。精を注ぎ込まれ、細い声を上げる。
少しの間、二人は抱き合ったままじっとしていた。交歓の余韻に浸り、脱力感すら心地いい。もちろん、まだ繋がったままだ。
内奥深くに収まっている存在を、意識しながら締め付ける。率直に、〈これ〉をまだ欲しいと思っている自分の欲深さに、妙な表現だが安堵していた。鷹津との一件があって以降、気持ちの安定のために他の男たちを遠ざけて、そうかと思えば、出会ったばかりの高校生と体を重ねた。
長嶺の男たちの〈オンナ〉としての自分は変わっていないことは確認した。では、〈オトコ〉に対してはどうなのか、心のどこかで和彦は不安だったのだ。
この男の前で、自分はもっと浅ましく、淫らな生き物になれると確信した途端、和彦は喘ぐように吐息をこぼす。すっかり汗で湿った三田村のTシャツをさらに捲り上げ、背をまさぐろうとしたが、その前に手を掴まれて、ベッドに押さえつけられた。
「あっ、三田村っ……」
緩く腰を動かされ、内奥から欲望が出し入れされる。そのたびに、潤滑剤だけではなく、注ぎ込まれたばかりの精が溢れ出してくる。和彦は控えめに声を上げながら、三田村とてのひら同士を重ね、しっかりと指を絡める。見上げる眼差しで訴えると、言葉に出す必要もなく、三田村は唇を塞いでくれた。
舌を絡め合いながら、内奥をゆっくりと突き上げられる。和彦はもう一度深い場所を抉ってほしくて、逞しい腰に大胆に両足を絡めて引き寄せていた。しかしここで、ふいに三田村の動きが止まる。
「――先生、聞きたいことがある」
苦しげな声で三田村に切り出され、穏やかな快感の波に浸っていた和彦は、夢から覚めたような状態となる。
ぼんやりと三田村を見上げ、そっと首を傾げた。
「三田村……?」
「俺のことを、嫉妬深い男だと詰ってくれてもいい。だが、確かめずにはいられないんだ」
「あんたがそこまで言うんなら、大事なことなんだな」
「少なくとも、俺にとっては」
食い入るように見つめてくる三田村の真剣な表情から、漠然と察するものがあった。和彦は、囁くような声で問いかけた。
「……鷹津のことか?」
痛みを感じたように三田村が眉をひそめ、それが答えとなっていた。
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