血と束縛と

北川とも

文字の大きさ
上 下
876 / 1,268
第36話

(25)

しおりを挟む
 和彦の内奥は、侵入者を見境なく締め付ける。玲はまだ快感を味わえてはいないだろう。
 玲が緩く腰を突き上げながら、少しずつ侵入を深くしていく。和彦は浅い呼吸を繰り返し、なるべく下腹部に力を入れないよう努める。内奥の圧迫感と異物感が増していき、馴染みのある感覚に安堵する。
 何度か出し入れを繰り返し、内奥の肉を押し広げていく。玲なりに、和彦に苦痛を与えまいと努力しているのが伝わってきて、じわりと胸の奥が温かくなる。
「んうっ」
 切羽詰った声を上げたのは玲だった。内奥に欲望を根元まで埋め込むと、和彦の胸元に倒れ込んでくる。熱くなった体からはすでに汗が噴き出し、濡れている。
 繋がっているせいもあり、玲の力強い鼓動がこちらにまで伝わってくるようだった。一回り以上も年下の青年の生命力をこんな形で感じて、繋がった部分が疼く。
 しがみついてくる玲の背を何度も撫でながら、和彦は低く囁く。
「もう少し待ってくれ。中が柔らかくなって、具合がよくなる」
 顔を覗き込んできた玲が笑った。
「――エロいな、あなた。すごく」
 ここで唇を重ね、貪るように唇と舌を吸い合う。短い間に、玲の口づけはどんどん和彦好みのものへと変化していた。
 差し出した舌先を擦りつけ合い、唾液を交わす。それから舌を絡め合いながら、和彦は腰を揺らす。内奥で息づく熱い欲望の存在を強く意識して、吐息を洩らしていた。玲がぎこちなく欲望を動かし、やはり吐息を洩らす。
「本当だ。中、柔らかくなってきました。でも、締まってます」
「痛くない?」
 和彦は息を詰め、内奥を収縮させる。玲が呻き声を洩らし、欲望が小刻みに震えた。
「気持ちいい……。すげー、いい。腰が溶けそうです」
 玲が腰を揺すり、和彦は小さく喘ぐ。意外にがっしりしている腰に両腕を回して抱き寄せると、玲は呻き声を洩らす。
 あっ、と和彦が声を洩らしたときには、玲は内奥で達していた。
 ビクビクと震える欲望の蠢きに、和彦は快感にも似た愛しさを感じる。相手が誰であろうが、自分が快感を与えられたと強く実感できるこの瞬間は、好きだった。
 ポタポタと汗を滴らせながら玲が顔を寄せ、切実な声で訴えてくる。
「まだ……、あなたの中に、いたい……」
「いいよ。ぼくもまだ、君に中にいてほしい」
 玲の回復力は目覚しく、抱き合って呼吸を整えている間に、内奥で瞬く間に欲望が力を取り戻していく。
 ぐっと腰を押し付けられ、和彦は鳴いた。
「あっ、あっ、い、い――……。硬いの、奥まで、きてる……」
「本当に、エロいな、あなたは……」
 抱き合ったまま、玲が腰だけを動かして律動を始める。もう、和彦が助言するまでもなく、どう動けばいいのか、本能――というより欲情によって理解したのだ。
 きつい収縮を繰り返すばかりだった内奥の動きが変わったことに、玲は気づいただろう。
 物欲しげに淫らな蠕動を始め、熱く濡れた襞と粘膜が、激しく動く欲望に愛しげにまとわりつき、吸い付く。そこを擦り上げられるたびに、さざなみのように肉の悦びが生まれ、和彦の全身へと広がっていくのだ。
「はあっ……、んっ、んぅっ、ふっ……」
 このままでは自分だけが一方的に悦びを享受してしまうと、甘い危惧を抱いた和彦に、玲が生まじめな声でねだってきた。
「――後ろから、いいですか? あなたの全部を見ておきたい」
「初めてだっていうのに、探究心旺盛だな」
 和彦は、玲の要望を叶えるため、一度繋がりを解いてうつ伏せとなる。腰をわずかに上げた拍子に、さきほど注ぎ込まれた玲の精が内奥から滴り落ちた。
 玲の手に腰や尻を撫でられ、濡れた内腿もまさぐられる。和彦がゆっくりと息を吐いていると、いきなり背後から押し入られて、堪え切れずに声を上げる。
「あうぅっ」
 内奥深くまで欲望を捩じ込まれる。この体位は、よりはっきりと欲望の形を感じ取り、顔が見えないからこそ、相手の手の動きや息遣いに敏感になる。
 腰を掴まれて深く繋がると、玲が大きく息を吐き出した。
「……思った通りだ……。後ろからも、いい」
 和彦がわずかに身を捩って玲を振り返ろうとしたところで、背を撫で上げられ、ゾクリとした。
 無防備な姿を晒しているという事実が、被虐的な愉悦を生み出す。背をしならせると、その動きに誘われたように、背後から緩やかに内奥を突かれ、和彦は控えめに声を上げる。
 多淫な襞と粘膜を擦り上げられ、自分でもどうかと思うほど、異常に高ぶり、感じていた。玲の欲望をしっかりと咥え込んで締め付けながら、浅ましく腰を揺らすと、内奥を抉るようにぐうっと突かれる。
「あっ、うっ、うっ……」

しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

処理中です...