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第36話
(24)
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まったく経験したことのない触れられ方に、心臓の鼓動が速くなっていく。愛撫とはまったく違うからこそ、玲の手の動きを意識してしまう。
飽きることなく和彦の体をてのひらで撫で続けていた玲が、ふと思い出したように顔を寄せてくる。何を求めているのか即座に察した和彦は、玲の首の後ろに手をかけ、口づけを受け入れた。
唇を吸い合い、舌先を擦りつけ合ってから、互いの口腔をまさぐる。露骨に濡れた音を立てながら舌を絡め合うようになった頃、和彦は片手を玲の腰の辺りに這わせ、指先で探り当てた帯を解いた。玲が帯を抜き取り、浴衣を脱ぎ落とす。
すがりつくように玲が抱きついてきたので、和彦は両腕で受け止めながら、厳かな気持ちで熱く滑らかな肌にてのひらを這わせた。すると玲がまるで何かに急き立てられるように、もどかしげに下着を引き下ろしながら、腰を密着させてきた。
「――……君、やっぱりおかしい」
今にも破裂しそうなほど高ぶった欲望を擦りつけられ、和彦は小声で洩らす。玲が笑ったような気配がしたが、表情を確かめることはできなかった。和彦の体を撫で回したあとで、新たな興味に移ったらしく、さっそく実行に移したのだ。
肩に強く吸い付いた玲が顔を上げる。どうやら、肌に跡が残るか確かめたらしい。
微かに濡れた音をさせながら、強弱をつけ、ときにはそっと歯を立てられて、肩だけではなく、腕の内側や胸元、脇腹へと吸い付かれる。最初はくすぐったさに声を堪えていた和彦だが、いつの間にか息が弾み、肌に触れる硬い歯の感触にゾクリとするような疼きを感じるようになっていた。
玲が、肌に残った鬱血の跡を満足げに眺める。
「これ、キスマーク……、初めてつけました」
「嬉しそうだな」
和彦は、玲の髪に手荒く指を差し込む。何かの儀式のようにまた口づけを求めてきたので、今度は玲の好きなようにさせる。口腔に入り込んできた舌に隈なく舐め回され、流し込まれる唾液を喉を鳴らして飲んでやると、興奮したように強く腰をすり寄せてきた。
「……入れたい、です」
口づけの合間に、苦しげな声で玲が言う。一瞬、このまま続けていいのだろうかと逡巡したが、玲の放つ熱に和彦も感化されていた。頭の片隅では、賢吾から言われた言葉も響いている。
これは、浮気ではない。遊びでもない。ただ、夢を見ているだけだ――。
玲が両足の間へと手を伸ばそうとしたので、和彦は制止する。
「準備はぼくがやる。……爪で傷つけられるのが怖いから……」
「じゃあ、見てます」
真剣な顔で言われると、返事に困る。和彦は微妙に玲から視線を逸らして、体を起こすよう言った。
下肢に向けられる強い視線を意識しながら、自ら片足を折り曲げ、膝を抱えるような姿勢を取った和彦は、指を唾液で濡らしてから、両足の間に手を伸ばす。
触れるまでもなく、欲望は形を変えて熱くなっていた。自分の愛撫の成果を、玲はどんなふうに見ているのだろうかと考えながら、秘裂をまさぐり、内奥の入り口を探り当てる。
唾液で湿らせて、頑なな窄まりでしかない場所を慎重に解していく。くすぐるように撫で擦り、爪の先から少しずつ含ませていき、ここでまたたっぷりの唾液を施して、指の侵入を深くしていく。
玲は瞬きもせず、食い入るように和彦の行為を見つめ続けていた。あからさまに男の部分を見せつけているというのに、興奮が冷める様子は一切なく、それどころか、一層高ぶっているようだ。
「んっ……」
無意識の行動なのか、玲の手が抱えた膝にかかる。さらに足を広げさせられていた。
和彦は、玲が間近で見つめている前で、指の数を増やし、付け根まで挿入していた。発情した襞と粘膜が見境なく指に絡みつき、内奥全体がひくついている。
玲に手を取られて、内奥から指を引き抜かれる。両足の間に性急に腰が割り込まされたかと思うと、戦くほど熱く硬い感触が内奥の入り口に押し当てられた。
「ま、だ……、まだ早い――」
「でも、俺もう、我慢できません。……すみません」
殊勝に謝罪しながらも、玲が強引に腰を進めてくる。内奥の入り口がこじ開けられようとしたが、解れているとは言いがたく、なかなか思うようには欲望を受け入れない。
痛いのは嫌だなと思って和彦が見上げていると、玲は黙々と自分の欲望に唾液をなすりつけてから、再び腰を進めてきた。
「あっ、あうっ、うっ」
唾液の滑りを借りて、欲望の先端が内奥に押し入ってくる。途端に玲が眉をひそめ、唇を引き結んだ。和彦は片手を伸ばして玲の頬を撫でながら、優しい声で助言する。
「大丈夫だから、ゆっくり入れるんだ。もっと深くまできたら、多分、君も楽になるから」
飽きることなく和彦の体をてのひらで撫で続けていた玲が、ふと思い出したように顔を寄せてくる。何を求めているのか即座に察した和彦は、玲の首の後ろに手をかけ、口づけを受け入れた。
唇を吸い合い、舌先を擦りつけ合ってから、互いの口腔をまさぐる。露骨に濡れた音を立てながら舌を絡め合うようになった頃、和彦は片手を玲の腰の辺りに這わせ、指先で探り当てた帯を解いた。玲が帯を抜き取り、浴衣を脱ぎ落とす。
すがりつくように玲が抱きついてきたので、和彦は両腕で受け止めながら、厳かな気持ちで熱く滑らかな肌にてのひらを這わせた。すると玲がまるで何かに急き立てられるように、もどかしげに下着を引き下ろしながら、腰を密着させてきた。
「――……君、やっぱりおかしい」
今にも破裂しそうなほど高ぶった欲望を擦りつけられ、和彦は小声で洩らす。玲が笑ったような気配がしたが、表情を確かめることはできなかった。和彦の体を撫で回したあとで、新たな興味に移ったらしく、さっそく実行に移したのだ。
肩に強く吸い付いた玲が顔を上げる。どうやら、肌に跡が残るか確かめたらしい。
微かに濡れた音をさせながら、強弱をつけ、ときにはそっと歯を立てられて、肩だけではなく、腕の内側や胸元、脇腹へと吸い付かれる。最初はくすぐったさに声を堪えていた和彦だが、いつの間にか息が弾み、肌に触れる硬い歯の感触にゾクリとするような疼きを感じるようになっていた。
玲が、肌に残った鬱血の跡を満足げに眺める。
「これ、キスマーク……、初めてつけました」
「嬉しそうだな」
和彦は、玲の髪に手荒く指を差し込む。何かの儀式のようにまた口づけを求めてきたので、今度は玲の好きなようにさせる。口腔に入り込んできた舌に隈なく舐め回され、流し込まれる唾液を喉を鳴らして飲んでやると、興奮したように強く腰をすり寄せてきた。
「……入れたい、です」
口づけの合間に、苦しげな声で玲が言う。一瞬、このまま続けていいのだろうかと逡巡したが、玲の放つ熱に和彦も感化されていた。頭の片隅では、賢吾から言われた言葉も響いている。
これは、浮気ではない。遊びでもない。ただ、夢を見ているだけだ――。
玲が両足の間へと手を伸ばそうとしたので、和彦は制止する。
「準備はぼくがやる。……爪で傷つけられるのが怖いから……」
「じゃあ、見てます」
真剣な顔で言われると、返事に困る。和彦は微妙に玲から視線を逸らして、体を起こすよう言った。
下肢に向けられる強い視線を意識しながら、自ら片足を折り曲げ、膝を抱えるような姿勢を取った和彦は、指を唾液で濡らしてから、両足の間に手を伸ばす。
触れるまでもなく、欲望は形を変えて熱くなっていた。自分の愛撫の成果を、玲はどんなふうに見ているのだろうかと考えながら、秘裂をまさぐり、内奥の入り口を探り当てる。
唾液で湿らせて、頑なな窄まりでしかない場所を慎重に解していく。くすぐるように撫で擦り、爪の先から少しずつ含ませていき、ここでまたたっぷりの唾液を施して、指の侵入を深くしていく。
玲は瞬きもせず、食い入るように和彦の行為を見つめ続けていた。あからさまに男の部分を見せつけているというのに、興奮が冷める様子は一切なく、それどころか、一層高ぶっているようだ。
「んっ……」
無意識の行動なのか、玲の手が抱えた膝にかかる。さらに足を広げさせられていた。
和彦は、玲が間近で見つめている前で、指の数を増やし、付け根まで挿入していた。発情した襞と粘膜が見境なく指に絡みつき、内奥全体がひくついている。
玲に手を取られて、内奥から指を引き抜かれる。両足の間に性急に腰が割り込まされたかと思うと、戦くほど熱く硬い感触が内奥の入り口に押し当てられた。
「ま、だ……、まだ早い――」
「でも、俺もう、我慢できません。……すみません」
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「あっ、あうっ、うっ」
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