血と束縛と

北川とも

文字の大きさ
上 下
836 / 1,268
第35話

(13)

しおりを挟む
 蠢く舌が欲望に絡みつき、口腔全体で締め付けられる。鷹津の引き締まった下腹部に顔を伏せ、和彦は押し寄せてくる快感に腰を揺らす。鷹津は感じやすい先端を執拗に舌先で攻め立てながら、指では柔らかな膨らみをまさぐり始めた。その指が、気まぐれに内奥の入り口をくすぐり、ときにはわずかに爪の先を押し込んでくる。
 鷹津の口腔で、和彦の欲望は瞬く間に熟す。先端をヌルヌルと舐められたとき、和彦の目に、反り返ったままの鷹津の欲望が映る。言われたわけではないが、おずおずと握り締め、その熱さと逞しさに戦く。
「いい眺めだ。お前が俺の顔の上で腰を振って、俺のものを扱いているんだ。――お前の尻が、もう興奮してひくついてる。俺のものを突っ込まれる瞬間を、想像してるのか?」
 淫らな言葉を囁かれながら、内奥にヌルリと入り込んでくるものがあった。唾液で濡らされた鷹津の指だとわかったときには、締め付けてしまう。和彦は突き出した尻を震わせ、呻き声を洩らす。信じられないような自分の痴態と、それをすべて鷹津に見られているという状況に、気が遠くなりかけていた。だからこそ、本能に忠実になっていく。
 挿入された指を内奥で蠢かされながら、柔らかな膨らみを揉みしだかれ、探り当てられた弱みを弄られる。すでにもう鷹津の欲望を愛撫する余裕はなく、舌と指の動きに翻弄されるがままに悦びの声を上げていた。
 欲望だけではなく、柔らかな膨らみも口腔による淫らな愛撫を施されたあと、内奥の入り口に濡れた柔らかな感触が這わされる。
「うっ、ああっ、そんな、こと、するな……」
 和彦の秘密を暴き立てるように、鷹津の硬くした舌先が内奥へと浅く入り込んでくる。異常なほどの興奮を煽られるが、一方で、快感を求める気持ちが歯止めをなくしてしまいそうで怖くもある。
 惑乱した和彦はうわ言のように、悦びの声と制止の声を交互に上げていたが、内奥浅くに鷹津の舌を感じたまま、絶頂を迎えていた。
 間欠的に精を噴き上げる。和彦は声も出せずに、絶頂の余韻にビクビクと体を震わせていた。
「――いいイキっぷりだ。おかげで俺は、お前の精液塗れだ」
 意地の悪い言葉をかけられて、和彦は体を引きずるようにして鷹津の上から退く。とてもではないが鷹津のほうを見られなかったが、容赦なく体を引き寄せられ、鷹津の傍らに倒れ込む。鷹津の胸元は、シャワーの名残りとも汗ともつかない透明なしずくだけではなく、白濁とした精が散っていた。和彦の悦びの証だ。
 何も言わず鷹津に腰を抱かれ、不思議なほどすんなりとその行動の意図が理解できた和彦は、まだ重くだるい下肢を鷹津の腰にすり寄せる。引き寄せられるまま、再び鷹津の上に乗り上がる。
 今度は見つめ合ったまま、逞しく反り返っている鷹津の欲望を片手に掴んで腰を浮かせると、濡れてわずかに綻んだ内奥の入り口にそっと先端を押し当てた。
「んっ、んっ……、んくっ」
 慎重に腰を下ろしながら、内奥に鷹津の欲望を呑み込んでいく。鷹津は、そんな和彦を食い入るように見つめていた。
 時間をかけて繋がりを深くしていき、鷹津の欲望を根元まで内奥に受け入れる。和彦は肩で息をしながら、鷹津の胸に手を突く。ここまで自分から動くことはなかった鷹津だが、和彦の腰を掴むと、ゆっくりと体を揺さぶる。内奥で欲望が蠢き、下腹部で圧迫感が大きくなる。
 苦しいが、痛くはなかった。内奥深くで息づく熱い塊が、じわじわと自分の体に馴染んでいき、それに伴い愛しさを感じるようになる。
 鷹津の視線に身を焼かれそうで、隠れることもできない和彦はやむをえず目を閉じていた。そして、静かな交歓を交わす。
 鷹津の欲望を締め付けたまま自ら腰を揺らし、発情した襞と粘膜に擦りつける。穏やかな波のような肉の悦びが湧き起こり始めると、内奥全体がうねるように淫らな蠕動を始め、より一体感が深まる。鷹津の欲望が力強く脈打ち、内から和彦の官能を刺激するのだ。
「はあっ、あっ、あっ、あっ……ん、ああっ――」
 腰にかかっていた鷹津の手が動き、欲望に触れてくる。いつの間にか再び身を起こし、先端から悦びのしずくを垂らしていたのだ。さらに、汗に濡れた肌を撫で回され、凝ったままの胸の突起を指先で弄られる。
「んっ」
 和彦は短く声を洩らし、背をしならせる。このときようやく目を開くと、鷹津と視線が交じり合い、解けなくなる。
 鷹津が上体を起こすのを待って、和彦はしがみつく。支えが欲しかったというのもあるが、それ以上に鷹津の体温と、力強い抱擁が欲しかった。鷹津にしても、きつく和彦を抱き締めながら、荒々しく腰を使い、内奥を突き上げてくる。ベッドが軋む音を立て、そこに二人分の乱れた息遣いが重なる。
「あっ、あっ、しゅ、うっ……。秀、秀っ……」

しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

処理中です...