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第34話
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繋がりを解くと、和彦は内奥から残滓を溢れさせながら、言われるままうつ伏せとなり、腰を突き出した姿勢を取る。苦痛に近い羞恥があったが、守光の言葉通り、和彦の体はやはり反応していた。欲望は萎えることなく熱く震えている。
守光が文箱から何かを取り出す音がして、ビクリと腰を震わせる。
「怖がらなくていい。あんたに痛みを与えることは、絶対にしない。これまでしてきたおもちゃ遊びと同じだ。ただ少しばかり――」
守光の欲望に擦り上げられ、精を注ぎ込まれたばかりの内奥は、ひどく脆くなっている。ひんやりとして硬く滑らかな感触が押し当てられると、嬉々として淫らな肉の洞に呑み込んでいた。
「くっ……、んっ、んっ、ううっ……」
太い部分を受け入れて、苦しさに喘ぐ。守光が新しく作らせたという道具は、歪な形をしているようだった。全体に太くなっただけではなく、括れの部分がより強調され、さらにはごつごつとした小さな瘤のようなものがいくつもあるのだ。
それでなくても敏感になっている襞と粘膜が、緩やかに道具が出し入れされるたびに瘤の部分で強く擦り上げられ、和彦は腰を揺らして反応する。
「ひあっ、あっ、待って、くだ、さ――、うあっ、あっ……、んんっ」
一度道具が引き抜かれ、内奥から守光の精と潤滑剤がドロリと溢れ出してくる。そこに新たに潤滑剤を塗り込まれ、道具を挿入された。いままで、誰も訪れたことがないほど奥深くに。和彦は布団を強く握り締め、甲高い声を上げる。それは、女のような嬌声だった。
頭の中が真っ白に染まり、目を開けていながら、何も見えていない状態となる。体中の力が抜けていると知ったのは、それから数瞬後だった。道具を咥え込んだまま、絶頂に達したのだ。
「――やはり、あんたなら気に入ってくれると思ったよ。このおもちゃを」
そう言って守光の手が開いた両足の間に差し込まれ、組み紐を解く。軽くてのひらで擦り上げられただけで、和彦の欲望は破裂し、精を噴き上げた。
「いつだったか、わしの友人という男とここのエレベーターですれ違っただろう。あの男は、わしの難しい注文にも、文句を言いながらも応えてくれる。このおもちゃも、素材からこだわった。あんたに粗悪品を使わせるわけにはいかないから、いろいろ吟味したよ。同じぐらいこだわったのは、形だ。いい形だと思わんかね?」
内奥からわずかに道具が引き抜かれ、和彦は腰を揺らす。これ以上責められては、自分でもどんな痴態を晒すかわからず、布団に片頬を押し当てたまま、小さく頭を振る。しかし、守光は残酷だった。
「せっかくの新しいおもちゃだ。最初のうちにしっかりと使い込んで、あんたに馴染ませておかないとな」
ぐちゅりという音を立てて、内奥から道具が引き抜かれる。和彦は一息をつく間もなく、今度は仰向けにさせられていた。そこで初めて、新しい道具の生々しく、グロテスクともいえる姿を目にして、眩暈に襲われる。こんなものが自分の中で蠢き、凄まじい快感を作り出していたのだ。
力をなくした片足を持ち上げられ、再び内奥の入り口に道具の先端が押し当てられる。この瞬間、ゾクゾクするような強烈な疼きが背筋を駆け抜け、和彦は自分の反応に戸惑った。
「あっ、いや――……」
反射的に制止しようとして、守光と目が合った。淫らな行為の最中とは思えないほど冴えた眼差しに和彦は射抜かれ、発しかけた言葉は口中で消える。代わりに口を突いて出たのは、甘い呻き声だった。
和彦は布団の上で仰向けとなったまま、茫然自失としていた。さんざん道具で嬲られ、啜り泣きを洩らしても許してもらえず、ひたすら快感を与えられ続けたのだ。限界まで体力も気力も削り取られ、まさに精根尽き果てた状態だった。
動けない和彦の体の後始末をしたのは、吾川だった。体の汚れを拭い、新しい浴衣を着せたあと、ひどい有様の布団を入れ替えて、道具すらも布に包んでどこかに持って行ってしまった。和彦は、羞恥する感覚さえ麻痺しており、ぼんやりと吾川の行動を目で追っていた。
恭しく頭を下げて吾川が部屋を出ると、ほぼ入れ違いで守光が部屋に戻ってくる。どうやら湯を浴びてきたらしく、白髪が濡れていた。
和彦が緩慢に体を起こそうとすると、側にやってきた守光が手を貸してくれる。
「……すみません」
言葉を発して初めて、自分の声が掠れていることに気づいた。
「あんたがあんまりいい声で鳴くから、無茶をしてしまった。すまなかった」
布団の傍らに座った守光の言葉に、和彦は返事のしようがなかった。ここで、部屋の主である守光を畳の上に座らせ、自分が布団の上にいるのも失礼だと気づき、慌てて布団から下りようとする。守光は笑って首を横に振る。
「かまわんよ。今夜はここで寝るといい」
「いえ、そんな――」
「あんたに、その権利は十分ある。なんといっても、わしの大事で可愛いオンナだ」
和彦はピクリと肩を震わせ、うかがうように守光を見る。口元に薄い笑みを湛えた守光は片手を伸ばし、乱れたままの和彦の髪を撫でてきた。それだけで、疼きにも似た感覚が背筋を駆け抜ける。体は離しはしたものの、精神的にまだ守光と繋がったままのようだ。いや、囚われている、という表現のほうが正確かもしれない。
守光から差し出された手を取り、そっと身を寄せる。こめかみに唇が押し当てられ、頬へと移動し、唇の端に触れられる。和彦はおずおずと守光を見つめ返し、唇を重ねる。
静かだが、長く深い口づけを交わしてから、優しい声で守光が問うてきた。
「それで、わしの求愛は受け入れてくれるかね?」
和彦は震える吐息を洩らすと、体を引きずるようにして畳の上で正座し、守光と向き合う。
頭の片隅で、必死に制止しようとする自分がいる。しかし、もうどうしようもなかった。今の和彦は、強い力に身を委ねることで生きているし、そうしたうえでの自由が保証されている。
和彦は畳に両手をつき、守光に向かって深々と頭を下げた。
「――クリニックの件、お引き受けいたします。至らぬ身ですが、よろしくお願いいたします」
守光が文箱から何かを取り出す音がして、ビクリと腰を震わせる。
「怖がらなくていい。あんたに痛みを与えることは、絶対にしない。これまでしてきたおもちゃ遊びと同じだ。ただ少しばかり――」
守光の欲望に擦り上げられ、精を注ぎ込まれたばかりの内奥は、ひどく脆くなっている。ひんやりとして硬く滑らかな感触が押し当てられると、嬉々として淫らな肉の洞に呑み込んでいた。
「くっ……、んっ、んっ、ううっ……」
太い部分を受け入れて、苦しさに喘ぐ。守光が新しく作らせたという道具は、歪な形をしているようだった。全体に太くなっただけではなく、括れの部分がより強調され、さらにはごつごつとした小さな瘤のようなものがいくつもあるのだ。
それでなくても敏感になっている襞と粘膜が、緩やかに道具が出し入れされるたびに瘤の部分で強く擦り上げられ、和彦は腰を揺らして反応する。
「ひあっ、あっ、待って、くだ、さ――、うあっ、あっ……、んんっ」
一度道具が引き抜かれ、内奥から守光の精と潤滑剤がドロリと溢れ出してくる。そこに新たに潤滑剤を塗り込まれ、道具を挿入された。いままで、誰も訪れたことがないほど奥深くに。和彦は布団を強く握り締め、甲高い声を上げる。それは、女のような嬌声だった。
頭の中が真っ白に染まり、目を開けていながら、何も見えていない状態となる。体中の力が抜けていると知ったのは、それから数瞬後だった。道具を咥え込んだまま、絶頂に達したのだ。
「――やはり、あんたなら気に入ってくれると思ったよ。このおもちゃを」
そう言って守光の手が開いた両足の間に差し込まれ、組み紐を解く。軽くてのひらで擦り上げられただけで、和彦の欲望は破裂し、精を噴き上げた。
「いつだったか、わしの友人という男とここのエレベーターですれ違っただろう。あの男は、わしの難しい注文にも、文句を言いながらも応えてくれる。このおもちゃも、素材からこだわった。あんたに粗悪品を使わせるわけにはいかないから、いろいろ吟味したよ。同じぐらいこだわったのは、形だ。いい形だと思わんかね?」
内奥からわずかに道具が引き抜かれ、和彦は腰を揺らす。これ以上責められては、自分でもどんな痴態を晒すかわからず、布団に片頬を押し当てたまま、小さく頭を振る。しかし、守光は残酷だった。
「せっかくの新しいおもちゃだ。最初のうちにしっかりと使い込んで、あんたに馴染ませておかないとな」
ぐちゅりという音を立てて、内奥から道具が引き抜かれる。和彦は一息をつく間もなく、今度は仰向けにさせられていた。そこで初めて、新しい道具の生々しく、グロテスクともいえる姿を目にして、眩暈に襲われる。こんなものが自分の中で蠢き、凄まじい快感を作り出していたのだ。
力をなくした片足を持ち上げられ、再び内奥の入り口に道具の先端が押し当てられる。この瞬間、ゾクゾクするような強烈な疼きが背筋を駆け抜け、和彦は自分の反応に戸惑った。
「あっ、いや――……」
反射的に制止しようとして、守光と目が合った。淫らな行為の最中とは思えないほど冴えた眼差しに和彦は射抜かれ、発しかけた言葉は口中で消える。代わりに口を突いて出たのは、甘い呻き声だった。
和彦は布団の上で仰向けとなったまま、茫然自失としていた。さんざん道具で嬲られ、啜り泣きを洩らしても許してもらえず、ひたすら快感を与えられ続けたのだ。限界まで体力も気力も削り取られ、まさに精根尽き果てた状態だった。
動けない和彦の体の後始末をしたのは、吾川だった。体の汚れを拭い、新しい浴衣を着せたあと、ひどい有様の布団を入れ替えて、道具すらも布に包んでどこかに持って行ってしまった。和彦は、羞恥する感覚さえ麻痺しており、ぼんやりと吾川の行動を目で追っていた。
恭しく頭を下げて吾川が部屋を出ると、ほぼ入れ違いで守光が部屋に戻ってくる。どうやら湯を浴びてきたらしく、白髪が濡れていた。
和彦が緩慢に体を起こそうとすると、側にやってきた守光が手を貸してくれる。
「……すみません」
言葉を発して初めて、自分の声が掠れていることに気づいた。
「あんたがあんまりいい声で鳴くから、無茶をしてしまった。すまなかった」
布団の傍らに座った守光の言葉に、和彦は返事のしようがなかった。ここで、部屋の主である守光を畳の上に座らせ、自分が布団の上にいるのも失礼だと気づき、慌てて布団から下りようとする。守光は笑って首を横に振る。
「かまわんよ。今夜はここで寝るといい」
「いえ、そんな――」
「あんたに、その権利は十分ある。なんといっても、わしの大事で可愛いオンナだ」
和彦はピクリと肩を震わせ、うかがうように守光を見る。口元に薄い笑みを湛えた守光は片手を伸ばし、乱れたままの和彦の髪を撫でてきた。それだけで、疼きにも似た感覚が背筋を駆け抜ける。体は離しはしたものの、精神的にまだ守光と繋がったままのようだ。いや、囚われている、という表現のほうが正確かもしれない。
守光から差し出された手を取り、そっと身を寄せる。こめかみに唇が押し当てられ、頬へと移動し、唇の端に触れられる。和彦はおずおずと守光を見つめ返し、唇を重ねる。
静かだが、長く深い口づけを交わしてから、優しい声で守光が問うてきた。
「それで、わしの求愛は受け入れてくれるかね?」
和彦は震える吐息を洩らすと、体を引きずるようにして畳の上で正座し、守光と向き合う。
頭の片隅で、必死に制止しようとする自分がいる。しかし、もうどうしようもなかった。今の和彦は、強い力に身を委ねることで生きているし、そうしたうえでの自由が保証されている。
和彦は畳に両手をつき、守光に向かって深々と頭を下げた。
「――クリニックの件、お引き受けいたします。至らぬ身ですが、よろしくお願いいたします」
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