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第34話
(14)
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中嶋の手が欲望に伸び、ローションを塗り込めるように扱かれる。和彦は新鮮な感触にビクビクと震わせ、そんな和彦に興奮を覚えたのか、中嶋に唇を求められる。促されたわけではないが、和彦もおずおずと中嶋の欲望に触れ、自分がされているように扱く。
ふざけ合いの延長のような前戯に小道具が加わり、和彦の戸惑いは中嶋によって巧みに溶かされていく。貪り合うような激しいセックスとは違う気楽さは、和彦が現在置かれている息も詰まるような緊張感から解放してくれてもいるようだった。
元ホストだけあって、こういう手管にも長けているのだろうかと考えたりもしていたが、すぐにそんな余裕はなくなる。
中嶋の手がさらに奥へと伸び、内奥の入り口をまさぐられた。和彦が微かに声を洩らすと、中嶋はうっすらと笑みを浮かべてから、再びてのひらにたっぷりのローションを垂らし、和彦の両足の間をまさぐってくる。中嶋の指の動きに呼応するように、淫靡な音が一際大きく響く。
内奥に一本の指がヌルッと挿入されてくる。ローションのおかげでほとんど痛みはなく、馴染みのあるはずの異物感も驚くほどすんなりと体に馴染む。
二本、三本と指を増やされていくに従い、自分の息遣いが妖しさを帯びてきたことに、和彦は気づいていた。反り返った欲望の先端からは透明なしずくが滴り落ち、中嶋が指先で掬い取りながら問いかけてくる。
「先生、どっちが先がいいですか?」
その問いの意味を理解し、和彦はうろたえる。
「……君に、任せる」
「言ったでしょう。傷ついた先生のプライドを癒す手伝いをすると。そのためには、先生がまず選ばないと。自分がどうしたいのか」
本当はプライドなどと大した話ではないのだ。ただ和彦は、南郷に嘲りを含んだ言動を取られるのが、たまらなく嫌なのだ。オンナなのだから、男に庇護される代わりに、男からのどんな嘲りも受け入れろと、言外に示されているようで。
物騒な世界に引き入れられる以前、和彦にとって男と体を重ねることに、建前や価値など見出す必要はなかった。そうしたいから、しているだけで、それで心も体も満たされていた。誰にも迷惑をかけないのだから、誰も立ち入るなと、心の中で密やかに主張しながら。
だが今の生活は、以前と同じことをしていながら、そこに建前と価値を見出されてしまう。まるで、オンナではない和彦に用はないと言わんばかりに。そう感じるのは、卑屈な心理の裏返しだ。
南郷の言動の一つ一つが癇に障り、一方で怯えてしまうのは、そんな自分の卑屈さに気づかされるからだ。もちろん、南郷が振り撒く荒々しい空気が、純粋に怖いというのもあるが――。
立場にふさわしく、もっと傲慢な人間になるべきなのだろうかと自問しながら、和彦は中嶋を見上げる。
「――先に君の中に入りたいな」
うつ伏せになった中嶋に腰を上げてもらい、ローションを手に取った和彦は、さきほど自分がされたように、中嶋の内奥を潤し、解していく。深く指を突き入れると、興奮を物語るようにきつく収縮する。そこを押し広げるように掻き回すと、中嶋の腰が揺れ、低い呻き声が聞こえてきた。
和彦は口元を緩めると、中嶋の腰に唇を押し当てる。
「反応がいい人間に触れていると、楽しいな」
「先生に褒められると、嬉しいですね……」
妖しい滑りを帯びて充血している内奥の入り口がひくついている。和彦は、溢れるほどの量のローションを内奥に施すと、指を引き抜く。代わりに、これ以上なく熱くなった自分の欲望を押し当てた。
「ううっ」
ゆっくりと力を入れて、先端を内奥に押し込む。熱く弾力のある肉が妖しく蠢きながら、和彦の欲望を包み込み、締め付けてきた。
「は、あぁっ――」
深く息を吐き出して、一度目を閉じる。滑りを帯びた襞と粘膜が欲望にまとわりつき、吸い付いてくる。まるで奥へと誘い込もうとするかのように蠢き、和彦は衝動に従う。指では届かなかった深い部分へと欲望を侵入させ、淫らな肉を押し広げる。
「はあっ、あっ、あっ、い、い……」
声を上げた中嶋が悩ましく背をしならせ、腰を揺する。和彦は唐突に、自分は今、この青年を犯しているのだと実感していた。
欲望を内奥深くまで挿入すると、自分がいつも男たちにされているように、腰を撫で、胸元へと手を這わせて愛撫を与える。胸の突起を指先で擦り上げてやると、中嶋の内奥が痙攣したように蠕動を始める。
「……君とのセックスは、楽しいな」
そう呟いた和彦は前屈みとなると、角度をつけて内奥を抉りながら、中嶋の汗に濡れた背に舌先を這わせる。
「うあぁっ、あっ、先、せっ……。ううっ、うくっ」
両足の間に片手を這わせると、中嶋の欲望は、今にも破裂しそうなほど熱くなっていた。
ふざけ合いの延長のような前戯に小道具が加わり、和彦の戸惑いは中嶋によって巧みに溶かされていく。貪り合うような激しいセックスとは違う気楽さは、和彦が現在置かれている息も詰まるような緊張感から解放してくれてもいるようだった。
元ホストだけあって、こういう手管にも長けているのだろうかと考えたりもしていたが、すぐにそんな余裕はなくなる。
中嶋の手がさらに奥へと伸び、内奥の入り口をまさぐられた。和彦が微かに声を洩らすと、中嶋はうっすらと笑みを浮かべてから、再びてのひらにたっぷりのローションを垂らし、和彦の両足の間をまさぐってくる。中嶋の指の動きに呼応するように、淫靡な音が一際大きく響く。
内奥に一本の指がヌルッと挿入されてくる。ローションのおかげでほとんど痛みはなく、馴染みのあるはずの異物感も驚くほどすんなりと体に馴染む。
二本、三本と指を増やされていくに従い、自分の息遣いが妖しさを帯びてきたことに、和彦は気づいていた。反り返った欲望の先端からは透明なしずくが滴り落ち、中嶋が指先で掬い取りながら問いかけてくる。
「先生、どっちが先がいいですか?」
その問いの意味を理解し、和彦はうろたえる。
「……君に、任せる」
「言ったでしょう。傷ついた先生のプライドを癒す手伝いをすると。そのためには、先生がまず選ばないと。自分がどうしたいのか」
本当はプライドなどと大した話ではないのだ。ただ和彦は、南郷に嘲りを含んだ言動を取られるのが、たまらなく嫌なのだ。オンナなのだから、男に庇護される代わりに、男からのどんな嘲りも受け入れろと、言外に示されているようで。
物騒な世界に引き入れられる以前、和彦にとって男と体を重ねることに、建前や価値など見出す必要はなかった。そうしたいから、しているだけで、それで心も体も満たされていた。誰にも迷惑をかけないのだから、誰も立ち入るなと、心の中で密やかに主張しながら。
だが今の生活は、以前と同じことをしていながら、そこに建前と価値を見出されてしまう。まるで、オンナではない和彦に用はないと言わんばかりに。そう感じるのは、卑屈な心理の裏返しだ。
南郷の言動の一つ一つが癇に障り、一方で怯えてしまうのは、そんな自分の卑屈さに気づかされるからだ。もちろん、南郷が振り撒く荒々しい空気が、純粋に怖いというのもあるが――。
立場にふさわしく、もっと傲慢な人間になるべきなのだろうかと自問しながら、和彦は中嶋を見上げる。
「――先に君の中に入りたいな」
うつ伏せになった中嶋に腰を上げてもらい、ローションを手に取った和彦は、さきほど自分がされたように、中嶋の内奥を潤し、解していく。深く指を突き入れると、興奮を物語るようにきつく収縮する。そこを押し広げるように掻き回すと、中嶋の腰が揺れ、低い呻き声が聞こえてきた。
和彦は口元を緩めると、中嶋の腰に唇を押し当てる。
「反応がいい人間に触れていると、楽しいな」
「先生に褒められると、嬉しいですね……」
妖しい滑りを帯びて充血している内奥の入り口がひくついている。和彦は、溢れるほどの量のローションを内奥に施すと、指を引き抜く。代わりに、これ以上なく熱くなった自分の欲望を押し当てた。
「ううっ」
ゆっくりと力を入れて、先端を内奥に押し込む。熱く弾力のある肉が妖しく蠢きながら、和彦の欲望を包み込み、締め付けてきた。
「は、あぁっ――」
深く息を吐き出して、一度目を閉じる。滑りを帯びた襞と粘膜が欲望にまとわりつき、吸い付いてくる。まるで奥へと誘い込もうとするかのように蠢き、和彦は衝動に従う。指では届かなかった深い部分へと欲望を侵入させ、淫らな肉を押し広げる。
「はあっ、あっ、あっ、い、い……」
声を上げた中嶋が悩ましく背をしならせ、腰を揺する。和彦は唐突に、自分は今、この青年を犯しているのだと実感していた。
欲望を内奥深くまで挿入すると、自分がいつも男たちにされているように、腰を撫で、胸元へと手を這わせて愛撫を与える。胸の突起を指先で擦り上げてやると、中嶋の内奥が痙攣したように蠕動を始める。
「……君とのセックスは、楽しいな」
そう呟いた和彦は前屈みとなると、角度をつけて内奥を抉りながら、中嶋の汗に濡れた背に舌先を這わせる。
「うあぁっ、あっ、先、せっ……。ううっ、うくっ」
両足の間に片手を這わせると、中嶋の欲望は、今にも破裂しそうなほど熱くなっていた。
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