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第33話
(24)
しおりを挟む 和彦は背を弓なりに反らして、意識が舞い上がるような感覚に襲われる。ほんのわずかな間だったのか、それとも何十秒も続いていたのか認識できなかったが、ふと息苦しさを感じて、大きく息を吸い込む。同時に、一気に体中の力が抜けた。
「大丈夫か?」
そう問いかけてきた賢吾に、和彦は頷き返すこともできない。頭がふらつき、自分の体も支えられないのだ。見かねたように千尋が腕を伸ばしてきて、抱き寄せられる。賢吾との繋がりが解けた途端、内奥からドロリと二人分の精が溢れ出し、反射的に体を強張らせる。できることなら、こんな姿を見られたくないのに、長嶺の男たちは気にしないどころか、むしろ自分たちの成果として確認したがった。
「嫌、だ……」
和彦は弱々しい声で訴えたが、当然のように聞き入れられない。今夜、できうる限りの淫らな行為に耽りたいという思いが、男たちにはあるようだ。
布団に仰向けで横たえられ、力をなくした両足を容赦なく賢吾に掴み上げられる。二人の男の欲望にこじ開けられ、擦り上げられた内奥は閉じることもかなわず、浅ましくひくついている。白濁とした精を垂らす一方で、組み紐で縛められた欲望は反り返ったまま、先端を透明なしずくで濡らしていた。和彦の淫奔さを雄弁に物語っている部分を、まるで視線で愛撫をするかのように、三人の男たちに凝視される。
快感で蕩けた頭でも、わずかながら羞恥を感じる思考力は残っていた。和彦はやめてくれるよう哀願していたが、当然のように無視された。
「うあっ、あっ――……」
欲望に巻きつく組み紐をなぞるように、賢吾の舌先が卑猥に動く。欲望を舐めているようで、直に舌先が触れているわけではないもどかしい刺激に、和彦は腰を揺らす。呻き声を洩らすと、枕元に這い寄ってきた千尋が身を伏せ、和彦の唇をペロリと舐めてきた。
父子の舌が、同時に和彦の欲望と口腔を嬲り始める。快感による地獄だと思った。これまでも、賢吾と千尋と同時に交わったことはあるが、ここまで切迫した感覚には襲われなかった。今の和彦は、とにかく与えられる快感が怖い。抜け出せなくなりそうで。
和彦のすべてを貪り尽くす前に、ようやく賢吾と千尋が体を離す。このとき、欲望をずっと縛めていた組み紐が解かれていた。その意味は、すぐにわかった。
浴衣の前をわずかに寛げて、守光が覆い被さってくる。片足を抱え上げられ、痺れたように疼痛を訴えている内奥に、欲望を挿入された。
声も出せず身悶えながら和彦は、三人の男たちに見守られながら、欲望から精を噴き上げる。同時に、内奥深くを守光の欲望に突き上げられた。咄嗟に閉じた瞼の裏で鮮やかな光がちらつき、その光に酔い痴れそうになる。気がついたときには、恥知らずな悦びの声を溢れさせていた。
「――気持ちよさそうに、よく鳴く。あんたに痛い思いをさせるんじゃないかと心配していたが、大丈夫なようだな」
欲望を慎重に動かしながら、守光が柔らかな笑いを含んだ声で言う。息を喘がせ、満足に返事もできない和彦の頬を撫で、汗で濡れた髪を掻き上げられた。
守光のてのひらが、体中に這わされる。さすがに、自ら放った精で汚れた下腹部に触れられたときは身じろいでしまったが、和彦の感じる羞恥すら堪能しているように、守光はそっと目を細める。
「この体にたっぷり男の精を注ぎ込んでも、あんたの羞恥心を完全に溶かすことはできんらしい。恥じらいながらも、こうしてわしのものを締め付けるんだから、むしろ、なければ困るものか……」
守光のてのひらに包み込まれた欲望を緩く扱かれ、和彦は短く声を上げる。精を放ったばかりだというのに、異常な状況のためか、それとも中から愛されているためか、すでにもう力を取り戻しつつあった。
欲望への愛撫に合わせて、ゆっくりと内奥を突かれる。
「ふあっ……、あっ、あっ……ん、あぁっ――」
千尋にも賢吾にもない落ち着いた攻めに、和彦は静かに狂わされていく。自覚もないまま両足を大きく左右に開き、背をしならせるようにして、内奥深くで刻まれる守光の律動をよりしっかりと感じていた。
「あんたはもう数えきれんほど、長嶺の男たちと交わり、精を受けてきた。こうして、じっくりと丹念に中にすり込まれていると、自分と長嶺の男たちと溶け合っているという感覚にならんかね」
守光の言葉に唆されたように、内奥を行き来する熱い欲望をきつく締め付ける。守光が抉るように内奥深くを突き上げてきた。
「あんたのこの反応は、肯定と受け止めていいんだろう。――医者のあんたからすると、バカバカしいと嘲笑うかもしれんが、わしは、あんたが長嶺の血を受け入れてくれていると思っている。溢れるほどの精を受け入れ、情を受け入れ、子は成せんが、あんたは長嶺という家の繁栄のために欠かせない人間だ。宝だよ」
意識は朦朧としていても、守光がとんでもないことを言っているということはわかる。言葉が発せない代わりに和彦は必死に首を横に振るが、守光は薄い笑みを浮かべ、覆い被さってくる。唇を塞がれ、深い口づけを与えられていた。
内奥に深々と欲望を穿たれているうちに、肉の悦びの虜となる。浅ましく腰を揺らして、守光に応えていた。それを待っていたようにこう囁かれる。
「この先もずっと、長嶺の男たちの側にいてくれ。よく尽くし、よく支え、よく愛してほしい。その見返りとして、わしらも、あんたに尽くし、支え、愛す。今晩のこれは、その契約を交わすためだ。決して裏切ることのない、裏切ることを許さない、血の契約だ」
守光の言葉は、恫喝だ。この状況で和彦が逆らえるはずもなく、否という返事を、長嶺の男たちは最初から聞き入れる気はない。
恐怖に押し潰されても不思議ではないのに、和彦の体は歓喜していた。頭上に伸ばした両手を、それぞれ賢吾と千尋に握り締められ、反射的に握り返してしまう。
「ぼ、くは――、何も、できな……」
「あんたは、あんたでいればいい。普段は凛然と医者として立ち働き、それ以外では、男たちにとって大事で可愛いオンナでいてくれれば、十分だ」
反り返った欲望の形を指でなぞられてから、濡れた先端をヌルヌルと撫でられる。小さく悦びの声を上げてから、和彦は陥落した。
頷くと、守光の手によって二度目の絶頂に導かれていた。すると守光も、激しい収縮を繰り返す内奥の深い場所で精を放つ。
「うあっ、あっ――……」
すぐに欲望が引き抜かれ、精が溢れ出してくる。守光は、下腹部に散った和彦の精を掬い取った指を、淫らな肉の洞となっている内奥に挿入してきた。
この行為には、覚えがあった。和彦がゆっくりと目を見開くと、守光は厳かな口調で告げる。
「組の者とは、酒で満たした盃を交わすが、これがあんたと交わす盃だ。あんたの中で、わしら三人の精と、あんたの精が溶け合い、交じり合う。――末永く、わしらのオンナでいてくれ」
興奮と絶頂の余韻に浸りきった内奥は、見境なく守光の指を締め付ける。
言葉による返事は必要ない。これが、オンナとしての和彦の返事だった。
「大丈夫か?」
そう問いかけてきた賢吾に、和彦は頷き返すこともできない。頭がふらつき、自分の体も支えられないのだ。見かねたように千尋が腕を伸ばしてきて、抱き寄せられる。賢吾との繋がりが解けた途端、内奥からドロリと二人分の精が溢れ出し、反射的に体を強張らせる。できることなら、こんな姿を見られたくないのに、長嶺の男たちは気にしないどころか、むしろ自分たちの成果として確認したがった。
「嫌、だ……」
和彦は弱々しい声で訴えたが、当然のように聞き入れられない。今夜、できうる限りの淫らな行為に耽りたいという思いが、男たちにはあるようだ。
布団に仰向けで横たえられ、力をなくした両足を容赦なく賢吾に掴み上げられる。二人の男の欲望にこじ開けられ、擦り上げられた内奥は閉じることもかなわず、浅ましくひくついている。白濁とした精を垂らす一方で、組み紐で縛められた欲望は反り返ったまま、先端を透明なしずくで濡らしていた。和彦の淫奔さを雄弁に物語っている部分を、まるで視線で愛撫をするかのように、三人の男たちに凝視される。
快感で蕩けた頭でも、わずかながら羞恥を感じる思考力は残っていた。和彦はやめてくれるよう哀願していたが、当然のように無視された。
「うあっ、あっ――……」
欲望に巻きつく組み紐をなぞるように、賢吾の舌先が卑猥に動く。欲望を舐めているようで、直に舌先が触れているわけではないもどかしい刺激に、和彦は腰を揺らす。呻き声を洩らすと、枕元に這い寄ってきた千尋が身を伏せ、和彦の唇をペロリと舐めてきた。
父子の舌が、同時に和彦の欲望と口腔を嬲り始める。快感による地獄だと思った。これまでも、賢吾と千尋と同時に交わったことはあるが、ここまで切迫した感覚には襲われなかった。今の和彦は、とにかく与えられる快感が怖い。抜け出せなくなりそうで。
和彦のすべてを貪り尽くす前に、ようやく賢吾と千尋が体を離す。このとき、欲望をずっと縛めていた組み紐が解かれていた。その意味は、すぐにわかった。
浴衣の前をわずかに寛げて、守光が覆い被さってくる。片足を抱え上げられ、痺れたように疼痛を訴えている内奥に、欲望を挿入された。
声も出せず身悶えながら和彦は、三人の男たちに見守られながら、欲望から精を噴き上げる。同時に、内奥深くを守光の欲望に突き上げられた。咄嗟に閉じた瞼の裏で鮮やかな光がちらつき、その光に酔い痴れそうになる。気がついたときには、恥知らずな悦びの声を溢れさせていた。
「――気持ちよさそうに、よく鳴く。あんたに痛い思いをさせるんじゃないかと心配していたが、大丈夫なようだな」
欲望を慎重に動かしながら、守光が柔らかな笑いを含んだ声で言う。息を喘がせ、満足に返事もできない和彦の頬を撫で、汗で濡れた髪を掻き上げられた。
守光のてのひらが、体中に這わされる。さすがに、自ら放った精で汚れた下腹部に触れられたときは身じろいでしまったが、和彦の感じる羞恥すら堪能しているように、守光はそっと目を細める。
「この体にたっぷり男の精を注ぎ込んでも、あんたの羞恥心を完全に溶かすことはできんらしい。恥じらいながらも、こうしてわしのものを締め付けるんだから、むしろ、なければ困るものか……」
守光のてのひらに包み込まれた欲望を緩く扱かれ、和彦は短く声を上げる。精を放ったばかりだというのに、異常な状況のためか、それとも中から愛されているためか、すでにもう力を取り戻しつつあった。
欲望への愛撫に合わせて、ゆっくりと内奥を突かれる。
「ふあっ……、あっ、あっ……ん、あぁっ――」
千尋にも賢吾にもない落ち着いた攻めに、和彦は静かに狂わされていく。自覚もないまま両足を大きく左右に開き、背をしならせるようにして、内奥深くで刻まれる守光の律動をよりしっかりと感じていた。
「あんたはもう数えきれんほど、長嶺の男たちと交わり、精を受けてきた。こうして、じっくりと丹念に中にすり込まれていると、自分と長嶺の男たちと溶け合っているという感覚にならんかね」
守光の言葉に唆されたように、内奥を行き来する熱い欲望をきつく締め付ける。守光が抉るように内奥深くを突き上げてきた。
「あんたのこの反応は、肯定と受け止めていいんだろう。――医者のあんたからすると、バカバカしいと嘲笑うかもしれんが、わしは、あんたが長嶺の血を受け入れてくれていると思っている。溢れるほどの精を受け入れ、情を受け入れ、子は成せんが、あんたは長嶺という家の繁栄のために欠かせない人間だ。宝だよ」
意識は朦朧としていても、守光がとんでもないことを言っているということはわかる。言葉が発せない代わりに和彦は必死に首を横に振るが、守光は薄い笑みを浮かべ、覆い被さってくる。唇を塞がれ、深い口づけを与えられていた。
内奥に深々と欲望を穿たれているうちに、肉の悦びの虜となる。浅ましく腰を揺らして、守光に応えていた。それを待っていたようにこう囁かれる。
「この先もずっと、長嶺の男たちの側にいてくれ。よく尽くし、よく支え、よく愛してほしい。その見返りとして、わしらも、あんたに尽くし、支え、愛す。今晩のこれは、その契約を交わすためだ。決して裏切ることのない、裏切ることを許さない、血の契約だ」
守光の言葉は、恫喝だ。この状況で和彦が逆らえるはずもなく、否という返事を、長嶺の男たちは最初から聞き入れる気はない。
恐怖に押し潰されても不思議ではないのに、和彦の体は歓喜していた。頭上に伸ばした両手を、それぞれ賢吾と千尋に握り締められ、反射的に握り返してしまう。
「ぼ、くは――、何も、できな……」
「あんたは、あんたでいればいい。普段は凛然と医者として立ち働き、それ以外では、男たちにとって大事で可愛いオンナでいてくれれば、十分だ」
反り返った欲望の形を指でなぞられてから、濡れた先端をヌルヌルと撫でられる。小さく悦びの声を上げてから、和彦は陥落した。
頷くと、守光の手によって二度目の絶頂に導かれていた。すると守光も、激しい収縮を繰り返す内奥の深い場所で精を放つ。
「うあっ、あっ――……」
すぐに欲望が引き抜かれ、精が溢れ出してくる。守光は、下腹部に散った和彦の精を掬い取った指を、淫らな肉の洞となっている内奥に挿入してきた。
この行為には、覚えがあった。和彦がゆっくりと目を見開くと、守光は厳かな口調で告げる。
「組の者とは、酒で満たした盃を交わすが、これがあんたと交わす盃だ。あんたの中で、わしら三人の精と、あんたの精が溶け合い、交じり合う。――末永く、わしらのオンナでいてくれ」
興奮と絶頂の余韻に浸りきった内奥は、見境なく守光の指を締め付ける。
言葉による返事は必要ない。これが、オンナとしての和彦の返事だった。
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