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第33話
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崩れ込みそうになった和彦の体を抱き寄せたのは、千尋だった。喘ぐ和彦の唇を、一応気遣ってはいるのか、遠慮がちに啄ばんでくる。そこに賢吾が、中途半端な愛撫を与えられてひくつく内奥に、指を挿入してきた。
「あっ、嫌、だ――……」
和彦は控えめに声を上げはしたものの、自分でもわかるほど、その声は甘い媚びを含んでいた。それを聞き逃す男ではなく、賢吾は容赦なく、指で内奥を犯してくる。
和彦の体は布団の上に横たえられ、両足を左右に大きく広げた、羞恥に満ちた姿勢を取らされていた。さらに喘ぐ口元に、千尋の高ぶった欲望を押し当てられる。
「お前たち父子は、人でなしだ」
屈辱感は、厄介な官能を高める媚薬になる。和彦は悔し紛れに毒づきはしたものの、与えられるものは拒まなかった。悔しいが、愛しいのだ。
ゆっくりと唇を開き、千尋の欲望を口腔に受け入れる。柔らかく先端を吸引しただけで、千尋は苦しげに声を洩らした。括れを唇で締め付けながら、感じやすい先端を執拗に舌先で苛めてやる。好き勝手されているささやかな報復のためだが、千尋の欲望は瞬く間に硬く、大きく膨らんでいく。
「んっ……」
和彦の頭を片手で抱え、髪を掻き乱すようにして、千尋が腰を動かす。口腔の粘膜を使って欲望を包み込み、たっぷり甘やかしてやると、震える吐息をこぼして千尋が呟いた。
「すげっ……、腰、溶けそう」
「――先生は、ここが溶けそうになっているがな」
これは、賢吾の言葉だ。内奥にしっかりと埋め込んだ指を巧みに蠢かし、肉を蕩けさせていく。もう片方の手には柔らかな膨らみを揉みしだかれ、口腔に千尋の欲望を含んだまま、和彦は浅ましく腰を揺らす。獣じみた淫らな行為に及んでいるという背徳感は、和彦を性急に、快楽の縁へと追いやっていく。
早くこんなことを終えてしまいたいと思う反面、自分はどこまで浅ましく淫らな生き物に成り果てていくのか、知りたいとも思ってしまう。
「んっ、ふうっ」
反り返って震える和彦の欲望が、再び熱い感触に包み込まれる。賢吾の口腔に呑み込まれたのだと、見なくてもわかった。
荒く息を吐き出した千尋に頭を抱え込まれるようにして、口腔深くに欲望を押し込まれる。迸り出た精を喉で受け止め、そのまま嚥下した瞬間、ゾクゾクするような疼きが体の中を駆け巡り、和彦もまた、賢吾の口腔で果てていた。
呆然とする和彦を、賢吾は容赦なく引っ張り起こし、半ば強引に口腔に欲望を押し込んできた。ひどい男だと心の中で詰りながらも、和彦は懸命に、今度は賢吾の欲望に奉仕する。
喉につくほど深く呑み込み、口腔全体で締め付けるように刺激を与えてやると、和彦の献身を褒めるように賢吾が髪を撫でてくる。口腔から出し入れしながら舌を絡め、ときおり先端に唇を押し当て、優しく吸い上げてから、舌先でくすぐる。そしてまた、口腔深くまで呑み込む。
賢吾への口淫は時間をかけて行う。若くて精力溢れる千尋とは違い、賢吾は欲情をコントロールできるのだ。暴走することなく、じっくりと和彦の愛撫を堪能する。
和彦は、頭上から降り注ぐ愉悦を含んだ視線には気づいていたが、顔を上げるつもりはなかった。これ以上、賢吾を楽しませるのは、正直癪に障る。だが、賢吾のほうが上手だし、何より強引だった。
和彦は前髪を掴まれ、やむなく顔を上げる。大蛇が潜んだ賢吾の目には、欲情による熱が宿っていた。その目に見つめられながら和彦は、口腔で賢吾の精を受け止め、ゆっくりと喉を鳴らして飲み干す。
「――いやらしいオンナだな、先生」
魅力的なバリトンでそう囁いた賢吾が、和彦の濡れた唇を指先で拭った。
「あっ、嫌、だ――……」
和彦は控えめに声を上げはしたものの、自分でもわかるほど、その声は甘い媚びを含んでいた。それを聞き逃す男ではなく、賢吾は容赦なく、指で内奥を犯してくる。
和彦の体は布団の上に横たえられ、両足を左右に大きく広げた、羞恥に満ちた姿勢を取らされていた。さらに喘ぐ口元に、千尋の高ぶった欲望を押し当てられる。
「お前たち父子は、人でなしだ」
屈辱感は、厄介な官能を高める媚薬になる。和彦は悔し紛れに毒づきはしたものの、与えられるものは拒まなかった。悔しいが、愛しいのだ。
ゆっくりと唇を開き、千尋の欲望を口腔に受け入れる。柔らかく先端を吸引しただけで、千尋は苦しげに声を洩らした。括れを唇で締め付けながら、感じやすい先端を執拗に舌先で苛めてやる。好き勝手されているささやかな報復のためだが、千尋の欲望は瞬く間に硬く、大きく膨らんでいく。
「んっ……」
和彦の頭を片手で抱え、髪を掻き乱すようにして、千尋が腰を動かす。口腔の粘膜を使って欲望を包み込み、たっぷり甘やかしてやると、震える吐息をこぼして千尋が呟いた。
「すげっ……、腰、溶けそう」
「――先生は、ここが溶けそうになっているがな」
これは、賢吾の言葉だ。内奥にしっかりと埋め込んだ指を巧みに蠢かし、肉を蕩けさせていく。もう片方の手には柔らかな膨らみを揉みしだかれ、口腔に千尋の欲望を含んだまま、和彦は浅ましく腰を揺らす。獣じみた淫らな行為に及んでいるという背徳感は、和彦を性急に、快楽の縁へと追いやっていく。
早くこんなことを終えてしまいたいと思う反面、自分はどこまで浅ましく淫らな生き物に成り果てていくのか、知りたいとも思ってしまう。
「んっ、ふうっ」
反り返って震える和彦の欲望が、再び熱い感触に包み込まれる。賢吾の口腔に呑み込まれたのだと、見なくてもわかった。
荒く息を吐き出した千尋に頭を抱え込まれるようにして、口腔深くに欲望を押し込まれる。迸り出た精を喉で受け止め、そのまま嚥下した瞬間、ゾクゾクするような疼きが体の中を駆け巡り、和彦もまた、賢吾の口腔で果てていた。
呆然とする和彦を、賢吾は容赦なく引っ張り起こし、半ば強引に口腔に欲望を押し込んできた。ひどい男だと心の中で詰りながらも、和彦は懸命に、今度は賢吾の欲望に奉仕する。
喉につくほど深く呑み込み、口腔全体で締め付けるように刺激を与えてやると、和彦の献身を褒めるように賢吾が髪を撫でてくる。口腔から出し入れしながら舌を絡め、ときおり先端に唇を押し当て、優しく吸い上げてから、舌先でくすぐる。そしてまた、口腔深くまで呑み込む。
賢吾への口淫は時間をかけて行う。若くて精力溢れる千尋とは違い、賢吾は欲情をコントロールできるのだ。暴走することなく、じっくりと和彦の愛撫を堪能する。
和彦は、頭上から降り注ぐ愉悦を含んだ視線には気づいていたが、顔を上げるつもりはなかった。これ以上、賢吾を楽しませるのは、正直癪に障る。だが、賢吾のほうが上手だし、何より強引だった。
和彦は前髪を掴まれ、やむなく顔を上げる。大蛇が潜んだ賢吾の目には、欲情による熱が宿っていた。その目に見つめられながら和彦は、口腔で賢吾の精を受け止め、ゆっくりと喉を鳴らして飲み干す。
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