734 / 1,268
第31話
(26)
しおりを挟む
ほっとしかけた和彦だが、守光の話はこれで終わりではなかった。穏やかな表情のままこう切り出したのだ。
「――さて、ささやかとはいえ、総和会会長を危険に晒したことに対して、あんたに罰を与えねばならない。しかもあんたは、危険の元凶を庇った。わしに恥をかかせたんだよ」
全身から一気に血の気が失せた。まっさきに和彦の頭に浮かんだのは、一体どんな痛みを与えられるのかということだった。
和彦が見せた恐怖の表情を堪能するように、膝同士が触れるほど側に寄ってきた守光が、顔を覗き込み、さらに手を伸ばしてくる。頬を撫でられて、総毛立った。痛みを予期して、奥歯を噛み締めて耐えていると、守光は低く声を洩らして笑った。
「あんたを痛めつけたりはしない。大事で可愛いオンナだ。相応しい罰というものがある」
守光の手が頬から肩へと移動し、そっと引き寄せられる。和彦はおずおずと座布団から下りると、肩を抱かれるまま守光へと寄り添う。優しくあごを持ち上げられて、唇が重なってきた。
体を強張らせたまま、守光の意図が読めず戸惑う和彦は、視線を伏せることすらできなかった。優しいとも厳しいとも、冷ややかとも表現できる守光の双眸を、魅入られたように覗き込む。守光にしても、和彦の両目を見つめていた。
自分の中には何もないというのに、と自嘲気味に考えていた和彦だが、ここで異変に気づく。肩を抱いていた守光の手が今度は背へと下り、ついには腰の辺りにかかる。帯を解かれながら、唇を吸われる。ぎこちなく口づけに応えているうちに、着物を肩から滑り落とされていた。
羽織を脱いだ守光に、深く胸に抱き寄せられる。和彦は片手を取られ、着物の上から守光の高ぶりに触れさせられた。この瞬間、まるで初めて触れたように激しくうろたえ、守光に訴える。
「ぼくに対する怒りは当然だと思います。ですが、心臓に負担をかける行為は、まだ控えてくださいっ……。何かあったら――」
「それは承知している。いい機会だから、あんたに罰を与えると同時に、オンナとしての嗜みを教えるだけだ」
再び守光に唇を塞がれ、口腔を舌でまさぐられているうちに、半ば条件反射として和彦も応える。舌を絡め合い、唾液を啜り合いながら、溶け合うほどに深い口づけを交わす。
ようやく唇を離したとき、守光がよく通る声でこう呼びかけた。
「――南郷、入れ」
和彦は守光の腕の中で、顔を強張らせて息を呑んだ。
身が燃えるような羞恥から、全身から汗が噴き出し、まだ羽織ったままの長襦袢が肌に張り付く。その感触が奇妙な拘束感を生み出すが、一方で、腰から下を剥き出しにされているため、心許ない感覚も生み出す。
和彦には、屈辱と羞恥を与えることが効果的だと、守光は知り抜いていた。それらを和彦から引き出すのに、誰が適任であるかも。
「ひっ……」
内奥に潤滑剤を注ぎ込まれ、短く悲鳴を上げる。さらに指が突き込まれ、掻き回されると、ぐちゅぐちゅと濡れた音が室内に響き渡る。うつ伏せとなって突き出した腰が、痺れたように熱くなっていた。それ以上に熱いのが、腰にかかった南郷の大きな手だ。羞恥で身じろぐことすら許さないように、和彦の腰を押さえ続けていた。
南郷に体をまさぐられ、何度もきわどい行為に及ばれているが、味わう屈辱も羞恥も慣れることはない。相手によっては、これらの感情すら媚薬のような効果をもたらせてくれるが、南郷に限っては――というより、今この状況においては、甘美な感覚は程遠い。
「ううっ、うっ、うあっ」
内奥に深く挿入された指にじっくりと襞と粘膜を撫で回され、長襦袢の下で鳥肌が立つ。繊細な肉を何度も擦り立てられているうちに、半ば強引に肉の悦びを引きずり出されていた。
自分の意思とは関係なく、南郷の指を締め付けた途端、たっぷり注ぎ込まれていた潤滑剤がトロリと内奥から溢れ出し、尻を伝って内腿へと垂れていく。南郷の興味が、ある部分へと移る。
「あっ、ああっ――……」
腰にかかっていた南郷の手が、内奥から溢れた潤滑剤に塗れた柔らかな膨らみへとかかり、少し手荒に揉みしだかれる。ガクガクと腰を震わせながら和彦は、助けを求めるように自分の目の前に座っている人物を見上げる。
さきほどから繰り広げられている行為をどう感じているのか、守光は口元に笑みを湛えていた。オンナと側近の従順ぶりを愛でているのだろうかと、快感に溶けかけている頭で和彦はそんなことを考える。
守光に優しく頬を撫でられてから、あごの下に手がかかる。和彦は這うようにして守光にすがりつくと、優しく頭を撫でられた。いつものように守光は、端然とした佇まいを保ちながら、しかし容赦なく、淫らに和彦を攻め立てる。今日も同じではあったが、その手法が違っていた。
「――さて、ささやかとはいえ、総和会会長を危険に晒したことに対して、あんたに罰を与えねばならない。しかもあんたは、危険の元凶を庇った。わしに恥をかかせたんだよ」
全身から一気に血の気が失せた。まっさきに和彦の頭に浮かんだのは、一体どんな痛みを与えられるのかということだった。
和彦が見せた恐怖の表情を堪能するように、膝同士が触れるほど側に寄ってきた守光が、顔を覗き込み、さらに手を伸ばしてくる。頬を撫でられて、総毛立った。痛みを予期して、奥歯を噛み締めて耐えていると、守光は低く声を洩らして笑った。
「あんたを痛めつけたりはしない。大事で可愛いオンナだ。相応しい罰というものがある」
守光の手が頬から肩へと移動し、そっと引き寄せられる。和彦はおずおずと座布団から下りると、肩を抱かれるまま守光へと寄り添う。優しくあごを持ち上げられて、唇が重なってきた。
体を強張らせたまま、守光の意図が読めず戸惑う和彦は、視線を伏せることすらできなかった。優しいとも厳しいとも、冷ややかとも表現できる守光の双眸を、魅入られたように覗き込む。守光にしても、和彦の両目を見つめていた。
自分の中には何もないというのに、と自嘲気味に考えていた和彦だが、ここで異変に気づく。肩を抱いていた守光の手が今度は背へと下り、ついには腰の辺りにかかる。帯を解かれながら、唇を吸われる。ぎこちなく口づけに応えているうちに、着物を肩から滑り落とされていた。
羽織を脱いだ守光に、深く胸に抱き寄せられる。和彦は片手を取られ、着物の上から守光の高ぶりに触れさせられた。この瞬間、まるで初めて触れたように激しくうろたえ、守光に訴える。
「ぼくに対する怒りは当然だと思います。ですが、心臓に負担をかける行為は、まだ控えてくださいっ……。何かあったら――」
「それは承知している。いい機会だから、あんたに罰を与えると同時に、オンナとしての嗜みを教えるだけだ」
再び守光に唇を塞がれ、口腔を舌でまさぐられているうちに、半ば条件反射として和彦も応える。舌を絡め合い、唾液を啜り合いながら、溶け合うほどに深い口づけを交わす。
ようやく唇を離したとき、守光がよく通る声でこう呼びかけた。
「――南郷、入れ」
和彦は守光の腕の中で、顔を強張らせて息を呑んだ。
身が燃えるような羞恥から、全身から汗が噴き出し、まだ羽織ったままの長襦袢が肌に張り付く。その感触が奇妙な拘束感を生み出すが、一方で、腰から下を剥き出しにされているため、心許ない感覚も生み出す。
和彦には、屈辱と羞恥を与えることが効果的だと、守光は知り抜いていた。それらを和彦から引き出すのに、誰が適任であるかも。
「ひっ……」
内奥に潤滑剤を注ぎ込まれ、短く悲鳴を上げる。さらに指が突き込まれ、掻き回されると、ぐちゅぐちゅと濡れた音が室内に響き渡る。うつ伏せとなって突き出した腰が、痺れたように熱くなっていた。それ以上に熱いのが、腰にかかった南郷の大きな手だ。羞恥で身じろぐことすら許さないように、和彦の腰を押さえ続けていた。
南郷に体をまさぐられ、何度もきわどい行為に及ばれているが、味わう屈辱も羞恥も慣れることはない。相手によっては、これらの感情すら媚薬のような効果をもたらせてくれるが、南郷に限っては――というより、今この状況においては、甘美な感覚は程遠い。
「ううっ、うっ、うあっ」
内奥に深く挿入された指にじっくりと襞と粘膜を撫で回され、長襦袢の下で鳥肌が立つ。繊細な肉を何度も擦り立てられているうちに、半ば強引に肉の悦びを引きずり出されていた。
自分の意思とは関係なく、南郷の指を締め付けた途端、たっぷり注ぎ込まれていた潤滑剤がトロリと内奥から溢れ出し、尻を伝って内腿へと垂れていく。南郷の興味が、ある部分へと移る。
「あっ、ああっ――……」
腰にかかっていた南郷の手が、内奥から溢れた潤滑剤に塗れた柔らかな膨らみへとかかり、少し手荒に揉みしだかれる。ガクガクと腰を震わせながら和彦は、助けを求めるように自分の目の前に座っている人物を見上げる。
さきほどから繰り広げられている行為をどう感じているのか、守光は口元に笑みを湛えていた。オンナと側近の従順ぶりを愛でているのだろうかと、快感に溶けかけている頭で和彦はそんなことを考える。
守光に優しく頬を撫でられてから、あごの下に手がかかる。和彦は這うようにして守光にすがりつくと、優しく頭を撫でられた。いつものように守光は、端然とした佇まいを保ちながら、しかし容赦なく、淫らに和彦を攻め立てる。今日も同じではあったが、その手法が違っていた。
34
お気に入りに追加
1,391
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…



塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる