血と束縛と

北川とも

文字の大きさ
上 下
706 / 1,268
第30話

(24)

しおりを挟む
 再び下から突き上げられ、和彦は顔を仰向かせる。寸前のところで嬌声は堪えたが、腰を掴まれて揺さぶられるようになると、簡単に理性は突き崩される。
「あっ、あっ、あんっ……、んっ、んあっ」
「先生、もっと恥ずかしいことをして見せてくれ。――俺しか見ていないから」
 ハスキーな声をさらに掠れさせて切望され、和彦は否とは言えなかった。むしろ悦びすら覚えながら、自分の欲望をてのひらに包み込み、ゆっくりと扱く。さらに、刺激を欲して凝っている胸の突起を指先で弄り、息を弾ませると、内奥で三田村の欲望が一際大きくなる。
「ずっと、今の先生を眺めていたい……、が、その余裕がもうなくなりそうだ」
「ぼくは、このままでもいいけど」
 そう強がってみた和彦だが、内奥深くで息づく三田村の欲望を強く感じてみたい衝動の前では、脆かった。すがるような眼差しを向けると、三田村に腕を引っ張られて抱き寄せられ、繋がったまま体の位置を入れ替えられる。
「あうっ、うっ……」
 覆い被さってきた三田村に力強く内奥を突き上げられ、和彦は大きく仰け反る。胸の突起を口腔に含まれただけで、身を貫くような快美さに襲われ、全身が小刻みに震えていた。
「あっ、あっ、い、いぃ――……。三田村、それ、いい」
「ああ、よくわかる。先生の中が、悦んでいる」
 思わず笑みをこぼした和彦は、三田村の頬に手をかけ、自分からそっと唇を重ねる。無心に互いの唇と舌を吸い合いながら、内奥は貪欲に三田村の欲望を締め付ける。
「……すごいな、先生……」
 感嘆したように三田村が率直に言葉を洩らし、意味を解した和彦は羞恥する。そんな和彦の顔中に、三田村は丁寧に唇を押し当ててきた。
「んっ、三田村――」
 肌に触れる熱い吐息すら心地よくて、切ない声で三田村を呼ぶ。三田村の唇が耳に押し当てられ、こう囁かれた。
「先生、さっきのように、もう一度自分でして見せてくれないか」
「……余裕ができたのか?」
 照れ隠しもあって、少し意地悪な問いかけをすると、三田村が困ったように笑う。その表情に胸の奥が疼き、和彦はおずおずと自分の下肢に手を伸ばす。上体を起こした三田村は、和彦の両足を抱え直して大きく左右に広げた。すべてを晒け出した自分の姿に、これ以上なく羞恥心を煽られながらも、和彦は三田村の要望に応える。
 反り返り、先端からはしたなく透明なしずくを垂らしている自身の欲望を、三田村の視線を意識しつつ、上下に擦る。
「んうっ」
 不意打ちのように、内奥深くを緩く突き上げられた。和彦は顔を背けて、上体をしならせる。そこをさらに突き上げられて、頭の先から爪先まで快感が響き渡る。
「いっ、い……。三田村、気持ち、いっ――……」
「ああ。すごく中が、動いている。ずっとこうしていたい、ただ、先生を眺めて……」
 それはダメだと、すがるように三田村を見上げて、和彦は首を横に振る。三田村はもう笑ってはおらず、真剣な顔でこう言った。
「先生、もっと見たい」
 切迫した響きを帯びたハスキーな声は、和彦の耳には甘く聞こえる。こんな声と口調でせがまれて、拒めるはずがなかった。
 息を弾ませながら欲望を扱き、尽きることなく悦びのしずくを垂らしている先端を、指の腹で擦る。ヒクリと下腹部を緊張させると、また三田村に指摘される。
「今、中が締まった。――先生、もっと」
 優しい声で求められ、和彦は喘ぎながら片手を自分の胸元に這わせる。興奮のため硬く尖っている胸の突起を指先で弄り、吐息をこぼす。もう片方の突起を三田村に触れられると、堪えきれず嬌声を上げていた。
「んあっ……、はっ、あぅ……」
「もっと締まった。すごいな、先生。いくらでも感じてくれる」
 腰を軽く揺すった三田村に、和彦は甘えるように両腕を伸ばす。抱き締めてくれと言いたかったのだが、首を横に振って拒まれる。
「ダメだ。こうして先生を、もっと見ていたい」
「三田村っ……」
 和彦はもどかしく身を捩り、腰を揺らして、抱擁を求めるが、三田村は与えてくれない。
「――先生、自分でして見せてくれ。誰にも見せたことのないような、いやらしくて、艶やかな姿を」
 優しい男がちらりとうかがわせた独占欲に、どんな愛撫よりも和彦は感じる。淫らな蠕動を繰り返す内奥が、食い千切らんばかりに三田村を欲望を締め付け、包み込む。
 三田村が微かに眉をひそめた表情を見上げながら、和彦はできる限りの媚態を見せる。悩ましい手つきで自分の欲望を愛撫しながら、もう片方の手で汗に濡れた肌をまさぐり、充血した胸の突起をてのひらで転がす。ただ、三田村のために。

しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...