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第30話
(13)
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内奥に指を浅く挿入され、和彦は上擦った声を洩らす。
「早く答えないと、このままのぼせるだけだぞ。時間がもったいないだろ。楽しめるときに、楽しんでおかないと」
「……自惚れるな……」
「俺は、お前が欲しい」
強い眼差しで見据えてきながら、鷹津が言う。和彦は目を丸くして、つい鷹津の頬にてのひらを押し当てた。相変わらず嫌な男だと思う一方で、今夜の鷹津は――甘い。
思い当たる節がある和彦は、単刀直入に問いかけた。
「ぼくが弱っているから、気遣っているのか?」
「いいや。たまには趣きを変えてみようと思っただけだ。――今夜は、お前を甘やかしてやる。恋人同士みたいに愛し合おうぜ」
和彦は返事をせず、オールバックが崩れてしまった鷹津の髪をなんとなく撫でる。鷹津はその手を取り、てのひらに唇を押し当ててきた。
決意というほど大層なものではなく、和彦は鷹津の提案を受け入れることにした。今夜はもう、考えることにすら、疲れていた。何より、鷹津の甘さが魅力的だった。
和彦は反り返った自分の欲望を、鷹津の引き締まった腹部に擦りつける。すると、強い力で背を引き寄せられ、鷹津が胸元に顔を伏せた。
「あっ」
期待に硬く凝った胸の突起を熱い舌で舐られ、きつく吸い上げられる。和彦は背をしならせながら、鷹津の頭を片腕で抱き寄せた。
水音を立て、二人は激しく抱き合いながら、欲望を高め合う。性急に繋がるのではなく、繋がるまでの行為を楽しんでいた。
鷹津の両手に尻の肉を揉まれながら、和彦は間欠的に声を上げ、顔を仰向かせる。露わになった喉元を舐め上げられ、小さく身を震わせる。
「――和彦」
鷹津に名を呼ばれ、なんの抵抗もなくそのことを受け入れる。
「なんだ」
顔を覗き込むと、鷹津はわずかに目を細めてから、和彦の内奥の入り口を指先でまさぐってきた。和彦が自ら腰を動かすと、熱い欲望が内奥の入り口に押し当てられた。
「これが欲しいか?」
「……ああ、欲しい」
内奥の入り口をわずかに欲望で押し広げられ、思わず喉を鳴らす。和彦の首筋に唇を這わせながら、鷹津は熱い吐息とともにこう囁いてきた。
「もっと奥に欲しかったら、俺の名前を呼べ」
さらに欲望を押し込まれ、和彦は腰を揺らす。自ら腰を下ろして欲望を奥へと呑み込もうとしたが、鷹津がそれを許さない。
「呼べよ、和彦。俺の名前を」
頭の芯がドロドロと溶けていくようだった。鷹津の囁きの甘さと、抱き締めてくる腕の強さと、内奥に含まされつつある欲望の逞しさに、和彦は完全に魅了されていた。
鷹津に唇を吸われてから、喘ぐように名を呼ぶ。
「――……秀……」
「感心だな。俺の名前を覚えていたか」
鷹津の皮肉に応える余裕は和彦にはなく、鷹津にしても、それは同じようだった。
腰を掴まれ、下からゆっくりと内奥を突き上げられて、閉じた和彦の瞼の裏で、鮮やかな色彩が舞い散る。淫らな蠕動を始めた内奥の感触を味わうように、少しずつ、しかし確実に鷹津の欲望が挿入されてくる。
「あっ、あっ、あっ……、いっ、ぃ……」
鷹津の欲望を根元まで呑み込んだところで、和彦は目を開ける。濡れた髪を鷹津に掻き上げられ、額に唇が押し当てられた。
激しい律動は必要なかった。向き合い、抱き合った二人は、互いを味わい尽くすように、ときおり腰を動かしながら、何度となく口づけを交わし、体にてのひらを這わせる。
鷹津とは何度も体を重ねているが、こんなにも〈愛した〉のは初めてだった。
湯にのぼせそうなのか、鷹津の体温にのぼせそうなのか、もう和彦には判断がつかない。大きく息を吐き出すと、緩く頭を振る。和彦の限界が近いと感じ取ったのだろう。鷹津はようやく内奥を掻き回すように欲望を動かし始める。
「はっ……ん、んっ、んうっ、うぅっ」
「お前も動けよ。自分が感じたいように」
鷹津に囁かれ、和彦は素直に従う。円を描くように腰を動かしながら、内奥で息づく熱い欲望をきつく締め上げると、鷹津が低く呻き声を洩らす。
「お前に、食われそうだ……」
「誰が、あんたみたいな食えない男を――」
鷹津の両腕が腰に回され、しっかりと抱え込まれる。その状態で大きく腰を突き上げられると、痺れるような法悦が一気に全身へと駆け巡る。和彦は息を詰めたまま仰け反り、恍惚としていた。
「早く答えないと、このままのぼせるだけだぞ。時間がもったいないだろ。楽しめるときに、楽しんでおかないと」
「……自惚れるな……」
「俺は、お前が欲しい」
強い眼差しで見据えてきながら、鷹津が言う。和彦は目を丸くして、つい鷹津の頬にてのひらを押し当てた。相変わらず嫌な男だと思う一方で、今夜の鷹津は――甘い。
思い当たる節がある和彦は、単刀直入に問いかけた。
「ぼくが弱っているから、気遣っているのか?」
「いいや。たまには趣きを変えてみようと思っただけだ。――今夜は、お前を甘やかしてやる。恋人同士みたいに愛し合おうぜ」
和彦は返事をせず、オールバックが崩れてしまった鷹津の髪をなんとなく撫でる。鷹津はその手を取り、てのひらに唇を押し当ててきた。
決意というほど大層なものではなく、和彦は鷹津の提案を受け入れることにした。今夜はもう、考えることにすら、疲れていた。何より、鷹津の甘さが魅力的だった。
和彦は反り返った自分の欲望を、鷹津の引き締まった腹部に擦りつける。すると、強い力で背を引き寄せられ、鷹津が胸元に顔を伏せた。
「あっ」
期待に硬く凝った胸の突起を熱い舌で舐られ、きつく吸い上げられる。和彦は背をしならせながら、鷹津の頭を片腕で抱き寄せた。
水音を立て、二人は激しく抱き合いながら、欲望を高め合う。性急に繋がるのではなく、繋がるまでの行為を楽しんでいた。
鷹津の両手に尻の肉を揉まれながら、和彦は間欠的に声を上げ、顔を仰向かせる。露わになった喉元を舐め上げられ、小さく身を震わせる。
「――和彦」
鷹津に名を呼ばれ、なんの抵抗もなくそのことを受け入れる。
「なんだ」
顔を覗き込むと、鷹津はわずかに目を細めてから、和彦の内奥の入り口を指先でまさぐってきた。和彦が自ら腰を動かすと、熱い欲望が内奥の入り口に押し当てられた。
「これが欲しいか?」
「……ああ、欲しい」
内奥の入り口をわずかに欲望で押し広げられ、思わず喉を鳴らす。和彦の首筋に唇を這わせながら、鷹津は熱い吐息とともにこう囁いてきた。
「もっと奥に欲しかったら、俺の名前を呼べ」
さらに欲望を押し込まれ、和彦は腰を揺らす。自ら腰を下ろして欲望を奥へと呑み込もうとしたが、鷹津がそれを許さない。
「呼べよ、和彦。俺の名前を」
頭の芯がドロドロと溶けていくようだった。鷹津の囁きの甘さと、抱き締めてくる腕の強さと、内奥に含まされつつある欲望の逞しさに、和彦は完全に魅了されていた。
鷹津に唇を吸われてから、喘ぐように名を呼ぶ。
「――……秀……」
「感心だな。俺の名前を覚えていたか」
鷹津の皮肉に応える余裕は和彦にはなく、鷹津にしても、それは同じようだった。
腰を掴まれ、下からゆっくりと内奥を突き上げられて、閉じた和彦の瞼の裏で、鮮やかな色彩が舞い散る。淫らな蠕動を始めた内奥の感触を味わうように、少しずつ、しかし確実に鷹津の欲望が挿入されてくる。
「あっ、あっ、あっ……、いっ、ぃ……」
鷹津の欲望を根元まで呑み込んだところで、和彦は目を開ける。濡れた髪を鷹津に掻き上げられ、額に唇が押し当てられた。
激しい律動は必要なかった。向き合い、抱き合った二人は、互いを味わい尽くすように、ときおり腰を動かしながら、何度となく口づけを交わし、体にてのひらを這わせる。
鷹津とは何度も体を重ねているが、こんなにも〈愛した〉のは初めてだった。
湯にのぼせそうなのか、鷹津の体温にのぼせそうなのか、もう和彦には判断がつかない。大きく息を吐き出すと、緩く頭を振る。和彦の限界が近いと感じ取ったのだろう。鷹津はようやく内奥を掻き回すように欲望を動かし始める。
「はっ……ん、んっ、んうっ、うぅっ」
「お前も動けよ。自分が感じたいように」
鷹津に囁かれ、和彦は素直に従う。円を描くように腰を動かしながら、内奥で息づく熱い欲望をきつく締め上げると、鷹津が低く呻き声を洩らす。
「お前に、食われそうだ……」
「誰が、あんたみたいな食えない男を――」
鷹津の両腕が腰に回され、しっかりと抱え込まれる。その状態で大きく腰を突き上げられると、痺れるような法悦が一気に全身へと駆け巡る。和彦は息を詰めたまま仰け反り、恍惚としていた。
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