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第28話
(25)
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千尋の思いがけない行動に、意識しないまま和彦は声を発する。屈み込んだ千尋に乱暴に腕を掴まれて引き寄せられる。和彦の体は、今度は千尋の両腕の中に捕らえられていた。
「この人は、俺のだっ。俺が最初に見つけたっ」
唸るように言い放った千尋に唇を塞がれる。和彦は身じろぎ、逃れようとしたが、千尋の腕は力強い。和彦の抵抗などねじ伏せるように、千尋の舌が強引に口腔に押し入ってくる。粘膜を舐め回され、唾液を注ぎ込まれ、搦め捕られた舌を引き出されて貪られる。
されるがままになっていた和彦だが、布団の上に座り込んだ千尋に、守光がしていたように背後からしっかりと抱き込まれる。肌の熱さを浴衣越しに感じているうちに、眩暈がするような高揚感に襲われる。
「んうっ」
頬を撫でられてから、髪を乱雑に掻き乱される。それすら愛撫のような心地よさを覚え、思わず和彦は、千尋の剥き出しの腕に手をかける。一方的だった口づけも変化していき、千尋に求められるまま唇を吸い合い、自然な成り行きで情熱的に舌を絡めていく。
そうしているうちに、足の間に手が差し込まれ、身を起こして熱くなったままの欲望を柔らかく握り締められる。一瞬、和彦の頭は混乱する。千尋かと思ったが、髪をまさぐる手と、腰にかかった手は確かに千尋のものだ。だとしたら――。
和彦は正面を向こうとしたが、千尋がそれを許してくれない。その間にも守光に両足を立てて左右に大きく開かされる。
慣れた手つきで柔らかな膨らみを揉みしだかれ、和彦は腰を震わせながら声を上げる。しかしすべて、千尋の唇に吸い尽くされる。
長嶺の男二人から同時に求められ、快楽を貪り合う経験はこれまでもあった。だが今の状況は、これまでの経験とはまったく異質だ。何が、と明確に表現はできないが、ただこれだけは言える。
これは、長嶺守光が進めている儀式なのだと。
「うっ、くうっ……ん」
異常な状況でも高ぶり続ける欲望を、千尋に掴まれ手荒く扱かれたところで、長い口づけから解放される。和彦は鼻にかかった甘ったるい呻き声を洩らし、次の瞬間には二人の男の耳を気にして、羞恥で全身を熱くする。
「先生、いい声」
掠れた声で千尋に囁かれたが、応じる余裕は和彦にはない。相変わらず、端然とした佇まいを崩さない守光が、薄い笑みを浮かべたまま和彦の胸元に顔を寄せてくる。興奮のため硬く凝った胸の突起を口腔に含まれ、優しく吸い上げられた。和彦は小さく声を洩らし、そんな自分の反応に逃げ出したくなりながらも、それが叶わず、すがるように千尋を振り返る。待ちかねていたように、再び唇を塞がれた。
口腔を千尋の熱い舌でまさぐられながら、守光に片足を抱え上げられる。内奥の入り口を軽くくすぐられた途端、鳥肌が立った。だが、長嶺の男二人の手に囚われている体は、たっぷりの蜜を与えられたかのように重い。わずかに腰を揺すっただけで、唾液で濡れた守光の指を内奥に受け入れていた。
「艶やかだな。擦っただけで色づいて、指を入れると、もう真っ赤に熟れた」
そう言いながら、守光の指が内奥で妖しく蠢く。繊細な襞と粘膜を軽く引っ掻かれて、腰が痺れた。緩やかに内奥から指を出し入れされるようになると、抑えようとしても喉の奥から声が洩れる。そんな和彦の変化を、千尋は強い輝きを放つ目で、間近からじっと見つめていた。激しい欲情と嫉妬と苛立ちと――とにかく、さまざまな感情が吹き荒れている。
和彦が知る長嶺の男の中で、もっとも直情的で素直で、純粋な目だった。
「――先生、俺が欲しい?」
唇を啄ばみながら千尋に問われ、和彦は言葉に詰まる。すると、和彦の反応を促すように、内奥に埋め込まれた守光の指に、浅い部分を強く押し上げられる。短く悲鳴を上げた和彦は、腰を揺らしながら守光の指をはしたなく締め付けていた。中からの刺激が、決して不快なものではないと知らしめるように、反り返ったまま震える欲望の先端から、透明なしずくが垂れる。芝居がかった表情で舌なめずりした千尋が、今度は悪戯っぽい口調で問いかけてくる。
「美味そう……。舐めてあげようか?」
和彦は必死の虚勢で睨みつけたが、それは千尋が望んだ通りの反応だったらしい。嬉しそうに顔を綻ばせた。
「先生、挑発的」
千尋がちらりと守光に視線を向ける。それで何かを理解したらしく守光が身を引き、和彦はほっと息を吐き出す。だが次の瞬間、布団の上に転がされた。何事かと混乱しているうちにうつ伏せにされてしまう。
「千尋っ……」
和彦は慌てて前に逃れようとしたが、腰をがっちりと抱え込まれ、浴衣の裾を乱暴をたくし上げられる。背後で千尋が身じろぐ気配がしたあと、守光の指で解された内奥の入り口に、熱く硬い感触が擦りつけられた。
「この人は、俺のだっ。俺が最初に見つけたっ」
唸るように言い放った千尋に唇を塞がれる。和彦は身じろぎ、逃れようとしたが、千尋の腕は力強い。和彦の抵抗などねじ伏せるように、千尋の舌が強引に口腔に押し入ってくる。粘膜を舐め回され、唾液を注ぎ込まれ、搦め捕られた舌を引き出されて貪られる。
されるがままになっていた和彦だが、布団の上に座り込んだ千尋に、守光がしていたように背後からしっかりと抱き込まれる。肌の熱さを浴衣越しに感じているうちに、眩暈がするような高揚感に襲われる。
「んうっ」
頬を撫でられてから、髪を乱雑に掻き乱される。それすら愛撫のような心地よさを覚え、思わず和彦は、千尋の剥き出しの腕に手をかける。一方的だった口づけも変化していき、千尋に求められるまま唇を吸い合い、自然な成り行きで情熱的に舌を絡めていく。
そうしているうちに、足の間に手が差し込まれ、身を起こして熱くなったままの欲望を柔らかく握り締められる。一瞬、和彦の頭は混乱する。千尋かと思ったが、髪をまさぐる手と、腰にかかった手は確かに千尋のものだ。だとしたら――。
和彦は正面を向こうとしたが、千尋がそれを許してくれない。その間にも守光に両足を立てて左右に大きく開かされる。
慣れた手つきで柔らかな膨らみを揉みしだかれ、和彦は腰を震わせながら声を上げる。しかしすべて、千尋の唇に吸い尽くされる。
長嶺の男二人から同時に求められ、快楽を貪り合う経験はこれまでもあった。だが今の状況は、これまでの経験とはまったく異質だ。何が、と明確に表現はできないが、ただこれだけは言える。
これは、長嶺守光が進めている儀式なのだと。
「うっ、くうっ……ん」
異常な状況でも高ぶり続ける欲望を、千尋に掴まれ手荒く扱かれたところで、長い口づけから解放される。和彦は鼻にかかった甘ったるい呻き声を洩らし、次の瞬間には二人の男の耳を気にして、羞恥で全身を熱くする。
「先生、いい声」
掠れた声で千尋に囁かれたが、応じる余裕は和彦にはない。相変わらず、端然とした佇まいを崩さない守光が、薄い笑みを浮かべたまま和彦の胸元に顔を寄せてくる。興奮のため硬く凝った胸の突起を口腔に含まれ、優しく吸い上げられた。和彦は小さく声を洩らし、そんな自分の反応に逃げ出したくなりながらも、それが叶わず、すがるように千尋を振り返る。待ちかねていたように、再び唇を塞がれた。
口腔を千尋の熱い舌でまさぐられながら、守光に片足を抱え上げられる。内奥の入り口を軽くくすぐられた途端、鳥肌が立った。だが、長嶺の男二人の手に囚われている体は、たっぷりの蜜を与えられたかのように重い。わずかに腰を揺すっただけで、唾液で濡れた守光の指を内奥に受け入れていた。
「艶やかだな。擦っただけで色づいて、指を入れると、もう真っ赤に熟れた」
そう言いながら、守光の指が内奥で妖しく蠢く。繊細な襞と粘膜を軽く引っ掻かれて、腰が痺れた。緩やかに内奥から指を出し入れされるようになると、抑えようとしても喉の奥から声が洩れる。そんな和彦の変化を、千尋は強い輝きを放つ目で、間近からじっと見つめていた。激しい欲情と嫉妬と苛立ちと――とにかく、さまざまな感情が吹き荒れている。
和彦が知る長嶺の男の中で、もっとも直情的で素直で、純粋な目だった。
「――先生、俺が欲しい?」
唇を啄ばみながら千尋に問われ、和彦は言葉に詰まる。すると、和彦の反応を促すように、内奥に埋め込まれた守光の指に、浅い部分を強く押し上げられる。短く悲鳴を上げた和彦は、腰を揺らしながら守光の指をはしたなく締め付けていた。中からの刺激が、決して不快なものではないと知らしめるように、反り返ったまま震える欲望の先端から、透明なしずくが垂れる。芝居がかった表情で舌なめずりした千尋が、今度は悪戯っぽい口調で問いかけてくる。
「美味そう……。舐めてあげようか?」
和彦は必死の虚勢で睨みつけたが、それは千尋が望んだ通りの反応だったらしい。嬉しそうに顔を綻ばせた。
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千尋がちらりと守光に視線を向ける。それで何かを理解したらしく守光が身を引き、和彦はほっと息を吐き出す。だが次の瞬間、布団の上に転がされた。何事かと混乱しているうちにうつ伏せにされてしまう。
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