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第27話
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淫らに下品に蠢く舌に粘膜を舐め回され、歯列を擦られながら、唾液を流し込まれる。逃げ惑う和彦の舌は搦め取られてしまい、引き出されて、痛いほど吸われてから、歯を立てられる。その頃には和彦の体は熱くなっていた。
鷹津は、和彦の変化に敏感だった。突然、甘やかすように上唇と下唇を交互に吸い、それを何回も繰り返されながら片腕できつく抱き寄せられ、和彦もぎこちなく鷹津の唇を吸い返す。まるで互いを欲しているように唇を交互に吸い、その合間に舌先を触れ合わせ、擦りつける。欲望の高まりとともに、緩やかに絡めていた。
鷹津の舌を、口腔に迎え入れる。和彦は柔らかく舌を吸い、そっと歯を立ててやる。興奮したのか、獣のように鷹津がブルッと身震いした。
鷹津の両手が体を這い回り、ベルトを緩められる。スラックスからワイシャツの裾を引っ張り出されていた。ここでようやく、唇が離される。鷹津の荒い息遣いが唇に触れ、ゾクリとするような強烈な疼きが和彦の背筋を駆け抜けていた。
「佐伯家を探るのに、ヤクザどもは使いたくないんだろ。いいぜ、俺が動いてやる。ツテを最大限に利用して、お前のために情報を取ってきてやる」
「……その、恩着せがましい言い方……」
「俺は、よく働く番犬だろ?」
実家の件で賢吾に頼りたくないのは、ある種の権力を持つ家同士が接触を持ったとき、何かとてつもない不幸を生み出すのではないかと危惧しているからだ。それに、社会的害悪という立場にある長嶺組の名を、表沙汰にしたくない。陰では力を持つ存在も、陽の下に晒されれば、圧倒的に不利だ。
その点、過去の所業はともかく、刑事の肩書きを持っている鷹津は、使いやすい。
「――俺を利用してやろうって、企んでるだろ」
和彦の顔を覗き込み、鷹津がニヤリと笑う。
「ああ……」
「いいぜ。利用されてやる。俺はお前から餌をもらう、番犬だからな」
ここで鷹津に乱暴に後ろ髪を掴まれて引っ張られた。そのままソファの上に押し倒され、乱暴にスラックスと下着を引き下ろされそうになり、和彦は慌てて鷹津の手を止めた。殺気立った目で睨みつけられたが、猛獣の調教師の心境で語りかけた。
「もう一つ、頼みたいことがある」
「……早く言え」
「あんたが今やっていることも継続してもらいたい」
どういう意味だと、鷹津が表情で問いかけてくる。和彦は囁くような声で答えた。
「長嶺組の動きにも、目を配ってくれ。……もし、組の人間が佐伯家の周辺で不穏な動きをするようなら、ぼくに連絡してほしいんだ」
「お前の目的が、読めねーな。長嶺を心配しているのか、それとも、実家の心配をしているのか。それとも単に、長嶺を信用していないのか」
「組長自身は、よくわかっている。ぼくの存在を盾に、長嶺組が佐伯家を脅迫するんじゃないか――と、ぼくが警戒していることを」
鷹津は、和彦の真意を探るようなきつい眼差しで見下ろしてきてから、覆い被さってきた。熱い唇を首筋に押し当てられ、和彦は小さく身じろぐ。
「――怖いオンナだ」
「ぼくの周囲にいる男たちは、もっと怖い……」
「俺も含まれているか?」
さあ、と和彦は答えをはぐらかす。鷹津も心底聞きたいわけではないらしく、自分のした質問など忘れたように、和彦を本格的に貪りにかかる。
さすがに、場所を考えろと抗議した和彦だが、鷹津は聞く耳を持っておらず、もどかしげに靴を脱がされ、あっという間に下肢を剥かれてしまった。
一度上体を起こした鷹津がジーンズの前を寛げる。片足を抱え上げられ、すでに高ぶった熱い欲望を内奥の入り口に押し当てられる。和彦は痛みを予期して顔を強張らせ、鷹津を見上げた。
「組員を待たせてるなら、手っ取り早く済ませないとな」
「……痛いのは、嫌だ」
「贅沢なオンナだ」
憎々しげな口調とは裏腹に、鷹津が再び情熱的な口づけを与えてくる。それと同時に、ワイシャツのボタンを外され、高い体温を持つてのひらに脇腹を撫で上げられる。和彦がピクリと腰を震わせると、すかさず両足の間に片手が差し込まれていた。
「うっ」
欲望を握り締められ、手荒く上下に扱かれる。さらに、露わになった胸元に顔を埋めた鷹津は、最初から狙っていたらしく、すでにもう硬く凝った胸の突起にしゃぶりついた。
「あっ、あっ……」
狭いソファの上で和彦はもどかしく身を捩り、鷹津の愛撫を受け入れる。すると、唇に鷹津の指が擦りつけられ、割り開くようにして口腔に押し込まれる。鷹津の強い眼差しを受け、求められていることを察した和彦は、羞恥とそれ以外のものから全身を熱くしながら、口腔で蠢く指に舌を絡め、吸い付く。鷹津の欲望を情熱的に愛撫してやったように。
鷹津は、和彦の変化に敏感だった。突然、甘やかすように上唇と下唇を交互に吸い、それを何回も繰り返されながら片腕できつく抱き寄せられ、和彦もぎこちなく鷹津の唇を吸い返す。まるで互いを欲しているように唇を交互に吸い、その合間に舌先を触れ合わせ、擦りつける。欲望の高まりとともに、緩やかに絡めていた。
鷹津の舌を、口腔に迎え入れる。和彦は柔らかく舌を吸い、そっと歯を立ててやる。興奮したのか、獣のように鷹津がブルッと身震いした。
鷹津の両手が体を這い回り、ベルトを緩められる。スラックスからワイシャツの裾を引っ張り出されていた。ここでようやく、唇が離される。鷹津の荒い息遣いが唇に触れ、ゾクリとするような強烈な疼きが和彦の背筋を駆け抜けていた。
「佐伯家を探るのに、ヤクザどもは使いたくないんだろ。いいぜ、俺が動いてやる。ツテを最大限に利用して、お前のために情報を取ってきてやる」
「……その、恩着せがましい言い方……」
「俺は、よく働く番犬だろ?」
実家の件で賢吾に頼りたくないのは、ある種の権力を持つ家同士が接触を持ったとき、何かとてつもない不幸を生み出すのではないかと危惧しているからだ。それに、社会的害悪という立場にある長嶺組の名を、表沙汰にしたくない。陰では力を持つ存在も、陽の下に晒されれば、圧倒的に不利だ。
その点、過去の所業はともかく、刑事の肩書きを持っている鷹津は、使いやすい。
「――俺を利用してやろうって、企んでるだろ」
和彦の顔を覗き込み、鷹津がニヤリと笑う。
「ああ……」
「いいぜ。利用されてやる。俺はお前から餌をもらう、番犬だからな」
ここで鷹津に乱暴に後ろ髪を掴まれて引っ張られた。そのままソファの上に押し倒され、乱暴にスラックスと下着を引き下ろされそうになり、和彦は慌てて鷹津の手を止めた。殺気立った目で睨みつけられたが、猛獣の調教師の心境で語りかけた。
「もう一つ、頼みたいことがある」
「……早く言え」
「あんたが今やっていることも継続してもらいたい」
どういう意味だと、鷹津が表情で問いかけてくる。和彦は囁くような声で答えた。
「長嶺組の動きにも、目を配ってくれ。……もし、組の人間が佐伯家の周辺で不穏な動きをするようなら、ぼくに連絡してほしいんだ」
「お前の目的が、読めねーな。長嶺を心配しているのか、それとも、実家の心配をしているのか。それとも単に、長嶺を信用していないのか」
「組長自身は、よくわかっている。ぼくの存在を盾に、長嶺組が佐伯家を脅迫するんじゃないか――と、ぼくが警戒していることを」
鷹津は、和彦の真意を探るようなきつい眼差しで見下ろしてきてから、覆い被さってきた。熱い唇を首筋に押し当てられ、和彦は小さく身じろぐ。
「――怖いオンナだ」
「ぼくの周囲にいる男たちは、もっと怖い……」
「俺も含まれているか?」
さあ、と和彦は答えをはぐらかす。鷹津も心底聞きたいわけではないらしく、自分のした質問など忘れたように、和彦を本格的に貪りにかかる。
さすがに、場所を考えろと抗議した和彦だが、鷹津は聞く耳を持っておらず、もどかしげに靴を脱がされ、あっという間に下肢を剥かれてしまった。
一度上体を起こした鷹津がジーンズの前を寛げる。片足を抱え上げられ、すでに高ぶった熱い欲望を内奥の入り口に押し当てられる。和彦は痛みを予期して顔を強張らせ、鷹津を見上げた。
「組員を待たせてるなら、手っ取り早く済ませないとな」
「……痛いのは、嫌だ」
「贅沢なオンナだ」
憎々しげな口調とは裏腹に、鷹津が再び情熱的な口づけを与えてくる。それと同時に、ワイシャツのボタンを外され、高い体温を持つてのひらに脇腹を撫で上げられる。和彦がピクリと腰を震わせると、すかさず両足の間に片手が差し込まれていた。
「うっ」
欲望を握り締められ、手荒く上下に扱かれる。さらに、露わになった胸元に顔を埋めた鷹津は、最初から狙っていたらしく、すでにもう硬く凝った胸の突起にしゃぶりついた。
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