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第25話
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立ち尽くす和彦に、鷹津がペットボトルを差し出してくる。ぎこちなく歩み寄り、受け取った。
「……着替え、持っていっただろ」
ペットボトルに残っていた水を飲み干して和彦が問いかけると、鷹津はニヤリと笑う。
「俺のを、お前が勝手に引っ張り出して、持っていったんだろ」
「だったら、パジャマ代わりになるものを貸してくれ。ぼくは寝るんだ」
「あれだけ興奮したあとで――寝られるか?」
そう言って鷹津の片腕に腰を抱き寄せられる。腰に巻いたバスタオルを落とされ、持っていた空のペットボトルを取り上げられる。胸元を伝い落ちる水滴を舐め取られて、和彦はなんの抵抗もなく鷹津の頭を抱き締めていた。
鷹津は何度も胸元や腹部に唇を押し当てながら、和彦の尻の肉を鷲掴み、荒々しく揉みしだいてくる。
「手の傷が痛んできた……」
ふいに鷹津がぼそりと洩らす。
「痛み止めが切れ始めたんだ。あまり痛むようなら、テーブルの上に痛み止めが――」
「手っ取り早く、痛みを忘れられる方法があるだろ。俺を興奮させて、感じさせてくれればいい」
顔を上げた鷹津が下卑た笑みを浮かべる。嫌な男だ、と心の中で呟いた和彦だが、同時に胸の奥が疼いてもいた。さきほど、鷹津と手を握り合って交わった高揚感と一体感は、容易なことでは消えない。それどころか、些細な刺激で再燃する。
和彦の返事など必要としていないといった様子で、鷹津はベッドにもたれかかるようにして床の上に座り込み、こちらを見上げてきた。
「面倒を見てくれるだろ、――先生?」
「……こんなことなら、ぼくが怪我したほうがよかった」
「冗談でも、そんなことを言うなよ。お前が本当に怪我をしていたら、あの場にいた奴らはみんな、長嶺から何かしらの罰を受けていた。組長の〈オンナ〉を守るってのは、それだけ重いんだ」
鷹津に強い力で手首を掴まれる。和彦は再び腰に跨ることになったが、今度は鷹津は上体を起こしており、嫌でも間近で顔を合わせることになる。
息もかかる距離で鷹津に見つめられ、つい視線を逸らす。かまわず鷹津が顔を近づけてきて、半ば強引に唇を塞がれた。
執拗に唇を吸われているうちに、鷹津と舌先を触れ合わせ、すぐに大胆に絡め合う。一方で、下肢が密着し、互いの欲望が擦れ合う。さんざん欲望を散らし合ったはずなのに、すでにもう二人は熱くなっていた。
「うっ……」
尻の合間に鷹津の指が這わされ、蕩けるほど柔らかくなっている内奥の入り口をこじ開けられる。和彦は腰を揺らし、引き締まった鷹津の下腹部に、意図しないまま欲望を強く押し当てていた。
「もう少し我慢しろよ。すぐに、突っ込んでやる」
荒い息遣いとともにそう言って、鷹津が胸元に顔を埋めてくる。硬く凝った胸の突起にいきなり歯が立てられたが、和彦が感じたのは痛みではなく、鳥肌が立つような心地よさだった。
「あっ、あっ」
背をしならせ、内奥に挿入された指をきつく締め付ける。和彦のその反応に勢いを得たのか、鷹津は激しく濡れた音を立てて突起を吸う。
言葉はなくとも、互いに求めている次の行為はわかっていた。
和彦が腰を浮かせると、鷹津が熱くなった欲望を握る。手探りで位置を合わせ、あとはゆっくりと腰を下ろすだけだった。
「うっ、ああっ――……」
内奥を押し広げる逞しい感触に、全身に快美さが響き渡る。和彦は鷹津の肩に掴まりながら、大きく背をしならせていた。
貪るように鷹津のものを奥深くまで呑み込み、締め上げる。眉をひそめて呻き声を洩らした鷹津に背を引き寄せられ、たまらず和彦は両腕でしっかりとしがみつく。
内奥深くで鷹津の力強い脈動を感じ、合わせた胸を通して、心臓の鼓動を感じる。耳元には、大きくゆっくりとした息遣いがかかる。燃えそうに熱いてのひらで背を撫でられながら、和彦は全身で鷹津という男を堪能していた。
あとは――。鷹津の顔を覗き込み、自ら唇を重ねると、口腔に舌を差し込む。
「……サービスが、いいな」
口づけの合間に掠れた声で鷹津が話しかけてくる。和彦は息を喘がせながら睨みつけた。
「今日だけ、だからな」
「ああ……。わかってる。お前は、俺の〈オンナ〉じゃないからな――」
毒と皮肉と自嘲がこもった鷹津の呟きに、どういう意味かと問いかけようとした和彦だが、緩く腰を突き上げられて、唇をついて出たのは甲高い嬌声だった。誘われたように今度は鷹津に唇を塞がれる。
あっという間に言葉を交わす余裕すらなくし、二人は互いを貪り合う行為に夢中になっていた。
「……着替え、持っていっただろ」
ペットボトルに残っていた水を飲み干して和彦が問いかけると、鷹津はニヤリと笑う。
「俺のを、お前が勝手に引っ張り出して、持っていったんだろ」
「だったら、パジャマ代わりになるものを貸してくれ。ぼくは寝るんだ」
「あれだけ興奮したあとで――寝られるか?」
そう言って鷹津の片腕に腰を抱き寄せられる。腰に巻いたバスタオルを落とされ、持っていた空のペットボトルを取り上げられる。胸元を伝い落ちる水滴を舐め取られて、和彦はなんの抵抗もなく鷹津の頭を抱き締めていた。
鷹津は何度も胸元や腹部に唇を押し当てながら、和彦の尻の肉を鷲掴み、荒々しく揉みしだいてくる。
「手の傷が痛んできた……」
ふいに鷹津がぼそりと洩らす。
「痛み止めが切れ始めたんだ。あまり痛むようなら、テーブルの上に痛み止めが――」
「手っ取り早く、痛みを忘れられる方法があるだろ。俺を興奮させて、感じさせてくれればいい」
顔を上げた鷹津が下卑た笑みを浮かべる。嫌な男だ、と心の中で呟いた和彦だが、同時に胸の奥が疼いてもいた。さきほど、鷹津と手を握り合って交わった高揚感と一体感は、容易なことでは消えない。それどころか、些細な刺激で再燃する。
和彦の返事など必要としていないといった様子で、鷹津はベッドにもたれかかるようにして床の上に座り込み、こちらを見上げてきた。
「面倒を見てくれるだろ、――先生?」
「……こんなことなら、ぼくが怪我したほうがよかった」
「冗談でも、そんなことを言うなよ。お前が本当に怪我をしていたら、あの場にいた奴らはみんな、長嶺から何かしらの罰を受けていた。組長の〈オンナ〉を守るってのは、それだけ重いんだ」
鷹津に強い力で手首を掴まれる。和彦は再び腰に跨ることになったが、今度は鷹津は上体を起こしており、嫌でも間近で顔を合わせることになる。
息もかかる距離で鷹津に見つめられ、つい視線を逸らす。かまわず鷹津が顔を近づけてきて、半ば強引に唇を塞がれた。
執拗に唇を吸われているうちに、鷹津と舌先を触れ合わせ、すぐに大胆に絡め合う。一方で、下肢が密着し、互いの欲望が擦れ合う。さんざん欲望を散らし合ったはずなのに、すでにもう二人は熱くなっていた。
「うっ……」
尻の合間に鷹津の指が這わされ、蕩けるほど柔らかくなっている内奥の入り口をこじ開けられる。和彦は腰を揺らし、引き締まった鷹津の下腹部に、意図しないまま欲望を強く押し当てていた。
「もう少し我慢しろよ。すぐに、突っ込んでやる」
荒い息遣いとともにそう言って、鷹津が胸元に顔を埋めてくる。硬く凝った胸の突起にいきなり歯が立てられたが、和彦が感じたのは痛みではなく、鳥肌が立つような心地よさだった。
「あっ、あっ」
背をしならせ、内奥に挿入された指をきつく締め付ける。和彦のその反応に勢いを得たのか、鷹津は激しく濡れた音を立てて突起を吸う。
言葉はなくとも、互いに求めている次の行為はわかっていた。
和彦が腰を浮かせると、鷹津が熱くなった欲望を握る。手探りで位置を合わせ、あとはゆっくりと腰を下ろすだけだった。
「うっ、ああっ――……」
内奥を押し広げる逞しい感触に、全身に快美さが響き渡る。和彦は鷹津の肩に掴まりながら、大きく背をしならせていた。
貪るように鷹津のものを奥深くまで呑み込み、締め上げる。眉をひそめて呻き声を洩らした鷹津に背を引き寄せられ、たまらず和彦は両腕でしっかりとしがみつく。
内奥深くで鷹津の力強い脈動を感じ、合わせた胸を通して、心臓の鼓動を感じる。耳元には、大きくゆっくりとした息遣いがかかる。燃えそうに熱いてのひらで背を撫でられながら、和彦は全身で鷹津という男を堪能していた。
あとは――。鷹津の顔を覗き込み、自ら唇を重ねると、口腔に舌を差し込む。
「……サービスが、いいな」
口づけの合間に掠れた声で鷹津が話しかけてくる。和彦は息を喘がせながら睨みつけた。
「今日だけ、だからな」
「ああ……。わかってる。お前は、俺の〈オンナ〉じゃないからな――」
毒と皮肉と自嘲がこもった鷹津の呟きに、どういう意味かと問いかけようとした和彦だが、緩く腰を突き上げられて、唇をついて出たのは甲高い嬌声だった。誘われたように今度は鷹津に唇を塞がれる。
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