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第25話
(11)
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千尋の言葉に、やはり、と思った。かつてこの部屋で和彦と守光が行為に及んだ翌朝、千尋は何もかも把握しているような口ぶりだった。確認するような恥知らずなマネはさすがにできなかったが、ようやく今、和彦は確信を持てた。
知らず知らずのうちに和彦が上げていた嬌声を聞かれてしまったのか、それとも守光本人が、千尋に告げたのか――。
守光との生々しい行為のすべてが蘇り、和彦の体も、千尋の体温に負けないほど熱くなってくる。
「先生は、俺のオンナでもあるんだよね?」
「……ああ」
和彦は思いきって体の向きを変える。薄闇の中、まず千尋の顔の輪郭を捉え、次に、興奮と熱っぽさを湛えた両目がぼんやりと浮かび上がる。ようやく千尋の顔全体を認識し、和彦は小さく苦笑を洩らした。
「今夜はおとなしく寝ろ。いろいろあって、ぼくは少し疲れてるんだ」
子供を諭すように話しながら、千尋の髪を撫でてやる。すると、予想通りの答えが返ってきた。
「ダメ。できない」
「お前は……子供か」
そう応じた和彦だが、布団から千尋を追い出すことはなく、それどころか、しがみついてきた千尋のトレーナー越しの背を優しく撫でる。
若く猛々しい獣を駆り立てるのは、実に簡単だった。
性急に帯を解かれて浴衣の前をはだけさせられる。千尋が胸元に顔を埋め、闇雲に肌に吸い付き、歯を立ててくる。和彦は千尋の荒っぽい愛撫を受け入れた。
早く反応しろといわんばかりに胸の突起を口腔に含まれ、激しく吸い立てられる。しかしすぐに様子は変わり、舌先で突起を執拗に転がされ、甘噛みされるようになる。一方で、余裕ない手つきで下着を引き下ろされ、脱がされていた。
和彦は片手を取られ、千尋の両足の間に導かれる。スウェットパンツの上から触れた千尋のものは、もう高ぶっていた。
ようやく胸元から顔を上げた千尋が、挑発的な表情で問いかけてくる。
「これでも、子供って言う?」
「……布団から出ていけ」
「冗談。俺もう、我慢できない」
布団を跳ね除けた千尋が勢いよく身につけているものを脱ぎ捨て、覆い被さってくる。ちらりと見えた千尋の左腕には、すでに包帯はおろかガーゼすら当てていない。薄闇の中では、タトゥーを消した痕跡をしっかりと観察することはできないが、どうやら治療は終えたようだ。
タトゥーを消したことで、千尋はさらに大人に――本物のヤクザに近づいていく。賢吾や守光と同じ種類の男になるのだ。
つい千尋の左腕に触れようとしたが、その前に唇を塞がれ、口腔に舌を捻じ込まれる。和彦は、左腕に触れようとした手を千尋の背に回し、滑らかな肌を直に撫で回す。
千尋は焦れていた。舌を絡め合い、唾液を啜り合う淫らな口づけを交わしながら、和彦の下腹部に高ぶった欲望を擦りつけてくる。
「――先生、この部屋で、じいちゃんに初めて抱かれたんだよね」
口づけの合間に囁かれ、和彦は千尋の真意を探るため、目を覗き込む。守光とも賢吾とも違う、直情的な眼差しで見つめ返されると、千尋を甘やかしたいのか、苛めたいのか、自分でも判断のつかない衝動が胸の奥で吹き荒れる。
「ああ……。目隠しをされて、優しく丁寧に扱われた。抱かれたというより、繋がった、という感じだ」
「いやらしい表現。繋がった、か……」
何かを刺激されたのか、千尋が和彦の片足を抱え上げ、腰を密着させてくる。指でまさぐられて内奥の入り口を探り当てられると、高ぶった欲望の先端が擦りつけられた。
「千尋っ――」
引き裂かれる痛みを予期して、鋭い声を発した和彦を、千尋は嬉しそうに見下ろしてくる。もしかすると、相手を苛めてみたいと思っているのは、和彦だけではないのかもしれない。
「先生にひどいことするわけないじゃん。俺の、大事で可愛いオンナなんだから」
千尋が二本の指を和彦の口腔に押し込んでくる。和彦はその指を舐めてたっぷりの唾液を絡め、指が引き抜かれてすぐに、再び千尋の舌を差し込まれた。
貪り合うような口づけを交わしながら、内奥には千尋の指を受け入れ、まだ頑なな肉を解すようにねっとりと撫で回される。
「んっ……」
和彦自身の唾液を塗り込まれ、内奥の襞と粘膜が充血し、発情して、千尋の指にまとわりつく。微かに湿った音を立てて指が出し入れされると、意識しないまま和彦は腰を揺らしていた。指が付け根まで押し込まれ、短く声を洩らして内奥をきつく収縮させる。千尋の息遣いが弾んだ。
「――先生、繋がろうか?」
どこか残酷な響きを感じさせる口調で囁かれ、うろたえた和彦は顔を背ける。かまわず千尋が内奥から指を引き抜き、さきほどよりさらに凶暴さを増した欲望をひくつく部分に擦りつけてきた。
知らず知らずのうちに和彦が上げていた嬌声を聞かれてしまったのか、それとも守光本人が、千尋に告げたのか――。
守光との生々しい行為のすべてが蘇り、和彦の体も、千尋の体温に負けないほど熱くなってくる。
「先生は、俺のオンナでもあるんだよね?」
「……ああ」
和彦は思いきって体の向きを変える。薄闇の中、まず千尋の顔の輪郭を捉え、次に、興奮と熱っぽさを湛えた両目がぼんやりと浮かび上がる。ようやく千尋の顔全体を認識し、和彦は小さく苦笑を洩らした。
「今夜はおとなしく寝ろ。いろいろあって、ぼくは少し疲れてるんだ」
子供を諭すように話しながら、千尋の髪を撫でてやる。すると、予想通りの答えが返ってきた。
「ダメ。できない」
「お前は……子供か」
そう応じた和彦だが、布団から千尋を追い出すことはなく、それどころか、しがみついてきた千尋のトレーナー越しの背を優しく撫でる。
若く猛々しい獣を駆り立てるのは、実に簡単だった。
性急に帯を解かれて浴衣の前をはだけさせられる。千尋が胸元に顔を埋め、闇雲に肌に吸い付き、歯を立ててくる。和彦は千尋の荒っぽい愛撫を受け入れた。
早く反応しろといわんばかりに胸の突起を口腔に含まれ、激しく吸い立てられる。しかしすぐに様子は変わり、舌先で突起を執拗に転がされ、甘噛みされるようになる。一方で、余裕ない手つきで下着を引き下ろされ、脱がされていた。
和彦は片手を取られ、千尋の両足の間に導かれる。スウェットパンツの上から触れた千尋のものは、もう高ぶっていた。
ようやく胸元から顔を上げた千尋が、挑発的な表情で問いかけてくる。
「これでも、子供って言う?」
「……布団から出ていけ」
「冗談。俺もう、我慢できない」
布団を跳ね除けた千尋が勢いよく身につけているものを脱ぎ捨て、覆い被さってくる。ちらりと見えた千尋の左腕には、すでに包帯はおろかガーゼすら当てていない。薄闇の中では、タトゥーを消した痕跡をしっかりと観察することはできないが、どうやら治療は終えたようだ。
タトゥーを消したことで、千尋はさらに大人に――本物のヤクザに近づいていく。賢吾や守光と同じ種類の男になるのだ。
つい千尋の左腕に触れようとしたが、その前に唇を塞がれ、口腔に舌を捻じ込まれる。和彦は、左腕に触れようとした手を千尋の背に回し、滑らかな肌を直に撫で回す。
千尋は焦れていた。舌を絡め合い、唾液を啜り合う淫らな口づけを交わしながら、和彦の下腹部に高ぶった欲望を擦りつけてくる。
「――先生、この部屋で、じいちゃんに初めて抱かれたんだよね」
口づけの合間に囁かれ、和彦は千尋の真意を探るため、目を覗き込む。守光とも賢吾とも違う、直情的な眼差しで見つめ返されると、千尋を甘やかしたいのか、苛めたいのか、自分でも判断のつかない衝動が胸の奥で吹き荒れる。
「ああ……。目隠しをされて、優しく丁寧に扱われた。抱かれたというより、繋がった、という感じだ」
「いやらしい表現。繋がった、か……」
何かを刺激されたのか、千尋が和彦の片足を抱え上げ、腰を密着させてくる。指でまさぐられて内奥の入り口を探り当てられると、高ぶった欲望の先端が擦りつけられた。
「千尋っ――」
引き裂かれる痛みを予期して、鋭い声を発した和彦を、千尋は嬉しそうに見下ろしてくる。もしかすると、相手を苛めてみたいと思っているのは、和彦だけではないのかもしれない。
「先生にひどいことするわけないじゃん。俺の、大事で可愛いオンナなんだから」
千尋が二本の指を和彦の口腔に押し込んでくる。和彦はその指を舐めてたっぷりの唾液を絡め、指が引き抜かれてすぐに、再び千尋の舌を差し込まれた。
貪り合うような口づけを交わしながら、内奥には千尋の指を受け入れ、まだ頑なな肉を解すようにねっとりと撫で回される。
「んっ……」
和彦自身の唾液を塗り込まれ、内奥の襞と粘膜が充血し、発情して、千尋の指にまとわりつく。微かに湿った音を立てて指が出し入れされると、意識しないまま和彦は腰を揺らしていた。指が付け根まで押し込まれ、短く声を洩らして内奥をきつく収縮させる。千尋の息遣いが弾んだ。
「――先生、繋がろうか?」
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