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第23話
(13)
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封筒をダッシュボードの上に放り出し、二人分のシートベルトを素早く外した鷹津に、当然の権利のように乱暴に頭を引き寄せられる。和彦が目を見開いたときには、熱い唇が重なってきた。
「んんっ」
痛いほど強く唇を吸われながら、Tシャツの下に無遠慮な手が入り込んでくる。鷹津が何を求めているのかは明白で、和彦はシートの上で抵抗しようとするが、鷹津がものともせずに強引な口づけを続ける。
胸元をまさぐられ、指先に突起を探り当てられる。執拗に指の腹で擦られて喉の奥から声を洩らすと、鷹津に後ろ髪を掴まれて、口腔に舌を捻じ込まれた。吐き気を覚えたのはわずかな間で、和彦の背筋を、馴染み深い感覚が駆け上がってきた。
征服の手始めのように、鷹津が口腔に唾液を流し込んでくる。最初は嫌がった和彦だが、いやらしく口腔の粘膜を舐め回されているうちに、コクリと喉を鳴らして受け入れていた。
Tシャツを押し上げられて、硬く凝った胸の突起をてのひらで捏ねるように愛撫される。そして、口づけの合間に囁かれた。
「……お前のために働いてやったんだ。今すぐ抱かせろ」
和彦は熱い吐息をこぼし、それすら惜しむように鷹津に唇を吸われる。その間にも鷹津の片手が、胸元から両足の間へと下りていた。数時間前に賢吾の愛撫を受けたばかりだというのに、和彦の体は反応したがっている。
「今日は、ダメだ――……」
答えた途端、それでなくても鋭い鷹津の眼差しが殺気を帯びる。
「ヤクザのオンナが、偉くなったもんだな。刑事を使っておいて、礼もなしか? このまま無理やり、お前の尻に突っ込んでもいいんだぞ」
「体がつらいんだっ。昨日……だったから。だから今日は、組長の誘いも断った」
我ながら嫌になるが、鷹津にとってどの話題が効果的か、和彦は把握している。賢吾だ。一方の鷹津も、和彦がどんな意図から賢吾の名を出したか把握しており、忌々しげにこう洩らした。
「性質の悪いオンナだ。――昨日は誰に抱かれたんだ」
「あんたに……関係ない」
そしてまた、和彦は唇を塞がれる。舌を引き出され、露骨に濡れた音を立てて激しく吸われる。そんな口づけにすっかり和彦は慣らされていた。扉をこじ開けるようにして官能を引きずり出され、獣じみた衝動を共有することを、求められる。もちろん、拒めはしない。
誘い込まれるように鷹津の口腔に舌を侵入させ、自分がされたように粘膜を舐め回し、歯列に舌先を擦りつける。鷹津が歓喜しているのは、取られた片手で触れさせられた欲望の形からわかった。
口づけを続けながら、互いの欲望を外に引き出し、握り締める。すでに熱くなっている鷹津のものを緩やかに上下に扱いてやると、和彦のものは性急に擦り上げられた。
「仕方ねーから、今夜は手で一発抜くだけで勘弁してやる」
鷹津の言葉に、和彦は目じりに涙を滲ませて睨みつける。
「……何様だ、あんた……」
「お前の番犬だ。餌欲しさに、お前のためだけに働いている」
その言葉を受けて、差し出した舌を大胆に絡め合う。明け透けな欲情を見せ付けられて、和彦も興奮していた。狭い車内で、シートから身を乗り出す不自由な姿勢で口づけを交わし、互いのものを愛撫し合っていると、もどかしさが媚薬となる。
和彦は片手を鷹津の肩にかけていたが、車内の空気が淫靡さを増してくると、無精ひげの生えた頬にてのひらを押し当てるようになっていた。鷹津はピクリと肩を揺らし、食い入るように間近から和彦を見つめてくる。いまさら鷹津の眼差しの強さに気恥ずかしさを覚え、和彦は視線を伏せる。すると鷹津が、誘われるように目元に濡れた唇を押し当ててきた。
「残念だ。お前がその気になっている今みたいなときこそ、思うさま尻を犯してやりたいのに」
「誰が、その気なんて――」
鷹津の指に強く先端を擦り上げられ、たまらず和彦は呻き声を洩らす。和彦のものは熱く脈打ち、先端から透明なしずくを垂らしているが、それは鷹津のものも同じだ。ふてぶてしく息づき、和彦の手を濡らしている。
声に出してタイミングを計る必要もなかった。鷹津の愛撫の手が速くなり、つられて和彦も握ったものを強く扱き上げる。
「あっ、あっ」
たまらず和彦が声を上げ始めると、唇にかかる鷹津の息遣いも荒くなってくる。
「イけよ、佐伯。イク瞬間の顔をたっぷり拝んでやるから」
言い返したくて仕方なかったが、その余裕はもう和彦にはなかった。ぐっと奥歯を噛み締めて、腰を震わせる。閉じた瞼の裏で閃光が走り、快感の塊が背筋を滑り落ちた。そして、鷹津の手の中で精を迸らせていた。
「は、あぁ……」
詰めていた息を吐き出すと、すかさず鷹津に言われる。
「俺のも最後まで面倒見てくれよ」
半ば意地のように和彦は、握り込んだ脈打つものを手荒く扱き、自分がされたように鷹津の精をてのひらで受け止める。ビクビクとてのひらの中で震える鷹津のものが生々しい。まだ、硬く熱いのだ。
この時点で和彦は、精を放ったばかりだというのに、自分の中にまだ荒れ狂う欲望が存在していることに気づいた。
いつもなら、もっと淫らな行為に及んでいる――。
自分が鷹津を欲していると自覚して、うろたえた和彦は体を離そうとしたが、首の後ろを掴まれて動きを止められる。目を見開く和彦の前で、鷹津は思いがけない行動を取った。和彦の精が絡みついた指を、これ見よがしに鷹津がベロリと舐めたのだ。
「な、に、して……る」
「いまさらだろ。俺はこれまで、お前のものをしゃぶって、精液だって飲んでやった。もっともお前は、いまだに俺のものは舐めてすらくれないがな」
これは鷹津なりの挑発だと察し、和彦は顔を背けようとしたが、首の後ろを掴まれたままのためそれも叶わず、唇を塞がれた。
自分の精を舐めたばかりの男の舌に、口腔を犯される。込み上げてきた吐き気は、倒錯した被虐的な快感の前には無力だった。
和彦は目を閉じると、気が済むまで鷹津との下品な口づけにつき合うことにした。
「んんっ」
痛いほど強く唇を吸われながら、Tシャツの下に無遠慮な手が入り込んでくる。鷹津が何を求めているのかは明白で、和彦はシートの上で抵抗しようとするが、鷹津がものともせずに強引な口づけを続ける。
胸元をまさぐられ、指先に突起を探り当てられる。執拗に指の腹で擦られて喉の奥から声を洩らすと、鷹津に後ろ髪を掴まれて、口腔に舌を捻じ込まれた。吐き気を覚えたのはわずかな間で、和彦の背筋を、馴染み深い感覚が駆け上がってきた。
征服の手始めのように、鷹津が口腔に唾液を流し込んでくる。最初は嫌がった和彦だが、いやらしく口腔の粘膜を舐め回されているうちに、コクリと喉を鳴らして受け入れていた。
Tシャツを押し上げられて、硬く凝った胸の突起をてのひらで捏ねるように愛撫される。そして、口づけの合間に囁かれた。
「……お前のために働いてやったんだ。今すぐ抱かせろ」
和彦は熱い吐息をこぼし、それすら惜しむように鷹津に唇を吸われる。その間にも鷹津の片手が、胸元から両足の間へと下りていた。数時間前に賢吾の愛撫を受けたばかりだというのに、和彦の体は反応したがっている。
「今日は、ダメだ――……」
答えた途端、それでなくても鋭い鷹津の眼差しが殺気を帯びる。
「ヤクザのオンナが、偉くなったもんだな。刑事を使っておいて、礼もなしか? このまま無理やり、お前の尻に突っ込んでもいいんだぞ」
「体がつらいんだっ。昨日……だったから。だから今日は、組長の誘いも断った」
我ながら嫌になるが、鷹津にとってどの話題が効果的か、和彦は把握している。賢吾だ。一方の鷹津も、和彦がどんな意図から賢吾の名を出したか把握しており、忌々しげにこう洩らした。
「性質の悪いオンナだ。――昨日は誰に抱かれたんだ」
「あんたに……関係ない」
そしてまた、和彦は唇を塞がれる。舌を引き出され、露骨に濡れた音を立てて激しく吸われる。そんな口づけにすっかり和彦は慣らされていた。扉をこじ開けるようにして官能を引きずり出され、獣じみた衝動を共有することを、求められる。もちろん、拒めはしない。
誘い込まれるように鷹津の口腔に舌を侵入させ、自分がされたように粘膜を舐め回し、歯列に舌先を擦りつける。鷹津が歓喜しているのは、取られた片手で触れさせられた欲望の形からわかった。
口づけを続けながら、互いの欲望を外に引き出し、握り締める。すでに熱くなっている鷹津のものを緩やかに上下に扱いてやると、和彦のものは性急に擦り上げられた。
「仕方ねーから、今夜は手で一発抜くだけで勘弁してやる」
鷹津の言葉に、和彦は目じりに涙を滲ませて睨みつける。
「……何様だ、あんた……」
「お前の番犬だ。餌欲しさに、お前のためだけに働いている」
その言葉を受けて、差し出した舌を大胆に絡め合う。明け透けな欲情を見せ付けられて、和彦も興奮していた。狭い車内で、シートから身を乗り出す不自由な姿勢で口づけを交わし、互いのものを愛撫し合っていると、もどかしさが媚薬となる。
和彦は片手を鷹津の肩にかけていたが、車内の空気が淫靡さを増してくると、無精ひげの生えた頬にてのひらを押し当てるようになっていた。鷹津はピクリと肩を揺らし、食い入るように間近から和彦を見つめてくる。いまさら鷹津の眼差しの強さに気恥ずかしさを覚え、和彦は視線を伏せる。すると鷹津が、誘われるように目元に濡れた唇を押し当ててきた。
「残念だ。お前がその気になっている今みたいなときこそ、思うさま尻を犯してやりたいのに」
「誰が、その気なんて――」
鷹津の指に強く先端を擦り上げられ、たまらず和彦は呻き声を洩らす。和彦のものは熱く脈打ち、先端から透明なしずくを垂らしているが、それは鷹津のものも同じだ。ふてぶてしく息づき、和彦の手を濡らしている。
声に出してタイミングを計る必要もなかった。鷹津の愛撫の手が速くなり、つられて和彦も握ったものを強く扱き上げる。
「あっ、あっ」
たまらず和彦が声を上げ始めると、唇にかかる鷹津の息遣いも荒くなってくる。
「イけよ、佐伯。イク瞬間の顔をたっぷり拝んでやるから」
言い返したくて仕方なかったが、その余裕はもう和彦にはなかった。ぐっと奥歯を噛み締めて、腰を震わせる。閉じた瞼の裏で閃光が走り、快感の塊が背筋を滑り落ちた。そして、鷹津の手の中で精を迸らせていた。
「は、あぁ……」
詰めていた息を吐き出すと、すかさず鷹津に言われる。
「俺のも最後まで面倒見てくれよ」
半ば意地のように和彦は、握り込んだ脈打つものを手荒く扱き、自分がされたように鷹津の精をてのひらで受け止める。ビクビクとてのひらの中で震える鷹津のものが生々しい。まだ、硬く熱いのだ。
この時点で和彦は、精を放ったばかりだというのに、自分の中にまだ荒れ狂う欲望が存在していることに気づいた。
いつもなら、もっと淫らな行為に及んでいる――。
自分が鷹津を欲していると自覚して、うろたえた和彦は体を離そうとしたが、首の後ろを掴まれて動きを止められる。目を見開く和彦の前で、鷹津は思いがけない行動を取った。和彦の精が絡みついた指を、これ見よがしに鷹津がベロリと舐めたのだ。
「な、に、して……る」
「いまさらだろ。俺はこれまで、お前のものをしゃぶって、精液だって飲んでやった。もっともお前は、いまだに俺のものは舐めてすらくれないがな」
これは鷹津なりの挑発だと察し、和彦は顔を背けようとしたが、首の後ろを掴まれたままのためそれも叶わず、唇を塞がれた。
自分の精を舐めたばかりの男の舌に、口腔を犯される。込み上げてきた吐き気は、倒錯した被虐的な快感の前には無力だった。
和彦は目を閉じると、気が済むまで鷹津との下品な口づけにつき合うことにした。
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