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第23話
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そんなことを言って、賢吾が強引に唇を吸ってくる。軽く抵抗した和彦だが、すぐに諦めて賢吾の肩に手を置く。慣れない着物を身につけているせいか、新鮮な感覚だった。帯で体を拘束されているようでありながら、腰から下は無防備だ。その無防備な感覚を煽るように、賢吾が膝で両足の間を割り開こうとしてくる。
「先生を着物姿で外に出すときは、貞操帯をつけるか。どんな男が股に手を突っ込んで、こうして、ここを弄ってくるかわかったもんじゃねーからな」
まんざら冗談とも思えないことを呟いた賢吾の手が、着物の裾を割り、奥に入り込んでこようとする。和彦は手を押しのけながら抗議の声を上げる。
「何してるんだ、あんたはっ……」
「股割りだ。これをしておかないと、歩きにくいぞ」
「だったら自分でやるっ」
「遠慮するな」
両足の間を賢吾の手にまさぐられ、和彦は腰を震わせる。下着の上から思わせぶりに敏感なものを撫でられて、咄嗟に賢吾の肩にすがりついていた。
「ほら、もっと足を開け、先生」
下着をわずかに引きおろして、賢吾が揶揄するように囁いてくる。間近から賢吾を睨みつけた和彦だが、まるで蛇が絡みつくように蠢く指の動きには逆らえず、おずおずと足を開いた。
「あっ」
賢吾の手にしっかりと、欲望を握り締められる。この瞬間、本能的に怖いと感じた。賢吾が、今のこの状況で自分を痛めつけてくるはずがないとわかってはいるのだ。これは、和彦自身が抱える罪悪感の裏返しだ。賢吾が何事もないように振る舞えば振る舞うほど、和彦は罪悪感に追い詰められる。
握られたものを手荒く扱かれて足元が乱れる。単なる戯れではなく、賢吾は本気で自分を貪ろうとしていると知り、和彦は羞恥を押し殺して訴えた。
「――……今日は、無理だ。体がつらいんだ」
「なんだ。別の男と楽しんだばかりなのか?」
大蛇の潜む目が、じっとこちらを見据えてくる。和彦が口ごもると、賢吾がスッと視線を動かし、部屋の柱を見た。このとき和彦の脳裏に、ある光景が蘇る。
前に一度この部屋で、千尋の母親の長襦袢を羽織らされ、柱に掴まった姿勢で内奥を犯されたことがあった。返答次第で賢吾が再び同じ行為を求めてくると察し、仕方なく和彦は答えた。
「千尋だ……。昨夜、酔っ払って部屋に来て、そのまま――」
賢吾が愛撫の手を緩め、こんな言葉を洩らした。
「……息子相手なら、文句も言えねーな」
この場合、どんな顔をすればいいのだろうかと、和彦は一瞬本気で悩みかけたが、すぐにそれどころではなくなる。賢吾が熱っぽく唇を求めてきたからだ。
「んっ……」
たっぷり唇を吸われて、当然の権利のように口腔に舌がねじ込まれる。和彦は従順に受け入れ、せめて、とばかりに賢吾の舌を吸う。褒美のように賢吾の唾液が流し込まれ、口腔の粘膜を舐め回されていた。いつの間にか賢吾の愛撫が再開され、和彦の欲望は上下に扱かれる。
濃厚な口づけと、欲望に対する愛撫に官能を刺激された和彦は、求められたわけでもないのに賢吾の両足の中心を片手でまさぐっていた。
着物の裾の合間から指を忍び込ませ、賢吾の欲望の形を確かめる。安堵するのも妙かもしれないが、賢吾は興奮していた。自分がされているように、下着を下ろして賢吾のものを引き出し、指を絡める。
「なんだ、サービスしてくれるのか?」
笑いを含んだ声で賢吾が言い、和彦は顔を熱くしながらも平静を装う。
「……嫌なら、いい……」
手を引こうとしたが、賢吾に手首を掴まれて止められる。そして、ゾクゾクするような魅力的なバリトンで囁かれた。
「俺の息子と楽しんでおいて、父親の俺は放っておくのか、先生? ひどいオンナだな」
あまりな言われように抗議しようとしたが、顔を上げた瞬間に賢吾に再び唇を塞がれる。すぐに和彦も口づけに夢中になりながら、賢吾のものを柔らかく握り込んだ。
舌を絡め合いながら互いの欲望を愛撫する。和彦の呼吸はすぐに乱れ、必死に片手で賢吾の肩に掴まる。そうしないと、足元から崩れ込んでしまいそうだ。一方の賢吾は、腹が立つほど平然としている。ただし、てのひらで感じるものは力強く脈打ち始めていた。
「着物、汚れる……」
口づけの合間に和彦が訴えると、賢吾が意地悪く笑う。
「どっちの着物のことを言ってる? 確かに先生のほうは、もうダラダラと涎を垂らして――」
「嫌な男だな、あんたはっ」
羞恥を誤魔化すように声を荒らげてみたが、賢吾には通じない。熱くなって震える和彦のものの形を指先でなぞり、濡れた先端を爪の先で弄ってくる。たまらず、両腕で賢吾にしがみついていた。
「もう終わりか? 千尋の独占欲は受け止めたくせに、俺の独占欲はほったらかしか?」
「先生を着物姿で外に出すときは、貞操帯をつけるか。どんな男が股に手を突っ込んで、こうして、ここを弄ってくるかわかったもんじゃねーからな」
まんざら冗談とも思えないことを呟いた賢吾の手が、着物の裾を割り、奥に入り込んでこようとする。和彦は手を押しのけながら抗議の声を上げる。
「何してるんだ、あんたはっ……」
「股割りだ。これをしておかないと、歩きにくいぞ」
「だったら自分でやるっ」
「遠慮するな」
両足の間を賢吾の手にまさぐられ、和彦は腰を震わせる。下着の上から思わせぶりに敏感なものを撫でられて、咄嗟に賢吾の肩にすがりついていた。
「ほら、もっと足を開け、先生」
下着をわずかに引きおろして、賢吾が揶揄するように囁いてくる。間近から賢吾を睨みつけた和彦だが、まるで蛇が絡みつくように蠢く指の動きには逆らえず、おずおずと足を開いた。
「あっ」
賢吾の手にしっかりと、欲望を握り締められる。この瞬間、本能的に怖いと感じた。賢吾が、今のこの状況で自分を痛めつけてくるはずがないとわかってはいるのだ。これは、和彦自身が抱える罪悪感の裏返しだ。賢吾が何事もないように振る舞えば振る舞うほど、和彦は罪悪感に追い詰められる。
握られたものを手荒く扱かれて足元が乱れる。単なる戯れではなく、賢吾は本気で自分を貪ろうとしていると知り、和彦は羞恥を押し殺して訴えた。
「――……今日は、無理だ。体がつらいんだ」
「なんだ。別の男と楽しんだばかりなのか?」
大蛇の潜む目が、じっとこちらを見据えてくる。和彦が口ごもると、賢吾がスッと視線を動かし、部屋の柱を見た。このとき和彦の脳裏に、ある光景が蘇る。
前に一度この部屋で、千尋の母親の長襦袢を羽織らされ、柱に掴まった姿勢で内奥を犯されたことがあった。返答次第で賢吾が再び同じ行為を求めてくると察し、仕方なく和彦は答えた。
「千尋だ……。昨夜、酔っ払って部屋に来て、そのまま――」
賢吾が愛撫の手を緩め、こんな言葉を洩らした。
「……息子相手なら、文句も言えねーな」
この場合、どんな顔をすればいいのだろうかと、和彦は一瞬本気で悩みかけたが、すぐにそれどころではなくなる。賢吾が熱っぽく唇を求めてきたからだ。
「んっ……」
たっぷり唇を吸われて、当然の権利のように口腔に舌がねじ込まれる。和彦は従順に受け入れ、せめて、とばかりに賢吾の舌を吸う。褒美のように賢吾の唾液が流し込まれ、口腔の粘膜を舐め回されていた。いつの間にか賢吾の愛撫が再開され、和彦の欲望は上下に扱かれる。
濃厚な口づけと、欲望に対する愛撫に官能を刺激された和彦は、求められたわけでもないのに賢吾の両足の中心を片手でまさぐっていた。
着物の裾の合間から指を忍び込ませ、賢吾の欲望の形を確かめる。安堵するのも妙かもしれないが、賢吾は興奮していた。自分がされているように、下着を下ろして賢吾のものを引き出し、指を絡める。
「なんだ、サービスしてくれるのか?」
笑いを含んだ声で賢吾が言い、和彦は顔を熱くしながらも平静を装う。
「……嫌なら、いい……」
手を引こうとしたが、賢吾に手首を掴まれて止められる。そして、ゾクゾクするような魅力的なバリトンで囁かれた。
「俺の息子と楽しんでおいて、父親の俺は放っておくのか、先生? ひどいオンナだな」
あまりな言われように抗議しようとしたが、顔を上げた瞬間に賢吾に再び唇を塞がれる。すぐに和彦も口づけに夢中になりながら、賢吾のものを柔らかく握り込んだ。
舌を絡め合いながら互いの欲望を愛撫する。和彦の呼吸はすぐに乱れ、必死に片手で賢吾の肩に掴まる。そうしないと、足元から崩れ込んでしまいそうだ。一方の賢吾は、腹が立つほど平然としている。ただし、てのひらで感じるものは力強く脈打ち始めていた。
「着物、汚れる……」
口づけの合間に和彦が訴えると、賢吾が意地悪く笑う。
「どっちの着物のことを言ってる? 確かに先生のほうは、もうダラダラと涎を垂らして――」
「嫌な男だな、あんたはっ」
羞恥を誤魔化すように声を荒らげてみたが、賢吾には通じない。熱くなって震える和彦のものの形を指先でなぞり、濡れた先端を爪の先で弄ってくる。たまらず、両腕で賢吾にしがみついていた。
「もう終わりか? 千尋の独占欲は受け止めたくせに、俺の独占欲はほったらかしか?」
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