血と束縛と

北川とも

文字の大きさ
上 下
460 / 1,268
第21話

(22)

しおりを挟む
「中嶋の中のことは、今はまだ先生のほうがよく知っているんですよ。だから、頼みます」
 そう囁いてきた秦に手を取られ、たっぷりの唾液を絡めるようにして指を舐められた。和彦は秦と場所を入れ替わると、中嶋の片足を抱え上げ、内奥の入り口を濡れた指でまさぐる。中嶋は息を喘がせながら、唇だけの笑みを向けてきた。
「一息に入れてもらってかまいませんよ」
「乱暴なのは、ぼくの趣味じゃない。……多分、この男も」
 和彦がちらりと背後を振り返ると、秦は意味ありげに自分の指を舐めていた。その行為の意味を即座に理解した和彦は、全身を羞恥で熱くする。まさかと思ったが、今のこの状況では、どんな淫らな行為が行われても不思議ではない。
 何より、和彦は期待している――。
「先生?」
 中嶋に呼ばれて我に返った和彦は、前に一度そうしたように、狭い内奥に慎重に指を挿入する。できる限り綻ばせて、苦痛が少ないようにしてやりたかった。
「うっ、うぅっ」
 ゆっくりと指を動かすと、ビクビクと体を震わせながら中嶋が声を上げる。覚えのある感触が指にまとわりつく。戸惑いつつも中嶋の襞と粘膜は、愛撫に応えようとしているのだ。
 中嶋の内奥がひくつき始め、和彦の指の動きに合わせて収縮を繰り返す。強気に見つめ返してくる中嶋を煽るように、和彦はそっと囁いた。
「……いやらしいな。初めてのときは、こんなに物欲しげな反応はしなかったのに」
「いやらしさなら、先生も負けていないと思いますよ」
 秦が、背後から和彦の肩に唇を押し当ててくる。ハッとしたときには、和彦の秘裂に秦の指が入り込み、内奥をまさぐられる。
「やっ、め……」
 和彦は慌てて身を捩ろうとしたが、強引に秦の指が内奥に挿入されてくる。異物感に呻いたときには、秦の指をしっかりと咥え込んで締め付けていた。
「いい反応ですね、先生。この調子で中嶋をしっかりと、可愛がってやってください」
 秦の指が巧みに内奥で蠢き、和彦は息を弾ませる。すると中嶋が片手を伸ばし、頬に触れてきた。
「先生、気持ちいいですか?」
 和彦は言葉で返事をする代わりに、中嶋の内奥で大胆に指を動かした。
 反り返った中嶋のものが、切なげに泣いていた。先端からはしたなく透明なしずくを滴らせ、内奥への愛撫にしっかりと感じているのがわかる。もっともそれは、和彦も同じだ。内奥から指を出し入れしながら、秦はもう片方の手で和彦のものを緩く扱き上げてくるのだ。
 和彦と中嶋の息遣いが乱れ、切迫してくる。中嶋はともかく、快感によって和彦は、愛撫する手が止まりがちになっていた。その瞬間を待っていたようにやっと秦が手を引き、ほっとする間もなく和彦はベッドに押し倒される。
 上気した顔でのしかかってきた中嶋が、和彦の両足の間に腰を割り込ませてきた。綻んだ内奥の入り口に押し当てられた中嶋のものは、熱く高ぶっている。
「――……前に先生、俺が秦さんに犯されたあとなら、俺に犯されてもいいと言いましたよね」
「この状況は、順番が違う」
「些細な違いです。ほんの、数分ほどの違いだ」
 悪びれた様子もなく、したたかな笑みを浮かべて中嶋は腰を進めた。中嶋の男を示すものが力強く押し込まれ、和彦の内奥は犯される。
「うあっ、あっ、ああっ――」
 熱く潤んだ襞と粘膜を擦り上げられ、和彦は喉を反らす。痛みも、苦しいほどの異物感も確かにあるのだが、中嶋の欲望を受け入れているという実感のほうが強烈で、倒錯した悦びが背筋を駆け上がってくる。
 じっくりと丁寧に内奥を押し広げられ、中嶋と深々と繋がる。数回の律動を繰り返した中嶋は、片手を伸ばして枕を掴むと、それを和彦の腰の下に入れた。ぐっと欲望を突き込まれ、内奥深くを抉られる。
「先生……」
 中嶋に呼ばれ、てのひらをしっかりと重ねて指を絡める。緩やかに腰を動かしながら、中嶋は何度も熱い吐息をこぼす。
「すごいな。俺、先生の中に入っている。……男を抱いているんだ」
「今夜は、だからな。次は、ぼくが君を抱かせてもらう」
 ニヤリと笑った中嶋に、唇に軽いキスを落とされる。一方で、深く繋がった部分は熱を孕み、覚えのある肉の愉悦がじわじわと広がってくる。冷静に中嶋をリードしていくつもりの和彦だったが、すでにもう危うい。内奥深くを突き上げられるたびに堪えきれない声を上げ、中嶋のものをきつく締め付けていた。
 二人は行為に没頭しかけていたが、ふいに中嶋の動きが止まり、羞恥と動揺が入り混じった表情を浮かべた。和彦が視線を向けた先では、秦が中嶋の背後に忍び寄り、何かをしている最中だった。
 秦は、静かな興奮を湛えた目をしていた。和彦と目が合うと、優雅で艶やかな存在感を放つ男は、肉を食らう獣のような笑みを唇に刻む。

しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...