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第21話
(21)
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そう中嶋から言葉をかけられると同時に、秦にベッドに引き上げられる。
二人がかりでワイシャツを脱がされ、スラックスと下着を引き下ろされる頃には、和彦は形だけの抵抗の空しさを味わっていた。本当に嫌なら逃げ出せばいいのだ。二人は決して、和彦に無理強いはしない。
和彦に覆い被さってきた中嶋が唇を重ね、剥き出しになっている欲望同士を擦りつけてくる。そんな二人を眺めながら、秦は悠然とシャツを脱いでいた。
広いベッドの上で、何も身につけていない体をしっかりと重ねているうちに、羞恥心が少しずつ剥ぎ取られていくようだった。まるで獣同士が無邪気にじゃれ合っているようで、なんだか楽しくさえなってくるが、次第に中嶋の体が熱くなってくるのを感じて、これは儀式のようなものだと悟る。
「……緊張していたのか?」
思わず和彦が尋ねると、〈女〉の顔をした中嶋は頷いた。
「先生がいてくれてよかった。そうじゃないと俺は多分、ベッドに転がったまま、初心な乙女みたいに体を震わせていましたよ」
「経験豊富な元ホストが、何言ってるんだ」
「経験じゃ、先生と秦さんには負けます――」
ここで中嶋がビクリと体を震わせ、唇を引き結ぶ。楽しげに和彦と中嶋の会話を聞いていた秦が、ようやく動いたのだ。
和彦に覆い被さっている中嶋の両足の間で、差し込まれた秦の手が妖しく動いていた。小さく声を洩らした中嶋の髪を掻き上げてから、和彦は唇を啄んでやる。すぐに互いの唇を吸い合い、舌を絡め合っていたが、ふっと和彦の上から中嶋の重みがなくなる。ベッドの上に座った秦の両腕の中に、中嶋はいた。
今度は秦と中嶋が、濃厚な口づけを交わし始める。胸元をまさぐられた中嶋が大きく息を吸い込むのを見て、和彦は体を起こす。すかさず秦が目配せしてきて、中嶋の足を左右に開かせた。一瞬、逡巡はしたものの、好奇心と欲情が入り混じった衝動に和彦は勝つことができなかった。
和彦は、中嶋の欲望に手を伸ばすと、てのひらに包み込む。緩やかに上下に扱いてやると、切なげな声を上げた中嶋が腰を震わせる。
快感に身を震わせる〈女〉の姿に、和彦はゾクゾクするような興奮を覚えた。自分に快感を与えてくれる男たちは、いつもこんな興奮を味わっているのだろうかと思ったら、さらに中嶋を感じさせたくなる。
「――楽しそうですね、先生」
手の中で中嶋のものが熱くなり始めた頃、秦が話しかけてくる。和彦は意識しないまま笑んでいた。
「楽しいんだ。自分がいつもされていることを、中嶋くんにしていると思ったら。なんだか妙な気分でもあるし。でも、楽しいことに間違いはない」
「楽しそうな先生を見ていると、こちらも妙な気分になってきますよ」
「秦さんだけじゃないですよ。俺も、妙な気分だ。……先生を抱きたくてたまらない」
そんなことを言った中嶋の手に頭を引き寄せられ、唇を重ねる。すぐに舌を絡め始めると、和彦の両足の間をまさぐる手があった。中嶋の手かと思ったが、すぐにそれが秦の手だとわかる。そして和彦は、今度は秦との口づけを堪能する。差し出した舌を絡め合い、唾液を交わしていると、和彦の欲望に触れている手が入れ替わる。今度こそ、中嶋の手だ。
口づけの相手が替わると、愛撫を加えてくる手も入れ替わり、それが倒錯した感覚と高揚感を生み出していく。例えようもなく淫らな行為に耽っているという自覚は、官能を高める媚薬でしかない。
中嶋の胸の突起を秦の指が弄り、もう片方の突起を和彦が舌先でくすぐる。和彦の胸の突起を指先で摘まみ上げてくるのは、中嶋だ。
「あうっ」
和彦の指が、中嶋のものの先端を擦り上げた途端、声が上がる。中嶋の先端は、すでに濡れていた。それを秦に知らせると、最初から手加減するつもりはないらしい。秦はどこか嬉々とした様子で中嶋をベッドに仰向けにして、両足の間に顔を埋めた。
「うああっ……」
再び中嶋は声を上げ、上体を仰け反らせる。和彦は、中嶋の顔を真上から覗き込む。野心たっぷりだと自負するヤクザは、すがるような目で和彦を見上げてきた。向けられる眼差しに誘われるように顔を寄せ、唇を吸ってやる。
「……先生が触れてやると、中嶋はよく反応する。今だって、涎の量が一気に増えましたよ」
上目遣いとなって秦は笑った。それでなくても艶やかな存在感を放つ美貌の男は、中嶋の精気を少しずつ吸い取って、妖しいほどだ。
まるで中嶋と和彦に見せつけるように、秦は大胆に舌を動かして、反り返った欲望を舐め上げる。そのたびに中嶋は声を洩らし、身を震わせる。
このまま二人の行為に任せて自分は控えておこうかと思った和彦だが、頭を上げた秦に手招きされ、耳元にあることを囁かれる。無理だと言おうとしたが、秦に抱き寄せられた。
二人がかりでワイシャツを脱がされ、スラックスと下着を引き下ろされる頃には、和彦は形だけの抵抗の空しさを味わっていた。本当に嫌なら逃げ出せばいいのだ。二人は決して、和彦に無理強いはしない。
和彦に覆い被さってきた中嶋が唇を重ね、剥き出しになっている欲望同士を擦りつけてくる。そんな二人を眺めながら、秦は悠然とシャツを脱いでいた。
広いベッドの上で、何も身につけていない体をしっかりと重ねているうちに、羞恥心が少しずつ剥ぎ取られていくようだった。まるで獣同士が無邪気にじゃれ合っているようで、なんだか楽しくさえなってくるが、次第に中嶋の体が熱くなってくるのを感じて、これは儀式のようなものだと悟る。
「……緊張していたのか?」
思わず和彦が尋ねると、〈女〉の顔をした中嶋は頷いた。
「先生がいてくれてよかった。そうじゃないと俺は多分、ベッドに転がったまま、初心な乙女みたいに体を震わせていましたよ」
「経験豊富な元ホストが、何言ってるんだ」
「経験じゃ、先生と秦さんには負けます――」
ここで中嶋がビクリと体を震わせ、唇を引き結ぶ。楽しげに和彦と中嶋の会話を聞いていた秦が、ようやく動いたのだ。
和彦に覆い被さっている中嶋の両足の間で、差し込まれた秦の手が妖しく動いていた。小さく声を洩らした中嶋の髪を掻き上げてから、和彦は唇を啄んでやる。すぐに互いの唇を吸い合い、舌を絡め合っていたが、ふっと和彦の上から中嶋の重みがなくなる。ベッドの上に座った秦の両腕の中に、中嶋はいた。
今度は秦と中嶋が、濃厚な口づけを交わし始める。胸元をまさぐられた中嶋が大きく息を吸い込むのを見て、和彦は体を起こす。すかさず秦が目配せしてきて、中嶋の足を左右に開かせた。一瞬、逡巡はしたものの、好奇心と欲情が入り混じった衝動に和彦は勝つことができなかった。
和彦は、中嶋の欲望に手を伸ばすと、てのひらに包み込む。緩やかに上下に扱いてやると、切なげな声を上げた中嶋が腰を震わせる。
快感に身を震わせる〈女〉の姿に、和彦はゾクゾクするような興奮を覚えた。自分に快感を与えてくれる男たちは、いつもこんな興奮を味わっているのだろうかと思ったら、さらに中嶋を感じさせたくなる。
「――楽しそうですね、先生」
手の中で中嶋のものが熱くなり始めた頃、秦が話しかけてくる。和彦は意識しないまま笑んでいた。
「楽しいんだ。自分がいつもされていることを、中嶋くんにしていると思ったら。なんだか妙な気分でもあるし。でも、楽しいことに間違いはない」
「楽しそうな先生を見ていると、こちらも妙な気分になってきますよ」
「秦さんだけじゃないですよ。俺も、妙な気分だ。……先生を抱きたくてたまらない」
そんなことを言った中嶋の手に頭を引き寄せられ、唇を重ねる。すぐに舌を絡め始めると、和彦の両足の間をまさぐる手があった。中嶋の手かと思ったが、すぐにそれが秦の手だとわかる。そして和彦は、今度は秦との口づけを堪能する。差し出した舌を絡め合い、唾液を交わしていると、和彦の欲望に触れている手が入れ替わる。今度こそ、中嶋の手だ。
口づけの相手が替わると、愛撫を加えてくる手も入れ替わり、それが倒錯した感覚と高揚感を生み出していく。例えようもなく淫らな行為に耽っているという自覚は、官能を高める媚薬でしかない。
中嶋の胸の突起を秦の指が弄り、もう片方の突起を和彦が舌先でくすぐる。和彦の胸の突起を指先で摘まみ上げてくるのは、中嶋だ。
「あうっ」
和彦の指が、中嶋のものの先端を擦り上げた途端、声が上がる。中嶋の先端は、すでに濡れていた。それを秦に知らせると、最初から手加減するつもりはないらしい。秦はどこか嬉々とした様子で中嶋をベッドに仰向けにして、両足の間に顔を埋めた。
「うああっ……」
再び中嶋は声を上げ、上体を仰け反らせる。和彦は、中嶋の顔を真上から覗き込む。野心たっぷりだと自負するヤクザは、すがるような目で和彦を見上げてきた。向けられる眼差しに誘われるように顔を寄せ、唇を吸ってやる。
「……先生が触れてやると、中嶋はよく反応する。今だって、涎の量が一気に増えましたよ」
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